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もう泣くもんか / ダンパチ5

2007-07-22 21:45:27 | お芝居へ連れてって
主催:ショーGEKI
期間:2007.07.10~17
場所:下北沢・「劇」小劇場

すっかり恒例となった、ショーGEKI下北沢夏祭り公演である。今回は「もう泣くもんか」と「ダンパチ5」の2本立て。


○もう泣くもんかと誓った私の瞳は涙の虜

それにしても長いタイトルである(笑)。「DOKONI」「Sin」に続くショーGEKI女の子シリーズの最新作である。

<Introduction>
彼女は悲しくても、寂しくても 楽しくても うれしくても きつくても 辛くても涙が出てきます。
昨日を思い出しても 明日を夢みても 涙が出てきます。
そんな泣き虫女の美ゆが今日、恋をしました。
だから当分涙は止まりません。


今回の主人公・美ゆは、小学生の時を吉川亜州香さん、中学生を廣田朱美さん、27歳を小林こずえさん、39歳を竹内美保さんと四人で演じている。四人一役というアイデアが先にあったのか、役者さんに合わせて四人一役というアイデアが浮かんだのかは定かでないが、うまく機能してたと思う。

ショーGEKIの芝居は基本的に主宰の羽広克成さんが台本を書いているのであるが、今回は「実はゴーストライターがいるんじゃないか?」との疑惑が持ち上がっていた(笑)。それほど”女の子”してる本であったようである。自分の気持ちを相手にぶつけることを、ナイフと鞘に例えるなど、例え方が実に巧い。

今回印象に残ったのは、27歳の美ゆ(小林こずえさん)がお母さん(中津川浩子さん)に顔を両手で挟んでもらって泣くシーンである。あそこが良かったって人は結構多いのではなかろうか。

一方、笑えるシーンでツボにはまったのが中津川さんの「最終的には由美かおる」(笑)。確かに由美かおるとプリンセス・テンコー若さは謎だ。ちなみにテンコーの実年齢は、マジックのネタバラシ以上のタブーだとマジック好きな方から伺った事がある(爆)。

あと、ウーロン茶、牛乳、コーラのミックスジュースも凄かった。「ギャンブリング」のとき、口が渇きそうな舞台上でポッキーをバリバリ食べていた竹内美保さんさえもほとんど飲めないほど壮絶な匂いになるらしい(爆)。

小学生役の吉川亜州香さん、ハマリ過ぎ(笑)。「チャンピオン2」では立派におばさんと呼んでもらえる齢の役だったのに。多彩である(誤字に非ず)。

中学生役の廣田朱美さんは、すっかりセーラー服が定着した感がある(笑)。しかし、ショーGEKIの芝居ではなんらかの形でセーラー服が出て来ることがよくあるが、これって主宰の趣味?。
もとい、雷虎のラン(5年後バージョン)もそうだが、すれたというか、グレたというか、少しばかしカタギじゃないというか(爆)、そんな役も上手い。

27歳役の小林こずえさん、スーツ姿が激しく似合う。”出来るOL風”である。

39歳役の竹内美保さんは占い師である。「○○の母」とか呼ばれてそう(笑)。

すっかりお馴染みの客演・中津川浩子さんは、主人公のお母さん役。個人的には姉御肌の印象が強いが、思い返してみると「ウイングス」のグレートマザーや、「チャンピオン2」のミッキーに対するアシュラ委員長など、大きな母性を感じさせる役もいける方である。泣く時はお金を払わなければならない、などと一見お金にがめついような事をしているにもかかわらず、意外とそういう印象は受けない。しゃべることに結構筋が通っているからであろうか。気に入ったキャラクターである。

おのまさしあたあ・80日間世界一周」に続いて複数役を演じることになった、山本諭さん。十数役やった「80日間~」に比べれば今回は楽勝…ってことはないんだろうな。演技の善し悪しなんてあまりよくわからんのだが、以前より良くなってるような気がする。

今回から登場の強力新メンバー・松原由賀さん。中学生の主人公にいじめられるとこでは結構かわいそうなのに、27歳の主人公をいびるとこではすごい憎たらしい。これだから役者って奴はよ~(笑)。…あ~、昔の学園ドラマとかのイヤミな教頭先生なんか、意外と似合うかもしんないと今思った。

基本的にコメディなのだが、じんわり沁みる良いお話である。もう一回観れば良かったかな?。


○ダンパチ5

すっかりお馴染みとなったコントライブのパート5である。惜しむらくはずっと天気が悪かったので、「真夏のダンパチは危険だ」にならなかったのがちょっと残念。

<Introduction>
毎度ワンパターンだが、コントライブなのであらすじは無意味だ(笑)。


毎度のごとくネタごとにレポ。

・一畳家の兄弟
畳一畳の広さの家(半分はトイレなので実質半畳)に住む家族の物語。全員呼び名が「兄ちゃん」なのがシュール。揉め出すと「りす~」とか歌い出すのもヘン。ほんと、よくこういう発想が浮かぶものである。

舞台でなにか食べる事が多いショーGEKIであるが、今回はここでバナナを食べていた。が、照明で温まってしまってえもいわれぬ不味さだったそうな(笑)。

・転校生 長田正道君
通常、ネタとネタの間にはトークが入るのだが、今回はネタの直後にこの「転校生 長田正道君」が入った。しかも全6話(くらい…?(笑))。新機軸である。転校生・長田正道君と地元の子供たちとの交流を描いた心温まる(?)お話である。主人公は辻崇雅さん。「ダンパチ・ベストヒット」に続いて中心のネタがあって良かったねぇ。

・男達のセコンド
セコンドのおのまさしさんと七枝実さんが、コーナーにやってくるさまざまな人間を励ますネタ。メンズデビュー作の「ガンバレ!」をちょっと思い出した。七枝さんの「俺の目を見ろ」が面白い。

ここで辻崇雅さんの新しいピンネタ「ミトコンドリア」が出る。ああいうのは何度か繰り返さないと面白くないのだが、早々に止められてしまってほとんどウケないまま終わってしまった。

・車だ!修二
朝起きたら佐藤修二さんが車になってたという、カフカの「変身」のようなネタ。などと書きつつ私は「変身」を読んだことがない(爆)。

ここで佐藤さんが辻さんの「ミトコンドリア」をパクるのであるが、結構ウケる。やっぱこの手のネタは繰り返さないと…。

・ビリーズ・とーる・キャンプ
今大流行の「ビリーズ・ブート・キャンプ」のパロディで、予想がつくと思うが「エアロビサザエさん」に続く体力ネタである。でも今回の方がキツイそうな。や~もうほんと「お疲れさま」としか言いようがないネタである(笑)。ショーGEKI風の味付けが良かった。

ちなみに劇中でもつっこまれていたが、本来は「とーるズ・ブート・キャンプ」じゃないと意味が通らないのだが、これで良いらしい。いかにとーるさんが自由人かという証ですな(笑)。

・ショーGEKI鉄ちゃん
流行に敏感なダンパチでは、当然鉄っちゃんブームもネタになる。もっとも鉄っちゃんを描く訳ではない。一風(?)変わったアナウンスに、乗客であるメンズが右往左往するネタである。個人的には「ドアしめります」がツボ。辻さんがずるっと滑るところと、おのさんが湿ってるのを確かめるのが良い。

・あの鈴を鳴らすのはあなた
ショーGEKIでは基本的にNGの下ネタである。とはいえ、そこは普通の下ネタはやらない。事前に羽広さんに「やらしい事を言わないし、やらしい事もしない」と聞いていたので、いったいどんなネタやねんと思っていたのだが、まさかこう来るとは。ユニークなアイデアには定評があるショーGEKIだが、この発想も面白い。どういう内容だったかというと…公演来なかった人はDVDで観てね(爆)。

・逆転裁判
佐藤修二さんの”カミ”を裁判するというネタ。楽日ではみんな実際にかみまくってしまい、ボロボロ(笑)。このネタで、稽古…というか打ち合わせ…というか、とにかく噂の雑談風景のビデオが流れた。観てみたかったので嬉しかったねぇ。もっともこれは撮り下しのようだが、実際の稽古もあんな感じらしい(笑)。

この後に、七枝実さんが「新選組/維新士」でやらかした出トチリの映像が流れたのだが、楽日特典として、七枝さんの報復で他のメンバーの失敗映像も流れた(笑)。内堀克利さんと金田誠一郎さんの「あんたが勝っちゃだめでしょ」とか、鈴木とーるさんのサイテー(笑)な下ネタとか。おのさんなんて今のところ生涯唯一の出トチリをここでもネタにされて(DVDにも収録されている(爆))、お気の毒。でも笑わせて頂きました。

・ウザイマン3
終了後に役者さんと話してて印象に残ったのが「何が面白かった?、ウザイマン以外で」(笑)。それくらい今回もウザイマンはうざかった(笑)。金田さんなんて、舞台上なのに素で笑ってた。ウザイマンはおのさんと絡まれる人以外の人が、遠巻きに苦笑しながら見ている雰囲気がまた面白いのである。ところでここで登場した着メロ、欲しいって人多いんでないかな?。

・男塾ラセーラ
恒例の男塾。普段は七枝さんが学ランを着るのだが、楽日スペシャルで辻さんがセーラー服(上のみ)を着せられてた。ちなみに吉川亜州香さんのだったそうなのだが、よく入ったものだ。

ネタでは辻さんの「加湿器に一言」とおのさんの「うちの洗濯機に一言」が良かった。

最後にお客さんにエールを送るのだが、それがかなりかっこいい。やはりショーGEKIは「ばかかっこいい」のである(笑)。


以上、今回も実に面白い舞台だった。