鶏山ゴム  メルヘンの丸焼き

世田谷が産んだ(本当は明子が産んだ)鬼才

池の上陽水=鶏山ゴムの詩や短歌

つまらぬ読み物等を不定期に綴ります

女子美 全歌詞

2009-01-24 09:08:15 | 池の上陽水歌詞

花の名前

あなたの心が あふれてしまいそうだ
小さな秘密を 沈めてゆくたびに

待ちわびた季節に しなびた実が弾けて
毎週満月だった 蜜の夜が終わってゆく 無駄に花粉飛ばして

少しだけ眠る あなたの隣で
少しだけ生きる あなたの近くで

あなたの名前が あふれてしまいそうだ
体に琥珀を 沈めてゆくたびに

きまじめな未来に 夏の服を着せられ
最終便へのバスが 泥の海を泳いでゆく 星の裏を目指して

少しだけ眠る あなたの隣で
少しだけ生きる あなたの近くで

四月がもし来ても 薫る風が吹いても 生まれ返らぬように
土深く埋めるのさ その名前を唱えながら 闇へとうずめるのさ

少しだけ眠る あなたの夢見て
少しだけ生きる あなたを忘れて
少しだけ生きる あなたの近くで

ikenoue yousui 2001


しし座

六月の朝 君を見かけた
鳥かごのような半地下のカフェ

おフランスかぶれのヴァンサンカン
くちびる尖らせ 歌うようにしゃべる

路面電車は光に溢れ
明日無くなる動物園に行こう

おフランス気取りの横顔
揃えた前髪 風に震えてたな

飲んで食って酔って抱き合って
それだけだった それでよかったんだ
君のこと何も知らないで 
知らない振りで夏が巡る

七月は森 テラスで過ごし
からっぽの街 しし座を祝う

おフランス映画の真似して 傘もささず
橋の上でキスして サヨナラ そのまま暗転
エンド・ロールはピアノ

飲んで食って酔って抱き合って
それだけだった それでよかったんだ
君のこと何も知らないで
知らない振りで星が巡る

飲んで食って酔って抱き合って
それだけだった それでよかったんだ
君のこと何も知らないで 
知らない振りで それでよかったんだ

六月の朝 君を見かけた
赤い自転車 子供を乗せて

ikenoue yousui 1990


夏至

君の小さな頭 膝の上乗せて
僕の古い車は 夜を抜けてく

僕を追わないで 海へ早いバ

君の大切な猫 路地裏に捨てて
光溢れたアパートに 火を放った

僕を責めないで 君を手に入れた 好きな映画のようだ きっと

ごらんよ 高井戸の白い煙突が見えるだろう
星空に煙がずっと昇ってゆくよ
街じゅうに捨てられた燃えない恋を
ジェラシイの炎で妬き尽せば 街に夏が

君のワンピースはリバティー模様
朝の良く晴れた海にとても似合う

早く眠りたいな 深く抱き合って 波の軟らかベッド ずっと

ごらんよ 満月が生温い風を吹きかける
目を閉じて息を止めてアクセル踏め
夏至だから 夜が一番短いから 
スピードを上げなくちゃ朝が来るよ

夏至だから 夜が一番短いから
スピードを上げなくちゃ スピードをあげなくちゃ
LaLaLa...ラジオからオサリバン 君は唄う

君の小さな頭 膝の上乗せて
僕の古い車は 闇を抜けてく
 
ikenoue yousui 1992


新しいビール

テレビのコマーシャルで微笑踊る君が教えてくれたビール
弾ける泡の中で手招く眩しい季節 いくら飲んでも酔わない
爽やかにキャスターは「行ってらっしゃい!」って言うけど
白いシャツもタイも とうに捨ててしまった

見下ろす街は猛暑 「記録的です。今日も」 ノー天気な君が告げる
リモコンだらけの部屋 灯台守のように飛び込む夢を見てる
胡散臭い予言者が未来を呪う
終わるなら終われ 長い暇つぶし

いつまでも少女のふりはもう飽きたって
出てゆく君は立たない僕を笑った
おなかはいっぱい 胸がすいたよ
咲かないカトレア マシュー・モディーン

くすぶる僕を濡らす君の甘いささやき 全てを忘れるほど

どんなに押しても巻き戻せない 
それが現実みたい それでも見たい

いつもでも夢を友達に言っていたら
僕はいつしか嘘つきにされていたんだ
おなかはいっぱい 胸がすいたよ
鳴かないカナリヤ マシュー・モディーン

今、オリンピックの君が
飛び込み台の上からプールに落ちてゆく

いつまでも少年のつもりでいたのに
僕はジーンズが似合わなくなってしまった
おなかはいっぱい 胸がすいたよ
おなかにいっぱい 涙が詰まってる
おなかはいっぱい 胸がすいたよ
飛べないカナリヤ マシュー・モディーン

今度の時報に合わせて
ドルフィンキックで僕も 深い夏の中にダイビング

ikenoue yousui 1992



なで肩

地下鉄で見る夢は いつも同じ季節
花束を撒き散らし 酔って街中を歩いた

すぐに忘れてしまうから
いつか笑い話になるさ と笑った

太陽を追いかける 電車に乗り換えて
楽しげな人が待つ 次の宴へと急ぐ

僕にかけても無駄だよ
カバンの肩紐のようにずり落ちてくよ

十月の雨音みたいに 
優しく拍手を続けてくれた 眠るまで

かじかんだ指先を 祈るように包んで
少しだけ抱きしめてくれた 肩に頬乗せた

ikenoue yousui 2003



11月

遠く知らない町にたどり着いて 
又小さな暮らし始めようか
友達や兄さんに 知らせないまま

食卓の椅子に背中もたれ
化粧も落とさず君は眠る
日曜の朝のよう 静かな顔で

忘れよう もう

早く冬が終わり 弱虫はみな
深く土に溶けて 消えてしまえばいい
忘れて欲しい約束も

11月が好きだといつも言うから
11月のきれいなところに行こう
花市場 無人駅 置き去りの舟
捨て猫と遊んだり 風邪をひいたり

忘れよう もう

早く夏が終わり つわもの達はみな
深く熱に焼かれ 消えてしまえばいい
忘れて欲しい約束も

忘れよう もう

早く星が終わり 生き物達はみな
深く闇に抱かれ 消えてしまえばいい
忘れて欲しい

お湯を沸かすから顔を洗って
ゆっくりオヤスミ 僕は行かなきゃ

ikenoue yousui 2000

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