答えは身体が知っている

セラピスト兼アスレティックトレーナーが自分の好きな事や日々感じた事を書く、息抜きブログ

世界陸上北京 男女100mを終えて

2015-08-25 22:50:02 | 陸上競技
男女の100m決勝を観て、
「自分の技術課題に集中し、自分の最善の走り徹した選手が強かった」という
当たり前のことを再確認させられた。

男子のウサイン・ボルトと女子のシェリー-アン・フレイザー-プライス,
この二人は、決勝で自分の最善の走りに集中していて、
他の選手に惑わされない完璧なレースをした。
女子の2位に入った、オランダのD・シパーズの走りも見事だった。

男子のジャスティン・ガトリンは、70m過ぎくらいまでは完璧だったが、
残りの距離ではボルトを意識してフォームを乱してしまった。
特に残り5~6歩の所から体を前に倒しすぎて、
残り6~5歩では前に倒しすぎた体のバランスをとるために
右腕を前に引き出せずに上に挙げてしまっている。
残り4~3歩でもやはり右腕はうわずっている。
VTRで確認できる。
体を前に倒しすぎたことにより骨盤も前に倒れ過ぎ、
後方で離地した脚を前方に出すタイミングが遅れて、
ピッチが遅くなってしまった。
加速から中盤そしてトップスピードに上げるまでは、
ガトリンのピッチはボルトよりも明らかに速い。
それが、残り10mではほぼボルトくらいのピッチに落ちている。
これが、ボルトに破れた原因であろう。

準決勝でボルトがスタート直後にバランスを崩し(3~4歩目くらい)、
9秒96とタイムが伸びなかったことが影響しているのかもしれない。
ボルトは、準決勝の失敗やガトリンが好タイムを出していたことに動揺せず、
決勝ではスタートから加速を(現時点では)完璧といえる出来で走った。
一方、予選、準決勝と他のものを寄せ付けない圧倒的な走りで
好調なことを確信したであろうガトリンは、
決勝レースでスタートから完璧な加速をしたのにボルトがほぼ横並びなのに気付いたことで、
焦り(力み)が出て来たてしままったのではないだろうか?
そのまま自分のレースを完璧にやり遂げることに集中していれば、
ガトリン勝てたのではないだろうか?
しかし、”あの”ボルトが自分に迫っていることに気付いた時、
自分を信じきれず前に行きたい気持ちが上体の過剰な前傾につながってしまった。
と考える。


ところで、今大会の100m、400mレースで、
世界のトップをうかがう合うプリンター達のレベルが
上がっていることを強く感じる。
日本人のスプリンターは、そのレベルアップしている勢力に入っていない。
走りを見ても、後方で膝が伸び切り脚が後に行き過ぎている。
そのためにで骨盤が下方で大腿に後に引っ張られて前傾し、
それがまた脚が後方に流れることにつながっているし、
ピッチを上げられない(終盤ピッチを落とす)ことにつながっている。
男子決勝に残った中国の蘇 炳添は、
脚を後方に流さず体の前方~下方で捌き、
骨盤も前傾させられず体幹が動揺すること無くしっかりと安定し、
ピッチも大きく落とさずに最後まで走り切っていた(特に準決勝)。
予選では日本の高瀬慧選手が隣を走っていたので、
その違いがハッキリと見て取れる。

世界トップスプリント技術のポイントはわかっているのだから、
はやくそれを体現できる選手を(いやそうした選手を生む指導を)
日本でも見てみたいものである。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿