美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

美容整形大国から美容医療先進国へ?

2011-12-17 17:43:57 | Weblog

10年ほど前に知人に、当時韓国で有名な占いの先生のところに案内されたことがあります。韓国は実は占い大国でもあり、特に四柱推命という占法は、結婚や就職、仕事などの様々な局面で決断材料として生活に根付いてます。私がみて貰った年配の女性は、顔を見るなり「あなたの周りには何て多くの女性がいるのか!」と一緒にいた家内が鼻白むようなことを言われました。残念ながら、それほど多くの女性と縁がなかった私としては訝しく思いつつ、日本で形成外科の医者であること告げると、納得したように頷いていました。やはり噂通りの実力です??

日本で形成外科専門医といえば美容治療を専門にしている医師はむしろ少数派で、多くが外傷、再建外科、先天奇形などの疾病治療分野で働いています。私も大学に所属している時は、美容は将来の自分の専門として個人的に研修、研究しつつも、普段は同様に保険治療を中心に診療していました。一方韓国の形成外科医(実際は形成ではなく成形外科医といいます。)は、最終的には大部分が美容整形、美容外科の分野に進みます。このように韓国の場合、初めから美容を目指すため、専門医を取得すれば保険診療での臨床はほどほどに、一刻も早く美容的な技術を習得して、開業を目指します。そのため、いくら美容医療に対する国民の関心や需要が高いといっても、年々形成外科医同士の競争は熾烈になっています。また韓国の形成外科医は、早く効率的に実践的な技術を習得する手段として、治療の細分化が進んでいます。つまり二重手術、鼻手術、輪郭手術、胸手術、脂肪吸引種術専門といったように、ワンパーツに特化した診療スタイルが特徴で、数人の専門医が集まって協力しながらクリニックを運営するのも一般的なものとなっています。過酷な国内の競争は、行き過ぎた広告や不十分な説明、カウンセリング、過剰な手術によるトラブルも伝えられますが、専門医の切磋琢磨により、アジアにおいては手術数だけではなく技術的にも美容先進国として目覚しいものがあります。

美は部分々の集合ではなく全体的なバランスが大切であり、形成外科専門医なら総合的な治療を理想と私は考えます。しかし‘選択と集中投資’という韓国企業のとった戦略は、美容医療の分野でも急速な進歩をもたらしたことも認めざるを得ません。

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