答えは身体が知っている

セラピスト兼アスレティックトレーナーが自分の好きな事や日々感じた事を書く、息抜きブログ

速く走るには トップスプリンターの条件

2009-10-30 12:28:45 | 陸上競技

前回、伊藤章大阪大学体育学部教授・同陸上競技部部長の研究結果と、
川本和久福島大学陸上競技部監督の重要視するポイントの一つから、
短距離を速く走るためには
 ・接地している支持脚の膝の角度を変えない、キック時に膝を伸ばしきらない
 ・骨盤は立てて、前傾させ過ぎない
という2点が重要なことが提示されることを紹介しました。          ※1

ところで、私は、この2点については、
世界陸上第2日(8/16)の感想とスプリント技術について』の後半部分で
指摘していました。

>9秒台の世界でより速く走るポイントは、
>以前のエントリーでは、地面を離れる際の足首が伸び切らないことをあげましたが、
>同時に膝が伸び切らないことも加える必要があります。
>さらに、膝はもっとも後方にある時でも、
>骨盤の直下より後ろにいったら直ちに前に運ばれなければいけません。

もちろん、キックで「膝を伸ばし切らない」ということ、
「足首を伸ばし切らない」というポイントについては、
伊藤章氏はじめ日本陸上競技連盟のバイオメカニクス班による
研究結果の発表(1990年代前半)を参考にしています。
しかし、足首については大学時代(1979~1983)に山西哲郎先生によって、
膝についてもカール・ルイスの出現によって気付かされていました。      ※2

骨盤については、直接「立てること」とは書いていませんが、
上の引用文で「(膝を)骨盤の直下より後ろにいったら直ちに前に運」ぶという理由は、
膝は骨盤に対してあまり後ろに行けるほど可動域が大きくないので、
膝が後ろに行き過ぎると骨盤が大腿骨に引っぱられて前傾してしまうから
です。
それを避けて骨盤を立てておく事を、大事なポイントとして意識していますので、
川本氏の発言に共鳴したわけです。

 ボルト09ベルリン100m中間  ボルト09ベルリン100m終盤  ボルト09ベルリン200m直線

左の2枚の写真は、今年の世界陸上ベルリン100m決勝のボルトの写真です。
左の写真では、右脚が地面を離れる瞬間にも
膝が伸び切っていない
事を表しています。
右膝は最も後ろにある瞬間でも、
骨盤が前傾し過ぎない程度にしか後ろにいっておらず

上体が真っ直ぐに起きています。
また、左脚のももは高く上がっている事も見て取れます。

真ん中の写真では、地面を蹴った左脚が
素早く身体の下に引きつけられている
様子を写しています。
また、接地に向かう右脚の足首を視ると、
直角に近い角度で下りてきている
事がわかります。
また、骨盤から頭までがほぼ垂直に真っ直ぐ立っている事、
骨盤が前傾しておらず従って腰が反っていない事も注目されます。

右の写真は、同じく世界陸上ベルリンでの写真ですが、
これだけは200m決勝の直線に入ってからのものです。
ここで、驚くべきは右脚が接地直前だというのに
左脚の膝がすでに身体の真下から前方に引き出されつつある
事です。
しかも、左膝は深くたたまれ、
左足の踵は(お尻よりも下方の)左脚ハムストリングの付け根付近に
位置しています

接地の時点では、左膝は骨盤の前にまで移動し、
左膝は伸び始めているでしょう。
(真ん中の写真、1レーンの選手の接地直後の姿と比較して下さい。)
このことが、接地時間の短縮、右脚キック時の左膝の高い前方への突き出しを
可能にする
のだと思われます。

前掲の『世界陸上第2日(8/16)の感想とスプリント技術について』で

>この接地する側の脚と、身体の前に運ばれてくる反対の脚の膝とが
>身体の重心のラインよりも前で交差するのが、
>動きのタイミングとしては良いのです。

とか、
全速力と全力は違う! 世界陸上ベルリン2009』の注(※2)で
「脚を身体の前で捌く」とか書いたのは、こういう動きの事だったのです。

こうした世界トップスプリンターの傾向はカール・ルイス以来続いています


※1 短距離を速く走るための2つのポイント

伊藤章氏は、「速く走るために、腿を高く上げる必要はない」
という意味のポイントも上げていたが、
速く走るにはももを高く上げる方が有利であるという私の個人的な見解から、
本文ではポイントからは外した。


※2 山西先生とカール・ルイス

陸上競技人 山西哲郎先生 3(恩師 山西哲郎先生 その6)』を参照されたい。


(この記事は、私の別ブログ『感覚派アスレティックトレーナー 身体と会話する日々』の2009年10月14日の記事を転載したものです。)

『絶対、足が速くなる!』に触発されて書きました

2009-10-30 12:16:47 | 陸上競技

先日本屋で、『絶対、足が速くなる!』(日刊スポーツ出版社)という本を見つけ、
少し立ち読みしました。

この本では、
伊藤章氏(大阪大学体育学部教授・同大学陸上競技部部長)へのインタビューで  ※1
世界一流の短距離走者の走動作の特徴が、
川本和久氏(福島大学人間発達文化学類教授・同大学陸上競技部監督)への    ※2
インタビューでは具体的な技術論とコーチ法が語られています。
この二人のお話の内容自体は、私には目新しいことはなかったのですが、
重要なポイントが語られているので、
速くなりたい・誰かを速くして上げたいけど
どんな技術が必要なのか詳しくない方は必見でしょう


その他にレッシュ・トレーニングとかを提唱している広戸聡一氏や
プロトライアスロンコーチの青山剛氏が載っていたんですが、            ※3
読む気がしなかったので読みませんでした。
その他にも、高野進氏や伊東浩司氏、
その他幾人かが取り上げられていました。(読んでません。)

上であげた本で、伊藤章氏はバイオメカニクス的な研究の結果から、
腿(膝)を上げる高さと疾走スピードとの間には、相関関係がない。」
(速く走るには腿を高く上げなくてはいけないというのは間違い。)という点と
速い選手ほどキック時に支持脚の膝が伸びるスピードは低い。」
(速い選手は、接地している支持脚の膝の角度を変えない=膝を伸ばさない)という点の
2つのことを強調してました。

このうち、膝を高く上げることは速く走るためには必要がないという分析結果が、
短距離の基本トレーニングである「ももあげ」ドリル否定へとつながりました。
私は、これには二つの誤解があると思っています
一つは、「ももあげ」(マック式ドリル)は腿を高く上げることが目的ではなく、
片方の腿を引き上げることを意識することで
もう一方の脚が地面を押す力を強くすることが目的であるということです。
目的と言ったら言い過ぎかもしれませんが、
ももあげによって支持脚の地面を押す力や感覚が高まる効果があるというメリットを
ももあげを語る上で考える必要があると思います。
ですから、「ももあげ」ドリルは、今も効果的なトレーニングとして
取り入れる価値があると思います。                        ※4

もう一つの誤解とは、
速く走るためにはももが高く上がらなくても良いということではなくて、
最低限ある程度はももが高く上がっていることは条件になっている

と思うということです。

それは、長距離走の記録と最大酸素摂取量の関係に似ているのだと思います。
遅いランナーと一流ランナーとでは、最大酸素摂取量に差があります
しかし、一流ランナー同士を比べると、
最大酸素摂取量が高い順に速いというわけではありません。
一流ランナーの間では、皆ある水準以上の最大酸素摂取量を誇るが、
記録や勝敗を分けるのはその他の要素にかかっているということです。
(ケニア人トップランナーと日本人トップランナーの間でも
最大酸素摂取量に差はありません。)

スプリンターにとっての腿も、高ければ高いほど良いというわけではないが、
ある程度以上は高い方が有利であるとは言えると思います。
特に近年の高速化には、後半でも腿が高く上がることが貢献していると思います。
ウサイン・ボルト、タイソン・ゲイ、アサファ・パウエルのフォームを見ると
そのように感じられます。


川本和久氏は、伊藤氏にはない視点を持っています。
それは、骨盤や体幹のことです。
川本氏は、骨盤を立てることが重要と考えています
そして、骨盤を前傾させ過ぎてもいけないとしています。
この視点には私は大いに共鳴しています。


※1 伊藤章

陸上競技短距離走の疾走動作を科学的手法(バイオメカニクス)で研究している。
この分野では、日本の第一人者の一人であろう。


※2 川本和久

福島大学陸上部の監督として、数々の優秀な短距離選手を育てた。
教え子の中から女子の100m、200m、400m、400mハードル、
走り幅跳びの日本新記録を樹立した選手や、
世界陸上競技選手権やオリンピック代表選手を輩出している。
2006年3月から、ナチュリルアスリートクラブの監督を兼任している。


※3 広戸聡一氏と青山剛氏の記事は読む気がしなかった

広戸氏の○○タイプ、△△タイプとかいうのは、
ちょっとどうかな?と思う。
私には賛成できない。
青山剛氏は、ランニングコーチとして紹介されていたが、
本来トライアスロンコーチであり短距離走は専門ではないはず。
長距離走が速いことを「あしが速い」と表現することには違和感があり、
この本で青山氏を取り上げることは意味がないと思う。
写真でランニングフォームを見たが、
(長距離ランナーとしても)あまり感心しなかったので
やはり記事は読まなかった。


※4 「ももあげ」ドリルは、今もやる価値がある

私が大会トレーナーの一員として加わった
世界室内陸上競技選手権前橋大会(1999)や世界陸上競技選手権大阪大会(2007)では、
世界中のスプリンター達のウォーミングアップやトレーニングを見たが、
両大会で多くのスプリンターが「ももあげ」を行なっていた。
トレーニングの目的や効果を、見える形からだけで判断すべきではないと言うことだろう。


(この記事は、私の別ブログ『感覚派アスレティックトレーナー 身体と会話する日々』の2009年9月21日の記事を転載したものです。)

ら抜き言葉 言語感覚

2009-10-28 21:55:08 | 日本語/日本の言葉

ら抜き言葉」です。
これを嫌うのは、古いのでしょうか?

先日、中華食堂で新聞を読んでいたら、
ら抜き言葉」を日本語の乱れと考える人が減り、
日本語の変化と考える人が特に若い人に増えたと書いてありました。
私は、「ら抜き言葉」については、
乱れというよりも「言語感覚が狂った」のだと考えます。
美しい言葉遣いと美しくない言葉づかいの違いが感じ取れない
それでも自分は日本人ですという人が増えたということです。

国語学者?(言語学者?)と言う人が
「昔から、日本語は常に変化してきた。」と
ら抜き言葉を容認するかのように発言することがあります。
金田一秀穂氏などがそうです。
こういう人達は、日本語が変化するのに、
つまり多くの日本人に浸透し一般化するのに、
どのくらいの年月がかかったのか
を問題にしていません。

戦国時代までは字が書ける人は全人口のほんの一部であったはずです。
平安~鎌倉時代なら文章を書く人間はごく少数で、
その中での日本語の変化は比較的短期間で可能だったかもしれませんが、
日本人の話し言葉に与える影響など無いに等しかったのではないでしょうか
江戸時代には、江戸や京大阪などの大都市なら、
庶民の中にも文字を読み書きできるものが増え、物資や人の移動が活発になり、
話し言葉などの伝わる速度も増したでしょうが、
それが日本の隅々までに浸透するにはそうとうに時間がかかる上に、
そこで新しい言い方が受け入れられ一般化するのは
そんな簡単なことではなかった
と思います。

現在は、テレビにより全国に素早く(ほとんど同時)に、
しかも繰り返し繰り返し「間違った言い方」でも伝わってしまいます

そして、テレビの影響力の大きさによって、                 ※1
その「間違った言い方」を「変だ」「うつくしくない」「気持ちが悪い」と感じない、
真っ当な言語感覚を持たない人に真似されていった

それが何年も正されずに続いたあげくに
現在のように(特にテレビで)ら抜き言葉が蔓延し、
若者が違和感を感じないという状態に至ったのだと思います。
そんなeasyな変化を簡単には「日本語の変化」として認めていられません。

特に途中からら抜き言葉を使い始めた連中は、                ※2
変えることの意味を何も考えていないでしょうし、
何よりも「今話されている日本語」の美しさ・醜さを
感じられないのでしょうから、
そんな連中に与して日本語を変えてしまうわけにはいきません。

大事なのは、日本語の語感であり、
うつくしいとか親しめるかとかだと思います


私の田舎だけでしょうか?
可能の助動詞「○○られる」の否定形「○○られない」の
「れ」のかわりに「」を使って「○○ない」と
ざっくばらんな、くだけた言い方をすることがあります。           
例えば、「このジーパン縮んじゃって、もう着らないよ。」とか
「一昨日焼いたパン、もう食べらないかな?」とか。
これを「着れる」「食べれる」といったら抜き言葉では、
どう言えるでしょうか?
「着れんない」?「着んない」?? 「食べれんない」??「食べんない」???
無理です!
他の地方はどうだか知りませんが、
こうした「られる」の「れ」の代わりに「ん」を使う言い方は、
れっきとした言語文化であり、ら抜き言葉では成立しません。

この可能を表す「られる」に対し、同じく「れる」を使う場合があり、
「ら」を入れるべきかどうか迷うことがあります。
この場合も、「○○らんない」という言い方ができず、
「○○れない」と言うしかなければ
れる」を使うケースだと思います。                   ※3
例えば、「回れる」 「しゃべれる」「蹴れる」などはら抜き言葉ではありません。
それぞれの否定形は「回れない」「しゃべれない」「蹴れない」であって
「回らんない」「しゃべらんない」「蹴らんない」とは言わないからです。

ちなみに「蹴られる/蹴られない」と言う言い方をすることができますが、
これは「可能」ではなく「受身」を表す時は「られる」を付けるからです。
可能を表す時は「蹴れる」で、受身を表す時は「蹴られる」になるので、
すこし紛らわしいかもしれません。

正しく美しい日本語を使おうとすると、
ちょっと難しく、紛らわしく、面倒臭いこともあります。
私も、小学生の時から何が正しいのか散々悩み考えさせられました。
しかし、苦労して自分なりに日本語を取得したからこそ、
美しい日本語の表現というものを感じるようになったし、
そのことが自分の人生にプラスになっていると感じます。

間違った醜い言葉(ら抜き言葉など)を平気で使うことは、
自国語(日本語)について無知であることであり、
言葉に対して不誠実であることであり、
日本語の表現から美醜を感じ取れない言語感覚音痴であり、
正しく美しい日本語を使われている方々に対して無神経であると思います。
私は、大人になってもら抜き言葉を使う人からは、
知性も教養も感じることができません。
(テレビなどではスポーツ選手・関係者が
 平気で「ら抜き言葉」を使っているのを観ますが、
 スポーツ界にとっては不幸なことであると思います。)


※1 テレビの影響

「ら抜き言葉」を使う人は、昭和初期からいて、第二次世界大戦後に増えたという。
(『飯間浩明のことばのページ』 文学研究者と「ら抜き」
しかし、急増したのはテレビの影響であろう。
特に80年代頃から「ら抜き言葉」をテレビ出演者が使うことが
多くなったように感じる。


※2 途中からら抜き言葉を使い始めた連中

現在、ら抜き言葉を使っているのはこういう輩が大部分だと思うが、
方言で「ら抜き言葉」を使う地方もあるようだ。
当然、方言として使う分には、文句は無い。


※3 可能の助動詞のうち「られる」と「れる」をどう使い分けるか?

この判断法は、私が素人考えで思いついた方法である。
と、言うよりも、ざっくばらんな言い方として「○○らんない」という言い方が、
ら抜き言葉」ではなく正しい言い方でなければ不可能であることを考察したら、
ついでに出てきたアイディアである。
もっと、日本語に詳しい方が教えてくれる方法もある。

「ら抜き」チェック法 http://www.asahi-net.or.jp/~QM4H-IIM/k981112.htm
(『飯間浩明のことばのページ』より)


(この記事は、私の別ブログ『感覚派アスレティックトレーナー 身体と会話する日々』の2009年9月6日の記事を手直しして転載したものです。)

世界陸上選手権べルリン2009をちょっと振り返る

2009-10-28 21:51:07 | 陸上競技

前回、村上幸史選手について、
「メダルを狙うには実力差は大きい」とか
「過大な期待は持たない方がいいでしょう」とか書きましたが、
良い方向で読みが外れてしまいました。

村上選手は、日本人としては大きな身体を持ち、
すでに高校時代に75mオーバーの記録を出していて、
言わば『早熟』な選手で期待されていましたが、
その後11年間の投擲の多くは70m台に留まっていたので、
正直予選での投擲が決勝でも再現できるかが疑問でした。
それが、決勝でも一投だけとは言え予選とほぼ同じ記録が出せたと言う事実と、
メディアで伝えられたコメントを読むと
今季は身体的・技術的な向上が得られたということで、
むしろ『遅咲き』な要素もあったのかもしれません。
とにかく、銅メダルまでいったのは素晴らしい驚きであっても、
本人なりに自信をもって大会に臨むことができたらしいので、
今後さらに進化して行くことを願わずにはいられません。

投擲は奥が深く、30歳を過ぎてもわかってくることがあるそうですし、
ベテランが活躍するケースが多いので、
まだ29歳の村上選手はまだまだ高みを目指して競技できると思うので、
頑張って欲しいと思います。

前回載せたタイム・テーブルでは
女子マラソンのスタート時間を30分間違えてしまいました。
終盤での尾崎好美選手と中国・エチオピア選手との争いは、
女子実業団選手のマッサージ中でライブでは見られませんでしたが、
私は残り3kmくらいまでに20秒以上の差を広げないと危ないと予想したのですが、
ああいう悪い予想が当たるのはやはり悔しいです。

後で録画を見ましたが、
中国の白雪選手の走法が短距離的と近いスピードを上げやすいフォームで
ラスト1kmあまりのスパートはかなり速かったので、
やはりラスト勝負ではかなわないと感じました。
ただし、尾崎選手のラストの走りも世界的に見ても決して遅いものではなく、
むしろ速い方だったのではないかと思います。
相手のスパートが速すぎたのです。

白雪選手の中距離走のような、
脚の前への引き出し速い、身体の前で脚を捌くようなフォーム
は、
5000mや10000mでよく見るエチオピアやケニアなどのスピードランナーと
共通の特徴を持っているのであり、
長距離といえどもスピードを求めると
動きは短距離・中距離と近づいて行くことになる
のでしょう。         ※1
あの白雪選手のフォームではスピードの切り替え、
ハイスピードの維持には有利ですが、
走り込みすぎれば脚のケガも増えてくることが予想されます。
日本人長距離選手のトレーニングにおいても、
スピードと距離の関係が見直され、
新しい方法が確立されることが必要なのではないでしょうか?
野口みずき選手は、そうした先駆けであったと思いますが、
もっとスピードが求められるようになるような気がします)

尾崎好美選手が銀メダルを取ったことでよい影響が期待できることとして
一つ挙げておきたいことがあります。
それは、女子選手を女性指導者がここまで育てた
と言う実績を作れた
ことです。
日本では、女性アスリートも男性指導者が育ててきました。
実業団など日本ではトップレベルの選手育成の場で、
今まで女性指導者が出てこなかったことは
理由は様々あったのでしょうが残念なことだと思います。
しかし、今後は山下佐知子監督に続く女性指導者が
出現してくると良いと思っています

別に女性が男性を指導したって良いんですよ。

最後に触れておきたいのですが、
女子1500m決勝でイギリスのドブリスキー選手が2位に入りました。
前回注目選手として名前を挙げておいたのですが、
それが当たって気持ち良いのは確かです。
予選・準決勝の動きをみて、注目すべき好調な選手、
ラストに切れがある選手と見たのですが、
名前(実績)や持ちタイムのみで決め付けるのではなく、           ※2
予選などの決勝前のラウンドを見て、
その時点での好調者・実力者を見極めることが
陸上競技を観る上で大切で楽しい
ことなのです。
某テレビ局の放送による、
ペーパー情報ありき固定観念ガチガチの見方に左右されず、
自分独自の視点で観ること、そしてそんな観方が楽しめる放送を
求めていきたいと思っています。


※1 長距離といえどもスピードを求めると動きは短距離・中距離と近づいて行く

どうもマラソン・長距離の中継で解説者の中には、そうした認識がなく、
ペタペタと地面を這うようにハイピッチで走ることが良い
という考えがあるように思う。
ケニア勢やエチオピア勢、例えばゲブレセラシエの走法を観てもまだ
ストライド走法、ピッチ走法などと語っているのも、ナンセンスだと思う。
赤羽選手のフォームに関して、
骨盤を前傾させて云々という話が出てきたが、
中国勢を見るとわかるが、(今回の白雪選手をみるとわかりやすいが)
骨盤前傾などはまったく意識されているようには見えない。
金哲彦さんお得意の、コアを使ったフォームである。)
スピードが出やすい、しかもランニング効率の良いフォームの条件について
もっと議論をするべきである。


※2 注目選手を、名前(実績)や持ちタイムのみで決め付ける

事前の情報で注目点を絞って上げることは、
たくさんの選手の誰に目を向けたらいいのかが分かりやすくなる
と言う利点はある。
しかし、実力者や世界(五輪)チャンピオンと言えども、
人は常に良い状態でいるとは限らないから、
あまり競技前に決め付けて視野を狭くするのは良くない。


(この記事は、私の別ブログ『感覚派アスレティックトレーナー 身体と会話する日々』の2009年8月25日の記事を手直しして転載したものです。)

8/23(日)のタイム・テーブル 世界陸上競技選手権ベルリン2009

2009-10-28 21:47:18 | 陸上競技

昨日(8/22)のタイム・テーブルで、
男子4×100mリレー決勝の注目チームに
予選で失格していたアメリカを入れておいたのは失敗でした。
今日は、最終日なので、ミス無しで終わりたいのですが、
忙しくてスタートリストを確認している暇があるかどうか。


8月23日(日)午前の部

(トラック種目)     (フィールド種目)
日本時間                  
18:45 女子マラソン 決勝
  (日本選手:尾崎好美、藤永佳子、加納由理、赤羽有紀子
   すでにスタートしています。



8月23日(日)午後の部

(トラック種目)     (フィールド種目)
日本時間
              23:15 女子走幅跳 決勝
                 (注目選手:ゴメス、リース、ロシア勢)

              23:20 男子やり投 決勝
                 (注目選手:トルキルドセン、ラトビア勢、
                       フィンランド勢)
                 (日本選手:村上幸史)
  
23:25 男子5000m 決勝
   (注目選手:ベケレ、ケニア勢)

24:00 女子1500m 決勝
   (注目選手:ジャマル、ドブリスキー、ブルカ、ロドリゲス)
            
 0:25 男子800m 決勝
   (注目選手:カメル、ボルザコフスキー、ラルー、ケニア勢)

 0:50女子4×400mR 決勝
   (注目チーム:アメリカ、ジャマイカ、ロシア)

 1:15 男子4×400mR 決勝
   (注目チーム:アメリカ、フランス、イギリス)

 ーーー競技終了ーーーーーーーーーーーーーーー

男子やり投げの村上選手について。
やり投げは風向きに大変影響され、
本人にもわからないラッキーな投擲が生まれる要素があります。
村上選手が予選に近い記録で投げられるよう祈りましょう。
しかし、メダルを狙うには実力差は大きいので、
過大な期待は持たない方がいいでしょう。


(この記事は、私の別ブログ『感覚派アスレティックトレーナー 身体と会話する日々』の2009年8月23日の記事を手直しして転載したものです。)