かつて上野の西郷隆盛像の下に聚楽台というレストランがありました。
創業は昭和34年(1959)で、年季が入った元祖ファミレスという印象でした。
五十年近く愛され続けてきた同店も、平成20年(2008)建物の老朽化に伴い閉店となり
ました。
私はこの店の雰囲気が好きで、ちょくちょく利用していました。
安土桃山時代の城をイメージしたという店内は広々としていて、テーブル席と座敷席があり、
噴水までありました。
窓際の席からは上野駅が見え、絶え間なく行き交う山手線を眺めるのが好きでした。
ベテランウェイトレスの無駄のない動きも、見ていて小気味良かったのを覚えています。
メニューには軽食、定食から酒の肴まで、たくさんの料理が書かれていましたが、私はだい
たいビールとデンキブランと西郷丼を注文していました。
西郷丼とは、巨大な丼に大量のご飯を盛り、その上に九州の名物をたっぷり乗せた聚楽台の
名物でした。
値段は千円もしないのですが、完食すると腹が苦しくなるほどのボリュームがありました。
聚楽台閉店から一年が過ぎた頃から、西郷丼を懐かしく思い出すことがありました。
今年になってから、「西郷丼復活」というネットの記事を目にしました。
なんとアメ横にある酒亭じゅらくという居酒屋で西郷丼が復活しているとのことです。
私の中で懐かしい気持ちが高まり、翌日食べにいきました。
酒亭じゅらくで復活した西郷丼は、角煮・明太子・さつま揚げ・博多焼・さつま芋・温泉玉子
・ほうれん草がご飯の上に乗っかり、みそ汁とお新香がついていました。
甘辛い具が中心で、ご飯が進む味付けでした。
思い出の聚楽台の西郷丼とは若干違う点もありましたが、味とボリュームは変わりませんでした。
懐かしい味を楽しめたのは満足でしたが、あの趣深い聚楽台の店内で食べるのとはやはりち
ょっと違いました。
価格が上がっていたのはやむを得ないと思いましたが、うなぎの一切れでも乗せてくれてい
れば嬉しかったですね。
うなぎは西郷隆盛の好物だったそうなので。
ともあれ思い出の西郷丼が再び味わえるようになったのは、嬉しいことです。
※写真は復活した西郷丼
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