主催:
ショーGEKI
期間:2007.11.10~18
場所:新宿・シアターモリエール
伝説のジャングルジムシアター4度目の登場である。
<Introduction>
200X年 東京に地震が起こる。
それは大きい地震ではあったが都市の機能が麻痺してしまうほどのものではなかった。
だが都内のあるビルがその地震で地下の支柱が折れて沈み傾いてしまった。
その地下は最悪にも飲食店街…時間はまだ夕食で賑わう午後8時。
生存者がいる可能性より、自分の命の危険性の方がはるかに高いそのビルの地下へ、特別救助隊は生存者を救出すべくその地下に入り込んで行く。
これは過酷な状況の中で作業を進める特別救助隊の男達とその命を預かり彼らを上で指揮する指揮隊の女達の連携、闘いをノンストップで見せていく舞台なのだ。
シチュエーションはあくまでもシリアスなのに、笑える。こんなに笑えるレスキューものって、(パロディものを除けば)他にちょっと無いんでなかろうか?。これは快挙である。
この手の話(特に少年マンガ)でありがちな、英雄的な奴が一人いて、そいつが何から何まで解決してしまうというパターンではなかったのが良かった。
今回は、地震災害にあった遭難者、現場に赴く救助隊、それを指揮する指揮隊に別れて、交互に描きながら話が進行して行く。しかも今回はショーGEKI得意のシャッフルキャストで、A~Dまで4パターン(一度だけBチームで、遭難者が金田誠一郎さんからおのまさしさんに変わるので、実質5パターン)ある。毎度のことながらムチャしよる(笑)。
シャッフルと言っても今回は役の数的に偏りがあって、一役しかやらない人もいれば、最高で3役やる竹内美保さんみたいなほんとお疲れさまな人もいる。指揮隊内で2役やった菅原泉さん、救助隊内で2役やった七枝実さん、山本諭さん、遭難者2役ともやった竹内美保さんは、役が混ざりそうで大変だったんではなかろうか。しかし、それを感じさせないのはさすがである。
舞台上所狭しと組み上げられた壊れたビルのセットである”ジャングルジム”は壮観である。遭難者と救助隊の面々は、その中を右往左往する。体力勝負のショーGEKIの舞台にあってなお屈指の体力舞台である。一説によると以前の公演の際、内堀克利さんの体型が変わったとかなんとか。
ちなみに救助隊メンバーは、客入れの段階で既に舞台上にいて、体力トレーニングを行っている。それでなくても体力使うのにねぇ。脱メタボリック症候群を掲げる辻崇雅さんには役にたったかもしれない(笑)。鈴木とーるさんは、ここで座禅らしきことをしていた。他のシーンでも色々アドリブ入れたり、この人はやっぱ自由人だ(笑)。
指揮隊の美女軍団を仕切る田畑隊長役は、ベテラン・中津川浩子さんとショーGEKI最年少・菅原泉さんと好対照。中津川さんは以前このお芝居に出ていることもあって、さすがに安定感がある。菅原さんも実年齢とは関係なく、荒っぽい隊長を好演していた。
小林こずえさん曰く、指揮隊はアダルトな中津川チームとワイルドな菅原チームとのことだが、奇しくも救助隊の方も、アダルトな内堀チームとワイルドな七枝チームという雰囲気。変われば変わるものである。
その小林さんは、キツイ印象の岡田副隊長がよく似合っていた。「
DOKONI」の時の姉とかこの手の役が結構はまる人である。ご本人は、ほんわかした性格らしいが。
その岡田副隊長を別キャストでやってたのがショーGEKI2作目の松原由賀さん。この人も「
もう泣くもんか」の主人公の上司OLでキツイキャラやってたので、この手のがうまいと思ってたのだが、泣いたり怯えたりぼやいたりする遭難者役も良かった。
指揮隊のなかであと印象に残ったのは、土田隊員(廣田朱美さん、菅原泉さん)の「ごっくん。あ、息を呑む音です」って空気を読め!(笑)。
遭難者役は、男・男、男・女、女・女の3パターンあるが、正直言ってやっぱ女性がいた方が良い(爆)。
遭難者・鳴海(金田誠一郎さん、竹内美保さん、おのまさしさん)の「腹減った」という台詞は非常に印象に残った。やはり食い意地が張ってる方が生き残りやすいのか?。
おのまさしさんの
サイトにて「僕はここでもウザがられるんだ」(笑)と書かれた氷山本部長(おのまさしさん、佐藤修二さん)、確かにウザい。この手の物語には欠かせない背広組のキャラなのだが、権力振りかざして余計なことして邪魔しないだけマシである。氷山本部長が、仰天告白のあとに河田隊員(吉川亜州香さん、竹内美保さん)に怒鳴られたのも実に良いシーンだった。
タイトル通り、クライマックスには指揮隊、救助隊で「聖者の行進」を叫ぶのだが、おのさんの声がひときわ印象に残った。おのさんは普段は声がデカイ訳じゃないけど、舞台上での声には凄みというか迫力がある。
以上、伝説の舞台と呼ばれるだけのことはある舞台でした。