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騒音歌舞伎「ボクの四谷怪談」 を観て

2012年10月24日 | 観劇メモ
ピロティホールでの観劇は初めてでした。

いつものように車で出かけました。施設には駐車場がありませんが、それほど離れていない場所に何軒か民間パーキングがあったので、そこに車を入れて車椅子でホールに行きました。それぞれ少しずつ料金が違い、当然安い順に埋まっていました。(笑) 私たちが停められたのは一番高くて遠いパーキング。


驚いたことに玄関前には長蛇の列。盛況です。私たちは事前に聞いていたエレベーターでホール前に行きました。でもこのホール、最近改装したと思いますが、ロビーなどのスペースが狭く何かと使い辛いところです。

昼食用にホール内の売店で買ったサンドイッチを、薄暗い通路の椅子に座って食べていたら、なんとそこに女性客のトイレの順番待ちの列が係員の誘導で並び始めました。狭い通路に、次々に列に加わる女性客が立ち並ぶので、私たちも落ち着いて食べていられず、早々に客席に向かいました。ちなみにこのホールは、トイレが劇場内にしかないため、開場前には利用できないので要注意です。

パンフレットを買いました。↓1,300円はちょっと高いかな?


今回の出し物「騒音歌舞伎 ボクの四谷怪談」はシアターコクーンでは1ヶ月近く32回も上演されていますが、大阪では4日間6回だけ。観劇人口の差は大きいですね。でもほぼ満席でした。
三浦涼介ファンの花が多かったです。↓


脚本は橋本 治、演出は蜷川幸雄。橋本さんは全く知りませんでしたが、演出が蜷川幸雄で、ヨメさんひいきの麻実れいが出るとあって、今回の観劇となりました。私は蜷川演出では「タイタスアンドロニカス」と安蘭けいの「アントニーとクレオパトラ」しか見ていませんが、前者の演出はいい意味で強烈なインパクトがありました。

さて、幕が上がって、舞台上に勢ぞろいしていた全出演者がスポットライトを浴びながらつぎつぎとはけていくと、70年代中ごろの浅草観世音境内の場となって、大勢の通行人や物売り(客席から風鈴売りが天秤棒にたくさんの風鈴をぶら下げて舞台に上がったりします)が行きかう場面に変わります。登場人物は現代の服を着ていますが、刀を差していたり名前が昔風だったりと意表をついていて、どんな展開になるのか期待が高まりました。

舞台は主役以外にも登場人物が多く行き交い、それぞれ小芝居しています。麻実れいなど、風船ガムを膨らませながら楽しそうに歩いていたりして、普段見たことのないリラックスした姿に驚かされました。
パンフレットより↓


でも、まず気付いたことは音響装置のせいかセリフがよく聞き取れないこと。

冒頭の伊藤喜兵衛役の勝村政信や、主役の田宮伊右衛門役の佐藤隆太の掛け合いも、セリフの輪郭が明瞭なのに聞き取れないのが不可解でした。どうも左右のスピーカーの配置が狭く、その外になる私たちの席は音場から外れている感じで聞こえにくいのかと思ったりしました。ピロティホール固有の欠陥かもしれません。
でもそんななかでも、尾上松也と麻実れいなど何人かのセリフだけははっきり聞きとれたのが印象的でした。
麻実れいの「アイドリング芝居」は初めて見ました。(笑)

話は「東海道四谷怪談」をなぞるように進んでいきますが、どの場面もハチャメチャさとか、奇を衒う演出の意図は感じても、ただそれだけ。いつまでたっても、ストーリーの芯が見えてこないのです。
見ているうちに中身がまるでないことがだんだんわかってきます。はじめは破天荒な展開が面白いなと思っても、それだけで、話を貫いているものがないとわかってくると、こりゃダメだとなります。大ボリュームでロックを流しても、歌としての基本的な魅力がないのでやかましいだけ。ロックミュージカルとは「お」にかけているのだそうです。

おまけに配役も、力量のない役者が主演し、力量のある役者は生かされていないというチグハグさ。例えば「梅ちゃん先生」の兄役・小出恵介など演技・歌ともに?で、他の若手役者も小粒な感じです。その分、勝村政信とか瑳川哲朗、麻実れい、梅沢昌代などベテランの存在感が目立ちました。でも、そのベテランが程度の差はあれ、しどころのない役ばかりでもったいなかったです。


途中二回の休憩を挟んでもハチャメチャ加減は収まらず、終盤でも突然「のど自慢」が始まったりして、ノリは井上ひさしも顔負けですが、ノリだけで出来は月とすっぽん。主人公・伊右衛門役の佐藤隆太の長々と続くモノローグでは、ついに睡魔に襲われてしまいました。話の中身に内容がないのは辛いです。最後のドンデン返しも不発気味で幕となってしまいました。

ただ今回目を引いたのは尾上松也の好演ぶり。

お岩役でしたが、さすがでしたね。立ち居振る舞い、セリフ、歌も見事で、さすがは歌舞伎役者です。今回の収穫は彼の存在を知ることができたことでした。
ちなみに江戸時代から、「東海道四谷怪談」は音羽屋のお家芸のひとつなんですね。

今回の感想としては、パンフレットの尾上松也のコメントが言い得て妙です。
ご観劇の皆様にはひたすら芝居に巻き込まれていただき、最後に『いったい何を観たんだろう?』と口をポカンと開けてしまうような衝撃を持ち帰っていただけたら、なんとも嬉しいですね!

さすがによくわかっていますね。(笑)

蜷川幸雄も生き急いでいるせいかけっこう多作ですが、アタリハズレも多いと思います。

少し酷評になりましたが、あくまで私感なのでご容赦ください。m(__)m



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