写真はK2 MISSCONDUCT(ミスコンダクト:2014-2015 モデル)のトップシート。mia嬢所有。
K2スキーのファクトリーモデルデザインはいつもカッコイイです。
サテSGLT2阻害薬に関して、このところ思うところがあったので、講演会や何らかの発表の機会を頂いた際には必ず注意喚起を申し上げているのですが、そうそう多くの方がいらっしゃる場ではないので、ここはひとつ書くことにします。
まずは正式なJDS(Japan Diabetes Society:日本糖尿病学会)のRecommendationから転載(2014年8月29日version)
1:インスリンやSU 薬等インスリン分泌促進薬と併用する場合には、低血糖に十分留意して、それらの用量を減じる(方法については下記参照:略)。インスリンとの併用は治験で安全性が検討されていないことから特に注意が必要である。患者にも低血糖に関する教育を十分行うこと。
2:高齢者への投与は、慎重に適応を考えたうえで開始する。発売から3ヶ月間に65歳以上の患者に投与する場合には、全例登録すること。
3:脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じること。利尿薬との併用は推奨されない。
4:発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には必ず休薬する。
5:本剤投与後、薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合には速やかに投与を中止し、皮膚科にコンサルテーションすること。また、必ず副作用報告を行うこと。
6:尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努めること。問診では質問紙の活用も推奨される。発見時には、泌尿器科、婦人科にコンサルテーションすること。
7:原則として、本剤は当面他に2剤程度までの併用が推奨される。
以上です。
もちろんその通り。この勧告がなければ有害事象は増えたことでしょう。
ただ順番をそろそろ変えた方がいいと思うのです。あと文言も少々。
とにかくリコメンデーションと云うものは、明確ではっきり警告の意思が伝わらないといけない。流し読みする方にも“引っ掛かり”を感じさせないといけない。
そういう意味では並べ方がフラット過ぎると思うのです。もちろん日本糖尿病学会の「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」の先生方の苦労は非常に分かりますし、異議をとなえるつもりは全くありません。
DPP-4阻害薬とSU剤での苦い遷延性低血糖の経験(思わぬ相乗作用)、GLP-1アナログ発売時の、まさかそんな事をする筈がないと思われたインスリン分泌不全の方に対するインスリンからの切り替えによる高血糖からのDKA(Diabetic ketoacidosis:ケトアシドーシス)発症の経験など、同じことが起こらないように何とか適正に使用してもらうようにと考えられたものですからよく練られたものだと思います。
ただ、いろんなケースを見聞きして、そろそろもう一度リコメンドをしなおした方がいいなと思う箇所があるので以下に少し提案をさせて頂きたいと思います。
まず順番。生命に危機の及ぶ順番の方がいい。特にこのクラスに特有な今まで余り経験しなかった、しかし簡単に起こりうるものから並べた方がいいと思います。なので、少々文面も変えて(推奨されない→禁止・不可など。禁忌とするとややこしくなりますので)単純化したいと思います。
私案Recommendation(飽くまでJDSのRecommendationが正式です。これは単なる末梢専門医からの提案ですので)
1:脱水防止、利尿薬との併用は不可。特に注意が必要なステント留置者などCVイベント既往の場合は原則不可。
2:発熱・下痢・嘔吐・食事摂取低下などのシックデイには必ず休薬。
3:インスリン・SU 薬・グリニドと併用する場合は低血糖に注意し、ビグアナイド剤と併用する場合は本剤の利尿作用から惹起される脱水由来の乳酸アシドーシスに注意。
4:尿糖排泄による尿路感染・性器感染が女性に多く認められ、閉経期を過ぎている場合は特に留意する。また男性の亀頭包皮炎と包茎の関連性が認められる報告がある。
5:予想されていなかった副作用の一つとして皮疹があることを念頭に置くこと。
6:上記すべてに加えて、高齢者への投与は、無自覚性低血糖や無自覚性脱水が多いことを考慮し、やむを得ない場合とすること。
7:管理栄養士による栄養評価を可能な限り行うこと。筋肉量減少による体重低下が認められることがあるので運動指導を必ず行うこと。薬剤師による症状の聞き取りも毎回行うこと。
細かいことを云えば、良い適応となる肥満・若年~中年層でも、飲酒の機会があり単身赴任などで独居の方の場合は一考すべきでしょう。
要するに薬剤のメカニズムを理解し、基本的な糖尿病療養指導が出来ていれば問題無し。ということですが食事指導・運動指導・服薬指導を含め、フットチェックなど全てをこなすのは一回では困難です。
ですのでせめて初回処方の時に「利尿剤、特にARBとの合剤のチェック、メトホルミンと脱水の注意」だけでも相当有害事象は防げるのではないかと思います。もちろん医師のみではなく、その医療機関にかかわる看護師・薬剤師・管理栄養士の皆さんのSGLT2阻害薬に対する知識と協力は必須です。
また院外処方を扱う薬局さんもどんどん疑義照会を出せばいい。
あとはヘマトクリットの上昇、血清クレアチニン上昇などありますが、具体的数値も必要でしょう。
ヘマトクリットは上昇の度合いも問題ですが、元の値にも注意を払う必要があると思います(男性48.0%、女性45%前後か?)
もちろん重症低血糖は最も気をつけなければいけない作用の一つですが、やはり生命リスクへ直結する乳酸アシドーシスや脱水をメインに据えたリコメンデーションの方がいいかな?と思います。
長期処方解禁前の5月までにもう一度、再々度のリコメンデーションをメトホルミンとのリコメンデーション(2014年3月28日)と抱き合わせたもので出して頂ければなあ。
K2スキーのファクトリーモデルデザインはいつもカッコイイです。
サテSGLT2阻害薬に関して、このところ思うところがあったので、講演会や何らかの発表の機会を頂いた際には必ず注意喚起を申し上げているのですが、そうそう多くの方がいらっしゃる場ではないので、ここはひとつ書くことにします。
まずは正式なJDS(Japan Diabetes Society:日本糖尿病学会)のRecommendationから転載(2014年8月29日version)
1:インスリンやSU 薬等インスリン分泌促進薬と併用する場合には、低血糖に十分留意して、それらの用量を減じる(方法については下記参照:略)。インスリンとの併用は治験で安全性が検討されていないことから特に注意が必要である。患者にも低血糖に関する教育を十分行うこと。
2:高齢者への投与は、慎重に適応を考えたうえで開始する。発売から3ヶ月間に65歳以上の患者に投与する場合には、全例登録すること。
3:脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じること。利尿薬との併用は推奨されない。
4:発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には必ず休薬する。
5:本剤投与後、薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合には速やかに投与を中止し、皮膚科にコンサルテーションすること。また、必ず副作用報告を行うこと。
6:尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努めること。問診では質問紙の活用も推奨される。発見時には、泌尿器科、婦人科にコンサルテーションすること。
7:原則として、本剤は当面他に2剤程度までの併用が推奨される。
以上です。
もちろんその通り。この勧告がなければ有害事象は増えたことでしょう。
ただ順番をそろそろ変えた方がいいと思うのです。あと文言も少々。
とにかくリコメンデーションと云うものは、明確ではっきり警告の意思が伝わらないといけない。流し読みする方にも“引っ掛かり”を感じさせないといけない。
そういう意味では並べ方がフラット過ぎると思うのです。もちろん日本糖尿病学会の「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」の先生方の苦労は非常に分かりますし、異議をとなえるつもりは全くありません。
DPP-4阻害薬とSU剤での苦い遷延性低血糖の経験(思わぬ相乗作用)、GLP-1アナログ発売時の、まさかそんな事をする筈がないと思われたインスリン分泌不全の方に対するインスリンからの切り替えによる高血糖からのDKA(Diabetic ketoacidosis:ケトアシドーシス)発症の経験など、同じことが起こらないように何とか適正に使用してもらうようにと考えられたものですからよく練られたものだと思います。
ただ、いろんなケースを見聞きして、そろそろもう一度リコメンドをしなおした方がいいなと思う箇所があるので以下に少し提案をさせて頂きたいと思います。
まず順番。生命に危機の及ぶ順番の方がいい。特にこのクラスに特有な今まで余り経験しなかった、しかし簡単に起こりうるものから並べた方がいいと思います。なので、少々文面も変えて(推奨されない→禁止・不可など。禁忌とするとややこしくなりますので)単純化したいと思います。
私案Recommendation(飽くまでJDSのRecommendationが正式です。これは単なる末梢専門医からの提案ですので)
1:脱水防止、利尿薬との併用は不可。特に注意が必要なステント留置者などCVイベント既往の場合は原則不可。
2:発熱・下痢・嘔吐・食事摂取低下などのシックデイには必ず休薬。
3:インスリン・SU 薬・グリニドと併用する場合は低血糖に注意し、ビグアナイド剤と併用する場合は本剤の利尿作用から惹起される脱水由来の乳酸アシドーシスに注意。
4:尿糖排泄による尿路感染・性器感染が女性に多く認められ、閉経期を過ぎている場合は特に留意する。また男性の亀頭包皮炎と包茎の関連性が認められる報告がある。
5:予想されていなかった副作用の一つとして皮疹があることを念頭に置くこと。
6:上記すべてに加えて、高齢者への投与は、無自覚性低血糖や無自覚性脱水が多いことを考慮し、やむを得ない場合とすること。
7:管理栄養士による栄養評価を可能な限り行うこと。筋肉量減少による体重低下が認められることがあるので運動指導を必ず行うこと。薬剤師による症状の聞き取りも毎回行うこと。
細かいことを云えば、良い適応となる肥満・若年~中年層でも、飲酒の機会があり単身赴任などで独居の方の場合は一考すべきでしょう。
要するに薬剤のメカニズムを理解し、基本的な糖尿病療養指導が出来ていれば問題無し。ということですが食事指導・運動指導・服薬指導を含め、フットチェックなど全てをこなすのは一回では困難です。
ですのでせめて初回処方の時に「利尿剤、特にARBとの合剤のチェック、メトホルミンと脱水の注意」だけでも相当有害事象は防げるのではないかと思います。もちろん医師のみではなく、その医療機関にかかわる看護師・薬剤師・管理栄養士の皆さんのSGLT2阻害薬に対する知識と協力は必須です。
また院外処方を扱う薬局さんもどんどん疑義照会を出せばいい。
あとはヘマトクリットの上昇、血清クレアチニン上昇などありますが、具体的数値も必要でしょう。
ヘマトクリットは上昇の度合いも問題ですが、元の値にも注意を払う必要があると思います(男性48.0%、女性45%前後か?)
もちろん重症低血糖は最も気をつけなければいけない作用の一つですが、やはり生命リスクへ直結する乳酸アシドーシスや脱水をメインに据えたリコメンデーションの方がいいかな?と思います。
長期処方解禁前の5月までにもう一度、再々度のリコメンデーションをメトホルミンとのリコメンデーション(2014年3月28日)と抱き合わせたもので出して頂ければなあ。