兄いもうと | |
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漱石の妻 | |
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↑を先に読んだ。その中に出てきた正岡子規の話。
子規でなく兄をここまで献身的に支える妹に視点が当たっている。
NHKのドラマ坂の上の雲で菅野美香が演じた妹を主人公として描かれている。
どうも先に観てしまったドラマの香川、菅野の顔が浮かんで
いいような悪いいような?
兄思う故に、夫が兄ほどには愛せず明治という時代の二度にわたる離婚。
今で言う協議などではない三行半。
脊髄カリエスという拷問にも似た痛みを伴う病の献身的な最後までの世話。
このあたりの壮絶さは、介護の世界で碌を食んでいるだけに
どちらのきれい事では済まない心理状態も生の感覚として伝わってきた。
いまほどの治療も薬も福祉用具もない時代のこと。
血膿、糞尿に汚れた包帯、ガーゼから衣類、寝具に及ぶ膨大な汚れ物の手洗いから
スイッチポン着火、電子レンジチンのないおさんどん。
病人を快適に支える家事も膨大であったろう。
妹が兄の首に手を掛けそうになるシーン、正岡子規が錐を包丁を手にするシーン。
現代における介護殺人、病気苦死とオーバーラップ。
体にいくつも膿を伴った穴があくシーンと、
先日来、実際に訪問看護さんの処置に立ち会ったひどい褥瘡とがまた重なり、
脊髄カリエスがどのくらい痛みを伴う病気かネット検索までし…
今ではほとんどない病気だと知り安堵もした。
千の御託より↓こっちの方がより伝わってくるかも?
正岡子規 俳句集 「 坂の上の雲 」 より
正岡子規 俳句集? 「 坂の上の雲 」より "病と友情と恋"
当時であっても痛み止めはモルヒネと書かれていた。
亡夫もガン末期の最後三ヶ月かこのコントロールの良し悪しで
地獄にもまったく痛みのない平穏な時にもなった。
専門の専門、緩和ケア病棟に辿りつくまでの苦しみなどもまた重なって思い出した。
そんな事も望めない時代の病闘。
なんども拷問という言葉が出てきた。
そんな苦しみの中で、手が動く限り言葉を句を書き綴った。
花鳥風月の世界にあってすさまじい豪胆な人として描かれてあった。
子規亡き後の妹についてはあとがきに書いてあって、ホッとした。
帝国大学へ遊学する兄への仕送りのた尋常小学校までしか行けなかった律は
ずっと自分に学問のないことを負い目に感じていたが、
共立女子職業訓練学校に学び、母校の教師となったそう。
夫の死直後、せっかく与えられて今ある命をおろそかにしてはと思った気持も
時が過ぎ忘れかけていたが、
こういう生き方を読むと日々おなまけに流れる自分を恥じる。
そして、
誰かのために生きれる滅私の時間もまた尊いと、改めて介護をする方々の心情をも思った。
医療保険のない頃の事、病気へのかかりも大変だったろうと察する。
文人への援助を惜しみなくする剛毅な人もあった明治という時代。
なんでも社会保障の御代の冷淡さ。
価値観が足元から崩れたような震災後の折しも、民主党三回目の内閣発足。
ほとんど期待していないけれど、どうなりますことやら~
脳内、明治のまんまおしまい。
夜が明けた。
台風の風音がする。今日は家こもりの休日になる。
次、何読もうか?
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坂の上の雲では脇役として僕は見過ごしてしまいました。脇役に目を止めた作者、その本を読んだケアマネジャーの目も鋭く深い。
専業主婦から「よくぞここまで・・・・」と
天国のご主人様も賞賛の目で見守っていると思います。
鳥越碧さんの作家に関係する女性物はおもしろいです。
亡夫ですが…夢にも出ない^^;
あの世で気楽にお酒飲んでそうな気がします(*^_^*)