普通の日々

ごく普通の日々の事

災害報道とドローン

2015-11-18 10:34:25 | ニュース関連
松本人志「報道ヘリやめてドローン使え」 この提案にテレビ局はどう答えるのか (J-CAST)
【関東・東北を襲った記録的な豪雨で鬼怒川の堤防が決壊し甚大な被害を受けた茨城県常総市。まるで東日本大震災の津波被害を彷彿とさせるような現場から、逃げ遅れた人たちの救出劇がリアルタイムで放送されると、テレビ局の取材ヘリに「自衛隊機に近づきすぎ」などといった怒りの声がツイッターであがった。
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志さん(52)もテレビ番組で立腹し、「ヘリ飛ばしすぎ。ドローンでいいでしょ」 と訴えた。実現可能性はどれくらいあるのか】
【ヘリに代わってドローンでの災害現場の撮影はあるのか。あるテレビ局の担当者は、
「まさに今現場で試行錯誤している案件なんです。全てドローンで撮影できるかどうかはまだわかりません。未知数といったところで、天候や地形などの状態を考慮すれば、ケースバイケースでの使用にならざるを得ないでしょう」
と明かしている】

撮影ヘリは救助の邪魔…決壊映像で視聴率稼ぎに走ったTV局 (日刊ゲンダイ)
【「各局とも濁流にのみ込まれそうな住民を映し出すことで、視聴率アップを狙っていたとしか思えない報道でした。危険なシーンを映して煽るだけ煽ったのです。東日本大震災の時は横並び報道が後に批判され、国や各自治体の災害対策に関して報道する必要性が叫ばれましたが、その教訓がまったく生かされていなかった。それと、今回は撮影のためにヘリコプターをガンガン飛ばし、風圧が濁流を揺らしていましたが、阪神大震災のときにヘリを飛ばすと音や風が救助活動の邪魔になると指摘されていた。できればドローンを飛ばすべきで、何の工夫もなかった」(放送関係者)】
 災害から2ヵ月以上が過ぎ、当時の状況に関する情報も色々出揃ってきました。例えば自衛隊が移動式レーダーを投入して簡易的な空中監視(空域管制?)をしていたとか、混乱を避ける為に警察・消防・海保・自衛隊で救助活動エリアを分担していたとか…そこでこの問題について少し触れたいと思います。
 記事にも書いていますが何れはドローンが中継に投入される事になると思います。ただ、そうなるにはもう少し時間が掛かるんじゃないでしょうか。というのは、今現在ドローンについてはこの問題がついて回っているからです。

ドローン:落下し炎上…前橋の自転車レース、けが人なし (毎日新聞)
【27日午前7時15分ごろ、前橋市の赤城山(標高1828メートル)を舞台に、全国から約2800人が参加した自転車レース「第5回まえばし赤城山ヒルクライム大会」(前橋市などで作る実行委主催)のスタート会場付近で、レースを空撮していた小型無人機「ドローン」が地面に落下、炎上した。けが人はなかった】
 例の首相官邸での件以降、ニュースにドローンが登場する事が増えましたが、その大半は墜落やコントロールアウトについてなんですよね。そもそも首相官邸の件だって帰還しなかったというコントロールアウトのケースな訳ですし。まあ、そういうケースの殆どはホビーユースの市販品なんでしょうけど、上記の記事みたいに経験を積んでいる筈の業者でもトラブルが発生する事がある。それに天候の問題もあります。録画なら飛行時の天候を選ぶ事が出来ますが中継だとそうはいかない。特に今回みたいに気象が原因の災害の場合は、天候が回復しきらないうちに飛ばさなきゃならない場合もある。が、今のドローンはどう考えても悪天に強いとは思えないし、それら悪天への対策がそんなに簡単に進むとも思えない。また、現在のドローンは基本的に目視で操縦しているので、飛行させる場所に操縦者達が近付かなければならない訳です。普通の飛行ならそれでも特に問題はないんですが、災害現場からの中継となると操縦者の安全確保という問題も出て来る。ハッキリ言って現時点では飛行性能の安定性等ではヘリの方に軍配が上がるでしょう。
 中継中のドローンが墜落したなんて事になったら問題化するのは確実ですし、墜落時に人的被害が発生したりしたらそれこそ中継そのものの是非を問われかねない。それを考えるとドローンの飛行性能・安全性能が向上しない限りは、もう暫くは生中継にドローンが投入される可能性はかなり低いと思いますね。それに投入されたらされたで新しい問題が発生すると思うんですよ。生中継用のドローンに必要な最低のサイズがどれ位か分かりませんが、ヘリコプターよりも二回り以上は小型のレーダーに映り難いサイズになるのは確実でしょう。そのレーダーに映り難いサイズのドローンが、これまたレーダーに映り難い低い高度を飛ぶ訳です、TV局の数にもしかしたら新聞社の数をプラスした機数のドローンが。無線を装備してレーダーに映るヘリなら管制もし易いでしょうけど、そのどちらも難しいドローンの管制をどうするかという事も考えておかなければならない。必然的にこういった現場での中継用ドローン運用ルールが必要になるでしょう。
 でも、それが可能なら現在のヘリコプターでの中継にも運用ルールを適用すれば、災害報道時のヘリ問題って殆どは解決すると思うんですよね。例えば救助活動等の支障にならない様に一定の高度からは降りない様にするとか、同時にその取材エリアを飛行するヘリの機数を1機か2機に限定するとか。それを更に進めて中継映像をメディア各社で共有すれば現場に投入するヘリは1機で済む事になる、NHKと民放を分けても2機飛ばせば済む話ですよ。が、取材・中継ヘリの問題はこれまでにも度々出てきているのにそういう動きは見当たらない。おそらくそれはドローンが取材に投入される様になってもそうなんでしょう。まあ、何かが起きなければ対応しないというのは世の中にありがちですけど、容易に想定出来る事態への対応もないというのは止めて貰いたいものですが…。