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とりとめのないメモの山

phyllosoma:

2009-11-01 00:00:00 | biologie*
イセエビ類のフィロソーマ幼生(フィロゾーマ幼生; phyllosoma; phyllo:葉状+soma:体)。

節足動物門 Arthropoda
  甲殻亜門 Crustacea
    軟甲綱 Malacostraca
      真軟甲亜綱 Eumalacostraca
        ホンエビ上目 Eucarida
          十脚目(エビ目) Decapoda
            抱卵亜目(エビ亜目) Pleocyemata
              イセエビ下目 Palinuridea


シラスから採取したもの。所謂、"チリモン"。
そのまんまじゃつまんねぇかなぁとアルシアンブルーで染色し、透明化してみたが、
…特にどうにもならんねぇ。
プランクトンネットなどでもよく引っ掛かります。

19世紀初頭からすでにプランクトンの一種として、数多くのフィロソーマの記載が見られるが、
その親と似ても似つかない形態から、他の多くの動物の幼生と同じく、
フィロソーマたちも当初はこれが成体であり、
未だ知られざる新種なのだと思われていた。
これらがイセエビ類の幼生であることが判明したのは、
水生生物を室内で繁殖させる手法が確立されてきた、20世紀に入ってから。

イセエビはご存知の通り、岩礁などに生息している動物だが、
卵から孵化したフィロソーマ幼生は、種によって様々だが、約1年もの間浮遊生活を送る。
この間脱皮を繰り返して成長するが、
ある時脱皮すると、突然プエルルス幼生(puerulus; puer:子供+ ulus:小さい)と呼ばれる、
よりエビっぽい形態をとり、
岩礁に向けて猛烈な勢いで泳ぎ始める。
このプエルルス、実は顎などの摂食・消化に係る器官が著しく退化しており、
何も食わず、ほとんど体内に蓄えた脂肪だけで生きるという。
岩礁にたどり着くと、稚エビに変態し、見慣れたエビの姿になる。

いくつかの甲殻類のグループについて発生のプロセスをザクッと纏めると、
イセエビ:  「卵→ノープリウス→フィロソーマ→プエルルス→稚エビ」
カニ:     「卵→ノープリウス→ゾエア→メガロパ→稚ガニ」
クルマエビ:「卵→ノープリウス→ゾエア→ミシス→稚エビ」
フジツボ:  「卵→ノープリウス→キプリス→稚フジツボ」
ザリガニ:  「卵→稚エビ」

みたいな感じになる。
クルマエビさんとイセエビさんは、エビとは申せど、下のように異なる亜目に属す。

Dendrobranchiata 根鰓亜目{クルマエビ亜目; 羽毛状の根鰓(Dendrobranch)を持つ}
  クルマエビ下目(Penaeidea) 
  サクラエビ下目(Sergestoidea)
Pleocyemata 抱卵亜目{エビ亜目;葉鰓(Phyllobranch)/毛鰓(Trichobranch)を持ち、♀は腹部で抱卵する傾向}
  オトヒメエビ下目(Stenopodidea)
  コエビ下目(Cardiea) 
  短尾下目(カニ下目; Brachyura) 
  異尾下目(ヤドカリ下目; Anomura) 
  イセエビ下目(Palinuridea)
  ザリガニ下目(Astacidea)
  アナジャコ下目(Thalassinidea) 


詳しくは記事:ハルマンスナモグリで。


フィロソーマちゃんが泳ぐ動画はコチラ↓

イセエビの赤ちゃんフィロソーマ


可愛いでしょ♥


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BLOG外LINKS:
 ・セミエビまたはヒメセミエビ(たぶん)のフィロゾーマの色々 by.『見て、見て、チリメンモンスター(チリモン)』

<weblog内-関連記事LINKS:>

 ・
specimens: うちの収蔵標本。

 ・
Tetraclita japonica: クロフジツボ。同じ甲殻類の誼。
 ・
Nihonotrypea harmandi: ハルマンスナモグリ。同じ甲殻類の誼。
 ・
Ovalipes punctatus: ヒラツメガニ。同じ甲殻類の誼。




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