東京さまよい記

東京をあちこち彷徨う日々を、読書によるこころの彷徨いとともにつづります

江古田公園~妙正寺川~哲学堂公園

2010年04月20日 | 散策

妙正寺川と関連して車谷長吉を思い出すたびに文学の世界も捨てたものでもないと思う。わたしは数多ある小説を網羅的に読むようなことはしない(できない)が、それでも時々未知の作家の小説を手に取ることがある。第2の車谷長吉(わたしにとって)かもしれないという期待または幻想があるからである。そのような期待・幻想がわたしを書店や図書館に誘って止まない。

ふたたび川沿いに下流に向け歩くが、いつのまにか水量がかなり増えていることに気がつく。

妙正寺川は、地図でたどるとわかるようにくねくねしているが、特に、平和の森公園のあたりから哲学堂公園にかけてはかなり曲がりくねっている。

公園を過ぎたあたりでは、沼袋駅の近くから曲がり始めちょうど半円分ほどきれいにカーブしている。その途中、新井小学校のところで西武新宿線で道が分断されている。小学校のわきを通り中野通りの踏切を渡って左折しもとの川沿いの道に戻る。

川は先ほどのカーブの先からほぼまっすぐに北側に延びている。そして、北東に曲がり次に南東に曲がるようにして二段階にかなり大きく曲がって哲学堂公園へと延びている。

この北から南東へと大きく曲がったところが最北端で、北側に突き出て岬のようになっている。

北東へ曲がって岬の突端に近づくところに階段があるが、おもしろいことに、左右に並んで二つある。左が幅広で、右が狭く右側へとカーブしている。間にはちゃんとフェンスがあり、なにか互いに意地を張っているようにも思えてくるが、時期的にずれてつくられたのであろうか。上部で同じ道につながっている。

この二つ並び階段は松本泰生「東京の階段」には紹介されていないようである。

左手の階段を上って左側に進むと、そこはこれまでとはちょっと雰囲気の違った空間が形成されていた。

低木であるが木の生い茂った中に入ると、一瞬、道がもう続いていないかもしれないと思わせるほど先の見通しが悪かった。

しかし、こういったところにはますます興味がでてくる。かまわず進むと、裏道のようになっていて、細い道が続いていた。

水たまりがあったのでフェンスにはり付くようにして進む。 ちょうどこのあたりが岬の突端である。かなり下の方で川が流れている。

右側はコンクリートブロックの壁がせまり、左側は川の上のフェンスで、もっとも狭いところは大人一人が通ることのできる程度の幅である。

この小道を進んだ上側(壁の上側)にも散歩道らしき小道があり、そこに続く階段がある。ここは一段低いところにある小道である。

このまま進むと、しだいに道は広くなって江古田公園へと続いている。

公園で北側(川の方)を見ると、新青梅街道が通っており、川には別の大きな川が流れ込んでいる。江古田川である。しかし、この川の水量もかなり少ない。川底中央に刻まれた細い溝の中しか流れていない。

こういった岬のようなところには、中沢新一「アースダイバー」によれば、神社があるはずと思って地図を見ると、北野神社というのがあったが、今回は行けなかった。

江古田公園に向かう途中で思いもかけない野趣にとんだ散歩道(これまでたどった道に比べれば)に出逢えてよかった。これが散歩の醍醐味であろう。大げさだが、荷風のようにいうと、「偶然のよろこびは期待した喜びにまさることは、わたしばかりではなく誰も皆そうであろう。」(「元八まん」)

公園を出てから少し歩くと中野通りに至り、そこの信号を渡ると、左手に哲学堂公園の入口がある。ここは地図探索で知ってはいたが、訪れたのは初めてである。

哲学堂公園は、東洋大学の創設者である哲学者の井上円了が、ソクラテス、カント、孔子、釈迦を祀った「四聖堂」を明治37年(1904)に建設したのがはじまりで、この四聖堂は当初哲学堂とも呼ばれていたが、それがそのまま公園の名になったとのこと(Wikipedia)。

公園内には色んな道がありそうであったので、適当に上ったり下りたりしていたら「經驗坂」という階段にであった。

経験坂とはなかなか意味深である。坂は上と下を結び、一方から高さの違う他方に行くとき通る必要があるが、その高低差を経ることが経験につながるともいえるからである。

この坂は、さすがに、石川悌二「江戸東京坂道辞典」、岡崎清記「今昔東京の坂」、山野勝「江戸の坂 東京・歴史散歩ガイド」のいずれにも紹介されていない。しかし、坂と命名されているから敬意を表してここに記した次第である。

川沿いの小道に出て進むと、池のあるところにでたが、この上流側に湧水らしきところがあった。その先には大きな池があって、散歩途中の人たちがベンチに座って憩っていた。

公園を出て交差点を渡って、四村橋から川沿いの道を進む。
(続く)

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