第31話
れんかさんの家に着いたとき、今がいつなのかがよく分かりませんでした。
時間はどのくらいたっていたのでしょうか。
きらきらと眩しい光が差し込むところを見ると、どうも朝のようです。
そう、また地上での生まれたての一日が始まったのです。
アリスはこの家にはいません。
わたしとれんかさんは、今日からまた生まれたての人生を歩んでいくのです。
わたしは、ふっとまたさびしくなりました。
アリスの温もりはまだこの前足にも後ろ足にも残っています。
れんかさんの膝の上にのっかりました。
れんかさんはわたしを撫でながら、ふーっとため息をついてからこんなことを言いました。
「昔、あるお坊さんが私に言ってくれたの。
人間の心の持ちようで、今生きている世界が地獄になるときもあるし、争いの耐えない修羅となっているときもあるし、またあるときは、天に住む人のように穏やかなときもある。
その激しい心の動きを離れて、いつも揺れ動くことのない境地を目指すのが仏の教えなのです‥‥
私は仏教を特に信仰しているわけではないけれど、この言葉は、とても胸に響いたの。
いつも揺れ動くことのない心って、とっても難しいし、私の心の闇はまだ消えてはいないわ。
でも、揺れ動くことのない心を目指して、2度目の生をまっすぐ歩むことが、この世に生まれた私たちの宿命のような気がするの。命尽きるまで、あきらめないで、魂を磨き続けなきゃね。」
れんかさんはわたしに話しかけているというより、自分自身に話しているようでした。
れんかさんらしい、ひっそりとした決意だったのかもしれません。
わたしの首輪につけた鈴はいつも動くたびに、それは美しい音を鳴らします。
まるで天真爛漫にかけまわるアリスが、そこにいるかのようです。
微笑んだアリスの顔が思い浮かびます。
「修行、頑張るんだよ。」
天に向かって呼びかけるとき、わたしもまた、自分の能力を精一杯、磨いていこうと決意するのです。さらなる能力を探しながら、存在するためだけじゃなく、生きるために生きてみます。
れんかさんの家に着いたとき、今がいつなのかがよく分かりませんでした。
時間はどのくらいたっていたのでしょうか。
きらきらと眩しい光が差し込むところを見ると、どうも朝のようです。
そう、また地上での生まれたての一日が始まったのです。
アリスはこの家にはいません。
わたしとれんかさんは、今日からまた生まれたての人生を歩んでいくのです。
わたしは、ふっとまたさびしくなりました。
アリスの温もりはまだこの前足にも後ろ足にも残っています。
れんかさんの膝の上にのっかりました。
れんかさんはわたしを撫でながら、ふーっとため息をついてからこんなことを言いました。
「昔、あるお坊さんが私に言ってくれたの。
人間の心の持ちようで、今生きている世界が地獄になるときもあるし、争いの耐えない修羅となっているときもあるし、またあるときは、天に住む人のように穏やかなときもある。
その激しい心の動きを離れて、いつも揺れ動くことのない境地を目指すのが仏の教えなのです‥‥
私は仏教を特に信仰しているわけではないけれど、この言葉は、とても胸に響いたの。
いつも揺れ動くことのない心って、とっても難しいし、私の心の闇はまだ消えてはいないわ。
でも、揺れ動くことのない心を目指して、2度目の生をまっすぐ歩むことが、この世に生まれた私たちの宿命のような気がするの。命尽きるまで、あきらめないで、魂を磨き続けなきゃね。」
れんかさんはわたしに話しかけているというより、自分自身に話しているようでした。
れんかさんらしい、ひっそりとした決意だったのかもしれません。
わたしの首輪につけた鈴はいつも動くたびに、それは美しい音を鳴らします。
まるで天真爛漫にかけまわるアリスが、そこにいるかのようです。
微笑んだアリスの顔が思い浮かびます。
「修行、頑張るんだよ。」
天に向かって呼びかけるとき、わたしもまた、自分の能力を精一杯、磨いていこうと決意するのです。さらなる能力を探しながら、存在するためだけじゃなく、生きるために生きてみます。