街活ワーキング2080・・・通称、マチワグ

コミュニティビジネスのための学習用ブログ。検索は、カタカナにて「マチワグ」で出来ます!

なでしこジャパン・W杯で優勝に導いた佐々木則夫監督「フラットな組織」。決勝・PK戦の秘話 !

2011年07月18日 | 気になった事

2006年に代表監督となった佐々木則夫氏。佐々木氏が監督となってからの改革で、周囲をおどろかせたことが3つある。

 第一に、澤穂希をボランチにさげたこと。2008年の東アジア選手権(中国・重慶)から、澤と阪口夢穂(新潟)を中盤のキーマンとして並べた。

 第二の改革は、「選手の自主性を重んじる」という考えをとった。 監督就任時には、すでにチームには澤のような多くの国際経験が豊富な選手が多く育っていた。加藤與恵・山郷のぞみ・池田浩美などや、さらに海堀あゆみ・宮間あや・近賀ゆかりなど自分の考えをもった選手たち。 彼女らとの公私にわたるコミュニケーションのなかで、信頼関係がはぐくまれていった。

 第三に、強みの分析と、弱点研究があった。対戦相手の弱点を徹底的に調べあげる。そして、しっかり作戦をねる。しかし、自分たちは弱点を克服するのではなく、自分たちの強みや良い点を積極的に伸ばそうという考えだ。

 澤はストライカーとして日本をひっぱってきた。その意味でフォワードでなくてはならない存在だった。それを、守備的な位置までさげようというのだ。しかし、現代サッカーではボランチが重要な位置をしめる。相手の攻撃の起点をつぶし、さらに反撃の起点として流れを組み立てるのだ。このボランチを坂口との「ダブルボランチ」にした意味はおおきいだろう。守備と攻撃のバランスを、ふたりで絶妙なバランスをとっておこなう。今回のW杯も、それは最高の出来だった。どちらも守備ができ、攻撃の起点にもなり、しかも得点まで絡む。

 佐々木監督はサプライズな仕掛けで、選手の気持ちをみごとに摑んだ。選手たちには練習すると言いつつ、実は「お笑いDVDの鑑賞」や、ボーリング大会、さらには焼肉パーティをおこなった。話しをするにも、まずは人間関係をきづく。そんな態度で接していたのだ。自分を「ノリさん」と呼ばせていたというのも、気安く話しをさせるため。絶対に「上から目線」では話さないという。あくまで、「横から」だ。これは、「フラットな組織※」にも通じる考え。このフラット組織論は、機能するとなると、とんでもない効果を発揮する。まさに、W杯の優勝はそのことを物語っているだろう。

 とかくヒトは、自分の弱さを克服しようとする。しかし、それは間違った考えなのだ。たしかに、努力すれば、幾分かはあがるだろう。しかし、それは自分のなかでの話しにすぎない。他者との比較では、到底相手にはおよばないのだ。それよりも、優れたところをさらに引き上げる。するとどうだろう。誰にも負けない自分というものができてくる。これが戦える条件になるのだ。しかし、相手の冷静な分析は怠ってはいけない。どこを突けば相手は困るのか!どこを押していけば穴があくのか!これと、自分の良さを掛け合わせることで、勝利の糸口をたぐりよせることができるといえよう。

 ※研究者によると、かりに組織がフラットであっても、目標となる効果がえられない場合が多いという。では、マネジメントにおいて「フラット組織」が機能するためにはどうしたらいいのだろうか。その答えのひとつが、その組織内にどれだけの人物が「OCB精神」を持っているかどうかだそうだ。

この「OCB」とは、Organizational-Citizenship-Brhaviorのことで、直訳すれば「組織市民性行動」。つまり、市民は社会のありとあらゆる問題にたいして自律的に行動することで社会問題を解決していく!というように、あらゆる組織においても自分に割り当てられた分野以外の仕事に関与していく、そんな態度をもった人のことを指す。たとえば、誰からも言われなくてもトイレ掃除を毎日するとか、調子をおとしている人がいたら話をよく聞いたうえで納得いくまで話し合うとか、自分のプロジェクト以外の会議でも参加し新しいアイデアを提案したりする。そんなOCB精神をもった人が加わっているかが、キーポイントとなる。

※シチズンシップ教育(市民性教育)とは

実際、佐々木監督でもこのことがいえる。NTT関東サッカー部〔(大宮アルディジャ(アマ)〕を率いていた1996年-1998年には選手自体が未熟(OCB選手不足)だったため機能していないのだ。

ドラッカーのマネジメント論にもあるように、OCB精神の基本は「真摯さ」にあるようだ。「真摯さ」とは原語で、インテグリティ(integrity)。高潔・誠実・清廉.がその意で、ラテン語integer(健全・完全)からきている。ヒトとしての整合性が完全にとれている。そんな人物を意味しているとおもう。それは、ヒトのもつ「知・情・意」のバランスもとれているということなのだろう。

IQとしての知能だけでなく、情動のEQも高く、さらにそれらが適当な均衡のうえにある。人間関係性も良好で、事実を的確に分析する力をもち、さらにそれを行動にかえていく。そんな人物で占められた組織。これが、最強な力を有することになるのだろう。今回のW杯優勝で、なでしこジャパンはそのことを証明してみせた!

W杯決勝・PK戦の秘話【佐々木監督のマネジメント術、さらに一言】

佐々木則夫監督、会議やミーティングでは、かならず「笑い」を最初にいれたそうです。よく行われるファシリテーションでも「アイスブレイク」をいれますが、これは出席者が気楽に口をひらかせるためのテクニック。佐々木監督のばあい、「親父ギャク・ノート」なる、ネタ帳があったといいます。普段から面白い話しを集めておく。そんな努力も、監督の人柄を表していますね。決勝で、米国とのPK戦。もうこれは選手にとって緊張の極地でしょう。このとき、監督は何といったか。「もう、これは儲けモノだよ!外したっていいんだ。楽しんで来い!」 これですよ。これなんですね。だから、あのとき監督は笑顔だった。そして、勝てたということでしょう。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿