神はそれでも意地悪に僕らの魂をいつかは取り上げるのだろう

クズと思われても仕方がない赤裸々な日記。

「弾丸が人間の身体に当たった時の音って独特じゃん」

2012年10月25日 01時00分07秒 | 日記
H市のピンサロにまだ俺が通い詰めていた頃の話。



「外、雨降ってた?」
彼女が黒いレースのワンピースを脱ぎながら尋ねた。
雨?
俺は部屋の中を見回す。
部屋には窓が無い。あるのは白いカーテンと、白い壁と、真っ赤な照明。
俺はネクタイを緩めながら「雨は降ってなかったと思う」と答えた。
「ただ、風が冷たくて寒かった」。
彼女は笑って、「夜だからね」と言う。
「けど大丈夫、」彼女の長い指が俺のワイシャツのボタンを外す。「すぐにあたたかくなるから」。

彼女の柔らかい舌が俺の上半身を伝いながら下腹部に降りていく。
俺は水槽の中を泳ぐ魚を見つめる。
「フライド・ドラゴン・フィッシュ」のワンシーンを思い出した。

浅野忠信演じるナツロウが言う。「弾丸が人間の身体に当たった時の音って独特じゃん」。

彼女の指が俺の首筋を這う。鎖骨をなぞる。
思わず震える。
「敏感なの?」
「分からないな」
「淋しがり屋の人って敏感なんだって。知ってた?」
彼女が笑って俺の臍にキスをする。

黒く長い髪が俺の太股に影を作る。
俺はそっと彼女の肩に触れる。
彼女は顔を上げ、口許に笑みを浮かべる。
ゆっくりと身体を起こし、俺の耳元で囁く。

「少しはあったかくなったでしょう?」


全てを終えた後、彼女は俺にタオルを手渡し、「大丈夫?」と尋ねた。
「何が?」
俺が尋ね返すと、彼女は笑って言った。
「君、震えてたよ」。


外に出ると、風のあまりの冷たさに思わず背中を丸めた。
夜空に星は見えず、孤独が両肩に降り注いでいるような気がする。ピンサロに行くと、必ず孤独感が増す。

浅井健一は「FRIENDLY」で「この世の中は美しいことがたくさんあるよ」と歌っている。
それはつまり同時に、邪悪なものもたくさんある、ということだ。
そういう邪悪なものを一つ一つ背負い込んで、俺は生きている。
これから先も、そうやって生きていく。
その中で唯一、美しいものを、自分だけの美しいものを見つけられればいい。

そんな風に思う。

Puzzlement and embarrassment

2012年10月24日 00時06分47秒 | 日記

女優のデビュー物のAVが好きだ。枕詞に「初脱ぎ」とか付くような。
軽いインタビューの後、「じゃあ服を脱いでみましょうか」となった時の女優の戸惑いと恥じらいの入り混じった表情が堪らない。
服をゆっくりと脱いでいく時の絹擦れの音で軽く興奮する。
シャツのボタンを外す震えた細い指や、俯き加減でこれから起こることに少しだけ期待を膨らませる顔。ほんと良い。
これから先、この女優はどうなっていくのだろう、どういう方向に進むのだろう、もっと言えば、どういう人生を歩いて行くのだろう、と想像すると、まるで、画面の中の彼女の人生に触れているような、不思議な気持ちになる。

最近の作品で俺が特にオススメしたいのは、水菜ユイのデビュー作。
元々はバンドで音楽活動をしていたらしく、ボーイッシュで、経験人数はたったの一人。無理して精一杯笑顔を作っている感じがぎこちなくてとても良かったのだけれど、残念ながら一本限りで引退することになってしまったらしい。
彼女の公式ブログによると、やはり音楽の夢を諦めきれない、とのこと。
思わず胸が熱くなる。
彼女のこれからの人生を心から応援したい。


なんてなー。

sentimental journey

2012年10月23日 00時12分47秒 | 日記
YUKIの「センチメンタルジャーニー」を聴いていると、ある女の子のことを思い出す。


三年ほど前。
俺は、当時付き合っていた恋人と別れたばかりで、深く傷付いていたし、色んなことがどうでもよくなっていた。

優しくしてくれた職場の女の子と飯を食いに行き、ラブホに入った。

村上春樹風に言えば、俺は酷く渇いていて、その渇きをセックスで潤したかった。相手は誰でもよかった。誰でもいいからセックスがしたかった。

けれど、俺はその女の子とセックスをしなかった。

何故か?

セックスの最中にその女の子が号泣し始めたからだ。



俺「…なんで泣いてるの?」
女「…ごめん(思いっきり涙声)」
俺「……」
女「何かね…前の彼氏のこと、突然、思い出しちゃって…(ぐすん)」

やれやれ。

俺は覆い被さっていた彼女から離れ、ベッドの上に仰向けになった。
暗い天井を見つめる。

彼女は裸の胸をシーツで隠し、俺の顔を覗き込んできた。
涙で濡れた瞳。落ちたマスカラで目の下が黒くなっている。バンプの「今更マスカラ気にして泣くな」というフレーズを思い出した。

「ごめんね」。
彼女が呟く。
涙がポタポタと俺の顔に落ちる。
正直、俺は何も感じていなかった。彼女の涙を美しいとは、ましてや愛しいなどとは全く思えなかった。

俺は無言で立ち上がり、たまたま持っていたCDを安っぽいプレイヤーにセットした。

スピーカーからYUKIの「センチメンタル・ジャーニー」が流れた。

「抱き合ったりキスをしたりいつもと変わらない景色を愛しく思おう」とYUKIが歌う。

俺がベッドに戻ると、彼女は俺の薄い胸板に顔を埋めて、四年前に別れた彼氏のことを、とうとうと、涙ながらに語り始めた。
すると、「その彼氏が忘れられない」というような話になるのかと思いきや、俺の予想に反し、その彼氏にヒドイことをされていたらしく、それがトラウマ(的な?)になってしまっているのだという。
その「ヒドイこと」について詳しくは書かないけれど、彼女の言葉が全て真実だとしたら、確かに嫌な思い出になってしまうだろうと思う。
けれど、それを俺に話してどうするのだろうか?
俺には誰かを救う力なんて無いし、その気もない。セックスをして、お互い後腐れなくバイバイするはずだっただろ?

俺が黙っていると、彼女はようやく顔を上げ、「ごめんね」と笑った。

その笑顔がとても可愛らしくて、俺は思わず彼女を強く抱き締め、「そんな奴のことは俺が忘れさせてやる」と言いきって熱いキスをした。

…わけがなく、「うん」と頷き、チェックアウトの準備をした。
彼女ははだけたシャツのボタンを留め、セーターを着た。
ひどくみすぼらしい身体に見えた。

ホテルを出たのは20時過ぎで、彼女は去り際、「また連絡してもいい?」と訊ねた。
「構わないよ」と俺は答えた。


次の日、その女の子からメールが来た。

「昨日はごめんね」。

俺は正直な気持ちを返信した。

「正直、少しガッカリしたけれど、俺は気にしていないから何も謝る必要はないし、それどころか少し反省している」。

すると、すぐに返信が来た。

「ありがとう」。

一瞬、この「ありがとう」を踏みにじってやりたい、と思ったけれど、堪えた。
美しいものを壊したかった。何もかも消えてしまえばいいと思った。



それ以来、彼女とは一切連絡を取っていない。
どこで何をしているのだろう。
幸せにしているのだろうか。



…まぁ、どうでもいいんだけどさ。

愛なのだろう

2012年10月22日 00時05分25秒 | 日記
AV女優の桜木ハルが好きだ。

三年前(だったかな?)にショップで彼女のデビュー作のジャケを見た時は魂を揺さぶられた。

彼女は一瞬にして、俺の渇れた魂に雨を降らせてくれた。やがて砂漠には井戸が生まれ、俺はかつての情熱を取り戻すだろう。

当時の俺は、上戸あいちゃんが引退し、桐島美咲さんがたった一作で表舞台から姿を消してしまい、AVに対する煮え切らない想いを抱いていたのだけれど、桜木ハルがそれを払拭してくれた。

ジャケ買いしたAVが、ここまで人の心を動かすなんて、やはり、そこに在るのは、愛、なのだろう。


余談だけれど、友達に桜木ハルをオススメしまくったら、「お前が前に付き合ってた女にそっくりだな」といぢり倒された。

うるせーよ!(笑)

It is a reason for having been born to the time without love.

2012年10月21日 10時54分37秒 | 日記

AV女優の上戸あいちゃんが好きだ。

残念ながら、あまり人気が出なくてすぐに引退してしまったけれど、好きだ。

あの垢抜けない感じや、折れてしまいそうなほど細い身体に魅力を感じる。
俺は身体の細い女は好みではないのだけれど、彼女だけは別。

彼女は今、どこで何をしているのだろう。

願わくば、幸せでいてくれますように。

首筋から微かに唾液の匂いがする

2012年10月20日 22時07分50秒 | 日記
首筋から微かに唾液の匂いがする。


彼女は黒い髪の毛を耳にかけながら、「何も感じないんだよ私」と言った。
俺がセーターを脱ぐのをやめて彼女を見ると、彼女は笑って「いやらしい意味じゃなくて」と訂正した。
「やっぱり、こういう仕事をしていると、心無いことを言ってくるお客さんがいてね、泣いちゃう女の子もいるの。けど、私はお客さんに何を言われても何も感じない。感情をオフにして、笑ってやり過ごせる。だからフリーで面倒なお客さんが来店してくると、店長やボーイに頼まれて大抵あたしが付くことになる。だから、」彼女が俺のジーンズのベルトを外す。「あなたみたいに丁寧なお客さんのことはよく覚えているの」。
「丁寧?」
俺が口にすると、彼女は笑って「いつも可愛い帽子をかぶってるしね」と言った。

全てを終えた後、彼女は俺の身体をタオルで拭きながら、「ここの女の子はほとんどが十代で、とても傷付きやすいから、優しくしてあげてね」と言った。
「もちろん」
俺が言うと、彼女は「ありがとう」と笑った。


首筋から微かに唾液の匂いがする。


一時期、俺はH市のピンサロに通い詰めていた。彼女を指名して、話をするのが好きだった。もちろん、口でしてもらうのだけれど、時には、話すだけで店を出ることもあった。


彼女の黒い髪の毛を今でも俺は忘れていない。




…まぁ、どうでもいいんだけどさ。

hurt locker

2012年10月20日 00時29分00秒 | 日記
二年ほど前。
M市のラブホテルの一室。

その女は部屋に入るなり、チェッカーフラッグの暖かそうなハーフコートを脱ぐ前に40インチの液晶テレビの電源を入れ、映画のメニューから作品を選び始めた。
画面と見比べながらリモコンを操作し、注意深く作品のタイトルを吟味していく。
「映画が好きなの?」
背負っていたディッキーズのリュックをソファの端に下ろしながら俺が尋ねると、彼女はリモコンから顔を上げて「うん」と答えた。
俺がテレビの画面に目をやると、洋画のタイトルがたくさん並んでいた。
「洋画が好きなんだね」
「うん。洋画は映画館でたくさん観る。邦画はレンタルになるまで我慢出来るけどね」
彼女は軽薄そうな栗色の髪の毛をカールさせていて、膝に穴が空いたクラッシュジーンズを穿いている。正直、ぱっと見の印象だと、映画を観るようなタイプの人間には見えない。
「最近観た映画は?」
俺が尋ねると、彼女は直ぐさま最近アカデミー賞の作品賞を受賞した戦争映画のタイトルを口にした。そして軽い感想も。実にスマートで的を得た感想だったと思う。
もっとも、俺はその映画を観ていなかったけれど。

俺はソファに腰を下ろし、両手をこすり合わせて考えた。

さて。
彼女がどんな映画を観ているかなんてどうでもいい。重要なのは、彼女がそのセーターを脱いで白い(と思われる)肌をあらわにする時、俺は冷静でいられるのだろうか、ということだ。

俺は彼女のことを何も知らない。
M市のとある店で知り合い、すぐにホテルに入ってこうしている。

俺は彼女に目をやる。
彼女はコートを脱ぎ、ジーンズを脱ぎ、アクセサリーを外し、ラフな格好になってベッドの上で膝を抱えている。

不思議な感覚だった。
彼女は、なぜここにいるのだろうか。
俺は、なぜここにいるのだろうか。
そもそも、これは現実なのだろうか。

「そろそろ始める?」
彼女が言う。俺はカーディガンを脱ぎ、頷く。


セックスの後、倦怠感と共に、これが現実だということを嫌でも思い知らされる。

起き上がって着替える彼女に一万円札を何枚か渡し、俺はため息をつく。

今まで俺は、愛は金で買えない、と思っていた。買えるわけがない、と。今でも、基本的にその考えは変わっていない。愛は金で買えないと信じている。けれど、金で買える、という考え方も無くは無い、とも思う。そういう考え方も、そういう考え方をする人の気持ちも、今では多少は理解出来る。


「もうこっち側の人間だね」と彼女が笑った。

こっち側?

「うん。きっと色んな景色が見えるよ。見たくないようなものも」

やれやれ。
「何だか映画みたいだ」

俺が言うと、彼女は苦笑した。「これが映画だとしても、私は邦画は映画館で観ないよ」

くだらないジョークだ。



その女とはホテルを出てから二度と会っていない。もう二年近く前のことなので、顔もよく覚えていない。けれど、あの時、彼女が口にした映画をレンタルショップで見るたびに、何とも言えない気持ちになる。
いつか、こんな気持ちも忘れられる日が来るのだろうか。



…まぁ、どうでもいいんだけどさ。

あの女の子はどうしているのだろう

2012年10月19日 16時53分52秒 | 日記
二、三年前、ピンサロにハマッていた時期がある。
H市のピンサロに週二、三回通っていた。

確か、ハマリ始めの頃、三、四度目くらいだったか、その店に行ってみると、ドレッドヘアのいかつい店長に顔を覚えられていた。
初めて顔を出した時の俺のテンパりっぷりと、サービスしてくれた女の子からの話(一体どんな…)で印象に残っていたらしい。

幸か不幸か、その日ペアになったのも、初回についてくれた女の子。

彼女曰く、「お兄さん、緊張しすぎて話し方がバイトの面接みたいになってて笑わせてもらったからよく覚えてるよ」とのこと。

「また来てくれて嬉しいな。もしかして、ピンサロ楽しくなっちゃった?」。

30分後に虚無感と引き換えに束の間の快感を味わい、脱力していると、彼女は顔いっぱいに人懐っこい笑顔を浮かべ、「また来てね」と言った。
「次はもっと心を開いてくれると嬉しいな」。

彼女は今まで、一体何人の男たちに心を開いてきたのだろうか。それについて考えると、暗澹たる気持ちになる。
仮に俺が彼女に心を開いても、彼女は俺にその心の片鱗すら見せてくれないだろう。なぜなら、俺はお金を払ってズボンを脱ぎ、彼女はお金を得て俺に笑顔を見せてくれているのだから。
そこにあるのは限りなくドライな関係だし、それを温めることなんて誰にも不可能なのだ。


今はもう、その店は潰れて別のピンサロになっている。
あの女の子はどうしているのだろう。



…まぁ、どうでもいいんだけどさ。