東京さまよい記

東京をあちこち彷徨う日々を、読書によるこころの彷徨いとともにつづります

のぞき坂

2010年12月20日 | 坂道

今回は目白台、関口界隈の坂巡り。

のぞき坂上 ここをクリックすると拡大します 午後、副都心線雑司が谷駅下車。

目白台から下る坂は名坂が多く、よく訪れるが、副都心線が開通してから、前よりもずっとアクセスしやすくなった。特に、のぞき坂へのアクセスがよく、駅出口からすぐである。数年前に初めて来たときは、高田馬場駅から歩き神田川を渡った記憶がある。

三番出口から出ると、目白通りであるが、ここを横断し、コンビニのとなりの道に入りちょっと進むと、のぞき坂の坂上である。写真のようにかなりの急坂である。岡崎は恐るべき急坂であるとしているが、都内でも有数の急坂であろう。この東側の宿坂とほぼ平行に南に下っており、その先には神田川が流れ、その流域に広がる低地に向けてまっすぐに下る。

江戸切絵図を見ると、坂下の低地は神田上水(神田川)流域に広がった田圃となっている。

今回の目白台から南への坂はすべてほぼ平行に神田川流域の低地に下る坂であるが、その高低差のためかなりの勾配がついている。

のぞき坂下(やや上) 尾張屋板江戸切絵図には金乗院から上る坂道(宿坂)があり、これと平行な道筋がすぐ西側にある。近江屋板にも同様の位置に道筋があるが、これがかつてののぞき坂であるか不明である。明治地図、戦前の昭和地図ともにこのあたりは範囲外で不明。昭和31年の23区地図にはちゃんとある。

山野によれば、坂の開設時期については江戸、明治の両説があるとのことで、上から下を恐る恐るのぞき見た様子が坂名になったのか、としている。別名胸突坂。

この坂のすぐ西側に平行に明治通りがあり、この坂は渋滞のときの抜け道に利用されているらしい。

米国の古いアクション映画などで、サンフランシスコあたりの坂道をスピードを出した車がジャンプして疾走するようなシーンが出てくるが、ここでもスピードを出せば、そんなシーンができるかもしれない。でも目白通りから曲がってから坂上まで距離が短いのでそれはやはり無理か。

のぞき坂下 中村雅夫「東京の坂」(晶文社)という坂の写真集があるが、この坂ものっていて、子供たちが自転車で坂を駆け下りている。今回も自転車がスピードを出しながら下っていったが、さぞかし気持ちよいであろう。逆に上りは大変であり、自転車はまず無理で、以前に来たとき、原付がようやく上っていったのを思い出した。

上記の写真集には、作者考案の傾斜計で測定した坂の傾斜角が各坂ごとにのっているが、この坂の角度は15.5°である。ちなみに、東京一の急坂(石段を除く)は、関口の鉄砲坂で、一番急なところで17°とのことである。この坂も今回訪れたが、かなり幅狭で車一台がやっとであるのに対し、のぞき坂は二車線の幅があり、まっすぐに下っているので、こちらの方が堂々とした急坂である。

以前に行った世田谷の岡本三丁目の坂とよく似ている。この世田谷の坂には歩道にステップができていたが、こちらは雪が降ったときなどはどうするのだろうか。冗談ではなくアイゼンが必要であろう。
(続く)

参考文献
横関英一「江戸の坂 東京の坂」(中公文庫)
山野勝「江戸の坂 東京・歴史散歩ガイド」(朝日新聞社)
岡崎清記「今昔 東京の坂」(日本交通公社)
石川悌二「江戸東京坂道辞典」(新人物往来社)
市古夏生 鈴木健一 編「江戸切絵図 新訂 江戸名所図会 別巻1」(ちくま学芸文庫)
「切絵図・現代図で歩く江戸東京散歩」(人文社)
「古地図・現代図で歩く明治大正東京散歩」(人文社)
「古地図・現代図で歩く戦前昭和東京散歩」(人文社)
「古地図・現代図で歩く昭和三十年代東京散歩」(人文社)
「東京人(特集 東京は坂の町)」2007年4月号

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