~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

側弯症を理解する為に 脊柱が変形するとはどういうことか?

2008-11-08 17:49:15 | 側弯症基礎知識
側弯症.....ここでは思春期特発性側弯症を中心とした説明を加えることを目的と
しているのですが、.....その発症原因がいまだに [不明] であることは皆さんも
すでにご存知のことと思います。発症原因が不明であるがゆえに、その根本的治療
法は現時点においては、最終的には外科的手術(脊柱固定術)によるしかありません

仮に原因が、例えばウイルスによるものであれば、そのウイルスを消滅させる医薬
品が開発されれば、この世界から特発性側弯症もなくなることになります。仮に、
その原因が、ホルモンバランスの乱れによるものであるならば、そのホルモンバラ
ンスの乱れを正常に戻す(あるいは乱れを予防する)医薬品が開発されれば、側弯症
も予防することができるようになるでしょう。あるいは、最近のめざましい遺伝子
診断の進歩により、発症のひきがねとなっている遺伝子が発見できたならば、遺伝
子治療という方法も登場する可能性があります。

しかし残念なことですが、いまだにその「発症原因は不明」です。
そして、現時点でこの思春期特発性側弯症に対処する方法は、早期に発見して、
時期を逃さずに装具療法を開始して、そして不幸にも装具が奏功しないタイプの場合で、進行が進む場合は、手術により曲がった脊柱をもとに戻して固定する。とい
う治療方法をとることになります。

ここでこのブログをご覧になっている皆さん、特にお母さんがたにご理解していた
だきたいのは、なぜ側弯カーブは、整体のような民間業者では「治るわけがない」
という事実についてです。そして、その為には、側弯による脊柱の変形がどういう
ものであるか、ということを 骨の解剖的レベル において理解していただきたい
と思います。

典型的な例として、添付の写真をじっくりとご覧願います。
ダブルカーブと呼ばれる側弯カーブで、かなり進行が激しい症例です。

左写真(立位/背中)だけを見ますと、この女性の場合、背中(背骨)が右側に凸(とつ)
状態に曲がっているかな? という具合に見えます。でもおそらく洋服を着れば、
隠れてしまって、外見からはこの女性が側弯症とは見えないでしょう。

中央写真(背中を曲げた姿勢....フォワードベンディングといいます)ではどうでしょうか? ここで初めて、この側弯が何か、かなりひどい状態になっている、
ということが感覚的に判断できます。
いったい、この患者さんの背骨には何が起こっているのか?

右写真(レントゲン)とも比べて観察してみましょう。
レントゲン写真は、平面しか映してくれませんので、これだけを見るとやはり、
背骨が右カーブしている。という理解だけになってしまいます。
でも、中央写真で感じられた「何かたいへんな状態」とはどういうことなのでしょうか?

 この記事の下段に提示した CT画像 をご覧下さい。
 http://blog.goo.ne.jp/august03/e/cc5b04740bd488ca7fd7f2671e7fcce3

この写真は、身体を輪切りにして撮影する CT(シーティー)と呼ばれる撮影像です
本来は、人間の輪切りですから、丸く映るはずです。しかし、側弯症患者さんの場合は、このようにいびつな映り方をします。それはなぜでしょうか?
そして、その原因が中央写真で感じた「何かたいへんなことが起こっている」と
いう感覚と結びつくことになります。

側弯変形が怖いのは、変形が平面(二次元)で発生しているのではなく、三次元的に
発症している。ということなのです。

手元にタオルを用意して下さい。そのタオルをぐるぐるとねじ回して、脊柱に見立
てて下さい。タオルを縦にして、背骨ができました。

そのタオルの真ん中を指で押して、右側に押し込めば、左写真&右写真(レントゲン)
の状態になります。でも、中央の状態は表出しません。
では、次に、そのねじ巻き状にしたタオルの中央に鉛筆を一本通過させたと想像して下さい。(可能ならば、カッターでタオルに切れ目を入れて鉛筆を通過させる)

この横に通した鉛筆が肋骨を示します。その状態で、タオルをさらにねじると....
当然、鉛筆は、タオルを中心として回旋することになります。肋骨が回旋すると
いう三次元の動きが、CT画像に表出されたいびつな輪切り像になります。
本来のヒトの身体は、CT像上では、左右均等に肺が黒色として現れます。
しかし、このCT像では左右均等ではなく、いびつにねじ曲がっています。つまり
肋骨が形成している肺空間が、三次元的にいびつにつぶれる曲がりをしている、
ということを示しているのです。

それが、ここに添付した中央写真の背中になります。

つまり、側弯変形とは、平面(二次元)上の左右どちらかに凹凸という形でのカーブ
を起こすと同時に、脊柱自体が、「ねじれる」(三次元) という変形とが合体した
カーブを発症させている病気なのです。

この変形カーブを正常な位置に戻すにはどういう「力」を加えればいいのでしょう?

それは、変形が二次元と三次元の組み合わせですから、矯正力も同様に、二次元と
三次元方向からの力(作用)を加えることになります。
側弯治療装具の原理は、すべてこの原理で身体に働きかけることになります。

では、整体の施術とはいったい何でしょうか? ねじれた椎体の接合部分をばらばら
にしてもう一度組み立て直すというのでしょうか? 脊柱は椎体と椎間板とが交互に
積み上げられた積み木細工のようなものですから、もしばらばらにして、もう一度
積み上げるという魔法を使うことができるのなら、そういうことも可能かもしれま
せん。でも、そんなことがヒトの身体のなかで再現できるはずもないことは、冷静
に考えればおわかりになりますね。

整体はしばしば、彼らの得意なセリフとして、「椎体を脱臼させて」などという
魔法の呪文を唱えるようです。脱臼という言葉のイメージから、私たちは、何か
ヒトの身体(骨格)をばらしたり、あるいは「緩めたり」することができて、それか
ら今度は正常な位置に戻すことができるような感覚を抱いてしまいます。
しかし、考えてみて下さい。ヒトの脊柱(椎体、椎間板)は、そのような「脱臼」な
る事象を生じさせ得るものでしょうか? 脊柱には、脊髄/神経根がその複雑な形態の
なかで守られている構造物です。ちょっとやそっとでは破壊されない強度と、そし
て複雑な動きを可能とする柔軟性を備えた構造物です。その柔軟性とは、脊柱全体
を通じた一体化した動きであって、こことここの椎体だけを「脱臼」させて元に
戻しましょう、などというそんな低次元のご都合の良い構造物ではありません。

三次元的に変形した脊柱を戻すために、それ以上の進行を防ぐ為に、側弯装具は
できるだけ23時間着用しましょう。というのが、現時点での治療の基本です。
23時間着用しても、抑えきれずに進行してしまうタイプの側弯も現実に存在します

23時間、ある方向に押し付ける力(作用力)とそれを支える力(反作用力)を必要と
していることです。それで進行を抑えられる率が約80%、それでも抑えられない率が
約20%です。

では、整体は、あなたのお子さんの身体を23時間押さえつけているのでしょうか?
では、整体は、23時間抑えつけるだけの効果をもつ「力」を一度の施術のなかで
あなたのお子さんの身体の体内に残していくのでしょうか?
それがありえない、ということはすでにおわかりいただけると思います。
では、あなたは、お子さんを毎日整体に連れていくのでしょうか?
仮に1時間5000円の“施術”なるものを受けさせるために、毎日、一ヶ月30日、一年
365日通い続けるのでしょうか? それを成長期が終了するまで数年間通い続ける
のでしょうか?

ここではあえてこれらの費用が幾らになるかは記載しませんが、これが、側弯症を
治しますと詠う整体の商売のおいしさなのです。こんなおいしい商売はありません
患者さんは反復して通わざるえないのです。そして、費用がかさみ、やめると言え
ば、せっかくここまで通ってきて、もう少しで効果が現れるのに、いまやめたら
いままでの苦労が水のあわになるから、と説得される。

それでもやめると言えば、効果がでないのは途中でやめた、あなたのせいだ。の
一言ですんでしまう。それまでかかった費用が戻るわけでもない。
お金も戻らず、治療効果もなく、最悪は、その期間中にさらに側弯が進行して
気づいたときには、もう手術するしかない。というところまで進行してしまっている。

側弯症による脊柱変形カーブの分類を下記URLに掲示しましたので、こちらも参照
していただきいと思います。

  「特発性側弯症と装具」
 http://sokuwan.googlepages.com/%E7%89%B9%E7%99%BA%E6%80%A7%E5%81%B4%E5%BC%AF%E7%97%87%E3%81%A8

このページの後半に、側弯カーブのタイプと、そのカーブに対してどこに作用と
反作用の力が加えられるかが写真上に記されていますので、ご覧いただければと
思います。

これまでにご紹介してきました装具について、整理の意味も含めまして、装具の原理とそれぞれの特徴や最新の医学情報を少しづつご紹介していきたいと考えていま
す。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 側弯症 CT画像 | トップ | 日本のそくわん症のこどもを... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

側弯症基礎知識」カテゴリの最新記事