ぽつーん。
今、僕が目にしている光景を言い表すのにぴったりな言葉だ。
「なんで!!」
「ちょっと、ヒョン落ち着きましょう。」
僕の前に公園のベンチがあり、人気のないそこにジェジュンヒョンが立ち尽くしている。
それもぽつーん。なんだけど、そのベンチの上にぽつーん。とユノヒョンのスマホだけが残されていた。
「ユノ…どこ行っちゃったんだよ!」
先ほどまでの冷静さは皆無でジェジュンヒョンは頭を掻きむしり、膝から崩れ落ちた。
手がかりゼロ。辺りを聞いて回ったけど、行方を知る情報は得られなかった。
「チャンミンどうしよう。」
「…んん、待ってくださいね。」
ユチョンヒョンとはぐれてからまだ時間は経っていない、けどもしもユノヒョンが事件に巻き込まれていた可能性があるなら車で連れ去られた可能性もあるな。
「まさか、連れ去られたんじゃ!」
そうですね、あなたもバカじゃないから行き当たりますよね。
だとしたら、僕たちの手に負えない。
「ヒョン、警察に任せましょう。」
「やだ!絶対やだ!だってユノ約束したもん!」
「ジェジュンヒョン…」
全く、すぐ感情に流されるんだから困ったもんだ。
そりゃ、数日一緒にいたら情も移るだろうけど命にかかわる。
「しかたない、奥の手を使いましょう。」
「え、奥の手…やだ!ぜーったいやだーぁ!」
ジェジュンヒョンが地団駄踏んで嫌がる奥の手。
あの人に頼むしかないでしょう。
「ヒョン、制服引っ張らないでください。」
思いっきりブレザーをつかむものだから、タイがひきつって苦しい。振りきろうとするけどヤダヤダと左右に揺れるから益々絞まっていく。
「ヒョン!死ぬ!」
「やだってば!!あいつに助けられるなら舌咬んでやるからな!」
「僕らがいなくなったら、ユノ氏はどうなるんでしょうね?今だってこんなことしてる間に…」
「ユノ~!ワァーン!!」
「ちょっ!ヒョン泣かないで!ほら皆見てますよ!」
「ちゃーたんのばかぁー!!ユノは俺が探すぅ~!!」