
★サンリツ服部美術館 サイト
『渡来の茶道具 唐物・高麗物・南蛮物』 ※2013年9月23日(月・祝)まで
光悦の国宝茶碗『不二山』を有するサンリツコレクションにおいて
国焼以外の道具を揃えた展覧会。
歴史の流れに沿っての展示。
まずは室町時代。禅宗寺院のものから
伝牧谿(もっけい)の睡虎図。
パッと見、「かわいい」と思いつつ、
「伝」って、ビミョーというか便利だなぁと苦笑しながら思う。
いくら牧谿が有名だからといって、それはないでしょー。
という気がした。
でも、かわいい。
作品脇の見出しが面白い。
「虎の眠りは禅の境地」
今回は作品名とは別に一点ごとに「見出し」がつけられている。
茶道の初心者にも親しみやすいようにという工夫だろうか。
牧谿が生きた時代に牧谿が生きた国(南宋)で描かれた虎の図。
牧谿が描いたものかもしれないし、そうではないかもしれない。
でも、作品の持つ魅力で600年間、海を渡り日本で大切に保存されてきた。
だから、もう誰が描いたかなんて、あんまり関係ないのかも。
その辺りが西洋絵画の鑑定の感覚とは違う?
禅画に続いて、青磁がいくつか。
妙にピカピカで逆に有り難味が薄かった?
続いて、作品は侘茶の創成期へ。
印可状や遺偈(ゆいげ)の墨跡。
「また試験勉強しなきゃなぁ」とプレッシャーがチクリと胸を刺す。
あとは見出しを楽しみつつ。
「里芋のような水指」~なんのことはない、南蛮芋頭水指。
「すり鉢から水指へ」 井戸なんとか盆水指とかね。(バケツみたい)
既に何度も見た茶碗についても見出しを通してみると、また印象がかわる。
片口の口を取って茶碗に見立てた粉吹き茶碗「広沢」はそのまま「粉を吹いたような茶碗」
雨漏茶碗「鈴鹿山」は「雨漏りさえも見どころに」
斗々屋茶碗は「夏にぴったりの平茶碗」
そして江戸時代。
染付や色絵。
「手長エビが踊る」青花海老文向付。
「龍をよぶ仙人」のお皿(鉢)も形がおもしろい。
「青花羅漢図熨斗形平鉢(古染付)」
型物香合は7個。
うーん。春に野村美術館で見た香合展がすごかったので、ちょっと印象薄し。
今回はわりとあっさり系の展覧会。
あ、そうそう。
唯一出ていた茶入。
紹鴎茄子。
三大紹鴎茄子の一つ。
お盆の上にも載せられず、独立ケースでもなく、他の茶碗と並んでポンと本体だけが置いてある。
ある意味、ビックリの展示されかた。
最近、こういう大物(=重要美術品)は付属物を従えて仰々しく展示されているからねぇ。
でも、紹鴎茄子は決して埋もれない。
そんなことに感心していた。
今回は私自身も疲れていて、リラックスして見たし、
おまけにフォルムカードの第5弾も買えなかったしね。
諏訪往復は休息にはなったけど、茶の湯ブロガーとしてはちと物足りなかった、かも。
なので、期待は嫌がおうにも次回展覧会へ。
『名物裂を探る』 9月28日(土)-12月20日(金) 冬の青春18きっぷかぁ
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2011年9月『江戸時代の絵画と茶~ゆかりの人々からたどる江戸の「現代アート」』→こちら
2010年10月『茶の湯の名品』→こちら
2010年1月『茶道具取り合わせ 茶の湯の春』→こちら
2009年12月『名碗のかたち』→こちら
2008年8月『茶入の美 -小壺が「茶入」になるとき』→こちら
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