秋空は晴れ渡り、澄んだ朝の空気の中を太陽の光が一直線に地上に降りてきたあの日、君はその光に包まれて逝ってしまったね。
私が初めての中学1年生のクラス担任を持ち、そのクラスに君は転入してきた。痩せてすらりと背が高い君は、恥ずかしがりやでちょっと気弱そうに見えたよ。でもすぐに、進んで仕事の手伝いをしてくれる姿に君の優しさと、何よりご両親のしっかりとした躾の素晴らしさを感じた。
君は私が副顧問をしていた吹奏楽部に入部し、お父さんも吹いていらした同じ楽器、トランペットを吹くことに決まったね。2年生になって部を背負って立つには、もっともっと精神的にも逞しくなって欲しくて、我々顧問一同は、来る吹奏楽連盟のアンサンブルコンテストの金管五重奏のリーダーに任命した。これは君にとって大変光栄でもあった分、すごいプレッシャーにもなっていたと思うよ。でも真面目な君は毎日練習を積み重ね、少しずつ上達していった。私はあの頃、一番君が気がかりで、毎日練習を見に行っていたね。
日も短くなり、部活動が終わる頃には、もう外も真っ暗で、校門の辺りで無邪気に友だちと遊んでいる君の姿を見たとき、私はふっと「この子は天使みたいな子だなあ。」と感じたのを覚えている。何かとても透明感がある男の子だった。
コンテストの本番を数日後に控えたあの朝の通学路で、君は酒気帯び運転のトラックに後ろから突っ込まれた。その日は朝練が無い日だった。今もね、あの日朝錬をしてあげていればとか、私の通勤用の車があのトラックの前を走っていたらとか、そんな事を5年も繰り返し思うんだ。
お葬式へ向かう君を乗せた黒いワゴン車は中学校の校門をゆっくり通ってくれた。部員たちは一列に並び、暗譜して君に曲を捧げたっけ。それはとても華やかな、そして堂々とした曲だった。皆、涙を堪えながら一生懸命君を送ったよ。
本番前の体育館でやったリハーサルの時、屋根をバタバタと駆け回る音がずっとしていたね。君は本当に出場したかったんだよね。
本番当日、特別参加という形で君のパートをお父さんが吹いてくださった。私は涙で霞んで見えなかったから、君が舞台に立っているようだったよ。
13歳の短すぎる人生。どうぞ、早く生まれ変わってもう一度、一から人生を堪能してください。お願いしますね。
私が初めての中学1年生のクラス担任を持ち、そのクラスに君は転入してきた。痩せてすらりと背が高い君は、恥ずかしがりやでちょっと気弱そうに見えたよ。でもすぐに、進んで仕事の手伝いをしてくれる姿に君の優しさと、何よりご両親のしっかりとした躾の素晴らしさを感じた。
君は私が副顧問をしていた吹奏楽部に入部し、お父さんも吹いていらした同じ楽器、トランペットを吹くことに決まったね。2年生になって部を背負って立つには、もっともっと精神的にも逞しくなって欲しくて、我々顧問一同は、来る吹奏楽連盟のアンサンブルコンテストの金管五重奏のリーダーに任命した。これは君にとって大変光栄でもあった分、すごいプレッシャーにもなっていたと思うよ。でも真面目な君は毎日練習を積み重ね、少しずつ上達していった。私はあの頃、一番君が気がかりで、毎日練習を見に行っていたね。
日も短くなり、部活動が終わる頃には、もう外も真っ暗で、校門の辺りで無邪気に友だちと遊んでいる君の姿を見たとき、私はふっと「この子は天使みたいな子だなあ。」と感じたのを覚えている。何かとても透明感がある男の子だった。
コンテストの本番を数日後に控えたあの朝の通学路で、君は酒気帯び運転のトラックに後ろから突っ込まれた。その日は朝練が無い日だった。今もね、あの日朝錬をしてあげていればとか、私の通勤用の車があのトラックの前を走っていたらとか、そんな事を5年も繰り返し思うんだ。
お葬式へ向かう君を乗せた黒いワゴン車は中学校の校門をゆっくり通ってくれた。部員たちは一列に並び、暗譜して君に曲を捧げたっけ。それはとても華やかな、そして堂々とした曲だった。皆、涙を堪えながら一生懸命君を送ったよ。
本番前の体育館でやったリハーサルの時、屋根をバタバタと駆け回る音がずっとしていたね。君は本当に出場したかったんだよね。
本番当日、特別参加という形で君のパートをお父さんが吹いてくださった。私は涙で霞んで見えなかったから、君が舞台に立っているようだったよ。
13歳の短すぎる人生。どうぞ、早く生まれ変わってもう一度、一から人生を堪能してください。お願いしますね。