幕末掃苔屋 公式ブログ

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ふぬけ気味

2014年07月10日 | 掃苔録

私の道楽の“本業”は掃苔です。
“副業”が古き良き喫茶巡りです。
先日、静岡県に行ってきましたが、“本業”の準備をおろそかにしたため、残念無念な結果となりました。

静岡を訪れた目的ですが、“本業”のほうは山岡鉄舟の掃苔で、“副業”のほうは静岡と清水に点在する古き良き喫茶を巡ることです。
山岡鉄舟の墓は清水の鉄舟寺にあります。
幕末明治を生きた人物の墓は、無縁墓となり撤去されるなど、現存していないことも多々あります。
そのため旅に出るまでに念入りな調査を行います。
しかし今回掃苔する予定の山岡は有名な人物ですし、鉄舟寺は山岡が復興した寺なので、墓がなくなっているとは考えられません。
そこで“本業”についてはロクに調べず、“副業”についてばかり念入りな調査を行いました。

前回の『歴史研究』の連載で、
“「段取り八分」という、事前準備の大切さを表した言葉がありますが、掃苔を目的とした旅行にはその言葉がぴったり当てはまります。
 旅先という時間の限られた中で多くの墓を掃苔するには、事前に計画を立て効率よく行動せねばなりません。
 「墓の場所とか形とか詳しいことはわからないけど、現地に行けばなんとかなるだろう」と楽観しながら出発すると、かなりの確率で後悔することになります。
 (中略) 掃苔を目的とした旅行に出る際には、以下のことを事前に調べておくことをおすすめします。 (以下略)”
と偉そうにのたまっていたにも関わらず…。

結果、“副業”では6軒の古き良き喫茶を訪れることができましたが、“本業”では目的を達成することができませんでした。
まずバスに乗り間違えました。
バスが鉄舟寺とまるで反対方向へ進んでいくことに気がついたのは、乗車してから20分が過ぎた頃でした。
慌てましたが、すでに終点間近だったためそのまま終点まで行き、同じバスでUターンしました。
この時点ですでに旅先での貴重な時間を一時間ロスしています。
今後のスケジュールを変更する必要がでてきたことに焦りを感じつつ、今度は正しいバスに乗りました。
バスに揺られること20分ほどで、鉄舟寺に到着しました。
しかしなんと、鉄舟寺は臨時休館でした。
鉄舟寺が拝観有料であることも、山岡の墓が本堂前にあるため拝観受付時間中に行かねば掃苔できないということも、調べればわかったはずです。
しかし私は知りませんでした。
堅く閉ざした門の前で、呆然と立ち尽くしました。
雨が激しく降ってきましたが、傘をさす気にはなりませんでした。
雨に打たれながら、調査を怠った自分に対する怒りに震え、今の自分は掃苔への情熱が薄れて腑抜けていることを痛感しました。
わずかな慰めは、鉄舟寺周辺にたくさんの猫がいたことです。
雨のなか、猫たちをしばらく眺めたのち、重い足取りでバス停へと戻りました。

少し前までこんな腑抜け状態だった私ですが、ひさしぶりに目的が出来たため、今は気合いが入っています。
その目的については、近いうちに当ブログにてご報告したいと思っています。


※写真は閉ざされた鉄舟寺の門と猫