いまさら韓ドラ!

韓国ドラマの感想をネタバレしながら書いています。旧作メイン

キャラクター 【日本映画】

2024年01月03日 | 無韓系日記


【あらすじ】

画力は十分なのに、魅力的なキャラクターを創れないという理由でいつまでも1本立ちできない主人公、山城圭吾は、
これが最後、と敏腕編集者のもとに持ち込みをするが、あえなく玉砕。アシスタント業も辞めて新しい職を探し、妻を養うつもりでいた。
ところが、漫画の資料用に「見るからに幸せそうな家族が住む家」の外観を探してくるように言われ、
真夜中のスケッチに出かけた折、殺人事件の現場に足を踏み入れてしまう。
「見るからに幸せそうな家族が住む家」のなかで、4人家族が血まみれで殺されていたのだ。
山城は、現場から立ち去る犯人を目撃した。だが、彼は警察に情報を与えない。
そして、筆を折る決意を翻し、凄惨な殺人事件をテーマにした漫画を描き始めるのだった。

一家殺害事件の犯人は過去に同様の事件を起こした男と断定され、逮捕起訴された。
逮捕された男、辺見の姿をテレビ報道で見た山城は「違う」とひとことつぶやくと、
自身の作品のなかに真犯人の顔を描いた。

山城の新作は当たった。
幸せな4人家族を無残に殺す猟奇殺人事件を負う3人の男を主人公にした物語「34(さんじゅうし)」は大ヒットし、
山城は妻とともに豪奢なマンションに住む。
彼はこだわっていたアナログ作画を捨て、デジタルを駆使してひとりで作品を描くようになっていた。妻、夏美は妊娠している。
順風満帆に見えた山城の生活に破滅の兆しが見えたのは、「34」のなかで起こった殺人事件が現実のものとなったときだった。

作中の事件に酷似したドライブ中の一家殺人事件を追うのは、ふたりの刑事だ。
なかでも清田は、前段の一家殺人事件で辺見の自供に納得がいかないまま上層部の命令に従って事件を終息させたことが気になっている。
生来漫画好きの清田は、山城の作品をしっかり読み込んでいた。
そして、山城の作品に描かれたものと同じ場所から、犯人が使った凶器を見つけ出した。

清田は山城がなにかを隠していることを感じて接触を試みるが、山城の態度は頑なだ。
「なんでもいいから思い出したら連絡して」と名刺を渡す清田。ところが、彼が電話に出るため席を外した短い間に、真犯人が山城に話しかける。
「ファンなんです」という犯人の言葉は嘘ではない。
「両角(もろずみ)」と名乗った若い男は、山城が考えあぐねていた作中の凶器について、ひとつのアイデアを差し出した。

ふたつめの一家殺人事件で見つかった凶器は、ひとつめの一家殺人事件で使用された凶器だった。
山城の作品と現実の事件がシンクロする。いや、正確には山城が両角の犯行をなぞったのだ。
なぞり、なぞられ、山城と両角は共作者・共犯者として歪な絆で結びつけられていく。

中州でキャンプをしていた一家を惨殺したあと、両角は夏美といっしょにいた山城に接触した。
夏美と子どもの存在を知られ、恐怖にかられた山城はとうとう真実を清田に告白する。
連載は打ち切りたかったが、編集部のすすめもあり休載とした。休載を知った両角は再び山城に接触。
人殺しには加担できないという山城に、「先生だって人殺してるじゃん。作品のなかで楽しんで4人家族を殺してる」と言い放つのだった。

事件解決の糸口を探すため、清田は何度も現場資料を見続けた。
そして両角の実家を突き止めたと思った矢先、それが他人の戸籍を買い取った偽名だと知る。
だが、糸口はもうひとつあった。ドライブ一家殺人事件の現場になった山道は、かつて4人家族を信奉するカルト集団の村落につながる道だったのだ。
両角は、カルト集団の子どもではないのか?仮説に行きついた清田は、釈放されていた辺見によって刺殺された。

山城は家族を守るため、自分にしかできない方法で両角と対決することを決意。
「34」の最終章として、自分と殺人犯が直接対決する姿を描いて雑誌に掲載した。自分の家族を囮にして両角をおびき寄せる作戦だったのだが……。

両角は見抜いていた。山城の家族が「幸せな4人家族」ではないこと、夏美の腹の子が双子であること。
山城にとっての幸せな4人家族とは?

両角からの電話を受け、急いで自宅に戻った山城はマンションの入り口で襲われる。
血まみれの山城を引きずり部屋に入ってくる両角を見た夏美は恐怖で動けない。山城の仕事部屋に入りこみ、歓喜しつつ怒りを爆発させる両角。
山城は作品通りに自分を先に殺せと両角を挑発する。両角は山城のみぞおちに包丁を突き立てようとするが刃が通らず、山城の反撃にあう。
突入した刑事真壁が見たものは、両角に馬乗りになり、いまにも彼を殺そうとしている山城の姿だった。
真壁の静止も聞かず、山城は包丁を振り上げた。真壁は迷わず発砲。撃たれた山城は両角に折り重なるように倒れて意識を失った。
その様子は「34」の1ページを完全に模倣したかのようだった。
登場人物の位置が入れ替わっていることだけを除いて。

両角と山城はともに一命をとりとめていた。夏美は無事出産を終え、双子を育てている。
山城はいまだ入院中でベッドの上だが、両角の公判が始まった。両角は、自身の名前、生年月日を答えることができない。
「あなたはいま誰として裁かれていると思いますか?」
裁判官の言葉に、両角はこう答えた。
「逆にお尋ねします。僕は、誰なの?」
両角の言葉は、山城の顔に重なって響いた。

(終)

【感想】

菅田将暉を見たいなーと思って見た映画。
なんで前情報とかまったくなかったのですが、ちょっとした違和感を感じながらもおもしろかったです。

両角役の役者さん、あのセカオワのボーカルの人なんですね!
どっかで見たことある人だな……と思っていましたよ~。
ちょっと検索したら1年半くらい演技の勉強したとか書いてありましたが、すごくいいですよね。
理想のサイコキラーっていうかなんていうか、ほんとにフツーだし、ヒャッハー!とか言わないし。

あのピンクのマッシュルームで眉毛見えないのが不気味でヘンだよね。
眉毛ないと途端に人間の顔って不気味になるのよ。
その証拠に、最後法廷に立った両角、不気味ではあったけどすごく人間だったもん。
ピンクの髪も伸びて、根本黒くなってて、いままで漫画のキャラクターそのものだった人が、
すごく人間だった。

「僕は誰なの?」っていう疑問に答えていくのが、裁判なんだよ~って思いました。

「殺人ってねぇ!ふつか寝込むくらいたいへんなんだよッ!」ってセリフがなんだかリアルで、
怖いような笑ってしまうような感じだった。

4人もの人を殺すってやっぱりたいへんだろうなと思うんですよ。
どうやって大人ふたりもいる集団をひとりで殺せるんだ?とも思うけど、
もう絶対子どもが人質になっちゃってんですよね。
菅田将暉が刺されて血まみれになってて、なんで高畑充希がすぐ逃げないんだって思うけど、
やっぱ子どもなんですよね。万が一がこわい。あと須田君置いて逃げらんないんだよね。
こういうの見なれてくると、ついつい「あそこヘン!」「フツーそうしない!」とか言っちゃいがちだけど、
そもそもフツーってなんなの?ってことだし、そんないろいろ冷静に判断とかできないですからね。

4人家族を殺すときの詳細な描写はないじゃないですか。
でも最後だけ女の子を「ごめんね」っていってとどめをさしてましたよね。

あ、ごめんねなんだな、と。痛くしてごめんね、なのか、君じゃなくてもよかったんだけどごめんね、なのか
それはわかんないんだけど。
やっぱり両角は山城が創ってしまったんだな。
1件目の殺人だけは、両角の意志で始まったことなんだけど、
それ以降は両角がダガー(「34」のなかの殺人犯の名前)というキャラクターを与えられちゃったことによる
殺人事件なんですよね。
無戸籍で、誰でもない、社会的には幽霊扱いだった彼が、はじめて人格をもらって「誰か」になった。
彼がダガーでいるためには、作中の殺人を模倣するしかなくて。
で、すっごいたいへんなんだけどがんばって人を殺す。

そもそものはじまりは山城が目撃した殺人犯を告発せず、自分のなかに取り込んで作品に昇華したわけで、
やっぱり両角の言う通り、最初っから共犯で共作なんだな。
あの凶器の伏線回収アイデアが、お互いをなぞってなぞられて、ふたりが溶け合っていくキーポイントになってて、
すごい山場だなって思います。
あのとき、菅田将暉がものすっごくおびえるじゃないですか。はじめて犯人見たときみたいに。
圧倒的な恐怖なんだけど、
お、俺も殺されるッ!怖いッ!って感情なのかっていうと、そうじゃない気がする。

なんかすごい矛盾してる気がして。
キャラクターが描けない、創れない人間が、圧倒的なキャラクターを自らに取り込んで
大ヒット漫画を描けるようになったんだけど、モデルになった当の本人は自分が誰かもわからない存在だったっていう。
いったいキャラクターを与えたのはどっちなんでしょうね?

しかしねー。
いっぱいこういうの見すぎてわかんなくなっちゃってるのかもしれませんが、
なんでシリアルキラー・サイコキラーって部屋中あんなになっちゃうんでしょうね?
一番最初にああいう部屋の描写したのってどこの誰なん?
壁に写真はりはり、天井からぶら下がり、ヘンな壁ペイントって「ザ・殺人犯の部屋」って感じじゃない?
でも山城の仕事部屋もまったくおんなじ雰囲気だからな。
家具屋勤めでインテリアコーディネーター?の嫁がいるとオシャレにまとまるんですな。

幸せな4人家族を妄信しているカルト集団って、自民党(一部)のことですかね?
すげえ皮肉だなと思ったけど、みんなどう思った?
山城くんちがお母さん後妻だなってのは、はやい段階でわかるじゃないですか。
なんか雰囲気ぎこちないし、まあお兄ちゃんだけ馴染めなかったんだな、みたいな。
で、最後両角に看破されちゃって。
私、あの展開は絶対ここじゃない!と思ったけど、夏美の実家に行くんかな?と思ったのよね。
まさか双子だとわ!

あとで見返してみると、ベビーベッドの予約してたときに女同士で指を「2」ってしたり、
内緒ね、ってしたりしてて一応伏線はあったんだなーとなりました。気付きませんでした。

そして防刃チョッキも気付いていませんでした~。
んーびっくりした。首とか刺されたらおしまいだから、チョッキで防御できる部分を刺して殺す、って作画にしたんだね。

最後の直接対決は見ごたえあったよね。
人間、そんなにすぐには死なないのかな、やっぱ殺人ってたいへんなんだな、
フツーの神経だとできないことだな、やってるときはおかしくなっちゃってんだな、と思いました。
躊躇なく発砲する真壁刑事には震えましたね。
菅田将暉死んじゃったかと思った。

山城が包丁振り上げたときの顔、笑顔のようなイッちゃってるような不思議な高揚感に満ちた顔でした。
あの表情ができるんだから役者ってすごい。

山城も、幸せな4人家族を憎む気持ちあったと思うし、
犯人を告発するよりも自分が連載持って一人前になる方を優先した悪い奴だった。
最後は自分の家族を囮にしたけど、それもどーなん?って正直思う。
漫画…とはいえ、自分の家族が無残に殺されるシーンって描けるの?
ほんで、それがほんとになるかもしれない危険に家族をさらせるの?
夏美のことはすんごい守ってたのに、お父さんお母さん妹はいいの?

「困ったときは頼って」とか笑ってるお母さんも次元が違うでしょーが!
あんたらそんなに山城に負い目があるのか。
歪(いびつ)だな、って思いしかないわー。

この物語のなかには、もうひとつ軸になる人々がいて、それがふたりの刑事なんですね。
小栗旬が演じる刑事、清田は元暴走族の漫画好きの仕事熱心ないい奴。
中村獅童が演じる刑事、真壁はその兄貴分で長いものには普通にまかれながらも清田をかわいがってる。
清田刑事がすごく山城に優しくて。
才能ないなんてことないよ、新作楽しみにしてるよ、とかね。
もうあんたが編集者になったほうがいいんじゃないですか、ってくらい優しい。
犯人を見てないって嘘ついた山城を責めないし。
でもこんないい人が、殺されちゃうんですよ。辺見という両角のアシスタントに……。

あのシーンはまーじでびっくりした。もう全然予測してなかったもん。
そして映画はじまって初の暴力シーンでしょ。
これまで血まみれ状態の現場はいっぱい見たけど、動の残虐シーンは初めて。
怖いよー怖いよーってなった。
映画はじまって3分の2くらいまできたあたりだね。
ここからぐぐーっとクライマックスに向かっていくんだなぁという感じがして、いい配分だなと思ったな。

ただねー、小栗旬好きだし、演技うまいと思うし、すごくよかったんだけど、
菅田将暉とは合わないなーって気もちょっとした。
先輩刑事も中村獅童じゃなくてもいいんじゃないかなーって思った。
刑事2人のキャラクターが濃いんよ。
そういう意味では、高畑充希もそこまで出番ないわりに演技上手すぎるし存在感が濃い。
失礼な言い方かもしんないが、セカオワの人をみんなで補佐しようという
意味合いが強すぎて全体に濃ゆすぎるキャラクター配置になったんではないのか。
こんなみんな濃くなくていいんじゃないのか、っていうのが最初に書いた自分の違和感でした。

サイコスリラーとか好きですけど、みんな心の中で殺人を楽しんでるんだろ?
エンタメとして消費してるんだろ?と言われているようで、そこは苦しかったです。
そんなつもりじゃ……ないって言いきりたいけど、自分が被害者から遠い、他人事と思ってるから
見てられるわけで。
その証拠に、子どもがひどい目にあう映画とかやっぱり見たくないし、女性が性犯罪にあう映画とかも見たくない。
でもなんだかんだ見たりもする。
自分のなかにある加害性には目をそむけちゃいけないなと思いました。

あとは辺見を演じた松田洋治がもののけ姫のアシタカの声優だったと知ってすんごい驚いた。
ギャップすぎる。

こんな感じで今日は以上です。



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