マジョルカピンク

水曜どうでしょう。大泉洋。大谷翔平。大好き

半端者

2012-06-06 22:21:22 | 
一応この作品も東直己氏作、ススキノ探偵シリーズですが、「探偵はバーにいる」の前日譚で、「俺」はまだ北大に在籍中。舞台は多分、昭和50年代後半から60年あたりではないかと。
「俺」はまだ「探偵」になってはいないけれどすでにススキノを根城に飲んだくれている妙に世慣れたスレた大学生。その「俺」の若き日の夏の思い出的なお話。
ケラーの人々も出てくるしタウン誌の編集長篠原との出会いも描かれているけど、何より驚きなのがこの作中に出てくるミツオというチンピラが今やシリーズでは顔役の桐原組の組長なのだ。途中まで気付かなかった。それぐらい出世したのである。
今作では若さゆえの甘さ、軽さもあるが基本的には年月を経ても人間の中身ってそれほど変わらないんだなーということを感じさせる、相変わらずのススキノ探偵的美学。
背景に描かれるバブル前夜といった趣きの活気ある頃のススキノの描写はとても興味深い。フィリピン人ダンサー、フェ・マリーンとの甘く切ない恋のお話もあり、読んでいてなかなか胸が切なくなります。このシリーズもう少しで読み終えちゃう。いやー途中のブランクがもったいなさすぎる。もっともっとこの世界観に浸りたいのに。


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