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次の図は日本のGDPと一次エネルギー消費の推移を示したものです。この図は日本のエネルギー関連で仕事をしている方であれば誰でも知っている有名な図書「EDMC エネルギー・経済統計要覧 日本エネルギー経済研究所計量分析ユニット編」(省エネルギーセンター 2007年2月)の最新版に掲載されている図です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/91/e700e086d881ec0b84b995d45bc3dbd6.jpg)
この図は明かに、日本の「経済成長(GDP)」と「一次エネルギーの消費」の推移が強い相関関係をもっていることを表しています。しかも、日本の1次エネルギー消費費は1970年代のオイルショックの時期を除けば確実に増加の一途を辿っていることは明かです。そこで、再び、私の本「いま、環境・エネルギー問題を考える 現実主義の国スウェーデンをとおして」(ダイヤモンド社 1992年7月)から「省エネに対する当時の私の考え方」を紹介します。
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東京大学の平田賢教授が作成された図をもとにして、わが国のエネルギー・フローを見ておきましょう。
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この図によりますと、わが国のエネルギー・フローは1986年の場合、100投入されたエネルギーに対し様々なロスにより最終的に使われたエネルギーは35であったということになります。1989年のエネルギー・フローも1986年と同じです。「投入されたエネルギーの35しか利用されていなかった、つまり、65が捨てられていた」というのであれば、その35をたとえば50にすることができれば、投入された100のうち50が有効利用されることになります。
総エネルギーの需要量が少々増えても、その分だけエネルギーの供給量を増やさなくてもすむわけです。つまり、エネルギーの供給サイドの研究ばかりでなく、エネルギーの需要サイドの研究開発が今後ますます必要とされるのです。大変残念なことに、わが国のこれまでのエネルギーの研究開発は「供給サイド(サプライ・サイド)」の研究開発がほとんどでした。わが国では1989年頃から、DMS(Demand Side Management:需要サイドの管理)という言葉がエネルギー関係者の間でも聞かれるようになったことからわかりますように、「需要サイド(デマンド・サイドあるいはエンド・ユースという言葉も用いられます)」の研究開発はその緒についたばかりです。
エネルギー政策の中で、特に環境への配慮、つまり、「環境への負荷の低減」を考えたときには、エネルギーの総供給量が伸びないことが望まれます。わが国では環境への配慮というと「排ガスの処理設備を設置すること」といった認識が定着しておりますが、かならずしも、それだけが環境への配慮ではありません。もっと大切なことは供給エネルギーの総量を抑え、利用可能なエネルギーを増やすことです。つまり、DMS・アプローチあるいはエンド・ユース・アプローチと呼ばれる研究開発が重要なのです。
一方、スウェーデンの一次エネルギーの総供給量ならびに総消費量が過去20年間ほとんど増えなかったということは、この間に福祉社会を維持するために必要な経済発展があったわけですから、国全体としての省エネルギーが進んでいるのだと思います。
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