鶏山ゴム  メルヘンの丸焼き

世田谷が産んだ(本当は明子が産んだ)鬼才

池の上陽水=鶏山ゴムの詩や短歌

つまらぬ読み物等を不定期に綴ります

アーティストへの提供曲

2010-05-09 23:07:38 | 池の上陽水歌詞
灯台へ  

少しだけ長く爪を伸ばしてみたい
しばらくオヤスミ と  ギターの糸をゆるめ
このまま始発で あなたの町に帰ろう

おどろく顔  寝ぐせ頭
そのままでいい
半島の先へ 乗合バスに乗って
あなたと揺られて 眠りに 落ちてゆく

もしも舟が壊れててもいい
もしも太陽が落ちていてもいいね
灯台がまだ  
そこにあるはず


伸びた爪落とす前に染めてみたい
木漏れ日が覗いてる懐かしい窓辺
あなたと何度も出会って  離れてく

もしも夢が遠すぎるのなら
もしも星が見えないなら
言って
灯台がほら  光ってる


もしも波に流されてもいい
もしも嵐に目を閉じても いいね
行って
灯台がほら  そこにある

少しだけ 長く髪を伸ばしてみたい
明けてゆく遠い空に サヨナラと言って

(犬塚彩子さんへ)
2003





パ・ド・シャ 

閉じ込めた 想いを籠から
取り出して 撫でてみる
何気ない 言葉が次から
飛び付いて 爪を立てる

暗闇の中光る 赤いリズム

パ・ド・シャ パ・ド・シャ
猫が踊る 月の灯りで
パ・ド・シャ パ・ド・シャ
君よ眠れ 月も知らずに

ぶり返す痛みを胸から
取り出して触れてみる
優しさは嘘の裏返し
微笑みに目をそむけて

暗闇の中揺れる
赤いリズム

パ・ド・シャ パ・ド・シャ
猫と踊る 月のテンポで
パ・ド・シャ パ・ド・シャ
君よ眠れ 夢も見ないで

過ぎ去りし日々たちを
そっと葬らせて

パ・ド・シャ パ・ド・シャ
猫と踊る 月の灯りで
パ・ド・シャ
パ・ド・シャ
君よ眠れ 僕を忘れて

パ・ド・シャ パ・ド・シャ
猫と踊る 月のテンポで
パ・ド・シャ パ・ド・シャ
君よ眠れ 僕を忘れて

(犬塚彩子さんへ)
2010





チョーチョ

時計外し 目を閉じる
息をひそめ 朝を待つ
やがて君は光り出し
ガラスの箱 突き破る
科学を超えて飛ぶ
羽をもがれた僕たちは
春のパワーでゆく 
空色になり 白紙の地図 握りしめて

記憶の糸 巻き戻し
言葉の傷 ゴムで消す
そして僕は背を伸ばし
鉄のさなぎ 突き破る
手を振り回し飛ぶ
強いキックで空を蹴ろ
君と並んでゆく 
海を見下ろし 風の便り 置き手紙にして

バタフライで離陸
ANAを追い越しサヨオナラ
雲を抜けて加速
ハチミツが湧く大陸へ
科学を超えて飛ぶ
羽をもがれた僕たちは
春のパワーでゆく
鳥と並んで 君の手を取ってゆく  ルルルル
(犬塚彩子さんへ)
2010



ばら園 

海を見下ろす 白ぬりの家は
色とりどりの薔薇に囲まれてた

ふざけあった 小さなプールに
花びら浮かび
背伸びしてた眩しい日々は
終わらない気がした

今 君の香りに溢れる楽園で
君の知らない美しい人と
抱き合いながら
光の中で 未来を誓う

白いワインとシーフードに酔って
キスをしながら砂浜歩いた

旅立ちの朝 泣き出しそうな僕を
「男でしょう?」って抱きしめてくれた

海へ続く坂道を 二人乗りして
叫びながら 下ってゆく
飛べそうな気がした

今 君の香りに溢れる楽園で
君に似ている美しい人と
微笑みながら
光を浴びて 未来をかたる

今 君の香りに溢れるばら園で
君の知らない美しい人と
抱き合いながら
そよ風浴びて 未来を祈る

君の香りに包まれながら
未来を誓う

(犬塚彩子さんへ)
2010





雨雲 過ぎたら 

すももみたいな 小さなこぶし
広げた手のひらから木の実がコロリン

街へ戻ったら土に埋めるよ
お礼に楽しい唄を教えてあげる

雨雲踏んだらしぶき弾けて
虹がかかった

落ち葉が舞って言う
生まれ変わるよと
あかね色の国

椿の香り銀色の髪
訛りは優しい民謡のよう

何にもないからさあって 朝早く起きて
風呂敷いっぱいお弁当持たせてくれた

雨雲過ぎたら船に乗ります
今度は北へ

鳥たちが舞って言う
生まれ変わるよと
萌黄色の島

君の笑い顔は変わりませんか
君の宝物は光ってますか

僕は君に会うために遠くでいます
いつか君と会うために元気でいます

すももみたいな小さなこぶし
椿の香り銀色の髪
昔栄えて荒れ果てた街
初めてなのに懐かしい人達

(ううじんへ)
1982





シネ・ナントカ

ほんの小さなことで  ダメになりそうだ僕ら
眠る君の祈りを 叶えられない

そのシネ・ナントカに行こう
お昼前に もし起きられたら
そのシネ・ナントカに行けば
出会う前の 君に出会えるなら
ジャンヌ・モンローみたいに  粋なポーズをしてた

ほんの小さなことで 泡になりそうだ僕ら
笑う君の横顔 見つめ切れない

そのシネ・ナントカに行こう
少し早く 部屋を出て行くよ
そのシネ・ナントカの前で
お洒落して来る 君を待ちながら
ジャンヌ・ギャバンみたいに くわえ煙草をしてさ

そのシネ・ナントカに行こう
出会う前の二人に会えるなら
そのシネ・ナントカの前で
走って来る 君に両手広げ
ジャンヌ・レノンみたいに
派手に抱きしめるのさ

そのシネ・ナントカに行こう
そのシネ・ナントカに行けば

(マルカートさんヘ)
2004




星の無い国 

5時のサイレンが埋め立て地のビルを揺らし
君は私服に着替える
昼の残りを映画館の隅で食べ
街は霧に包まれてゆく

星も見えない海で君は泳ぎ 遠い世界の波音を聞く
星も届かぬ部屋で君は眠り 行方知れずの弟を待つ

誰の誘いも首を振る 君はいつしか
仲間外れに されてゆく
20年が過ぎ変わらぬその美しさに
悪いが噂が広がる

星も見えない海に君は潜り 貝や魚とおしゃべりする
星も届かぬ森で君は唄い 行方知らずの弟を呼ぶ

星も見えない夜に僕と行こう
ずっと君を見つめていたんだ
星の輝く国へ 今夜行こう
決して秘密を言わないから

星も見えない夜に僕と行こう
ずっと君を見つめていたんだ
星の輝く国へ 今夜行こう
決して秘密を言わないから

(林矢子さんへ)
2006





僕のバス 

鳶色の闇を裂いて
僕の漕ぐバスは走る
水色に白のライン
エンジンはミツビシ製だぜ

行く先のプレートには
「B団地」と書かれている
乗客は誰もいない
それは僕が止まらないから

子供が手を振る
駆け出し叫んでる
いたちが飛び出す
危うく引きそうさ

このごろは冷たいんじゃない
電話にも居留守ばかり
海へでも行けばいいの?
それじゃまず君のおうちだよ

制服はダブダブだ
角帽子破けている
邪魔者は誰もいない
なぜなら僕が盗んだから

都バスを追い越す
疲れた人たちが
ひしめきあってる
クラクション鳴らすよ
パッパー パーカ  パーパー

君が車掌さんになっておくれ

老婆が横切る
慌てて急ブレーキ
免許はないから
安全運転だ

子供が手を振る
追いつきドア叩く
乗せてもいいけど
大人料金だよ

(casaへ)
2010





「鷹匠」 


よく来たねと 頬に乾いた手をあて
星のあたる部屋へ 導かれてゆく ロロ・・・

息を吸って 吸って 吸って
同じ痛みに 満たされたい
息を 吐いて 吐いて吐いて
会えぬ名前 響かせたい 森の中ヘ

もう来るなと 朝の言葉は冷たく
懐かしい腕から 突き放されてく ロロ・・・
あなたの肩に ずっとつかまり
同じ罪と 闘いたい

嘘を吐いて 吐いて 吐いて
呼べぬ名前 抱いて眠る 闇の中で

あなたの肩を 強く蹴って 
遠い空へ 飛んで行こう
息を吸って 吸って 吐いて
喉を枯らし いつか呼ぶよ
その名前

天が怒り 街に撃たれ
羽を折られ 地に落ちても

遠い笛を 低い声を
風を頼り いつか戻る
腕の中へ

(古賀夕紀子さんへ)
2007





秋が似合う人

 
秋に帰る人だと
初めから気づいていたのに

日焼け一つない肌を
長い袖のワンピースで隠して

君が膨らませたビーチボールが
水のないプールでしぼんでいる

テレビ付けない約束を
何度も君は破った

メイク片目忘れて
笑い転げたレストランも店閉まい

僕が膨らませたビーチボードは
いまも夢の浅瀬で溺れている

ふたり 飛ばしあった嘘のシヤボンが
いつか破裂しそうで触れなかった

日焼け止めの香りと塩辛い風

秋に帰る人だと
初めから気づいていたのに


(神谷きよみさんへ)
2008





双子どうし 

ヨーヘン  君の夢の中に
ヨーヘン  いつか僕は閉じ込めれた

南半球の海へ向かう道を
凄いスピードで 自転車に乗って
回した手が少し苦しい

ヨーヘン 君の時の中に
ヨーヘン いつか僕は閉じ込められた

影一つもない白い部屋の中で
君と抱き合って転がり回って
いつか足がつながっていた 一つに

世界が嫌いな君と
君しか見えない僕と
いびつな心を合わせて歩いてけるかな


ヨーヘン 君の白いお腹に
ヨーヘン耳を当てて出口探した

熱い雨が降るバスルームのなかで
君と抱き合って転がり回って
いつか足がつながっていた 一つに

未来が嫌いな君と  君しか知らない僕と
いびつな心を合わせて歩いてけるかな

そんな風に意地悪に そんな風に笑うのかい
いつか君は僕になっていた

そんな風に恥ずかしく そんな風に怒るのかい
誰か体 切り離してくれないか

(神谷きよみさんへ)
1988





雪の銀貨

君の町を 通り抜け バスは郊外へ
今日だけ雪を望む ゲンキンな群れ

踏み絵のような日々に 君は疲れた
夏の幻 探す 夜が始まる 始まった

全て失って 裸になれば
許してくれたのか君は 
闇空に白い銀貨

君の町に 戻って 光る広場へ
贈り物を抱えた 幸せな群れ

君の寂しい指や 薄い耳たぶ
飾る幻を見る 夜は優しく 優しく

全て脱ぎ捨てて 裸足で行けば
迎えてくれたのか君は
手のひらで溶ける銀貨

星なら弾け散るほどに
長く生き過ぎた

全て失って 裸になれば
許してくれるのか神は 
打ち鳴らせ鐘の音 
 
今落ちていく
今落ちていく


(kayokoさんへ)
2007





デッサン

もうじき眠りのない朝が降りてくる
便りをあきらめて画面を消し去る
人波に押されて窓の近くへ
君の部屋の辺り 遠く霞んでる

水彩画で出来た風景
黒いペンキを撒き散らす僕に
なぜ君は抱かれたの
ひとこともしゃべらずに

文字を交わすよりも声に触れたい
今夜も風まかせ酒に潜りこむ
虹を初めて見た 夏のベランダ
苦手なこの街が好きになってゆく

まっ白な君のドア
黒いスプレー書きなぐる僕を
なぜ君は許したの
ひとことも笑わずに

似ていない君のデッサン
コピー用紙にボールペンで書いた
なぜ君は抱かれたの
ため息もつかないで

(スエヒロカズヒロくんへ)
2010 






女性の文字盤 

火曜日のマドンナは 九時半に僕の前で
伝票とメモを渡し
経理番の指先が 震えるのを見つめる

白銀の ブラウスの 聳え立つ頂きから
崖に咲く植物の 甘い蜜の匂い
何故僕なのか

女性の文字盤の上で 僕の秒針は
うつむき 折れ曲がったままで
ただ廻ったまま 夜を嘆くだけ

月曜日マドンナは 九時半に体を折り
泣きながら部長へ詫びる
髪に隠れた横目が 僕を見て笑う

女性の文字盤の上で 僕の短針は
先へも後戻りも出来ず
ただ震えたまま 朝を待つだけ

女性の文字盤の上で 僕の半身は
前へも後ろへも動けず
まだ回ったまま 全て漏らすだけ


名前を呼んでも君は見えない
針は広げてもソコにはいない
手探りをしても君に触れない
数字を吐くほど君は悦ぶ


(植田慶介くんへ)
2008



三つ目の猫

町に冬が来て 
君は暖かな南の学校へ帰っていった

僕は厚着して
夕暮れ帰り道  白い息を電灯にかざして

もう一度会わなくちゃ  三つ目の猫に
大学の跡地にいたんだ

早く見つけなくちゃ   三つ目の猫を
病気のあの子に 会わせたい

誰に話しても信じてくれないんだ
似顔絵を町じゅうに張ったよ

君はまぶしい絵葉書くれるけど
電話に代わってはくれない

もう一度会わなくちゃ 三つ目の猫を
工場のサイレンに消えたんだ
早く見つけなくちゃ  三つ目の猫を
三つめの瞳は何色?

見つめられたら  気を失って
目を覚ましたら 走れるようになってたんだ

もう一度会わなくちゃ 三つ目の猫に
団地で足跡を見たのに
早く見つけなくちゃ  三つ目の猫を
あの子の病気を治したい

もう一度会わなくちゃ 三つ目の猫に
土管に煮干を置いといたよ
早く見つけなくちゃ 三つ目の猫を        
元気なあの子に会いたい


(キッチンヘ)
2008





羊飼いのうた 


羊を数えて 幾晩が過ぎた
そろそろぐっすり眠りつきたい
おじいさん 早く会いたいな
いつもの話を聞かせてよ
聞かせてよ

もういいかい まだかな
もういいかい まだだよ

あの子が旅立ち 幾年が過ぎた
そろそろこちらの暮らしに疲れた
おかあさん みんな元気かな
自慢のプリンを作ってよ
作ってよ

もういいかい まだかな
もういいかい まだだよ

もういいかい まだかな
もういいかい まだだよ

羊を数えて幾年が過ぎた
そろそろゆっくり眠り果てたい


(千春さんへ)
2010







「パバーヌ」 

淡く頬染めた君の 
指先が滑り出す
拍手に応えた曲は 
逝ける時のパバーヌ

届いたチケットには
外国語の苗字が
眩しくてひとみ閉じる 
大きなホールの闇にもたれて

右の指が 奏でるほど  
蘇える細い痛み
二度と会わないでと  
なじりながらも抱かれた


いつか暮らし始めていた 
ピアノも置けない部屋で
僕の浅い夢信じて  
君は酒場で弾いた

うまく行かないとすぐに  
あたってばかりいたね
幸せに気付かないで  
嫉妬しているよ あの頃の僕に


左手が 奏でるほど  
蘇えるあの温もり
唄は捨てないでと 
寝言のように言ったね

立ち上がる拍手の中  
摺り抜けて夜の街へ
いつか亡くしたはずの 
遠い調べ 今 小さく強く

(ariさんへ)
1982




コム・デ・ギャルソン

キューティー キューティー
キュートな キュートな君に夢中だ

腕を組みトボトボと歩く君
背中越し泣いてるのがわかる
世界中を1人でしょいこんで
もげそうな羽を抱きしめる

赤茶色 猫っ毛の髪
フランスの少年みたいだ。

心に咲く蓮の花
甘い息薫らせて飛ばせ

瞳閉じて 叫びながら
ブリキのドラム叩けよ

留守番電話の奥 隠れて
月曜日 眠る君が見える
メッセージ送るから出ておいで
全て捨てるから海へ行こう

短い髪 青い胸
フランスの少年みたいだ。
そうだ 君は悪く無い
飛べない羊にされる前に

背中の声 振り向かずに
光に沿って進めよ

1人背中丸めて
ランチのまずいコーヒー飲んでる
窓の外流れてく
黒い小さな沢山の風船

その一つが 俺だっても
ライフルを打ち続けろよ

(伊澤 啓太郎くんへ)

1986

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