fantasia*diapsida

とりとめのないメモの山

Oryzias latipes:02

2010-04-16 00:00:00 | biologie*

:01からのつづき 

さて、メダカは何となく意外にも、ダツ目(Beloniformes)である。
ダツをはじめ、サヨリ、サンマ、トビウオなどが他に含まれる。
体が細長く、各鰭は軟条しか持たない。背鰭は1つのみで体の後部にあり、腹鰭は6軟条のみで体の中央付近にある。
ダツ目の魚は胆汁などに含まれるビリベルジン(biliverdin)が浸透するために、骨が青色になる傾向があるが、
大型のダツならハッキリするけれどさすがにメダカぐらい小さくなると分からんねぇ。

魚ってーと「ホラ、比較的下等な脊椎動物で…」と一般的に考えられることも多くて、
それはそもそも"進化"を語る上で大変な(そして典型的な)誤認なんだけれど、そうだろうとなんだろうと
ダツ目のような"現生の一般的な魚"は、むちゃくちゃ派生的で現代的な動物である。
新しさのノリでは「哺乳類」の名称が持つハイカラ感と互角であり、しかも圧倒的に多様性に富んでいると思って良い。

 
 
硬骨魚類は大きく条鰭類(Actinopterygii)と肉鰭類(Sarcopterygii)に分岐。
条鰭類には、現生の"魚"の大半が含まれる。
 ・アクロディン(acrodine)から成る歯冠部 ・胸鰭(dorsal fin)と肩帯(cingulum scapulare)との関節面が広い
 ・頭部側線形の下顎側線管が歯骨(dentary)を貫通
 etc... といった特徴を持つ。 
 
  
最もbasalなグループのひとつ分岐鰭類(Cladistia)には、観賞魚としても人気のポリプテルス Polypterusなど、
軟質類(Chondrostei)にはサメと付けどサメではない、チョウザメ類(Acipenseriformes)が含まれる。 
  

新鰭類
(Neopterygii)のうち、
ハレコストミ区(Halecostomi; ハレコストム区)ともなると、かなり一般的な"魚"である。
 ・可動的な主上顎骨(maxilla) ・独立した間鰓蓋骨(interopercle) ・不対の神経棘(neural spine)
 ・方形頬骨(quadratojugal)が消失or方形骨(quadrate)に癒合 etc...
という特徴があるが、
ここで最もbasalなのはアミア・カルヴァ Amia calvaなどアミア類(Amiiformes)で、
これとの姉妹群を、真骨類(teleostei)と呼ぶ。
 ・可動的な主上顎骨(maxilla) ・基鰓骨(basibranchial)が正中歯板(tooth plate)に被われる
 ・胸骨舌骨筋(Sternohyoid muscle)由来の尾舌骨(urohyal)が1つ
 ・尾鰭椎体(ural centrum)が1,2個で、第1,2下尾骨(hypural)が第1尾鰭椎体に対応 ・下尾骨は7以下 ・尾神経骨(uroneural)
 ・前部筋束(craniotemporal muscle)が分化し後側頭骨(post-temporal)に侵入 etc...
ニシンにサケにスズキetc...お馴染みでしょ?
ただ真骨類の中の系統関係については、今なお議論が多くゴッチャゴチャである。

棘鰭類(Acanthopterygii)  は真骨類の中でも現在最も多様化したグループで、
カンムリキンメダイ目(Stephanoberyciformes)、マトウダイ目(Zeiformes)、キンメダイ目(Beryciformes)、ボラ目(Mugiliformes)、
トウゴロウイワシ目(Atheriniformes)、カダヤシ目(Cyprinodontiformes)、ダツ目(Beloniformes)、トゲウオ目(Gasterosteiformes)、
タウナギ目(Synbranchiformes)、カサゴ目(Scorpaeniformes)、スズキ目(Perciformes)、などが含まれる。
一般的に前上顎骨(premaxilla)が上顎のほぼ全てを構成し、よく突出する。
機能的な咽頭骨歯板を持つ、各鰭に棘条がある、腹鰭が体の前方に移行する傾向にある…
…などの特徴があるが、必ずしもこれに当てはまらないことも多い。

 →脊椎動物全体の詳細は
vertebrata:01 

"魚"の分類はNelsonの『Fishes of the World』(2010年4月現在、第4版まで出ている)などが有名で広く用いられているが、
それでもいまだ分子系統などから色々説は出てくるし、
『Fishes of the World』目を通して、個人的に主張の違うところもあるため(笑)、これが確定どどーん、というわけでは決してない。

羊膜類の常識からするととても多様で、独特なのが"魚"なのだ。



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<<references>>
 ・Nelson JS,
Fishes of the World (4th ed), New York, John Wiley & Sons INC, (2006) 
 ・岩槻邦男・馬渡峻輔:監修, 松井正文:編集,
『脊椎動物の多様性と系統』バイオディバーシティ・シリーズ7 , 裳華房, (2006) 
 ・岩松鷹司:著
『新版 メダカ学全書 』,  大学教育出版 (2006) 

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 ・specimens: その他の収蔵標本。
 ・
vertebrata:0102 脊椎動物。
 ・Gymnothorax kidako: ウツボの骨格標本。




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