2017年10月26日追記あり(後半太字コメント)
(再掲になりますが)始めにご理解いただきたいこと、として。
❝データ❞というものは取扱が非常に難しいものです。特に医学データの場合は、人間がその対象である為に、個体差・個人差があり、また例えば「装具療法」と言ってもそこには装具のタイプ、装具の製作者の技術、家庭での装具の装着状態などに「差」があります。「体操療法」と言っても、その内容(方法・実施時間・ひとりでやるのか、指導の監視のもとでやるのか等)の「差」があります。対象となる患者さんにおいては、性別、年齢、初潮の有無、骨成熟度、初診時コブ角、回旋の強弱、側弯のタイプ、遺伝的リスクの有無、BMI等、それらのデータが全て網羅されているのか、何があり、何がないのか、というように、どこかに必ず十分とは言えない要素があるものです。しかし、それを突っ込みすぎては前進できなくなります。従いまして、いまここに入手できている❝データ❞を単純化した形で、コメントを書かせていただいておりますこと、ご了承下さい。データとは100%ではありません。しかしゼロでもなく、そこから「見えてくるものはある」という姿勢で書いております。
医学とは科学です。科学は、数値(データ....レントゲン写真やCT,MRIのような画像等の場合もある)、つまり客観性を持つものであり、客観性とは再現性、他者による検証性に耐えられるものを言います。そのデータをもとに、医者同士で討議し、議論し、検証し、そして協力して患者さんの治療にあたるものです。大学の医学部で医学を学び、国家試験を受け、医局で学び、学会で鍛えられ、海外で研修し、外国のドクターからの指導を受けたり、そうやってひとりの医者として成長していきます。病院にあっては、スタッフと協働で患者さんの治療にあたり、それぞれの専門分野、たとえば、看護師、理学療法士、作業療法士、臨床心理士あるいは社会福祉士が患者さんやご家族の相談に乗り、様々な面でのサポートをして患者さんを病気から解放していくことになります。それが医療だと私は思います。
このStep by step側弯症ライブラリーをお読みいただいている皆さんはすでにお分かりのように、私の記述には「側弯整体は絶対に反対」というバイアスがあります。「整体」という仕事をされている方を非難しているのではありません。特発性側弯症をビジネスにしている側弯整体に反対しています。ゆえに、このブログにはすでにバイアスがあります。そういうバイアスがあることを自覚し、医学データ・資料をご紹介するときには、「正確性」には特に注意を払うことに努めているつもりです。もし後日誤りに気づいたときは、訂正し訂正日あるいは追加記載日を書くことに努めています。お読みになられる方の中には、私の記述方法に違和感を持たれる方もおられるかと思いますが、その点は、どうかお許しいただければと願います。私の願いは、側弯症という病気の治療は、「医療機関」で医学のもとでなされるべき。ということを皆さんにご理解いただきたいと、その一点に尽きるものです。
例えば、米国の民間療法者は、次のような「説明」をホームページに掲載しています。ここでは和訳のみを記載します。
してはいけないこと:
・携帯電話でテキストメッセージを作成送信するときは、首を下に向けてやってはダメ。頸椎(中にある脊髄)を刺激することは側弯症の遺伝子の引き金を引くことになる。
・長い時間、競泳してはダメ。脊柱が真っすぐになることは側弯を進行させる原因になる。
・(手術をしていなくても)フットボールをしてはダメ。このようなコンタクトスポーツの刺激は、側弯症遺伝子の引き金になる。
・(おそらく次の意味だと思うのですが、不思議すぎてよくわかりませんでした)
腹ばいで寝てはダメ。腹ばいで寝ることは、側弯症においてはもつともしたはいけない格好である。
・(体操のような)後ろ反り返りはダメ。体育(体操)はダメ。ジャンプすることはダメ。ダンスはダメ。バレエはダメ。
ヨガはダメ。それらはある種の体幹ポジションをとることになり、それは脊椎を回旋させて急激にカーブが進行することになる
・メラトニンは、眠ているときに松果腺から分泌されるホルモンです。これは重要なホルモンなので、夜はいかなる明かりも消してその分泌が妨げられないようにすること。
・長距離を走ってはダメ。脊椎に長時間の刺激を与えることは、側弯の進行を早めるリスクとなる。
・トランポリンをしてはダメ。
・重い荷物を背中に持たせてはダメ
してよいこと:
・医者に経過観察と言われても、待つ必要はない。すぐに側弯エクササイズを始めること。
・ちょうどよい硬さの寝具マットレスを使用すること。
・じっとしていないで、しょっちゆう動き回ること。
・お風呂掃除のような動きは、側弯には良い効果があるので、風呂掃除を手伝わせなさい。
・私が推奨するエクササイズでストレッチをしなさい。
・私が推奨するエクササイズで、筋肉を強化させなさい
・サッカーは側弯には最適なスポーツなので、サッカーをさせなさい。ただしゴールキーパーはダメ。
・ダンスをすることは良い ← 上記でするな、と言ってるのはなに!! (august03の怒り)
・神経伝達物質の不足が側弯症の原因です。私が販売しているサプリメントを摂取させなさい。
私の考案した側弯エクササイズで治ったこどもたちの写真がこれらです。この子たちのブログも参照ください。
(上記顔写真はaugsut03がマスクしました)
このような民間業者のホームページがインターネット上には氾濫しています。米国内の法律規制がどうなっているのかわかりませんが、自由の国アメリカ、自己責任の国アメリカ、ということなのかもしれません。
最近このstep by stepをご覧になられている方は当然ご存知ないわけですが、私がブログを始めた10年前は、インターネットがこれから広がろうとしていた頃でしたが、上記と同類の内容が側弯整体のホームページには山のように掲載されていました。私も側弯症を勉強し始めたばかりでしたが、他分野の医学のことは学んできていますので、いかにその記載内容がデタラメか、ということは一目見て分かりました。その頃は、フェイクニュースとかの概念はありませんでしたし、ネツト上にサクラがいるというようなことは誰も考えていなかったと思います。側弯症掲示板の書き込みによって、心配が解消できた方もいたと思いますが、掲示板の書き込みを読んで洗脳された方も大勢いたと思います。
「手術は危険」「手術はすごく痛い」「整形外科はこどもを放置するだけで何もしてくれない」「手術なんてしなくても、〇〇整体にいけば治るよ」「わたしも〇〇整体で治してもらいました」etc etc
日本も自由の国です。でも、米国のような環境にしても良いのでしょうか? 自由の国なんだから、何を広告しても自由? 自己責任の国なのだから気にするほうがおかしい?
私にはこのような状況がいたたまれません。
視点を変えて、「お子さんが側弯症と診断されたご両親の気持ち」について考察させて下さい。
私は側弯症を巡る民間療法というのは、ガンを巡る民間療法に似ていると感じてしまいます。どこか「根っこ」が同じ、あるいは似ているような。
下記は、日経goodayの記事から一部抜粋させていただいたものです。記事本体は、リンクをクリックして全文をお読みいただければと思います。
「がん治療、絶対治るは絶対信用できない」
...その言葉は、ある日不意に言い渡される――「がん」。耳にした瞬間、多くの人は「死」を初めて実感し、自分の「命」を改めて認識するようになるという。
...混乱する原因は周りからどんどん集まる情報
...がん治療の最中、民間療法や代替療法をやってみたいと希望される患者さんも出てきます。しかし、民間療法でがんが治ったとされるケースの多くは、そもそもがんでなかったものをがんだとして治療をしたり
...それでも民間療法に人気があるのは、時に奇跡のようなことが起こるからです。私自身にも経験がありますが、がん細胞の中には、何の治療を受けなくても、自然に縮小したり、消えてしまったりするものもあります。余命6カ月と言われたのに、がん細胞が突然小さくなり治ってしまうようなケースを、医学的には「自然退縮」と呼び、6万~10万人に1人の確率で起こるといわれています。もしも、この患者さんが頼みの綱として民間療法を行っていれば、「〇〇療法でがんが消えた」ということになります。というわけで、それが治療の成果だったのか、自然退縮だったのか、それとも本当にがんだったかが分からないために、非常に誤解を生みやすいのです。
...がん患者特有の心理 : ここで、1つ例を挙げましょう。主治医から治癒率70%の治療法Aを示されたとします。一方、治療法Bなら治癒率は85%になるけれども非常に強い副作用がある。どうしようか迷っているところに、民間療法Cを誰かに勧められたとします、その民間療法が「絶対に治る」「みるみるよくなる」などと噂になっていたら、心引かれてしまう…。引用:(まとめ:平林理恵=ライター)森山紀之先生(東京ミッドタウンクリニック健診センター長)より
これは、民間療法者から引用したものです。
これと同様のことを皆さんは国内の民間療法者から言われると思います。
上記文章をお読みいただいたとき、今この瞬間、何を考えられたでしょうか?
これは理屈として成立しています。
理屈として成立しているがゆえに、「感情で考えている」ご両親には、納得のいく話だと思います。
可愛い我が子のために、黙って無為な時間を過ごすなんて耐えられない。
それが親ごころです。
何かをしてあげたい、何かをしてあげなくては、申し訳ない
そう考えるのが親ごころです。
側弯体操をすれば「治りますよ」と言われたら、
そうか体操で治るんだったら、やらせよう。と誰しもが考えます。
だって、体操です。それで治るなら目っけものです。仮に効果がなかったとしても、ダメもとです。
体操だったら、副作用があるわけでもないし。
身体を鍛えるのは悪いことではないじゃないか。
誰しもがそう考えます。子を持つ親御さんでしたら、当然です。
そう思っている心理は、「感情」ですから、誰にも反論はできません。
反論してはいけない性質のことですから。
私august03も、親御さんのその感情に反論はできません。
私にできることは、思春期特発性側弯症に対する「側弯体操(エクササイズ)」というものの、医学の世界における位置づけ、あるいはその歴史、またそのデータ・資料をご提供することだけとなります。
多少の説明は加えさせていただきますが、それらをご覧になって、どう判断されるかは、親御さんあるいはお子さん自身かと.....
下記の資料はタイトルをキーワードとしてグーグル検索する、あるいはリンクをクリックしていただけますと根拠資料に辿り着くことができます。
◇ SOSORT (The International Scientific Society on Scoliosis Orthopaedic and Rehabilitation Treatment)
・SOSORTは、2004年に設立された側弯症治療に対して保存療法(体操や装具)を中心として治療することを実践、研究している国際組織です。主にヨーロッパの国々を中心として、米国、日本、アジアの国からも大勢のドクターが参加されておられるようです。毎年、国際大会(研究発表)が開かれ、研究内容を共有し、また同組織が専門誌も発行し参加医師の研究成果を報告しているとともに、各先生がたは個人あるいはグループで、側弯症に関する様々な方面からの成果を、世界的に権威のある脊椎外科専門誌に発表されています。
SOSORTの文献を読むことで、側弯エクササイズや各種新しい装具の治療成績の状況等を勉強することができます。 タイトルをクリックしていただけますとホームページにリンクしていますので、ご覧いただくと様子がご理解していただけると思います。
◇2008年 The treatment of adolescent idiopathic scoliosis (AIS) according to present evidence. A systematic review.
・これはSOSORTメンバーの方の報告ですが、2008年時点では、側弯症に対する保存療法の有効性を証明するエビデンスとしては、症例数は少なく、またフォロー期間も短すぎる。ランダマイズ試験の実施が期待される。というような今後の課題がどこにあるかの報告。
◇2012年 Exercises for adolescent idiopathic scoliosis
・SOSORTメンバーによる体操療法の文献報告のレビュー。
・結果 There is a lack of high quality evidence to recommend the use of SSE for AIS. One very low quality study suggested that these exercises may be more effective than electrostimulation, traction and postural training to avoid scoliosis progression, but better quality research needs to be conducted before the use of SSE can be recommended in clinical practice.
エビデンスが少なすぎる。エビデンスレベルの高い臨床試験の実施が必要である。
◇2016年 Postural Rehabilitation for Adolescent Idiopathic Scoliosis during Growth (SOSORTメンバー)
・SOSORTメンバーの先生がたの共同発表
・思春期特発性側弯症患者に対する体操療法として、世界のなかの主流である7つの療法の特徴を紹介するとともに、体操療法の有効性を示す根拠(エビデンスデータ)について、文献レビューを実施
・数多くの報告の中で「Schroth scoliosis exercise」が唯一レベル 1 (新しい診断検査とgold standardとされる検査とを同時に行い、ブラインド(他方の検査結果を知らせない)で検査の特性(感度と特異度、ROC曲線)を評価)に該当する試験を実施していた。
(コメントby august03)
医学を考えるとき、そこには「EBM: evidence-based medicine根拠に基づく医療」が求められることは、皆さんご存知だと思います。
医学データには、幾つかの区分があり、その中の試験方法(レベル1~6 or 7)のうちのレベル1に該当する試験として認められるものはSchroth scolosis execiseだけであった、ということ。
◇2017年 13th International Conference on Conservative Management of Spinal Deformities and First Joint Meeting of the International Research Society on Spinal Deformities and the Society on Scoliosis Orthopaedic and Rehabilitation Treatment – SOSORT-IRSSD 2016 meeting
・SOSORTの2016年会議報告が網羅されています。
・リンクを貼りましたので、クリックしてご覧ください。私august03の短絡的な感想になってしまいますが、これが患者に責任を持つ方々の実施していること。というのがよくご理解いただけると思います。
下記に、そのSchroth シュロス法の資料を写真の提示によりご紹介しました。
また日本運動器徒手理学療法学会のホームページにシュロス法の歴史についてご説明がありますので、参考にされて下さい。 写真をご覧になるとお気づきになられるように、この体操の開発は歴史的に古いもので1920年代に遡るようです。
◇2011年 The method of Katharine Schroth- history, principles and current development.
◇2016年 Physiotherapy scoliosis-specific exercises – a comprehensive review of seven major schools
・SOSORTメンバーのかたの、Schrothシュロス法を実施している様子の報告です。
・リンクを貼りましたので、クリックしてご覧ください。 より視覚的にどういう体操であるかのイメージはこちらを見ることでつかめると思います。
グーグル検索をしていますと、このシュロス法というのがもっともヒットしてきました。
このSchrothシュロス法を用いた体操により思春期特発性側弯症患者の治療成績を写真付きで報告しているサイトがありました。リンクを貼りましたので、クリックしてご覧ください。
こちらのSchroth Best Prctice Academyのサイトからは、日本国内でシュロス法を実施している施設名を知ることもできました。
リンクを貼りましたので、クリックしてご覧ください。
例えば、グーグル検索 Scoliosis Excecise で検索しますと、側弯体操は、「側弯整体」の専売特許ではなく、たくさんあることがわかります。
◇2017年 Effectiveness of Schroth exercises during bracing in adolescent idiopathic scoliosis: results from a preliminary study-SOSORT Award 2017 Winner.
・SOSORT賞を受賞したメンバーによる、装具を併用したSchroth法の成績についての報告。
・RESULTS:
Twenty-four patients (5 males and 19 females, mean age 12.3 ± 1.4 years) were included in the exercise group, and 24 patients (mean age 11.8 ± 1.1 years) were matched in the control group. The mean follow-up period for the exercise group was 18.1 ± 6.2 months. In the exercise group, spinal deformity improved in 17% of patients (Cobb angle improvement of ≥ 6°), worsened in 21% (Cobb angle increases of ≥ 6°), and remained stable in 62%. In the control group, 4% improved, 50% worsened, and 46% remained stable. In the subgroup analysis, 31% of patients who were compliant (13 cases) improved, 69% remained static, and none had worsened, while in the non-compliant group (11 cases), none had improved, 46% worsened, and 46% remained stable. Analysis of the secondary outcomes showed improvement of the truncal shift, angle of trunk rotation, the SRS function domain, and total scores in favor of the exercise group.
CONCLUSION:
This is the first study to investigate the effects of Schroth exercises on AIS patients during bracing. Our findings from this preliminary study showed that Schroth exercise during bracing was superior to bracing alone in improving Cobb angles, trunk rotation, and QOL scores. Furthermore, those who were compliant with the exercise program had a higher rate of Cobb angle improvement. The results of this study form the basis for a randomized controlled trial to evaluate the effect of Schroth exercises during bracing in AIS.
・24患者 (男子5名、女子19名) 平均年齢は12歳に対して体操療法実施
・これとは別のこのグループの対称者24患者 平均年齢は同じ。
・体操療法グループは平均18カ月間、体操を行った。
結果 6°を超えるコブ角の減少は17%
6°を超えるコブ角の増悪は21%
変化なしが 62%
・装具療法のみのグループでは
結果 6°を超えるコブ角の減少は4%
6°を超えるコブ角の増悪は50%
変化なしが 46%
・これは思春期特発性側弯症患者に対して、装具併用でのSchroth法を用いての初めての調査結果である。装具併用Schroth法は、装具のみのグループよりも成績は優れていた。
(コメントby august03)
・Schrothシュロス法の評価は差し控えさせていただきます。
・ただし、私の検索しえた範囲では、SOSORTメンバーの先生自身が発表されているように、❝側弯体操❞は、1930年代から欧州を中心に現代にいたるまで実施されてきていますが、その有効性を証明した医学データはまだありませんでした。
・上記2017年の研究も、患者数はその対象者も含めてわずか48名であり、しかも、体操療法は装具との併用であって、体操単独のものではありません。体操+装具グループと、装具グループとの比較においても、両者にほとんど差はない。というのがこのデータから見えてくるものだと思います。
ここで再び下出先生の書籍より一部引用させていただきます。
(page121~123)体操療法とは何か
脊柱側弯症(せきちゅうそくわん)に対しては、古来いろいろな種類の治療体操が考案されています。ぶら下がり体操や背骨の側彎とは逆の方向に背骨を曲げる体操などのように曲がった背骨を他動的に矯正しようというもの (中略) それらのどのような体操も、体操中は側弯変形が十分に矯正される効果があることは証明されています。しかし、残念ながらその矯正効果は恒久的に維持されるものではなく、あくまでも体操中だけの効果で、本当の矯正効果が証明された体操はありません。また側弯変形の悪化をくい止める効果を証明された体操もありません。真の治療効果が期待できる脊柱側弯症の治療体操はないというのが現状です。(中略) 治療体操のもうひとつの大きな問題は体操自体が楽しいものではなく、脊柱側弯症のこども本人の受け入れが悪いことです。自分から進んで体操をつづけようという気になる子がほとんどいません。親はなんとか毎日体操をさせようとするのですが、本人はなかなかその気になれず、親子ケンカの種になるだけで終わることも多いのです。(中略) 他動的に側弯を矯正する方向に体を曲げたり体全体を引っ張って側弯変形を矯正したりするのは、曲がった形で背骨のまわりの筋肉がかたくなるのを防ぐストレッチの効果があります。また自分の筋力で側弯変形を矯正しようとすることは背筋や腹筋が鍛えられる効果があります。このように体操によって側弯変形自体をなおす効果は期待できなくても、体幹の機能を向上させる効果は十分に期待できます。(中略) そこで筆者らは患者さん本人が好きな運動やスポーツを見つけ、それを続けるように指導しています。(中略) それは体全体の発達健康のためにも非常にたいせつなことです。(中略) スポーツの種類にこだわる必要はありません。もちろん脊柱側弯という背骨の変形にもこだわる必要はありません。本人が興味をもち長く続けることが大切なのです。
(page159)......背骨の変形とは関係なく、というより変形があればなおさら体幹筋を鍛えることが重要になってきます。そのためには、興味のもてるスポーツをみつけ、楽しく息長くつづけることが望ましく、それが体幹筋を鍛えすぐれた機能をもった背骨を獲得するコツとなりましょう。(後略)
以上が私august03が調べることができた思春期特発性側弯症患者に対しての体操療法のエビデンスになります。
とある側弯整体師は次のように述べていました。
ヒトには自然治癒力がある。それを引き出すのが側弯エクササイズである。
一生続ければ側弯で悩むことはない。
途中で投げ出す人はそれなりの結果しか得られない。
他人に依存してもこの病気は治らない。
治すのは本人次第である。
整形外科医はレントゲン写真を取り上げて貴方にこう言いました。
(お子さんの背骨には)20°のカープがありますが、現時点では何もする必要はありません。
この説明に対して、(貴方の本能はこうつぶやいています)納得がいかない ……と。
なぜなら、待つなんて馬鹿げているからです。
すぐに何かの手をうつこと、そして神経-筋肉の訓練をすることが、どうして子どもにとって恩恵にならないことがあるでしょう。
たとえそれが10°以下のカーブであったとしてもです。すぐに始めることが、背中のカーブを減少させ、そして側弯症の進行を食い止めるのです。
(コメントby august03)
私にも娘がおりますが、大きな病気を患ったことなく育ちました。ですから、私には患者さんを前にしておられる皆さんの気持ちは、想像することしかできません。藁にもすがる思い、そういう切羽詰まった気持はいくら想像してみても、おそらく本物ではないと思います。
私には、皆さんのお子さんを治す力はありません。そういう私がこのようなブログを書くことも、ある意味、本筋ではないのかもしれませんし、このような情報発信などしなくてすむ社会というものが、本当はあるべき姿なのだと思います。
でも、オカシイと思うことを誰かがそのように口にだして言わなければ、その「オカシナ」ことが正しいものとして社会に通用し、患者さんもそして患者のご両親も、それを正しいものとして受け入れてしまう。それは社会のあるべき姿とは思えません。
august03
☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?
(再掲になりますが)始めにご理解いただきたいこと、として。
❝データ❞というものは取扱が非常に難しいものです。特に医学データの場合は、人間がその対象である為に、個体差・個人差があり、また例えば「装具療法」と言ってもそこには装具のタイプ、装具の製作者の技術、家庭での装具の装着状態などに「差」があります。「体操療法」と言っても、その内容(方法・実施時間・ひとりでやるのか、指導の監視のもとでやるのか等)の「差」があります。対象となる患者さんにおいては、性別、年齢、初潮の有無、骨成熟度、初診時コブ角、回旋の強弱、側弯のタイプ、遺伝的リスクの有無、BMI等、それらのデータが全て網羅されているのか、何があり、何がないのか、というように、どこかに必ず十分とは言えない要素があるものです。しかし、それを突っ込みすぎては前進できなくなります。従いまして、いまここに入手できている❝データ❞を単純化した形で、コメントを書かせていただいておりますこと、ご了承下さい。データとは100%ではありません。しかしゼロでもなく、そこから「見えてくるものはある」という姿勢で書いております。
医学とは科学です。科学は、数値(データ....レントゲン写真やCT,MRIのような画像等の場合もある)、つまり客観性を持つものであり、客観性とは再現性、他者による検証性に耐えられるものを言います。そのデータをもとに、医者同士で討議し、議論し、検証し、そして協力して患者さんの治療にあたるものです。大学の医学部で医学を学び、国家試験を受け、医局で学び、学会で鍛えられ、海外で研修し、外国のドクターからの指導を受けたり、そうやってひとりの医者として成長していきます。病院にあっては、スタッフと協働で患者さんの治療にあたり、それぞれの専門分野、たとえば、看護師、理学療法士、作業療法士、臨床心理士あるいは社会福祉士が患者さんやご家族の相談に乗り、様々な面でのサポートをして患者さんを病気から解放していくことになります。それが医療だと私は思います。
このStep by step側弯症ライブラリーをお読みいただいている皆さんはすでにお分かりのように、私の記述には「側弯整体は絶対に反対」というバイアスがあります。「整体」という仕事をされている方を非難しているのではありません。特発性側弯症をビジネスにしている側弯整体に反対しています。ゆえに、このブログにはすでにバイアスがあります。そういうバイアスがあることを自覚し、医学データ・資料をご紹介するときには、「正確性」には特に注意を払うことに努めているつもりです。もし後日誤りに気づいたときは、訂正し訂正日あるいは追加記載日を書くことに努めています。お読みになられる方の中には、私の記述方法に違和感を持たれる方もおられるかと思いますが、その点は、どうかお許しいただければと願います。私の願いは、側弯症という病気の治療は、「医療機関」で医学のもとでなされるべき。ということを皆さんにご理解いただきたいと、その一点に尽きるものです。
例えば、米国の民間療法者は、次のような「説明」をホームページに掲載しています。ここでは和訳のみを記載します。
してはいけないこと:
・携帯電話でテキストメッセージを作成送信するときは、首を下に向けてやってはダメ。頸椎(中にある脊髄)を刺激することは側弯症の遺伝子の引き金を引くことになる。
・長い時間、競泳してはダメ。脊柱が真っすぐになることは側弯を進行させる原因になる。
・(手術をしていなくても)フットボールをしてはダメ。このようなコンタクトスポーツの刺激は、側弯症遺伝子の引き金になる。
・(おそらく次の意味だと思うのですが、不思議すぎてよくわかりませんでした)
腹ばいで寝てはダメ。腹ばいで寝ることは、側弯症においてはもつともしたはいけない格好である。
・(体操のような)後ろ反り返りはダメ。体育(体操)はダメ。ジャンプすることはダメ。ダンスはダメ。バレエはダメ。
ヨガはダメ。それらはある種の体幹ポジションをとることになり、それは脊椎を回旋させて急激にカーブが進行することになる
・メラトニンは、眠ているときに松果腺から分泌されるホルモンです。これは重要なホルモンなので、夜はいかなる明かりも消してその分泌が妨げられないようにすること。
・長距離を走ってはダメ。脊椎に長時間の刺激を与えることは、側弯の進行を早めるリスクとなる。
・トランポリンをしてはダメ。
・重い荷物を背中に持たせてはダメ
してよいこと:
・医者に経過観察と言われても、待つ必要はない。すぐに側弯エクササイズを始めること。
・ちょうどよい硬さの寝具マットレスを使用すること。
・じっとしていないで、しょっちゆう動き回ること。
・お風呂掃除のような動きは、側弯には良い効果があるので、風呂掃除を手伝わせなさい。
・私が推奨するエクササイズでストレッチをしなさい。
・私が推奨するエクササイズで、筋肉を強化させなさい
・サッカーは側弯には最適なスポーツなので、サッカーをさせなさい。ただしゴールキーパーはダメ。
・ダンスをすることは良い ← 上記でするな、と言ってるのはなに!! (august03の怒り)
・神経伝達物質の不足が側弯症の原因です。私が販売しているサプリメントを摂取させなさい。
私の考案した側弯エクササイズで治ったこどもたちの写真がこれらです。この子たちのブログも参照ください。
(上記顔写真はaugsut03がマスクしました)
このような民間業者のホームページがインターネット上には氾濫しています。米国内の法律規制がどうなっているのかわかりませんが、自由の国アメリカ、自己責任の国アメリカ、ということなのかもしれません。
最近このstep by stepをご覧になられている方は当然ご存知ないわけですが、私がブログを始めた10年前は、インターネットがこれから広がろうとしていた頃でしたが、上記と同類の内容が側弯整体のホームページには山のように掲載されていました。私も側弯症を勉強し始めたばかりでしたが、他分野の医学のことは学んできていますので、いかにその記載内容がデタラメか、ということは一目見て分かりました。その頃は、フェイクニュースとかの概念はありませんでしたし、ネツト上にサクラがいるというようなことは誰も考えていなかったと思います。側弯症掲示板の書き込みによって、心配が解消できた方もいたと思いますが、掲示板の書き込みを読んで洗脳された方も大勢いたと思います。
「手術は危険」「手術はすごく痛い」「整形外科はこどもを放置するだけで何もしてくれない」「手術なんてしなくても、〇〇整体にいけば治るよ」「わたしも〇〇整体で治してもらいました」etc etc
日本も自由の国です。でも、米国のような環境にしても良いのでしょうか? 自由の国なんだから、何を広告しても自由? 自己責任の国なのだから気にするほうがおかしい?
私にはこのような状況がいたたまれません。
視点を変えて、「お子さんが側弯症と診断されたご両親の気持ち」について考察させて下さい。
私は側弯症を巡る民間療法というのは、ガンを巡る民間療法に似ていると感じてしまいます。どこか「根っこ」が同じ、あるいは似ているような。
下記は、日経goodayの記事から一部抜粋させていただいたものです。記事本体は、リンクをクリックして全文をお読みいただければと思います。
「がん治療、絶対治るは絶対信用できない」
...その言葉は、ある日不意に言い渡される――「がん」。耳にした瞬間、多くの人は「死」を初めて実感し、自分の「命」を改めて認識するようになるという。
...混乱する原因は周りからどんどん集まる情報
...がん治療の最中、民間療法や代替療法をやってみたいと希望される患者さんも出てきます。しかし、民間療法でがんが治ったとされるケースの多くは、そもそもがんでなかったものをがんだとして治療をしたり
...それでも民間療法に人気があるのは、時に奇跡のようなことが起こるからです。私自身にも経験がありますが、がん細胞の中には、何の治療を受けなくても、自然に縮小したり、消えてしまったりするものもあります。余命6カ月と言われたのに、がん細胞が突然小さくなり治ってしまうようなケースを、医学的には「自然退縮」と呼び、6万~10万人に1人の確率で起こるといわれています。もしも、この患者さんが頼みの綱として民間療法を行っていれば、「〇〇療法でがんが消えた」ということになります。というわけで、それが治療の成果だったのか、自然退縮だったのか、それとも本当にがんだったかが分からないために、非常に誤解を生みやすいのです。
...がん患者特有の心理 : ここで、1つ例を挙げましょう。主治医から治癒率70%の治療法Aを示されたとします。一方、治療法Bなら治癒率は85%になるけれども非常に強い副作用がある。どうしようか迷っているところに、民間療法Cを誰かに勧められたとします、その民間療法が「絶対に治る」「みるみるよくなる」などと噂になっていたら、心引かれてしまう…。引用:(まとめ:平林理恵=ライター)森山紀之先生(東京ミッドタウンクリニック健診センター長)より
これは、民間療法者から引用したものです。
これと同様のことを皆さんは国内の民間療法者から言われると思います。
上記文章をお読みいただいたとき、今この瞬間、何を考えられたでしょうか?
これは理屈として成立しています。
理屈として成立しているがゆえに、「感情で考えている」ご両親には、納得のいく話だと思います。
可愛い我が子のために、黙って無為な時間を過ごすなんて耐えられない。
それが親ごころです。
何かをしてあげたい、何かをしてあげなくては、申し訳ない
そう考えるのが親ごころです。
側弯体操をすれば「治りますよ」と言われたら、
そうか体操で治るんだったら、やらせよう。と誰しもが考えます。
だって、体操です。それで治るなら目っけものです。仮に効果がなかったとしても、ダメもとです。
体操だったら、副作用があるわけでもないし。
身体を鍛えるのは悪いことではないじゃないか。
誰しもがそう考えます。子を持つ親御さんでしたら、当然です。
そう思っている心理は、「感情」ですから、誰にも反論はできません。
反論してはいけない性質のことですから。
私august03も、親御さんのその感情に反論はできません。
私にできることは、思春期特発性側弯症に対する「側弯体操(エクササイズ)」というものの、医学の世界における位置づけ、あるいはその歴史、またそのデータ・資料をご提供することだけとなります。
多少の説明は加えさせていただきますが、それらをご覧になって、どう判断されるかは、親御さんあるいはお子さん自身かと.....
下記の資料はタイトルをキーワードとしてグーグル検索する、あるいはリンクをクリックしていただけますと根拠資料に辿り着くことができます。
◇ SOSORT (The International Scientific Society on Scoliosis Orthopaedic and Rehabilitation Treatment)
・SOSORTは、2004年に設立された側弯症治療に対して保存療法(体操や装具)を中心として治療することを実践、研究している国際組織です。主にヨーロッパの国々を中心として、米国、日本、アジアの国からも大勢のドクターが参加されておられるようです。毎年、国際大会(研究発表)が開かれ、研究内容を共有し、また同組織が専門誌も発行し参加医師の研究成果を報告しているとともに、各先生がたは個人あるいはグループで、側弯症に関する様々な方面からの成果を、世界的に権威のある脊椎外科専門誌に発表されています。
SOSORTの文献を読むことで、側弯エクササイズや各種新しい装具の治療成績の状況等を勉強することができます。 タイトルをクリックしていただけますとホームページにリンクしていますので、ご覧いただくと様子がご理解していただけると思います。
◇2008年 The treatment of adolescent idiopathic scoliosis (AIS) according to present evidence. A systematic review.
・これはSOSORTメンバーの方の報告ですが、2008年時点では、側弯症に対する保存療法の有効性を証明するエビデンスとしては、症例数は少なく、またフォロー期間も短すぎる。ランダマイズ試験の実施が期待される。というような今後の課題がどこにあるかの報告。
◇2012年 Exercises for adolescent idiopathic scoliosis
・SOSORTメンバーによる体操療法の文献報告のレビュー。
・結果 There is a lack of high quality evidence to recommend the use of SSE for AIS. One very low quality study suggested that these exercises may be more effective than electrostimulation, traction and postural training to avoid scoliosis progression, but better quality research needs to be conducted before the use of SSE can be recommended in clinical practice.
エビデンスが少なすぎる。エビデンスレベルの高い臨床試験の実施が必要である。
◇2016年 Postural Rehabilitation for Adolescent Idiopathic Scoliosis during Growth (SOSORTメンバー)
・SOSORTメンバーの先生がたの共同発表
・思春期特発性側弯症患者に対する体操療法として、世界のなかの主流である7つの療法の特徴を紹介するとともに、体操療法の有効性を示す根拠(エビデンスデータ)について、文献レビューを実施
・数多くの報告の中で「Schroth scoliosis exercise」が唯一レベル 1 (新しい診断検査とgold standardとされる検査とを同時に行い、ブラインド(他方の検査結果を知らせない)で検査の特性(感度と特異度、ROC曲線)を評価)に該当する試験を実施していた。
(コメントby august03)
医学を考えるとき、そこには「EBM: evidence-based medicine根拠に基づく医療」が求められることは、皆さんご存知だと思います。
医学データには、幾つかの区分があり、その中の試験方法(レベル1~6 or 7)のうちのレベル1に該当する試験として認められるものはSchroth scolosis execiseだけであった、ということ。
◇2017年 13th International Conference on Conservative Management of Spinal Deformities and First Joint Meeting of the International Research Society on Spinal Deformities and the Society on Scoliosis Orthopaedic and Rehabilitation Treatment – SOSORT-IRSSD 2016 meeting
・SOSORTの2016年会議報告が網羅されています。
・リンクを貼りましたので、クリックしてご覧ください。私august03の短絡的な感想になってしまいますが、これが患者に責任を持つ方々の実施していること。というのがよくご理解いただけると思います。
下記に、そのSchroth シュロス法の資料を写真の提示によりご紹介しました。
また日本運動器徒手理学療法学会のホームページにシュロス法の歴史についてご説明がありますので、参考にされて下さい。 写真をご覧になるとお気づきになられるように、この体操の開発は歴史的に古いもので1920年代に遡るようです。
◇2011年 The method of Katharine Schroth- history, principles and current development.
◇2016年 Physiotherapy scoliosis-specific exercises – a comprehensive review of seven major schools
・SOSORTメンバーのかたの、Schrothシュロス法を実施している様子の報告です。
・リンクを貼りましたので、クリックしてご覧ください。 より視覚的にどういう体操であるかのイメージはこちらを見ることでつかめると思います。
グーグル検索をしていますと、このシュロス法というのがもっともヒットしてきました。
このSchrothシュロス法を用いた体操により思春期特発性側弯症患者の治療成績を写真付きで報告しているサイトがありました。リンクを貼りましたので、クリックしてご覧ください。
こちらのSchroth Best Prctice Academyのサイトからは、日本国内でシュロス法を実施している施設名を知ることもできました。
リンクを貼りましたので、クリックしてご覧ください。
例えば、グーグル検索 Scoliosis Excecise で検索しますと、側弯体操は、「側弯整体」の専売特許ではなく、たくさんあることがわかります。
◇2017年 Effectiveness of Schroth exercises during bracing in adolescent idiopathic scoliosis: results from a preliminary study-SOSORT Award 2017 Winner.
・SOSORT賞を受賞したメンバーによる、装具を併用したSchroth法の成績についての報告。
・RESULTS:
Twenty-four patients (5 males and 19 females, mean age 12.3 ± 1.4 years) were included in the exercise group, and 24 patients (mean age 11.8 ± 1.1 years) were matched in the control group. The mean follow-up period for the exercise group was 18.1 ± 6.2 months. In the exercise group, spinal deformity improved in 17% of patients (Cobb angle improvement of ≥ 6°), worsened in 21% (Cobb angle increases of ≥ 6°), and remained stable in 62%. In the control group, 4% improved, 50% worsened, and 46% remained stable. In the subgroup analysis, 31% of patients who were compliant (13 cases) improved, 69% remained static, and none had worsened, while in the non-compliant group (11 cases), none had improved, 46% worsened, and 46% remained stable. Analysis of the secondary outcomes showed improvement of the truncal shift, angle of trunk rotation, the SRS function domain, and total scores in favor of the exercise group.
CONCLUSION:
This is the first study to investigate the effects of Schroth exercises on AIS patients during bracing. Our findings from this preliminary study showed that Schroth exercise during bracing was superior to bracing alone in improving Cobb angles, trunk rotation, and QOL scores. Furthermore, those who were compliant with the exercise program had a higher rate of Cobb angle improvement. The results of this study form the basis for a randomized controlled trial to evaluate the effect of Schroth exercises during bracing in AIS.
・24患者 (男子5名、女子19名) 平均年齢は12歳に対して体操療法実施
・これとは別のこのグループの対称者24患者 平均年齢は同じ。
・体操療法グループは平均18カ月間、体操を行った。
結果 6°を超えるコブ角の減少は17%
6°を超えるコブ角の増悪は21%
変化なしが 62%
・装具療法のみのグループでは
結果 6°を超えるコブ角の減少は4%
6°を超えるコブ角の増悪は50%
変化なしが 46%
・これは思春期特発性側弯症患者に対して、装具併用でのSchroth法を用いての初めての調査結果である。装具併用Schroth法は、装具のみのグループよりも成績は優れていた。
(コメントby august03)
・Schrothシュロス法の評価は差し控えさせていただきます。
・ただし、私の検索しえた範囲では、SOSORTメンバーの先生自身が発表されているように、❝側弯体操❞は、1930年代から欧州を中心に現代にいたるまで実施されてきていますが、その有効性を証明した医学データはまだありませんでした。
・上記2017年の研究も、患者数はその対象者も含めてわずか48名であり、しかも、体操療法は装具との併用であって、体操単独のものではありません。体操+装具グループと、装具グループとの比較においても、両者にほとんど差はない。というのがこのデータから見えてくるものだと思います。
ここで再び下出先生の書籍より一部引用させていただきます。
(page121~123)体操療法とは何か
脊柱側弯症(せきちゅうそくわん)に対しては、古来いろいろな種類の治療体操が考案されています。ぶら下がり体操や背骨の側彎とは逆の方向に背骨を曲げる体操などのように曲がった背骨を他動的に矯正しようというもの (中略) それらのどのような体操も、体操中は側弯変形が十分に矯正される効果があることは証明されています。しかし、残念ながらその矯正効果は恒久的に維持されるものではなく、あくまでも体操中だけの効果で、本当の矯正効果が証明された体操はありません。また側弯変形の悪化をくい止める効果を証明された体操もありません。真の治療効果が期待できる脊柱側弯症の治療体操はないというのが現状です。(中略) 治療体操のもうひとつの大きな問題は体操自体が楽しいものではなく、脊柱側弯症のこども本人の受け入れが悪いことです。自分から進んで体操をつづけようという気になる子がほとんどいません。親はなんとか毎日体操をさせようとするのですが、本人はなかなかその気になれず、親子ケンカの種になるだけで終わることも多いのです。(中略) 他動的に側弯を矯正する方向に体を曲げたり体全体を引っ張って側弯変形を矯正したりするのは、曲がった形で背骨のまわりの筋肉がかたくなるのを防ぐストレッチの効果があります。また自分の筋力で側弯変形を矯正しようとすることは背筋や腹筋が鍛えられる効果があります。このように体操によって側弯変形自体をなおす効果は期待できなくても、体幹の機能を向上させる効果は十分に期待できます。(中略) そこで筆者らは患者さん本人が好きな運動やスポーツを見つけ、それを続けるように指導しています。(中略) それは体全体の発達健康のためにも非常にたいせつなことです。(中略) スポーツの種類にこだわる必要はありません。もちろん脊柱側弯という背骨の変形にもこだわる必要はありません。本人が興味をもち長く続けることが大切なのです。
(page159)......背骨の変形とは関係なく、というより変形があればなおさら体幹筋を鍛えることが重要になってきます。そのためには、興味のもてるスポーツをみつけ、楽しく息長くつづけることが望ましく、それが体幹筋を鍛えすぐれた機能をもった背骨を獲得するコツとなりましょう。(後略)
以上が私august03が調べることができた思春期特発性側弯症患者に対しての体操療法のエビデンスになります。
とある側弯整体師は次のように述べていました。
ヒトには自然治癒力がある。それを引き出すのが側弯エクササイズである。
一生続ければ側弯で悩むことはない。
途中で投げ出す人はそれなりの結果しか得られない。
他人に依存してもこの病気は治らない。
治すのは本人次第である。
整形外科医はレントゲン写真を取り上げて貴方にこう言いました。
(お子さんの背骨には)20°のカープがありますが、現時点では何もする必要はありません。
この説明に対して、(貴方の本能はこうつぶやいています)納得がいかない ……と。
なぜなら、待つなんて馬鹿げているからです。
すぐに何かの手をうつこと、そして神経-筋肉の訓練をすることが、どうして子どもにとって恩恵にならないことがあるでしょう。
たとえそれが10°以下のカーブであったとしてもです。すぐに始めることが、背中のカーブを減少させ、そして側弯症の進行を食い止めるのです。
(コメントby august03)
私にも娘がおりますが、大きな病気を患ったことなく育ちました。ですから、私には患者さんを前にしておられる皆さんの気持ちは、想像することしかできません。藁にもすがる思い、そういう切羽詰まった気持はいくら想像してみても、おそらく本物ではないと思います。
私には、皆さんのお子さんを治す力はありません。そういう私がこのようなブログを書くことも、ある意味、本筋ではないのかもしれませんし、このような情報発信などしなくてすむ社会というものが、本当はあるべき姿なのだと思います。
でも、オカシイと思うことを誰かがそのように口にだして言わなければ、その「オカシナ」ことが正しいものとして社会に通用し、患者さんもそして患者のご両親も、それを正しいものとして受け入れてしまう。それは社会のあるべき姿とは思えません。
august03
☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?