巣窟日誌

お仕事と研究と私的出来事

餅抜きのなとり雑煮

2018-01-02 23:48:31 | 日記・エッセイ・コラム
正月なので、意味性認知症で介護老人保健施設にいる母を、
一時的に自宅に連れてきた。

母と一緒に自宅の近くにあるお寺で母の実家の墓参りをして、
そのご自宅に戻って家族でおせち料理を食べて、
その後近所の神社にお参りに行く予定を立てた。

最初にどうにか一緒に墓参りを済ませたが、
母の体力も判断力も著しく落ちているのが明らかだった。
動きがとても鈍くて何をやるのもおぼつかなく、
何もない場所でも躓きそう。
この時点で、近所の神社への初詣はあきらめることにした。

さて食事だ。
おせち料理のうち、母の好きな栗きんとんや
黒豆といったものは特に問題はない。

問題はお雑煮だ。母は餅が好きだ。
そして東京の板橋区で生まれ育った母は、厳格な名取(菜鶏)雑煮派だ。
かつおだしのすまし汁に、小松菜と鶏肉と焼餅を入れるやつ。
しかし、この状態の母が、餅をどう小さく切っても
喉に詰まらせずに食べられるかどうかは、私には判断できなかった。
というわけで母の大事をとって、そして余計なトラブルを防ぐために
全員餅なしのなとり雑煮。
というか、たんなる鶏肉と小松菜のすまし汁。

実のところ、あんなに餅が好きだった母が、
お雑煮のことも、餅というものが世の中に存在していることも
覚えていなかった。
だから食事中は「お餅がない」「お餅が食べたい」などと
母が騒ぎ出すなどのトラブルは起こらなかった。
起こらなかったから安堵すべきことなのだが…

ちょっと悲しい。