おはなしをしようか?

ご来訪ありがとうございます。お話のモデルとして、アイドルさんの名前をお借りしてます。私の妄想と理解した上でご覧ください。

your beautiful dream

2014-01-28 17:36:40 | 東方神起妄想小説
喉乾いたな…

夕飯に出た漬物が気に入ってしまい、食堂のおばちゃん達にレシピを聞きながら食べ過ぎてしまった。

枕元に置いた水も尽きてしまい、どうしようか悩んでいるうちに眠れなくなってしまった。

同室のジュンスはスヤスヤ眠っている。

暖かい布団から出たくないのと、動いたら益々眠れなくなりそうなのとで迷っていたが、どうせ眠れなくなったからと傍らのカーディガンを羽織り外に出た。

「寒っ…」

廊下に出るとヒヤリとした空気に包まれて襟元をギュッとかきあわせた。
昼には陽射しのせいもあって暖かくなってきたものの季節はまだまだ冬なんだと空を見上げる。

窓の外は暗いけどほんのり月明かりが足元を照らしている。
キンキンに冷えた空の上の方に冷たい色の月が昇っていた。

足元からくる冷気を感じながら、自販機の並ぶ玄関まで進む。
ヒタヒタと自分の足音しかしない。

青白く光る自販機の前まで来て財布も持たずに出てきたのに気づいた。

「あー、面倒臭い。」

また戻って来るのが嫌で、いっそ無理矢理眠ってしまおうかと小さく葛藤していたら背後でカタリと物音がした。

振り返ると、曲がり角に人影が見えた。

ちょうど良かった。同じように買いにきた奴だろうと足を向けると逃げるみたいに戻っていく。

え。まさか、

最近、近辺で空き巣や物取りなどが増えているとの告知もあった

ヒヤリと背中が寒くなる。

ヤバイかな?ヒチョルを呼びに行こうとしたが今日は寮長会議でヒチョルは不在の筈だ。
近隣の学区内で寮がついている高校での意見交換会とかでヒチョルが面倒だと文句を言っていた。

寮官を呼びにいくか考えて、チラッと見た感じだと自分とさほど変わらない体つきだったなと思い返す。

まぁ、若い奴が侵入して来ないという確証もないが寮生だったら面倒だ。

確かめる必要もないかもしれないが、取り敢えず後を追うことにした。

不法侵入者である可能性もあるから、なるべく音を立てぬように足を早めて曲がり角まで行く

そっと覗いた先に待ち構えているように、男子生徒がこちらを向いて立っていた。

カラム

彼は寮生ではなく、自宅通いの筈だ
何故ここにいるのだろう

何と声をかけたら良いのかもわからない。
いっそ空き巣だったら良かったのに。

「あのっ…!黙っていて下さい!お願いします。」

想定外の人物に言葉を失っていると向こうから声をかけてきた

「え、とカラム君だよね。どうしてここにいるの。」

真夜中に、しかも寮生でもないのだから忍び込んで来たのは明白で。
一体何の為に来たのかがわからなかった。
ジェジュンの言葉にカラムはツイと視線を飛ばした。

その先には、ユノの部屋があるはず。

ヒチョルと同室の部屋にはユノだけがいる

なんで…夜中にユノの部屋なんかに。

なんで…ユノの部屋なんか

喉の奥が張り付いたようで声が出ない。

「お願いです。僕とユノさんの事がバレたら…」

僕と、ユノ…

「バレるって何が。」

そもそもカラムとユノに何があると言うのだろう。先輩と後輩それだけじゃないか。

なのに、カラムは何を言ってるんだろう。
バカな事言ってる
そう笑い飛ばしたかった。

「わかるでしょう?」

先程までの姿はフェイクだと、ありありとわかる。
まだ子供みたいな柔らかい頬が徐々に皮肉めいた笑みに変わっていた。
赤ん坊みたいに丸い形の唇が真っ赤で毒々しく光っている。

濡れた唇から現れた桃色の舌先がスルリと隙間をを走る。

「だから、そういう事なんです。ジェジュンさんが黙っていたらユノさんも困りませんから…」

背を向けたカラムに殴りかかりたい衝動を必死に抑え込む。
頭が煮えたぎり、知らず間に噛み締めた唇が切れて血の味がした。

嫉妬の味

月明かりに照らされた廊下にジェジュンの影が落ちていた。

輪郭はボヤけているがジェジュンの目には鬼の姿が見えている

鬼だ

俺は鬼になってしまった。

ボヤけているのは涙のせいだと気づいたのは翌朝目が覚めた時

横向きになった瞳に冷たい涙がたまり、起き上がるとホロホロと首筋に流れた

どうしたらいい。

鉛がつまった頭では何も浮かばず
壊れたみたいにずっと、それだけを考え続けていた。