思いつくままに書いています

間口は広くても、極めて浅い趣味の世界です。
御用とお急ぎでない方は、ごゆっくりどうぞ。

今年最初の観劇は『不滅の棘』でした。 よかったです!!

2018年01月13日 | 宝塚
昨年最後の観劇は兵庫芸文センターでの『ペールギュント』。その翌日、一人で大掃除を頑張ったのが祟ったのか、正月早々から風邪を引き、2・3・4・5日まで絶不調。
ようやく6日ごろからなんとかましになって、8日のシアタードラマシティでの「不滅の棘」は無事観劇できて、やっと新年らしいスタートとなりました。
ということで、大変遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。m(__)m

今年も気まぐれ更新なブログになると思いますが(殴)、お暇なときにご覧いただければ幸いです。

で、いきなりですが、『不滅の棘』の感想です。いつものとおり敬称略。
(画像はスカステのニュース画像をキャプチャーしたものです)
15年前の初演は観ていませんが、ヨメさんは以前にスカステで放映されたのを見ていて、春野寿美礼がピッタリの役で、舞台装置も衣装も斬新、なにより木村信司の脚本・演出を絶賛していました。
でも私はそれも見ていないので(^^;、今回は(今回もか)、全く予備知識のないままでの観劇でした。

結論としては、何と言っても主演の愛月ひかるが光って(殴)いました。
舞台映えのする大柄な立ち姿に、真っ白な衣装が良く似合っていて、絵にかいたような偉丈夫。(笑)
白いマントを翻してさっそうとカレル橋に登場すると、それだけで絵になります。




しかし、彼女にはいい意味で裏切られっぱなしですね。

最初の衝撃はルキーニ。
それまでスカステのナウオンとかで話している様子を見て感じていた、色白でおっとりと話す控えめな印象から、彼女にはとてもじゃないが、ルキーニみたいなルナティックでファナティックで、エキセントリックでパセティックな((殴)しつこい!)テロリスト&アナーキストな役は無理で、これは大ミスキャストだろうと思っていました。

ところが、終わってみれば近年ではベスト!なルキーニ(あくまで個人の感想です)。本当に驚かされました。

そして去年のラスプーチン。鬼気迫る怪僧ぶりで、こんな役ができるのかとまたまた驚かされました。

そして止めが今回の『不滅の棘』。

不老不死の主人公・エリイ/エロール・マックスウェルを演じたことで、また新たな魅力が見られました。もともと春野寿美礼の宛書みたいな感じの役なので、これの再演は難しいだろうと思っていたのに、またまた独自の魅力ある役作りがされていて、感心しました。


初演では、かなり魔界の住人みたいな人間離れした主人公でしたが(ヨメさん談)、今回の愛月バージョンのような、人間臭い主人公も、意に反して永遠の命を与えられてしまった苦悩と絶望、虚無がよく体現されていて、よかったと思いました。




でもこの後、11日に「ポーの一族」を観て、今年のタカラヅカは「不老不死」特集かと笑ってしまいましたが。
ともあれ、今回の観劇で私たちは愛月ひかるを再々再評価で、今後に大いに期待したいです。

スカステのインタビューでは「歌が苦手なので、歌が課題です」とか言っていましたが、実際に観てみたら十分な歌で破綻がなく、これもうれしい驚きでした。まあルキーニでもラスプーチンでも歌が弱いとは思わなかったのですが。

その相手役・フリーダ・プルス/フリーダ・ムハを演じるのは遥羽らら

今回初めてお目にかかりましたが、二人のフリーダをうまく演じていて、愛月とのバランスも良く、いい組み合わせでした。





歌も力がありましたが、フリーダがカレル橋で「私は~あなたを~愛しています~」と歌うところはまるでアムネリス。(笑)
と思って調べたら、実際に2015年の「王家に‥」の新公でアムネリスをやっていましたね。それで今回の登用となったのでしょうか。
役としては1933年のフリーダ・プルスのショートカットが印象的で、カッコ良かった。今後注目したい人です。


弁護士アルベルトは澄輝さやとが演じていますが、初演では瀬奈じゅんで、アルベルトは初演のほうが存在感があったとヨメさんの談。でも頑張っていました。

プルス男爵未亡人タチアナ(純矢ちとせ)の息子ハンスは留依蒔世です。初演ではこの役を彩吹真央が演じていたとのことで、初演は豪華メンバーですね。どちらかというと童顔ですが、劇中ではアルコール依存症で常軌を逸した人物を力の入った演技で演じ切っていました。


ハンスの妹クリスティーナは華妃まいあ。初演が東野あすかというのも納得の、よく伸びる美声で聴かせてくれました。


未亡人タチアナの純矢ちとせはベテランらしい余裕の舞台。

ただ私たちが見たときは少し台詞をかんだ場面がありましたが、まあまだ2回目だったので無理もないかな。それより今回は少しほっそりした感じが気になりました。
もう少しふくよかな方がいいのにと思ったり。
でもこの人や、カメリア役の美風舞良が出てくるとグッと舞台が安定しますね。

舞台装置はシンボリックな形で、シンプルかつ斬新で洗練されていました。


何度も使われるカレル橋もよく出来ていて、多数の引き出しのある傾いた壁のようなセットも面白い。


死なない・死ねない・終わりのない生を生きねばならない、ということが如何に残酷なことかという主題を浮かび上がらせる印象的な舞台でした。それと、甲斐正人の音楽も耳になじむいい曲ばかりで、この才能がのちの『王家に‥』の大成功に結実したというのもよくわかりました。

あとインパクトがあったのは第6場の巨大な卵のセット

どういう風に割れるのか興味津々でした。(笑)
中から現れた美女!もインパクトありで、演出家の遊び心全開ですね。でも卵、本当によく出来ていたなあ。


先に触れたように、次に大劇場で観た『ポーの一族』も同じようなテーマですが、考えさせるということでは『不滅の棘』のほうがストレートで分かりやすかったと思います。

というわけで、いい作品からスタートを切れてラッキーでした。次は『ポーの一族』ですが、それまでにアップしなければいけないネタが溜まりすぎているので、頑張らないと‥。(^^;



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宝塚雪組公演『ひかりふる路~革命家マクシミリアン・ロベスピエール~』と『SUPER VOYAGER!』を観て思ったこと

2017年12月19日 | 宝塚
12月7日に、宝塚大劇場で『ひかりふる路~革命家マクシミリアン・ロベスピエール~』とレビュー「SUPER VOYAGER!」を観てきました。
といっても、もう大劇場の千秋楽も終わって、鮮度堕ちすぎ。(笑)
で当日は、既報の通り(殴)、11月にヨメさんが転倒し、それ以降歩行困難になっていたので、久しぶりに補助席でのフル車椅子観劇となりました。でも客席が一望できたりするので新鮮だったり。

今回の主人公はロベスピエール!!

まあタカラヅカのフランス革命史も変われば変わったものですね。

これまでタカラヅカでのロベスピエールの描き方は、スカピンのような、凡俗・凡百のステレオタイプな「冷酷非道の独裁者」・「恐怖政治の元凶」的人物評が横行してきましたが、ここに来てようやく正当な評価が試みられて、手がけた生田大和氏と、その企画を通した歌劇団に感無量です。(遠い目)^^;

私はずっと前から、ジャコバン派とロベスピエールがどう評価されているかで、フランス革命を扱った評論や舞台、文学作品を評価する基準としてきましたが、まさかタカラヅカの舞台でそれを検証できるとは。

以前の『1789 -バスティーユの恋人たち-』も民衆の視点から革命を描いている点で新しさがありましたが、タカラヅカオリジナル作品でロベスピエールを主人公に据えたのは今回が初めてでしょうね。長生きはするものです。(笑)

というわけで、観劇の日を心待ちにしていました。

で観終えての感想ですが、期待通り見ごたえのある作品で、大満足でした。

以下、いつものとおり淡白で独善的な感想で敬称略です。
珍しく結構ネタバレありなので、未見の方はここでお帰りになられたほうが吉です。
(画像はスカステのナウオンからキャプチャーしているので不鮮明です。)

まず、作品に貫かれたフランス革命の評価と、そのベースにある歴史観は期待以上で、さらにそれを体現した望海風斗と真彩希帆の歌がすごい!!
そして全曲フランク・ワイルドホーン作というのも豪華です。口ずさみながら帰宅、とまでは行かないけど(殴)、さすがに耳に馴染むいい曲ばかり。

「ひかりふる路‥」の時代設定は、タカラヅカの作品でいえば先の「1789‥」に連続する時期。
ギロチンの刃を象徴するかのような斜めの線が際立つ幕が上がって、タレーラン(夏美よう)と、
マノン・ロラン夫人(彩凪翔)が狂言回し的に登場。



その後、舞台は1792年末から93年初めにかけての、ジャコバン派とジロンド派の間でルイ16世の処遇を巡る対立が激化していた国民公会の議事堂に変わります。

ちなみにこの劇で一番印象的だったのは、タレーランの
「歴史は生き残った者が書く」という台詞。この一言が、作者の主人公への思いを言い表しているようで、心にグサッときました。


サンキュロット(パリを中心とした都市下層民と労働者の急進派)の支持を背景に、ロベスピエールが「国王はその存在自体が罪である」と演説し(史実ではサン・ジュストが演説したのですが(殴))、93年1月にルイ16世が断頭台に送られるところから物語は始まります。

話はかなり歴史に忠実に展開していきます。

ということで、役ごとの感想です。

まずマクシミリアン・ロベスピエール役の望海風斗から。


プログラムの解説にもあるように、ロベスピエールは誠実で私心なく清廉の人で、民衆の熱狂的な支持を集め、不倶戴天の敵・マリー=アンヌ(真彩希帆)すら恋に落ちるほど魅力的な人物。そんなロベスピエールを望海風斗はストレートに演じていてぴったりの役でした。



主題歌「ひかりふる路」を歌いだしたら舞台はたちまち望海ワールド(笑)。


演技と歌のバランスが良くて、立ち姿も堂々としていて、大劇場お披露目公演なのにすでに風格すら漂っていて見惚れました。

ただ、2本物の制約から、脚本にはロベスピエールの生い立ちや経歴、人となりを紹介するエピソードがほとんどないのが残念。これがあれば感情移入しやすいだろうにと思いました。

情熱をもって革命に没入したものの、革命の進行とともに内部での対立抗争も激化し、外国の干渉やサンキュロットの蜂起、反革命の争乱などで、革命自体その雲行きも怪しくなってきて、やがてロベスピエールも懊悩し始めます。そのあたりの揺れる心情もよく表現されていました。

そして、相手役のマリー=アンヌ役は真彩希帆


ロベスピエールを追ってパリに出てきて、


隙あらばと狙って近づきます。






架空の人物ですが、作者はモデルとして、ロベスピエールの盟友ジャン=ポール・マラーを暗殺したシャルロット・コルデと、ロベスピエール暗殺未遂犯セシル・ルノーという二人の女性をベースに造形したといっています。敵役が恋仲になるというよくあるパターンですが、怨念が次第に愛に変わる過程をうまく演じていて、期待通りの歌と相まって、安心して観ていられました。
(マリー=アンヌという名前はマリー・アントワネットみたいで面白いですが、私はマリアンヌかと思っていました。)
この人は『幕末太陽傳』の「おひさ」&『Dramatic”S”!』の「絵画の女A」で初めてお目にかかりましたが、やはり今回も演技と歌は大したもの。どちらかというと庶民顔ですが(殴)、これぞ娘トップ!な歌唱力と演技で、望海風斗と絶妙のバランスのコンビでした。

二人に続く役どころとしては、まずジョルジュ・ジャック・ダントン役の彩風咲奈と、




ロベスピエールの盟友サン・ジュストを演じた朝美絢




そしてこの公演で退団する専科の沙央くらまが演じるデムーランが目立っていましたが、


私は先に触れた彩凪演じる大年増なマノン・ロラン夫人がインパクトがあって面白かった。



歴史的に夫より有名で、実質ジロンド派の黒幕だったことを考えれば、彩凪の登用は当たりでした。
(しかし今回の公演は、ショーでのまさかのエトワールなど、沙央くらまへの大厚遇が目立っていましたね。)

さらに妄想すると、私的にはサン・ジュストは美弥るりかもいいかなと思ったり。(笑)

デムーランは、実際にはバスティーユ襲撃前に蜂起を呼びかけたりと、フランス革命史上有名な人物ですが、時間の都合でそれらは割愛。
というわけで、今回の舞台、これまで黒い役の筆頭みたいに扱われてきたロベスピエールにスポットにライトを当てた点で画期的でしたが、やはり2本立ての限界で、劇中で十分彼の歴史的な役割とか、人物像が展開されていないのが勿体ない。

結局ロベスピエールは、絶対王政の打倒後に顕在化してきたブルジョアジーとサンキュロットの決定的な対立、その反映としてのジャコバン派とジロンド派との絶え間ない対立抗争、そしてオーストリア・プロイセン・イギリス・スペイン・オランダ等の絶え間ない武力介入の重圧で危機的な情勢にあって、自分の立場に確信が持てなくなったのでしょう。
私としては、彼はブルジョアジーと決別して、サンキュロットとパリコミューンの民衆とともに最後まで革命を進めるべきだったと思いますが、それは今だからこそ言える話ですね。

最後は「王家‥」みたいな場面になって、二人は天上へ旅立ちます。

しかし、タカラヅカが描くフランス革命は、砂糖菓子のような甘~い「ベルバラ」から、露骨なイギリスの反革命的干渉の「スカーレット・ピンパーネル」(笑)とか、民衆の蜂起そのものの「1789‥」、革命の後日談みたいな「アンドレア・シェニエ」(そういえば望海風斗パンジュ侯爵を好演していましたね)、そして革命の終盤にボナパッて登場した「眠らない男ナポレオン」、そして今回の「ひかりふる路」と、まあ多彩というか、無節操というか(殴)、懐が深いというか。(笑)

今回観劇しながら、視界360度の環状劇場で、これらの作品を時間軸を統一して上演したら面白いだろうなと妄想していました。

さてショーのほうは、新トップ「望海風斗」をそのまんまタイトル化した「SUPER VOYAGER! -希望の海へ- 」。
構成も「希」から「に舞う」、「北七星」とわかりやすい!(笑)

どれも洒落た場面で楽しめましたが、とくに良かったのが第4章の風のささやき。(歳がばれる(笑))
曲に乗って、サントロペで繰り広げられる望海のマフィア=アランと昔の恋人マリアンヌ(マリー=アンヌの生まれ変わり?(笑))の朝美絢、彩凪のジョルジュ(ヒモですね)の古典的な三角関係。
でも朝美絢が色っぽくて、それを見ながら歌うクラブ歌手の女に扮した沙央の歌が大健闘で、なかなかお目にかかれない設定にビックリでした。

いつも言っていますが、男役のほうが、色っぽい大人の女をやらせたらうまいですね。

真彩希帆も“BIG DIPPER”の場面では、名曲「ビギン・ザ・ビギン」を歌うなど、聴かせてくれました。


客席降りもタップリで盛り上がりました。(私たちは補助席でウラヤマシー!でしたが)
カラフルでテンポがよくて、メリハリのある場面転換が魅力。


そして第7章で船出となって、どこかで見たような船のセット(殴)にのって航海に旅立ちます。










ここでも退団する沙央くらまが一場面をもらって頑張っていました。
先に書きましたが、パレードのエトワールも沙央が務めるなど大活躍でした。歌劇団の温情がこれでもかと伝わってきます。

第9章の「希望の海へ」のカゲソロの桜庭舞もよかったですね。

今回の歌劇の名にふさわしい歌ウマなトップコンビの魅力いっぱいの新生雪組公演、大満足でした。
おすすめです。


今回もご覧いただき、ありがとうございました。


コメント (3)
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宝塚宙組公演『神々の土地』&『クラシカル ビジュー』の観劇メモ その1

2017年09月12日 | 宝塚
先日、宙組公演『神々の土地』&『クラシカル ビジュー』を観てきました。
朝夏まなと伶美うららの退団公演となる今回の舞台、二人が主演した名作「翼ある人びと」と同じ脚本・演出家の作とあって、大いに期待しながら劇場に向かいました。今回も大した渋滞もなく、9時30分には駐車場へ。

観劇の前日、ヨメさんとスカステのナウオンステージを見て事前学習。(笑)
でもこの番組、ネタバレに極度に配慮して、話の中身がよくわからないように作られています。(笑)「娘トップ不在」ということで、いつもは披露される娘トップの苦労話みたいなのもナシ。
なので、結局どんな話かよくわからないまま、7列上手側端の席で開演を待ちました。
当日は凪七瑠海さんや壱城あずささんたちもご観劇でした。

という、どうでもいい前置きはこのくらいにして、いつものとおり、薄味かつ極めて個人的な、独断と偏見満載の感想です。ネタバレもあるので、未見の方はスルーしたほうが、今後の観劇の感激(殴)は大でしょう。

(今回は大作の予感がしたので(笑)、先行販売で2回分のチケットをなんとか確保。なので、とりあえず「感想その1」となる予定です(笑))

以下敬称略。画像はナウオンの画面撮りなので、参考程度にご覧ください。

で、いきなり感想の結論ですが、まあなんとも凄いものを観てしまった

幕が下りてしばらく茫然自失。そしてヨメさんと顔を見合わせて、お互い「すごいね」の一言だけ。
「絶対チケットを2回分取って!!」というヨメさんの指示は大正解でしたね。

今まで観てきた宝塚の作品でもトップクラスの完成度。」とは、長年のタカラヅカ・ウォッチャー・ヨメさん談です。

そのとおりで、本当にこんな高密度の脚本を、二本物の時間的制約の中で書き上げるとは大した力量です。
恐れ入りました。

構成も、プロローグの皇帝暗殺から、二人の出会いの雪原の場面、そして最後にまた雪原の別れの場面、そしてドミトリーのモノローグで始まる洒落たエピローグとよく考えられていて、泣かせどころもタップリでした。

それと、キャスティングも絶妙。「翼ある人びと」のあの大感動を、さらに大きな舞台設定で再び味わえるとは望外の喜びでした。今回も台詞がよく練られていて、とくに主演二人の情感あふれるやり取りは深く心に沁みました。沈黙さえ雄弁な演出が見事でした。

ただ、<ミュージカル・プレイ「神々の土地」~ロマノフたちの黄昏~>といってもあまりミュージカルらしくなくて歌は少なく、台詞中心の舞台でした。でもそのおかげで話の展開はよくわかり、複雑な人間関係と社会背景も理解しやすかったです。ヒロインに配慮したのでしょうか?(殴)

一回目の観劇なので、簡単に(二回目も簡単だったりして(殴))役ごとの感想です。

まずドミトリー役の朝夏まなとから。

主人公ドミトリーは、農民たちの悲惨な生活の上に胡坐をかいて、贅沢の限りを尽くし、爛熟・腐敗したロマノフ一族をはじめとする皇族・貴族たちとは違って、ロシアの現状を憂う青年貴族という設定です。

ロシアを覆う深刻な政治危機に深く憂慮し苦悩する一方、大公妃イリナ(イレーネ)への慕情を持ち続け、やがて局面打開のため立ち上るという、純粋で多感なドミトリーを、抑えた演技で見事に演じていました。



凛々しくて爽やかで優しさもあって、しかも愚直なまでに誠実というまさに理想の主人公。

前作のブラームスで感じた、台詞や動作の隅々にまで細やかな心理描写が込められていて、抑制のきいた演技なのに強く伝わってきます。もうしょっぱなから感情移入しまくりです。
演出が冴えていました。

しかしまあ、「翼~」といい今回の作品といい、朝夏まなとと伶美うららのコンビの魅力をこれでもかと見せてくれて、先に触れた二回の雪原の場面など、この世のものとは思えない美しさ。(笑)







朝夏まなとが、この上田先生渾身のオリジナル作品で退団することになって、本当に良かったですね。

余談ですが、はじめのほうの雪原に登場する大鹿が、小道具さんの大変な力作でした。一回しか使われないのにリアルな作りの鹿で、もったいない。(笑)
逆に雪合戦が「エアー雪合戦(殴)」なのがプチ残念。



次は大公妃イリナ(イレーネ)の伶美うらら
この人、トップ就任もかなわず退団と聞いて残念に思っていましたが、こんなドンデン返しが待っていたとは。まるで9回裏・ツーアウトで満塁サヨナラホームランです。(殴)

もう文句なしのトップ娘役


伶美うららは、スカステで見た「キャパ」や、大劇場で観た「王家~」ではキャラクタと役が合っていない感じでしたが、上田久美子の二作品ではまさに水を得た魚!

これまでの彼女の集大成といえる、魅力満載の舞台でした。彼女も「翼~」に続くこの作品で再度本領発揮で、本当に良かったです。

史実がベースの舞台でも、この「大公妃イリナ」は創作された人物(「大公女マーリア」の体験などが参考にされていますね)ですが、しっかりとした人物像はさすがです。

気品ある美貌と、抑揚のきいたしかも情感にあふれた演技、低く抑えた声でもよく通る台詞など、非の打ちどころのない大公妃イリナでした。
センスのいい色彩とデザインの豪華な衣装が良く似合い、今のタカラヅカでこんな着こなしが出来る娘役が他にどれだけいるだろうかと思わせるぐらいで、シックな髪形もピッタリでした。


でもあくまでも非トップなので、プログラム(久しぶりに買ってしまった^^;)はその他大勢(殴)扱いですが、実質文句なしのトップ娘役なのでよしとしましょう。
くりかえしになりますが、とにかく私たちは再び「翼~」以来の気品に満ちた麗姿と演技がタップリ観られて、大満足でした。

続いてフェリックス・ユスポフ役の真風涼帆です。
この人物は貴族の生活を享受しながら、反面ロシアの現状についても醒めた目で見ていて、
ラスプーチン暗殺と皇帝一家を排除するクーデター計画を企てて、ドミトリーにも加担するよう持ち掛けたりします。こんな一筋縄ではいかない、したたかな人物を真風はのびのびと演じていました。二番手によく回ってくるおいしい役です。


個人的には、プロローグのニューヨークの場面で、
「人間は生活に必要な量以上に食物を手に入れるようになってから、文化や芸術を手に入れた」みたいなことを言ってから、「ニューヨーカーやボルシェビキどもには文化や芸術はわからない」と続けるところがツボでした。(私はロシアン・アバンギャルドの芸術とその時代が大好きですが)

太古の昔、生産力の発展とともに「階級」分化が発生し、フェリックスもまた、その支配階級の一員として、優雅な生活を築いてきたことを反省するどころか、革命後もあっけらかんと居直る姿に、反語的な表現ながら作者の歴史観が垣間見えた気がして、面白かったです。

怪僧ラスプーチン役は愛月ひかる
今回も、ナウオンなどでの、おっとりとした話しぶりからは想像もできない怪僧ラスプーチンを体当たりで演じていました。






見始めてすぐに、絶品だったルキーニを思い出しました。

今回も鬼気迫る演技で、断末魔の形相もすごい。実際の暗殺の詳細は不明とのことですが、一説では、毒を盛られ、銃弾数発を撃ち込まれても死なず、最後は川に投げ込まれて絶命したとか。舞台でもしぶといです。(笑)

ドミトリーの婚約者オリガ星風まどか


役としては、小さい時から王族の一員として、蝶よ花よ(古いなぁ)と大切に育てられた世間知らずな王女様ですが、時代に翻弄される(←これまた陳腐な表現ですが(殴))境遇をよく体現していました。
タカラヅカ事情に疎い私なので、ナウオンで見たとき「なんでこの人が次期娘役トップ?」と思ったのですが、歌、物凄くうまいです。納得でした。

夫とともにラスプーチンに誑かされる皇后アレクサンドルは、凛城きら
はじめ、あれこんな女役さんいた?と思いながら見ていましたが、凛城きらとわかってびっくり&納得。やはりマリア皇太后と張り合うには、この配役でないとね。(笑) 
でも女役が良く似合っていてきれいで(よく考えたら変な話ですが)、見とれました。

その敵役となるマリア皇太后寿つかさ


冒頭に暗殺されるセルゲイ大公との二役というビックリの配役でしたが、ゾフィーばりの男っぷり(笑)はなかなかのものです。

最初は男役そのままの発声に違和感を感じたりしましたが、そこが演出家の計算だったのでしょうね。いい役で存在感タップリでした。

そしてジナイーダ純矢ちとせ


冒頭、ドミトリーを送る舞踏会で、この人が狂言回し的に、これから始まる芝居の初期設定(笑)みたいな説明を兼ねた会話をしてくれて、登場人物や時代背景がよくわかって助かりました。(笑)

いつも感じることですが、なぜか私はこの人が舞台に現れるとホッとしたりします。(笑) 歌も演技も好みです。

あと目立つ役だったのは、コンスタンチン役の澄輝さやとと、瀬音リサのジプシーの踊り子ラッダ
二人の関係が、当時の世情の一面を切り取っています。瀬音リサの野性的な強さのある歌とダンスが目立っていました。昔なら矢代鴻さんの十八番みたいな役ですね。


桜木みなとは急進的なボルシェビキのリーダー・ソバール




革命の闘士として、頑張っていました。レーニンを信奉する急進的なボリシェビキですが、宝塚でレーニン主義者が見られるとは。初めてじゃないかな。でも姉も死んでしまうし、まあ過酷なツアーリの体制下ではリアルな話ですが、みんなほんとによく死んでしまいます。(笑)

最初と最後に出てくる農夫・イワン役が風馬翔
出てくるのは最初と最後の短い場面で、ドミトリーと交わす台詞も多くないのですが、二人の台詞の行間に漂う情感が、場面を味わい深いものにしていました。幕間の休憩でヨメさんも、「あの農夫、誰かな、うまいね~」と褒めていました。まったく同感でした。


「クラシカルビジュー」は、宝石がテーマのショーでした。

私は結構きれいなしっとりした場面が多くて気に入りましたが、ヨメさんの感想は「普通」。

まあ確かに、最近の良作のショーと比べたらあまり新味はないですが、私は朝夏まなとと伶美うららのルビーの場面でのデュエットが見られただけで大満足。伶美うららの真紅のドレスを眼に刻み込みました。(笑)




真風涼帆が王冠を盗もうとする場面も美しい!




ショーでも愛月ひかるは驚きの太神官。

トップ交代も順調で、


真風もはやトップの風格が漂い始めていました




今回はショーでも、最初はそれほどサヨナラ公演という感じはせず、終盤の[継がれる輝き]から、トップ継承をモチーフとした演出に変わり、BijouⅠ「美宙」でジュピターが流れた後、純矢ちとせが歌いだして舞台はサヨナラモード全開となりました。

朝夏まなとは黒燕尾もバッチリで、ダンサーとしても存分にその力量を見せてくれました。










フィナーレのエトワールはもちろん星風まどか。申し分ない歌で、娘役新トップとしての力量を披露してくれました。

芝居のほうはサヨナラ公演臭のまったくしない作品だったので、ショーになってから最後のパレードで、ようやく、ああこれで朝夏まなとの最後の舞台になるのかという感慨がわいてきました。誰でもいつかは退団するとはいえ、やっぱり惜しまれます。

というわけで、第一回目の観劇の感想はおしまいです。

今週また大劇場に行きますが、今度はもう少し、主演二人以外の人物にも目を向けられる余裕がありそうです。いつとは言えませんが(殴)、また感想をアップしたら、覗いていただければ嬉しいです。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。



↓おまけです。最後のナウオンの収録後、恒例の花束贈呈です。






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宝塚月組公演「『All for One』~ダルタニアンと太陽王~」の遅すぎる感想です

2017年08月28日 | 宝塚

ようやく三銃士の感想です。もう鮮度落ちまくり、とっくに賞味期限切れですが、日々薄れ行く私の記憶をとどめるためにのみ(殴)、書いています。なので、今でもまだ興味がおありでしたらどうぞご覧ください。ネタバレは少ないと思いますが、舞台を未見の方はスルーが吉です。

今回、先行予約でチケットを取るときに、演目が「三銃士」と聞いて、真っ先に思い浮かべたのは、NHKの人形劇でした。

ご覧になられた方も多いと思いますが、脚色・脚本を三谷幸喜さんが担当して、『連続人形活劇 新・三銃士』として2009年10月12日からNHK教育テレビで、また、2010年4月4日からNHK総合テレビでも放送された名作!!です。
私が見たのは総合テレビで日曜日に再放送されたほうでした。
はじめは夕食の食器などを片付けながら、カウンター越しにテレビの画面をチラ見&台詞を聞き流していました。でも子供向けとは到底思えない台詞のやり取りと、人形のキャラクタの魅力で、いつのまにか画面に引き込まれていって、やがて毎回楽しみにして見るようになりました。

とくに気に入ったのがミレディ。

赤毛のスレンダーな美女ですが、かなり性悪です。
でもだいたい善人より悪人のほうが魅力があるし(殴)、話が進むにつれ、結構可哀そうな身の上であることもわかってきて、一番感情移入してしまった人物でした。戸田恵子さんの声がまた良かった。でも最後は処刑されてしまって大ガッカリ。(笑) 

なので、てっきり宝塚版では、だれがミレディをやるのだろうかと期待していたのですが、こちらは三銃士とはいってもまったく別の話で、ミレディのミの字もなし。(笑)
「三銃士」といっても、「異説・三銃士」or「三銃士異聞」、「三銃士外伝」みたいな作品です。

(しかしいつも思う基本的な疑問としては、使うのは剣ばかりなのになぜに「三銃士」?(笑))
それとAll for One じゃなくてTous pour un, un pour tousのほうが良かったのではとも思ったり。(長いけど(笑))

しかし、期待にそぐわず、小池先生は手練れ。とにかく話がぶっ飛んでいます。
事前情報なしに劇場に行った私は、半ばあきれながら、でもあまりのタガのはずれっぷりに感心しながら観ていました。

でも面白い。
はじめは「直虎」にヒントをもらった話かと思っていたら、途中からさらに話が飛躍して、まあ自由奔放というか荒唐無稽というかデタラメというか(殴)、でも月組+専科メンバーの絶妙な配役&好演で、こちらもいつのまにかドップリ話に引き込まれていました。

それと、ギャグが絶妙で、客席は爆笑の連続。

ぶっ飛んだ話とは言ってもそこは小池作品で、ロミジュリみたいな場面とか、スカピンみたいな香りが漂う場面とか、巧みな構成で展開がうまいです。

まあ全体には軽い話なので、面白いけど帰りの車中ではストーリー自体はあまり話題にならず、もっぱら月組メンバー、とくに愛希れいかの演技が話の中心でした。

ということで個別に簡単な感想です。いつもの通り敬称略。画像はナウオンの画面撮りです。参考までに。

まず珠城りょうのダルタニアン。

この人は舞台映えがしますね。強そうで、でもやさしそうで、クセがない。(殴)
三銃士を率いるリーダーシップもあり、適役です。それと、今回の作品のウリでもある剣さばきがダイナミックで、タカラヅカの殺陣の場面でいつも感じるハラハラ感が少ないのも(皆無とは言いませんが)良かったです。





歌も余裕でこなし、安定した歌唱力で聴かせます。ナウオンなどでも話のリードがうまくて、すっかりトップが板についています。

壁ドン!!


でも、今回の公演で一番目立っていたのはやはり国王ルイ14世に扮する愛希れいか
これまでもこの人には驚かされ続けでしたが、今回もまさに水を得た魚。





ルイ14世が実は女性だったみたいなトンデモ話でも、この人が過去の経験を生かした無理のない男の声で演じるともっともらしくなり、途中で女性に変わるところではすっかりかわいらしい女性になるなど、メリハリの利いた演技には改めて感心しまくりでした。小池先生も演出家冥利に尽きるといったところでしょうね。

これまでのタカラヅカの歴史で、長く娘トップを続けている人を見ると、もういい加減に辞めたらと思ったりしますが、この人は別で、次はどんな役を演じてくれるかと楽しみになります。ナウオンなどで見ていると珠城りょうとも相性のいいコンビぶりで、こちらも見ていて安心。(笑)

アラミスの美弥るりかもおいしい役で(私は「三銃士」ならミレディはこの人がベストと思っていましたが)、目立っていました。でもやはり派手な美貌で、いつも私は、この人が退団して俗世間に戻ったらどんなふうだろうと妄想してしまったり。(笑)




残るアトスの宇月颯、ポルトスの暁千星も個性が際立つ好配役でした。
アトスはヒゲがよく似合っていましたが、はじめは誰かわからなかった。^^;
でもこの人が加わって三銃士のアンサンブルが絶妙で、月組も歌ウマが多いなと感心しながら観ていました。やや遅咲きでもいい役にめぐりあえてよかったです。やはり宇月颯のような中堅の実力派は大事にしなくては。

アトスのポルトスは童顔なのに大酒のみの力持ち。岩を投げたり(発泡スチロールっぽくて重そうには見えづらいけど^^;)して頑張っていました。


敵役は王家乗っ取りを狙うマザラン枢機卿の一樹千尋


この人、今回も登場するだけで存在感が舞台に充満、いかにも老獪で権謀術数をめぐらす腹黒い役そのものでしたが(笑)、私の印象としてはそんなに悪いことをしていないですね。

悪逆非道な暴政で、民衆に塗炭の苦しみをなめさせる、みたいなエピソードはなくて、王権をめぐる陰謀話が中心。なので、まあこのぐらいならどの国の歴史にもゴロゴロしてそうなので、ちょっと悪人度が低いのではと思いながら観ていました。(笑)

しかし舞台では、やはり余人をもっては代えがたい円熟の演技でした。

そのマザラン一派の護衛隊長・ベルナルド役が月城かなと
この人もまたおいしい役で目立っていました。黒ずくめの衣装に酷薄さがただよう美貌が良く似合い、口数も少ない直情径行のアブナイ武闘派ですが、愛希ルイをめぐる珠城ダルタニアンとの恋争いの場面では、まじめな顔で言った一言がバカ受け。客席は大爆笑でした。結構純情で、愛すべきところもある人物です。
でもこの人、もう月組にしっかり溶け込んで、大きなポジションを得ていますね。大成の予感で、次の公演も楽しみです。

あと、今回も沙央くらまがモンパンシェ公爵夫人として目立つ役をもらっていました。

かなりの老嬢(殴)でも目を引く美人で、コミカルな演技も全く不自然さがなくて、小池先生の登用がバッチリ当たっていました。フィナーレのショーでも出番が多くて大活躍。ついオペラで追ってしまいました。


考えてみれば、今の宝塚でこういう役のできる女役があまりいませんね。
専科に行って良かったですね。
これまで何度も言っていますが、男役経験者のほうがいい意味で表現に強さがあって、女役でも演技に厚みが出る感じがします。
今後も女役中心でお願いしたいです。(殴)

風間柚乃のジョルジュは、出ました!おなじみ貴種流離譚!みたいな役どころ。でも全く私は知らない人だったので、ヨメさんにアレ誰?と聞いたら、さすがに彼女はスカステでチェックずみでした。
かなりの抜擢のようで、今後の注目株ですね。素朴なたたずまいで、役によく合っていました。

最後はショーが付いていて、これがかなり長く内容も濃く、お得感タップリ。

美弥るりかをはじめ三銃士ももちろん、月城かなともカッコ良くて、舞台映えしました。


先に言ったように今回も沙央くらまの出番が多くてちょっとびっくりでしたが、センスのいいきれいな衣装で美貌が生きて、女役の魅力全開でした。

この作品、一本物として期待通りの(ストーリーは全く意外でしたが)内容の濃い作品で、暑さを吹き飛ばす楽しい舞台でした。一度しか観られなかったのが残念でした。

というわけで、なんとかアップしましたが、もう今週の木曜は宙組観劇。^^;
今度はもう少しタイムリーに書ければと思いますが、どうなりますやら。

--------------------------------------------------------------------------------------
最後にお詫びです。m(__)m
昨年来、当ブログにコメントいただいていたあみさんをはじめみなさん、せっかく投稿いただいていたのに先日まで気づかず、大変申し訳ありませんでした。
これまであまりコメントを頂くことがないのでついチェックがおろそかになり、反省しています。

今後は定期的にチェックするように致しますので、どうかご容赦いただきますようお願い申し上げます。

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宝塚花組公演「邪馬台国の風」&レビュー・ファンタシーク「Sante‼」 観てきました

2017年06月23日 | 宝塚
花組新トップコンビの大劇場披露目公演「邪馬台国の風」(中村暁作・演出)とレビュー・ファンタシーク「Sante‼」~最高級のワインをあなたに~(藤井大介作・演出)を観てきました。
当日は道路の渋滞もなく、一時間余りで劇場駐車場へ。売店でいつものタカラヅカ・フィナンシェを買ったり、郵便局で切手を買ったりした後、開場となり、客席へ。11列の上手端の席でした。修学旅行生も観劇していて、立ち見とまでは行かなくても、ほぼ満員の盛況でした。

という前置きはこのくらいで、例によって薄い感想です。でもネタバレあり&芝居のほうは絶賛モードには程遠いので、未見の方はここで華麗にスルー!が吉です。いつもの通り敬称略。
 画像はプログラムとNow on Stageの画面撮影です。

「邪馬台国~」は、邪馬台国と狗奴(クナ)国との抗争を軸に、明日海りおのタケヒコと、仙名彩世演じる巫女マナ/女王・卑弥呼との出会いと別れの物語です。まあ史実そのものがわかっていないので、かなり自由に創作されたお話でした。


幕が上がって白装束の邪馬台国の兵士たちが登場、そこに黒い衣装の狗奴国の兵士が乱入、激しい戦闘場面が展開するというところから物語は始まりました。

そのあと狗奴の兵士に追われて、森に逃げ込んだタケヒコ少年(華優希)が、渡来人の老人李淵(高翔みず希)と出会い、生活の知恵を習得し、棒術もマスター。でしばらくして突然タケヒコは成人した姿に変身。まあ「ベルばら」でおなじみの演出で、「あっという間だったな」という李淵の台詞が笑わせてくれました。
でもヨメさんは「やっぱり少年役は要らんと思うけど。」(笑) 

それと李淵が武術の達人のはずがあっさり殺されてしまうのもちょっと残念でした。それと李淵の「自身の宿命は変えることができないが、自分の生きる道は自分で切り開いていける」という言葉も、はじめはなるほどと思ったのですが、よく考えると意味が???。(笑)

それはさておき、話はタケヒコとマナの運命的な恋(といってもあまり絡まない^^;)と別れ、タケヒコに信頼を寄せる邪馬台国の兵士たちとのエピソードなど、破綻なく話は進んでいきますが、なんとなく「ベルばら」と「王家~」をミックスしたみたいな香りが各所に漂っていてややデジャヴ感も。

一番残念だったのは、役も多く、盛り沢山な話なのに、それが最後に大クライマックス!!な場面に収斂していかず、終わってみればやや平板で、あまり気分が高揚しないまま終わってしまったことです。

私は狗奴国の大軍勢が、最短距離の峡谷を通過して邪馬台国に攻め込もうとしたものの、まんまと邪馬台国軍の術中にはまり、カスター将軍と第七騎兵隊みたいな敗北を喫する大スペクタクル殲滅戦(まあ映画ではないのでそこまでは無理かな^^;)を期待していたのですが、見事にスルーされていました。(笑)

狗奴国の首脳部は、何度も峡谷を通るかどうかで議論が分かれていたので、映像表現でもいいから、決戦シーンが欲しかったですね。
そして最後も「え、これで終わり?」みたいな地味な場面で幕となったのもビックリ。

明日海りおのタケヒコは、この人の持ち味のさわやかさと凛々しさ溢れる青年で、安定した歌唱力と演技で好演していました。






カリスタ~」の主人公にも通じる、辛い過去にも挫けず、強い信念を秘めつつひたむきに生きる青年という役どころがぴったりでした。棒術もマスターしていて見ごたえがありました。
しかしこの人、ナウオンでの対談を見ていると本当に民主的な(笑)トップさんです。
よくある、自説を延々と開陳して止まらない、といったトップ(誰とは言いませんが(笑))とは真逆で、組のメンバーに対してもあくまでも控えめで謙虚なので、「もう少しアグレッシブにしてもいいのでは」といつも歯がゆく思ったりします。(笑)
ナウオンです↓


今回がトップ娘役の大劇場お披露目公演の仙名彩世は、やはり定評のある歌で、演技も自然で、明日海りおとのバランスも良くいいコンビでしたが、意外に台詞の声はかわいらしくて(殴)、ちょっと私のイメージとは違っていました。なにしろ私的にはあの「ファントム」の新人公演でのカルロッタのインパクトがあまりにも強烈だったので。(笑)


狗奴国の将クコチヒコの芹香斗亜は、あまり私は見たことがない黒い役ですが、ますます逞しくなっていました。



でも二番手の重圧なのかちょっとやつれ気味に見えるのが心配ですね。しかし前から何度も言いますが、数年前のおとなしめな雰囲気から別人の成長ぶりで、憎々しい敵役を好演していて存在感も十分。歌もよかったです。

邪馬台国の兵士たちも、邪馬台国の兵の長・アシラの鳳月杏をはじめ、フルドリの柚香光とツブラメの水美舞斗がいい役回りで目立っていました。


専科から特出の星条海斗も、いつもと変わらぬ堂々たる偉丈夫ぶり(笑)の狗奴国の王ヒミクコを演じていて、期待どおりの存在感。


美穂圭子の大巫女もさすがの歌で、こちらも圧倒的な存在感でした。


あとは、私が勝手にひいきにしている花野じゅりあのアケヒも頑張っていて、出番も多くて満足でした。(殴) 

でも何度も言いますが、盟神探湯(くがたち)とか日食とか、結構エピソードが多く、ちゃんと伏線も張られていたりして、展開に破綻はないのですが、ここ一番の山場というか見せ場に欠けていて、幕が下りたら淡々とした印象しか残りませんでした。
でも、個性の際立つしっかりした役作りで、登場人物も多いので、一度は観ておくべき作品です。(といってももう手遅れか(殴))

一方「Sante‼」はよかったですねえ。
ショーでこんなに楽しめたのは最近なかったです。
大体、以前に大階段出しっぱなしという横着なショー(笑)を観て大ガッカリだったので、藤井大介作・演出というだけで全く期待していませんでした。m(__)m

でも、今回はそんな先入観は粉砕されました。

オープニングで芹香・瀬戸・鳳月・水美・柚香(5大ワインだそうです)が女装で登場したのにまず意表を突かれ、そのあと明日海りおのバッカスが天使を従えて登場。ワインでこの世界を幸せにすると歌ったあと、今度は一転、バッカスはマントを脱ぎ捨てると最高級ワインに変身(おいしそうなブドウがぶら下がっていて面白い!)、周囲も一気に同じ衣装に変わって群舞となります。
ここでもう完全に舞台に引き込まれてしまいました。







明日海、芹香のしゃれたダンス場面も魅力的で、そのあと「モン・パリ」や「ラビアンローズ、柚香が加わった「カン・カン」をアレンジしたラインダンスなど、まったく飽きさせない構成で見惚れます。




専科の美穂圭子のエディット・ピアフも大したものでした。

芝居でも聴かせてくれましたが、ショーではまさに水を得た魚、これぞシャンソンという美声を披露してくれました。星条海斗もマルセル・セルダンに扮して頑張っていました。(笑)

フィナーレのトップコンビのデュエットダンスも、ANJUの振付と芹香の歌でショーのいい締めくくりになっていました。明日海りおが細い体でリフトを頑張っていて、ついこちらも落としはしないか(笑)と、ハラハラして肩に力が入ってしまったり。(笑)



エトワールは珍しく3人組。人材豊富です。

幕が下りたら、私たちだけでなく周りの皆さんも「良かった!よかった!」と大絶賛!
客席全体がこんなに盛り上がったショーは本当に久しぶりでした。

目新しい場面とか、奇を衒った演出とかがあったわけではなく、まっとうな正統派のショーでしたが、どの場面も魅力的で、歌とダンス、衣装のセンス、豪華な舞台装置のすべてがしっとり美しくて飽きさせない。もともとショーの良さなどわからない私ですが、今回だけはずっと「すごいな、きれいだな」と感動しっぱなしでした。

こんなショーはそうそうお目にかかれませんね。
ヨメさんは「ショーだけ、もういっぺんみたいな」と言っていましたが、まったく同感。

オススメです。




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宝塚雪組『幕末太陽傳』&『Dramatic “S”!』の遅すぎる感想

2017年05月24日 | 宝塚
星組「スカピン」観劇の2週間後の27日に、雪組トップ退団公演「幕末太陽伝」「ダイナミック」を観てきました。
当日はカラッと晴れた好天で、道路も渋滞せず1時間余りで到着。前回は満開の桜だった花の道もすっかり葉桜。代わって山吹がきれいに咲いていました。

かつては、実力に人気が比例せず、チケット販売も苦戦気味の雪組でしたが、現トップ就任から打って変わって毎公演チケ難となる変わりよう。なので最近は先行予約で以前のような前方席は取れなくなり、今回も舞台上手側17列・通路横。でも見やすくていい席でした。

ということで、感想です。以下、いつもの通り敬称略。画像はスカステ・ナウオンとステージドアの画面撮りです。

まず全体の感想。宙組サヨナラ公演と同じく、今回もドタバタ喜劇。でも脚本の完成度は今回のほうがはるかに高く、見ごたえのある作品になっていました。

スカステのステージドアのインタビューで脚本演出担当の小柳奈穂子が、「二人を涙で送り出すのではなく、明るく笑って送ってあげたい」と語っていましたが、そのとおりで、抜群のコメディセンスに恵まれた早霧せいなの退団には打ってつけの作品でした。


舞台には、ちょっと梅芸版グランドホテルのそれを連想させる二階建ての旅篭(実は女郎屋)相模屋の大きなセットが据えられていて、海鼠壁がリアルでした。




今回も宝塚らしく大道具・小道具いずれもスタッフは頑張っていて、旅篭だけでなく墓地のセットをはじめ、

相模屋で出される料理の品々に至るまで、まるで食品サンプルみたいにリアルに作りこまれています。(私は見逃しましたが^^;)

女郎屋が舞台ということでドロドロした話かと予想していましたが、巧みに原作の映画を宝塚化していて、古典落語をベースにした人情味にあふれる喜劇をさわやかなストーリーに作り変えていて、感心しました。巧みな構成で、テンポよく話を進める手際の良さが光っていました。今の宝塚は女性演出家でもっているという感じです。(笑)

早霧せいなはまさに宛書!。

人前では軽薄なまでに明るく陽気にふるまっているが、実は永く結核を患っていて、一人になると死の恐怖に苛まれ続けている陰影のある佐平次を好演していました。見るからに二枚目な早霧が演じるコミカルな演技でますます面白さが増しているという感じですね。
トップに就任するまで私が持っていた彼女のイメージは、見事に覆されました。
軽妙洒脱、力まず自然に佐平次を演じていて、その姿とルパン三世がダブって見えました。





咲妃みゆとも良く似合っていました。


「星逢‥」だけはちょっと私には??な演目でしたが、「ルパン三世」や「るろうに~」は、彼女以外の演者が思いつかないぐらいのハマリ役。
退団後の活躍を期待したいです。

女郎おそめ役の咲妃みゆも、これまでの彼女の舞台イメージの対極にありそうな百戦錬磨(笑)の女郎役をしっかり演じていて、これまで彼女が舞台で獲得してきたものの大きさを感じさせる演技でした。ライバルとの大立ち回りなどのドタバタで笑わせながら、一方ではおそめの内面までよく描かれていて、存在感がありました。


この人、訥々とした話し方につい騙されそうになりますが(笑)、役を演じる上での考え方は深いものがあって、そのギャップが面白いです。それと、娘トップ就任後も痩せすぎていないのも好感度大。(笑)


ラストは、佐平次とおそめの前途に希望を見いだせる結末になっていたのが良かったです。やはり宝塚はハッピーエンドが吉です。(笑)

長州藩士・高杉晋作役は望海風斗。男らしくがっしりとした晋作ですが、力まず自然に演じていて、出てきただけで安心感があります。(笑)





異人館焼き討ちもきっとうまくいくだろうと思わせる説得力のある演技ですが、ストーリー上はあまりしどころのない役の位置なのがちょっと残念。
でも、歌も演技も安心して観ていられるのがなにより。

相模屋の息子・徳三郎を演じるのは、私たちの観劇直前に復帰した彩風咲奈
家業を顧みず吉原の遊郭に通う道楽息子ですが、真彩希帆演じる幼なじみの女中おひさが借金のかたに遊郭に売り飛ばされるのを見て、店の金を手にとばく場に行き、スッテンテンになってしまうダメさを好演(笑)していました。
↓おひさです


相模屋に入り浸る貸本屋の金造は、この公演で退団する鳳翔大です。
おそめにそそのかされて心中するはずが、自分一人海中へ落されてしまうという道化役を熱演して大うけしていました。この人の舞台をもっと観たかったのですが、残念です。
おそめのライバルこはる役の星乃あんりも退団です。おそめとの庭での大立ち回りや、仏壇屋倉造とその息子清七を手玉に取る「三枚起請」の場などで活躍していました。


女役では相模屋のやり手おくま役の舞咲りんが印象に残るいい演技でした。こういうしっかりしたわき役の存在が、舞台に厚みを加えています。他にも、専科のふたり、汝鳥伶悠真倫が円熟味のある好演で、安心して観ていられました。

今回の脚本では多くの役が設定されていましたが、まったく破綻なくよくまとめられているのはさすがです。

ショーの「Dramatic“S”!」もよかったです。








こちらは芝居と違ってサヨナラ感満載で、お約束通り早霧・咲妃のコンビだけでなく今回退団するメンバーにも見せ場が多く作られていて、「非破壊検査」のコマーシャル(殴)みたいな演出のロケット

に続く「絆」の場面では、惜別感が最高潮。

個人的には第8場から始まる「サプール(パリ)」で、絵画の女Aの真彩季帆が絵から抜け出して歌い始める場面が一番印象に残りました。

立ち姿も歌も表情も超絶品!ずっとオペラで追い続けてしまいました。
おひさはあまり注目しなかったのですが(殴)、ショーでは別人のインパクトで、一度で脳内の不揮発メモリーに書き込まれてしまいました。(といいながら、すぐ揮発するかも(笑))これから注目していきたいです。

というわけで、サヨナラ公演にふさわしい作品で、大満足で劇場を後にしました。もちろんプログラムも久しぶりに買いました。(笑)

次は兵庫芸文センターで観てきた「ハムレット」と「フェードル」(大竹しのぶが圧巻の演技!!)ですが、日に日に記憶は薄れつつあるので、早く書かないと。(^^;
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宙組公演「王妃の館」&「VIVA!FESTA!」のささやかな観劇メモ

2017年03月01日 | 宝塚
2月9日に、宙組公演「王妃の館」&「VIVA!FESTA!」を観てきました。
前日の天気予報では「平地でも10cmの降雪」だったのですが、朝は小雨が降っていたものの、雪はナシで一安心。
宝塚付近も弱い雨で、傘を片手に車椅子を押して大劇場に行きました。前回と違って高校生の団体観劇でホールは賑わっていました。今回の席は18列上手寄りで、ヨメさんは客席降りを期待して通路側の席。
という前置きはこのくらいで、感想です。前もってお断りしておきますが、少々ネタバレありで絶賛モードではなく、これまで以上に内容希薄で、私の好みだけの感想です。(^^; いつもの通り敬称略です。

まず芝居ですが、久しぶりのドタバタ喜劇。(笑) スラプスティック・コメディ。
初めは、格安/豪華2つのツアーのダブルブッキング騒動と、ルイ14世とディアナの悲恋がどう絡むのか、展開に期待して観ていましたが、途中からだんだん話の限界が見えてきたので、単純にドタバタを楽しむことにしました。
でもこれが実咲凜音のサヨナラ公演とは、なんとも微妙な作品。

幕が上がってすぐにお笑いが始まって、一気に筋弛緩状態(殴)。

話は、朝夏まなと扮するスランプ気味の流行作家・北白川右京が参加するデラックス・ツアーと、同じ旅行社の格安ツアーが、パリの高級ホテル「王妃の館」に同時に宿泊するダブルブッキング騒ぎです。


このドタバタ騒動にたまりかねて、元の住人であるルイ14世が肖像画から抜け出して登場、その愛人ディアナとの悲劇の歴史も絡むというストーリーですが、脚本はあまり話のディテールにはこだわっていなくて、むしろ登場人物のギャグで笑わせるという感じ。私としては伶美うららのディアナの場面が少なくて、ちょっと残念でした。でもきれいでしたねー(殴)。見惚れます。

今回一番の儲け役はなんといっても不動産王・金沢貫一(金色夜叉を連想しました(笑))役の愛月ひかる




まあ今時、ネイティブでもこんな話し方はせんやろ!みたいなコテコテの大阪弁で、その職業とガラの悪さ・品のなさが某大統領のイメージとダブって、可笑しさ倍増でした。
この人、私的には去年のルキーニの好演以来一皮むけた印象が強く、今回もガラッと変わった役どころをのびのびと演じていて好感度大です。

朝夏まなと北白川右京(クサイペンネームです)は、スランプ状態を脱しようと、新作「ベルサイユの百合」(笑)のネタ集めのためにツアーに参加したという設定でした。




人気に陰りが出ても自信満々の高慢な態度のギャップが面白くて大ウケ、爆笑の連続でした。朝夏まなとはこれまでの真面目な役柄とは違う意外な側面を見せた感じで、新鮮でした。




弱小旅行代理店の女社長兼ツアーコンダクター・桜井玲子役の実咲凜音も同じような印象で、ドタバタ劇でも真面目に丁寧に演じていて、それが逆に面白く楽しめました。



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ただ、朝夏まなととはあまり絡まないのでどうなるのかと思っていましたが、かなり「取って付けた」感ありながらも、最後は二人をなんとかくっ付けていました。(笑)

もう一方の格安ツアーの引率者・戸川光男桜木みなと。ダブルブッキングがバレるのではといつも小心翼々、びくびくしながらツアーを引率しています。




あとは北白川の担当編集者・早見リツ子純矢ちとせ


町工場の社長夫妻に寿つかさ美風舞良、影グループの元夜間高校教師の一樹千尋が、いつもの安定した演技でしたが、いずれも役不足で、もったいない感もありました。

その中で一人やたらに目立っていたのがオカマの青年・クレヨンこと黒岩源太役の蒼羽りく

宝塚の男役がおかまを演じるというややこしい設定が可笑しいし、でも、というか当然というか、女装がよく似合っていて(殴)、オーバーな演技ながらきれい。出てきただけで客席の笑いを誘うトクな役でした。本人も客席の反応を楽しんでいる様子でしたね。


もう一方の主役級・ルイ14世の亡霊真風涼帆





日本人客の傍若無人ぶりに耐えかねて出てきたものの、いつのまにかその怒りは消え、ベルサイユ宮殿のツアーガイドになっているというのが可笑しいです。喜劇とはいえ衣装は宝塚らしく豪華で、真風も真面目にル堂々としたイ14世を演じていて(笑)、これまた目立つ存在でした。




ルイ14世の300年の悲恋の相手のディアナ役の伶美うららは、持ち前の美貌でまさに適役。







でも先に書いたように出番が少ないのが勿体ない。

「VIVA!FESTA!」はよくまとまっていましたが、最近の良作レビュー続きの後ではちょっと新味に欠ける感じ。

祭りが主題なので、オープニングから大迫力のカーニバル、客席おりもたっぷりでヨメさんもハイタッチしてもらって大喜び。


その後場面は一転し、闘牛士の場面では牛と闘牛士の一騎打ちが見ものでした。ただそれに続くYOSAKOIソーランは、客席と一体になって盛り上がったものの、これまたデジャブ感がありました。







でも客席も大きな手拍子で参加して大ノリでしたね。
あとはラインダンスで、伶美うららが美脚のダルマ姿を披露して、





芝居での物足りなさをカバーしてくれて大満足。

澄輝と桜木も頑張ってフィナーレを盛り上げて


トップコンビのデュエットでは、朝夏まなとがこれでもかのトルネード(笑)リフトで頑張っていました。美咲凛音への思いが伝わってきた感じでした。




観終えてヨメさんとの感想で一致したのは、「芝居とショー、一度は観るべきだけど、リピートまではいかないね」という点でした。(あくまで個人の感想です)(笑)

同じ喜劇でも「こうもり」や「ガイズ~」は文句なしにリピート!となりましたが‥。(^^;

最後ですが、今回退団公演となった美咲凛音にとって、いろいろ思うところの多いタカラヅカ生活だったと思いますね。
あくまでスカステのナウオンとかの番組で見ただけの印象ですが、ぎこちない凰稀かなめとのコンビから、朝夏まなとに変わって、持ち味を生かしたいい舞台(今回はちょっと?ですが)も経験出来たと思うので、よかったと思います。

というわけで感想は終わりです。ここまでご覧いただきありがとうございました。

次回のタカラヅカは4月、3月は兵庫芸文センターで2回観劇する予定です。
また機会があればご覧ください。


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宝塚月組公演『『グランドホテル』 『カルーセル輪舞曲(ロンド)』の観劇メモ

2017年01月24日 | 宝塚
1月12日に月組トップお披露目公演「グランドホテル」と「カル―セル輪舞曲(ロンド)」を観てきました。
去年5月に梅芸で、グルーシンスカヤを安寿ミラが演じるグリーンチームの「グランドホテル」を観ていたので、
タカラヅカではどんな舞台になっているのか興味津々で出かけました。
梅芸版「グランドホテル」です↓




当日は車も少なく、9時40分には車椅子を押して劇場へ。団体客が少なくて、開場前でもホールがまばらだったの
で客足が心配でしたが、立ち見こそなかったものの、1階席はほぼ満席でした。

梅田芸術劇場で「グランドホテル」を観たとき、今回の月組メンバーも観劇に来ていて、一階通路端のヨメさんの
車椅子席の横にもそのうちの一人が座っていました。なので、他の月組生が通路を通るときは挨拶を交わしたり立
話していくので、至近距離で美弥るりかさんとか見られてプチ・ラッキー。(笑)
でもまあみなさん、近くで見ると心配になるほど華奢で細い。(笑)

という余談はこれくらいにして、「グランドホテル」の感想です。例によって敬称略です。

良かったです。正月公演にふさわしい作品でした。
珠城りょうの新生月組、上々のスタートでした。梅芸版とは違ってわかりやすく、すぐに話に浸れました。(笑) 
ただし梅芸版と違って時代背景の描写は希薄で、終盤にホテルの従業員が客の衣服や荷物を暴力的に奪うといった
刺激的な場面もない脚本でしたが、まあそれはそれで宝塚らしくていいかなと思ったり。
舞台装置も梅芸版のような二階建ての重厚なものではなく、回転ドアもいたってシンプルでしたが、その軽さも宝
塚らしさかな。

でもこの話は、まさに元祖群像劇なので、誰が主人公であってもいい設定ですね。初演は退団する涼風真世のオットー
が主役になっていたし、梅芸版はオットーとグルーシンスカヤに焦点が当たっていました。

以下、役ごとの感想です。
珠城りょうはガタイが大きくて(笑)、安心して観ていられるトップさんでした。
プログラムです↓



20世紀になって、もはや時代錯誤な存在の「男爵」フェリックスを、貧乏でも気品とダンディさを失わない人物として好演し、
トップらしい存在感を十分に見せてくれました。大劇場でのトップお披露目公演でも力まずに、自然に演じていて、好感度極大。




ただ、善人に見え過ぎて、金もないのにホテルに居座り続け、コソ泥というか詐欺師まがいのいい加減な人生を送って
いる男のように見えないのは、彼女のキャラクタのせいでしょうか。(笑)
まあ私としては、とにかく恰幅が良くて(笑)、立ち姿がまことに男らしいのがなにより。(笑)
やはり男トップはこうでなくては。(笑)


フェリックスがグルーシンスカヤと鉢合わせして一目惚れする場面は、短いながら息の合った演技で、その後の展開の
いい伏線になっていました。いいコンビになりましたね。

その愛希れいかグルーシンスカヤですが、安寿ミラの印象が強く刷り込まれていたので、最初は「やはり若過ぎでムリかな」
と思いながら観ていました。
安寿ミラのグルーシンスカヤです↓(プログラムより)


でも、話の進行につれてそんな違和感は消し飛んで、いつのまにか見惚れていました。





最盛期を過ぎたプリマ・バレリーナの、踊りへの自信喪失と、それでも過去の栄光が忘れられない揺れる心情がよく表現
されていて、演技力に改めて感心しました。もちろん歌もダンスも大したものです。

今回私が一番注目したのが美弥るりか

ようやく二番手確定で本当に良かったです。(笑)
それで自信もついたのか、簿記係・オットー・クリンゲラインを、初演版の涼風真世のオットーと比べても全く見劣り
しない演技(ヨメさん談)で、登場するたびにオペラで追い続けてしまいました。細身で小柄な体型もピッタリでした。





余命数カ月の病弱なしがない簿記係が、一生の思い出にホテルにやってくるが、そのあまりにも場違いな風体に、ホテル
での宿泊を断られて門前払い。でも通りかかったフェリックスのとっさの機転で無事、宿泊できるようになるという場面では
こちらもついホッとしたり。(笑)

ようやく彼女もいい役に巡り合えて、本当によかったです。
でも余談ですが、これからこの人を歌劇団はどう遇するのでしょうか。二番手といっても珠城りょうよりかなり上級生で、
月組でトップは無理かなとか、つい老爺心(笑)ながら心配してしまいますね。

あとはグルーシンスカヤの付き人のラファエラ(朝美絢)が大湖せしるみたいな強さのある美人で嵌りました(殴)。
このまま女役に転向してもいいのではと妄想したり。
億万長者のスケベな実業家プライジング(華形ひかる)や、

表面的にはチャラいけど実際はけっこう苦労しているタイピストのフラムシェン(海乃美月)、老医師
オッテルンシュラーグ(夏美よう)も、それぞれ人物造形が巧みで、やりがいのある役になっています。
夏美ようは、ほぼ出ずっぱりの狂言回し的な役回りですが、まさにいぶし銀のようないい味出していました。
暁千星は、妻がお産で入院しているフロント係のエリック役。メガネの制服姿がよく似合っていてスッキリ
さわやかな好青年です。あと、宇月颯の運転手役が、出番は少なくてもインパクトがありましたが、結構謎な
人物ですね。

結局群像劇といっても、最後はフェリックスとグルーシンスカヤ、クリンゲラインとフラムシェンという4人の話に焦点が絞られ
ていくので、散漫にならず緊張感が持続する作品になっていました。たった一日の出来事とは思えない濃密な舞台で、しかも
サスペンス風なドンデン返しもあって、見ごたえたっぷり。

一方、「モン・パリ誕生90周年レヴューロマン」と銘打ったショー「カルーセル 輪舞曲」もいいできでした。
舞台上に、淡い照明に照らされて4頭の回転木馬が浮かんでいるのを見ただけで、いやおうなしに期待が高まりました。

本当によくできた完成度の高い回転木馬で、大道具さん、いい仕事をしていました。

ショーは、「この星は廻り続ける 命の輪のように 回転木馬は回る 今白馬に命
を預けて廻る世界へ行こう
」という歌詞に合わせて、レヴュー発祥の地パリからアメリカ・ニューヨーク、
メキシコ、ブラジル、シルクロードからインドへと旅をして、最後は日本のタカラヅカにたどり着くという設定です。
水先案内人の華形に誘われて、白馬たちの世界一周の旅が始まります。

まず「白馬の王子」珠城りょうが登場して歌い、
















やがて白馬の美女・愛希れいかや白馬の紳士たちが華やかに歌と踊りに加わって、ニューヨーク、メキシコ、ブラジルの場面へと進み、途中でカポエイラも登場して



見せ場が続きました。
カポエイラといえば、以前にも稲葉センセイが星組公演『パッショネイト・宝塚!』のファベーラの場面で、アフロブラジリアン
ダンスを交えて好評でしたが、今回も同じ森陽子を振付に起用して、インパクトのある場面になっていました。

愛希れいかがドッキリな衣装&抜群のスタイルで超セクシー↓










珠城りょうもリフトを頑張っていました↓








私はいまだにショーの出来の良し悪しがよくわかっていないのですが、今回の「カルーセル 輪舞曲」はそんな私でもよくわかる
いい作品でした。やはり稲葉先生、今回もGood Job!です。
場面展開がよく練られているし、衣装の色遣いのセンスが良くてきれいです。音楽も、シルクロードの場面での男女のカゲソロ
が印象的でした。

終わってすぐ、プログラムで誰が歌っていたか確認したほど。それ以外もいい曲ばかりで、月組メンバーとトップコンビの持ち味
がよく生かされていました。
珠城りょうは歌と踊りいずれもトップにふさわしい完成度で、愛希れいかも持ち前の身体能力の高さと、手足の長さを活かした優美
な踊りと、いっそう磨きのかかった歌で魅せてくれました。


まことにバランスのいいコンビで、これまでは敬遠気味だった月組の観劇が楽しみになりました。

おすすめです。


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花組公演『雪華抄』&『金色の砂漠』の観劇メモ 今年最良の作品でした!

2016年12月26日 | 宝塚

ブログのエントリーとしては、観劇順に「雪まろげ」→「マーダーバラッド」となるはずですが、花組の「金色の砂漠」があまりにも面白かったので、前二者は紹介できないままとなってしまいました。

でも、「雪まろげ」も面白かったです。(←かなり取って付けている^^;)
とにかく出演者がみんな達者で、中でも榊原郁恵さんが本格派の演技で驚きました。
もちろん、主演の高畑淳子さんも、当たり役だった森光子さんに負けず劣らずの好演。今後、これが彼女の当たり芝居になるだろうと思いました。
でも、チケットを買った後に例の事件が発生して、芝居と関係のないとは頭で分かっていても、観るまでは複雑な思いでした。
そんな邪念も当日、幕が上がると見事にたちまち雲散霧消。すぐに舞台に引き込まれ、芝居巧者ぞろいの出演者と、これぞ大衆演劇の王道といった脚本の良さが相まって、ドップリ舞台で繰り広げられる世界に浸れました。

逆に「マーダーバラッド」の方はちょっと私には合わない舞台でした。
セリフは一切なくて、代わりに大音量の生演奏を背景にロック調の歌が次々に流れるという舞台なので、話のディテールはほとんど聞き取れず。
まあストーリーそのものは単純なので、大まかな流れは観ていたら分かるものの、出演者の細かい感情の襞ややり取りの機微が分からないのは辛かったです。なので、大音量の舞台なのに次第に睡魔が忍び寄ってきて、観劇中はそれとの闘いに苦労しました。(殴)
大音量でも眠くなるというのは、かつての「白昼の稲妻」でも体験しましたが。(殴)
でも隣のヨメさんには気付かれず、「寝てなかった?」という問いには「全然!」とシラッと答えることができたり。(殴)

余談はこれくらいにして、花組公演の感想です。例によって敬称略。
以下、少々ネタバレもあるので、未見の方はここでUターンが吉です。

雪華抄」は宝塚お得意の、チョンパで始まる日本物レビューです。


観劇当日は、修学旅行生が大勢観劇していましたが、真っ暗な舞台から一転、照明に照らされた舞台狭しと並ぶフルメンバーの豪華な幕開けを見て、それまでのガヤガヤは一瞬で感嘆の声に変わりました。

上演時間は50分と短いのですが、よく作りこまれた斬新な場面が多く、演出家の意欲がよく感じ取れました。舞台装置も今では常連の感がある松井るみによる、和のテイストを盛り込みながらも現代的な感覚が斬新なデザイン。
とくに印象に残った場面は、鷲の群れに鷹が戦いを挑む第3場。荒々しい岩場での熊鷹(明日海)と狗鷲(柚香光)の一騎打ちがみものでした。






続く七夕の幻想的な雰囲気から一転して、第5場の「波の華」では民謡メドレーとなります。瀬戸かずやの「大漁歌い込み」から始まって、




明日海りお芹香斗亜が「貝殻節」、「尾鷲節」、「佐渡おけさ」、「串本節」などの民謡を歌いつないでいくところでは、客席からも手拍子が起こって盛り上がりました。

そして尾鷲や串本の民謡から紀州熊野につないで、続く「清姫綺譚」は安珍清姫伝説がテーマ。花乃の清姫の早変わりもあって、ドラマチックなクライマックスでした。




そして開の桜の花びらのもとでの群舞でフィナーレ。
まあ題材は宝塚定番のものもありましたが、作・演出の原田諒の若々しい感性が光り、全く陳腐さの感じられないレビューでした。

その後いつもより早い休憩の後、いよいよ期待の「金色の砂漠」です。
久しぶりに買ったプログラムです↓


全体の感想ですが、とにかく脚本がすごい
私にとっては、今年のタカラヅカでは最良の舞台でした。

話としては「貴種流離譚」の一種とも言えますが、オリジナリティにあふれ、二本物とは思えない緻密な構成で、ストーリーは波乱万丈。

陳腐な例えですが、学生時代に、「赤と黒」とか「パルムの僧院」を手にした時のようなワクワク感を感じました。
スカステで放送された『月雲の皇子』を見て初めてこの新進演出家の名を知り、その後ドラマシティで『翼ある人々』を観劇して、その完成度の高さに驚きましたが、今回は、さらに充実した作品になっていました。

ストーリーがあまりにもよく出来ているので、観劇中なにかベースになった話があるのかなとか邪推していましたが、全くオリジナル作品ということで、感心しました。
話がどんどん広がっていくので、どんな結末になるのか心配になったりしたのですが、これまたうまく話を収めていました。結末までの伏線もちゃんと張られていてまったく破たんなし。
そして主人公のみならず、登場するすべての人物の造形も素晴らしい。なので、出演者みんなが生き生きとしていて、役になり切っていました。こんな脚本、そうそうお目にかかれないです。大したものです。でももう一度観たいと思っても千秋楽間近という日程だったので出来ず残念でした。

それと、セットがまたよかった。力作の脚本にふさわしい出来で、「王家~」よりも豪華に感じたほどです。劇中の歌も耳に残るいい曲で、聞きほれました。

プロローグは、夜の砂漠を全身マントで覆った旅人の列が進んでいくところから。
王国を追われた人々が、葬送の列のように力なく歩いていきます。
その後、主人公ギィが古代ペルシャの楽器バルバトを手に静かに歌い出すというところから、王国イスファンの華麗な舞踊の場面に変わっていく導入部が本当にいい!!これだけでもう大作の予感。(笑)
上田久美子の作品を観ていると、初期の黒澤とかスピルバーグの映画作品のような、作り手自身が、楽しんで作品に挑んでいるような新鮮な意欲が伝わってきます。
それと、今回の作品にも、全編に「翼ある人々」にも通じる哀愁が通底していて、話になんともいえない深みを感じました。なぜかアラゴンの「オーレリアン」を連想したり。

ということで、出演者ごとに。

まずギィ役の明日海りおから。

彼女の演技力を改めて感じました。
でも驚いたのは、主人公ギィが奴隷という設定。

冒頭から、幼少時から仕える王女タルハーミネに踏みつけにされる場面とか、「奴隷は石や砂と同じで感情を持たないのよ」と蔑まれる場面が続いて、ギィに感情移入しているこちらも一緒にいじめられ続ます。(笑)




明日海りおは奴隷生活を送る間の、絶望と諦観に支配された演技から、後半一変して復讐に立ち上がる強い男に変わる対比が見事でした。場面としては弦楽器バルバトを弾いているときのギィの感情を押し殺したような表情が印象的でした。
少年時代を全く違和感なく演じていたのにも感心しました。








王女タルハーミネ役の花乃まりあも、彼女のタカラヅカ生活の集大成といえる演技で、ギィとの波乱に満ちた生涯をよく体現していました。

これまでどちらかといえば庶民的な役が似合う容貌だと思っていましたが、今回は王族の衣装が合っていて、気品も表現できていて、見直しました。

上に書いたように、男トップを踏みつけにするという仰天の演出や、「奴隷なんて感情を持たない砂みたいなもの」と言い放ちながら、実はギィを憎からず思っているという複雑な人物像をよく表現していました。

芹香斗亜は、第二王女ビルマーヤ(桜咲彩花)の奴隷「ジャー」役で、狂言回しの役を兼ねたおいしい役をもらっていました。





ジャーの語りで話が進行し、この物語が、ジャーとともに生きた、すべての人々を弔う叙事詩になっているという心憎い設定です。役柄も優しくて思いやりのある好青年でピッタリ。
与えられた役に十二分に応える歌と演技で、二番手の存在感を示していました。何度も言っていますが、この人は本当に成長しましたね。

ガリア国の王子「テオドロス」役の柚香光ももうけ役でした。

外見に似合わず(殴)、常識をわきまえたいい人で、この人の台詞を聞くとホッとしたり。(笑)

ギィにメンツをつぶされても穏当な対応で、大人です。でも出番も多く、王子にふさわしい品格と爽やかな風貌で目立っていました。

この4人以外も役が多く、しかもみんな適材適所で、役が多いのに個性が際立っていて、それぞれの人物の個性がよくわかりました。
まず奴隷プリーの瀬戸かずやが彼女の持ち味を生かした演技で楽しそうでした。(笑)

ブリーと、その主人である第三王女シャラデハ(音くり寿)の応酬も面白いし、イスファン国王シャハンギールの鳳月杏も威厳と貫禄があり適役。
狩りの場面で

矢に当たった鳥がドサッと落ちてくるのも面白い!


その妻で、王妃アムダリアの仙名彩世も、波乱に満ちた人生を熱演していました。歌が印象的でした。
英真なおきのピピや、高翔みず希のナルギスも安定した演技で、出番は少ないものの、花野じゅりあの女盗賊ラクメも、野性的な魅力たっぷりでよかったです。一本ものだったら、ラクメとギィの場面ももっと膨らませることができて、さらに面白くなったでしょうね。

何度も言いますが、二本物でこれだけ多彩な人物を登場させて、どれもリアルに生き生きと描いている演出家の力量には脱帽です。
フィナーレも見ごたえがあり、今年最後の大劇場公演にふさわしい力作でした。本当にリピートできなかったのが残念です。

これ↓はおまけです










というわけで、今年のタカラヅカ観劇は終わりました。最後に有終の美を飾る秀作を楽しめてよかったです。


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雪組大劇場公演『私立探偵ケイレブ・ハント』&『Greatest HITS!』の観劇メモ

2016年12月01日 | 宝塚
私が直近に観た正塚先生の公演といえば『ダンサセレナータ』。
でもこれがかなり期待外れだったので、今回は期待と不安が入り混じった中での観劇でした。

『ダンサ~』は、それまでの『マリポーサの花』とか『ブエノスアイレスの風』、『ラ・エスペランサ』などを適当に
切り貼りしたような(殴)、デジャブ感満載の話だったし、『ホテル・ステラマリス』に至っては大ガッカリな舞台だったので、
さすがの正塚大先生も、もうネタ切れかな(殴)とか、失礼なことを夫婦で話していたのですが、今回はテレビドラマや
映画を思わせるリアルな台詞のキャッチボールと、テンポのいい場面転換で、久しぶりの正統派・正塚ワールドに浸る
ことが出来ました。
(ただ、たまたま先日スカステを観ていたら、バウホール公演の『アンダーライン』が放映されていて、似たような場面が出てきたのはちょっとビックリでしたが)

まず、ハリウッドの撮影所での映画撮影から始まるオープニングがよく出来ていました。

映画監督(奏乃はると)の依頼で探偵事務所の所長のケイレブ(早霧せいな)が訪ねてくるという設定で、ケイレブも同席しての映画撮影中に、エキストラの女性が死亡する事故が発生するというつかみが秀逸。
そこから次々に起こる事件を追う中で、次第に客席の私たちも話に引き込まれて行って、まるでサスペンス映画やドラマ
を観ているような緊張感が心地よかったです。

早霧せいなはやはりこういう都会的な役がよく合いますね。レザースーツと細身のパンツという格好はルパンを思わ
せて、スタイリッシュでぴったりでした。
緊迫した場面が連続する中でも、恋人のイヴォンヌ(咲妃みゆ)とのラブシーンがいいアクセントになっていて、話が単
調にならずよかったです。

同じ事務所の仲間のジム(望海風斗)とカズノ(彩風咲奈)とのチームワークの良さも正塚作品らしく、それにロサンゼ
ルス警察のホレイショー(彩凪翔)と部下のライアン(永久輝せあ)が絡んで事件が展開していきます。

私は最初、望海風斗がケイレブを裏切って敵役になるのだろうと思っていましたが、正真正銘の仲間とわかって一安心(笑)。
なにしろ望海風斗のほうが腕力では圧倒的に強そうなので、相手にするとかなり手を焼く存在になりますからね。

で、彼らと対決するのは、芸能プロ社長のマクシミリアン(月城かなと)で、後半になってやっと舞台に登場します。まさ
に「真打は遅れてやってくる」。(笑)
その月城かなとのマクシミリアンを観て、とっさに『オーシャンズ11』のテリー・ベネディクトを思い出していました。
でもこのマクシミリアン、けっこう押し出しも利いて、しかも美形なので、出番は遅くても存在感はかなりなもの。
おいしい儲け役でした。たった一人で探偵事務所と警察を相手にするのですから、大したものです。(笑)

スタイリストのイヴォンヌ役の咲妃みゆは、これまで舞台では『星逢一夜』や『るろうに~」のような日本物の役しか観
ていなかった私たちには新鮮でした。
ケイレブとも対等に接する自立した女性ですが、彼をを心から愛している気持ちはよく伝わってきました。大人の女
役をよくこなしていて、早霧せいなと似合いのいいカップルです。


探偵事務所の共同出資者ジムの望海とカズノの彩風も、ケイレブと息の合ったいいチームワークでした。
ただジム役は、望海風斗には少々役不足感があって、もう少し濃い味付けにしてほしかったとも思ったり。
あと、経理係ダドリー(真那春人)や、事務員コートニー(早花まこ)、元事務所の秘書グレース(桃花ひな)、雑用係
トレバー(縣千)などの役も、正塚作品らしく役どころがリアル&細部まで丁寧に書き込まれていて楽しかったです。
(コーヒーメーカーのトラブルとか笑わせてくれます)

そして「男の友情」が大好きな正塚先生ゆえにケイレブの戦友ナイジェル(香綾しずる)が登場、でもあまり印象に残ら
ない役だなと思っていたら、これがちゃんとした伏線になっていて、最後に大きな役割を果たすというのも面白かったで
す。
というわけで、最後まで気持ちのいい緊張感が持続する舞台でした。

あと、劇中で使われている曲が耳によく馴染むきれいなメロディラインで、初めに主人公が歌っているときはあまり気に
留まらなかったのですが、望海風斗が歌う場面で俄然「ああいい曲だな」と感心。(殴)

今回の作品は、『二人だけの戦場』級の傑作とはいかなくても、一度は観ておくべき佳作だと思いました。

ショーの方はタイトル通りで、舞台のジュークボックスからヒット曲が次々に流れるという構成です。でも趣味のいい色
彩のいい衣装と、お馴染みの曲目でも陳腐にならず、巧みな曲順で楽しいショーでした。ただ、東京公演に合わせたため
に、10月にクリスマスソングメドレーを聞かされて、かなり場違い感があって残念でした。
それとベートーベンの「運命」を使った場面もちょっと馴染めず。ヨメさんにはかなり不評を買っていました。
でもそのあと、望海と彩風を中心とした大群舞から「オーバー・ザ・レインボウ」のデュエットダンスに続くところは見
どころ満載で満足の出来でした。

というわけで、遅すぎ・薄すぎの感想はおしまいです。m(__)m
ここまでご覧いただきありがとうございました。

10月はあと一作「雪まろげ」の感想が残っていますが、これぞ芝居の醍醐味という作品だったので、何とか近いうちにアップで
きそうです。

でも期待せずに(してないしてない)、またお立ち寄りいただければ幸いです。



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星組公演「SAMURAI THE FINAL 桜華に舞え/ロマンス!」観劇と、大劇場千秋楽のニュースを見て

2016年10月24日 | 宝塚
北翔海莉さんの退団発表を聞いたときは、本当に残念でした。

誰でもいつかは退団するとわかっていても、実際にそれが現実になると、寂しいものです。
トップ就任時に、いつ退団するか決めていたとのことですが、その潔さもまた彼女らしいと思い
ました。
長い宝塚の歴史でも、彼女のように誰に対しても常に謙虚に接し、どんな逆境にも耐えて、いつ
も圧倒的な歌唱力で私たちを魅了させてくれた存在は、他に名前が浮かんできません。

一時は順調にトップへの道を進んでいたかに見えたのに、なぜかその後失速してしまって、歌劇
団の人事にガッカリ。でも専科入りを聞いたときは、トップへの道は閉ざされても、退団しないので
よかったと一安心していました。

以前は、トップ就任前の通過儀礼みたいに、まず専科に異動し、その後組に復帰してトップになる、
みたいな人事もありましたが、それも今は昔。
いまは専科入りは片道切符で、元の組に戻ることはありません。
ということで北翔海莉の専科入りは残念でしたが、またいろんな組で活躍できるのでいいかと納得
していました。

それがあろうことか、ある日、なんとトップ就任決定のニュース。

うれしい半面、それならなぜもっと早くしなかったのかとか、超遅咲き故に就任期間はどうなるの
かとか、いろいろ複雑な思いもありました。
でも波乱万丈の彼女のたどってきた道自体、タカラヅカの脚本にしてもよさそうな物語ですね。

というどうでもいい前置きはこれくらいにして、まず芝居の感想から。
(以下いつものとおり敬称略です。画像はスカステニュースの画面撮影なので粗いです。)

まず全体の感想です。
二本物で時間に制約があるのに無理に役を増やそうとしたため、どうしても人物の描写が浅くなり、
しかも話があちこちに飛ぶので、ついていくのに一苦労でした。

加えて台詞の大半が、かなりネイティブ(だと思う)な鹿児島弁なので、観劇していても会話がす
ぐに理解できず。

ワンテンポ遅れて、会話中の単語をつなぎ合わせてようやく理解するといった感じで、感情移入が
難しかったですね。

そして終わってみれば、やはり出演者の熱演にもかかわらず、話が深まらないままで、全体に存在
理由がよくわからない中途半端な役も多くて、ストーリーとしてはインパクトがなかった。^^;

でもこれだけではいくらなんでもネガティブすぎるので(笑)、いいところを挙げると、まず場面転
換のテンポがいい。売り物の殺陣はキレがあって(タカラヅカ比(笑))ダイナミック。キャストも
よく考えられていて、とくに美城れんの西郷隆盛など絵に描いたようなハマリ役。
実際の隆盛がどんな風貌だったのかは定かでないそうですが、いかにも私たちの記憶にある「隆盛」
像にピッタリの美城「隆盛」でした。

それと、よくある手法とはいえ、回想シーンから舞台が始まるのも好みでした。
(前にもどこかで書きましたが、私的には回想シーンから始まる映画の傑作がグレゴリー・ペック
「頭上の敵機」です)

あれ?やっぱりこれぐらいの感想しかないか(殴)。

でも、先に書いたように、今回に限ってはこれでいいんです。(殴)

退団する北翔海莉妃海風美城れんが出てきただけでもうOK。(笑)

彼女たちが登場して、歌い踊り始めたら大満足!の「見納めモード」全開(笑)で、観劇中も(鹿児
島弁の壁もあって(笑))話はそっちのけで、北翔海莉の過去の公演とか、ミュージックパレット
で見た春風弥里との共演場面とかを脈絡もなく思い出していました。
でもそんな上の空の観劇でも、最後は演出家の狙い通りついホロリとな。これは私だけでなかった
ようで、客席のあちこちでもハンカチを手にする姿が目につきました。(笑)

というわけで個別の感想となります。

まず桐野利秋(中村半次郎)に扮する北翔海莉ですが、情に厚くよく義にも殉ずる熱血漢という
人物をよく演じていました。歌ももちろんですが、彼女らしい頑張りが殺陣にもよく出ていて迫
力がありました。
トップになってからも変わらず努力し続けている様子がよくうかがえる舞台で、感心しました。


西郷に心酔する心情もよく出ていて、最後まで彼に付き従うところも説得力がありました。




しかし私は、観劇前は桐野利秋(中村半次郎)という人物については、どこかで名前を聞いたかな
程度しか知らなかったし、観劇後も、そもそも西郷がどうして挙兵に至ったのかイマイチ理解でき
なかったので、この人物を取り上げることでで作者が何を言おうとしたのか、分からなかったですね。

それと、半次郎がヒサ吹優をどう思っていたのか、どうするつもりだったのかも、話としてそれ
ほど描かれていないので、二人の女性の扱いがよくわかりませんでしたね。とくに出番の少ないヒ
サが気の毒な役でした。

余談ですが、この時代を題材にした芝居や映画でいつも思うのは、西南戦争が起きる11年前にウィ
ンチェスターM1866が販売開始され、5年前にはコルト・ピースメーカーが米陸軍に採用される
など、近代的な銃器が世界中に普及しつつあったのに、まだ日本刀や薙刀での立ち回りがメインと
いうのがなんともはや。

武士道精神を強調したいのでしょうが、重い日本刀を振り回しての立ち合いを見ていると、なんと
長閑なと思ってしまいますね。昔見た剣道の専門家の対談番組では、重い日本刀での斬りあいでは、
せいぜい二・三人倒せば上出来とか言っていました。鍵屋の辻の決闘で36人斬りなど絶対無理とか。(笑)

それはさておき、親友の「隼太郎」に扮する紅ゆずるですが、初めは、ヒサを取り合う、「星逢~」み
たいな設定かと思っていたら、ヒサとの関係はさっさとケリが付いて、隼太郎はアッサリ半次郎と
一緒に上京して新政府の役職にありつくという肩すかしな展開。(笑)



でも、西南戦争では敵味方として対峙することになりますが、後半、薩摩に帰郷した二人の邂逅場
面の演技がよかったです。
このあたりを見ていると、トップ禅譲がうまく行っているようで安心しました。(笑)

妃海風ふんする「大谷吹優」は会津藩の武家娘で、戊辰戦争の時は薙刀をもって奮戦しています。この
薙刀捌きも健気で頑張っています。

その彼女は、父の仇の半次郎に命を助けられたものの、戦火の衝撃で記憶喪失となり、同時に手傷
を負った半次郎とは戦後、偶然に再会します。


妃海風は戊辰戦争では武家の娘として奮戦し、後半は戦場で傷病兵を看護する対照的な役を好演して
いました。武家の娘でも看護婦でも彼女の持ち味の純粋さとさわやかさがいい感じでした。


でもなんといっても今回は美城れんの「西郷隆盛」が超絶品。

こんな男なら、桐野利秋が地位を投げ捨ててついていったのも分かるというもの。舞台で一番説得
力のあった演技でしたが、この公演を限りに観られなくなるというのは本当に残念。専科で長く活躍
してくれることを期待していた私たちにとって、惜しい退団です。最近専科からの人材流出が続いて
残念感が止まらないのですが、退団後の活躍を期待したいです。

専科ではもう一人、「大久保利通」役で夏美ようも安定感のあるいつもの演技でしたが、肝心の見せ場
となる場面が少なくて勿体なかったですね。


あともう一人、例の色紙の一件以来勝手に贔屓にしている(笑)礼真琴が会津藩士・八木永輝役で唯一黒い
役を頑張っていました。いつものことながら、この人の演技は特に眼のチカラがすごいです。



それと身体能力の高さを活かして、殺陣もひときわ目立つキレがあって素晴らしい。
歌も、この人が歌い出すと、北翔海莉とはまた違った味があって、つい聴き惚れてしまいます。
でもやはり出番が‥。

でも、最後はサヨナラ公演らしく涙・涙のフィナーレとなって、客席は作者の意図にまんまと嵌め
られて、あちこちでハンカチで目を拭うお客さんの姿が見受けられました。

あとは薩摩の村で半次郎を待ち続ける妻ヒサ役を演じたのが綺咲愛里。先に書いたように初めは隼
太郎と一緒になるのかと思っていましたが、簡単に家同士で縁談が進められて半次郎と結婚したの
が意外でした。

でも半次郎の上京後は、ほとんど出番がなく、後半ようやく出てきたものの、そ
の間どうやって暮らしていたのか、二人の関係がどうだったのかが分からずで、存在感の希薄なか
わいそうな役でした。

これも最初に書きましたが、回想シーンから始まるところや、ナレーションを多用して話を進める
ところなど、どこか正塚作品を連想させる構成でしたが、肝心の麻央演じる犬養がほとんど話に絡
まないので、最初と最後の回想場面が取って付けたような唐突感がありました。
でも麻央は、記者と首相時代をうまく演じ分けていたので、初めは同一人物とは思えなかったですね。


ロマンチック・レビュー「ロマンス‼」と銘打ったショーの方は、超ベテラン・岡田敬二の作・演出
らしくかなり古典的な作品でした。



きれいな色の衣装で、曲目もまあ60年代ポップスなど、タカラヅカの定番というか、観客のうちリア
ルタイムで聴いていた人がどれだけいるんだろうかと心配になる選曲。(笑)
場面の構成や転換も正統派というか古いというか(殴)、新鮮味に欠けるところが残念でした。

途中の木の下で寝転んで本を読んでいる北翔海莉ニジンスキーと令嬢との場面も何の展開もなく終
わってしまってガッカリ。




「裸足の伯爵夫人のボレロ」もせっかくの夫人役の七海ひろき礼真琴
が生かし切れていなくて少々物足りない感じでした。でも礼真琴の女装はもっと見たい!!(殴)
でも後半になって、ロケットのあとの「私の世界 イル・モンド」が、8本の大きな柱の装置と大
コーラスでスケール感のある場面となって盛り上がりました。
パレードでは礼真琴が三番手羽根を背負って大階段を下りてきて、うれしかったです。

ショーの場面です。順不同^^;










続いてサヨナラショーもオマケ。やはり順不同です。














というわけで、よかったのか悪かったのか我ながら意味不明な感想となりましたが、なんといっても
北翔海莉と妃海風と美城れんの見納めなので、ぜひ皆さんご覧ください。といってももう東京でも完
売なのであまり意味がないか。(殴)

そうこうしているうちに大劇場の千秋楽の様子もスカステニュースで流れていましたので、これにつ
いても少し感想です。

まず最後の「入り」から。








北翔海莉と妃海風と美城れんがどんな挨拶をするのか期待しながら見ていましたが、みんなよかった
ですね。とくに妃海風が、心情を正直に素朴に表現していてほほえましかったです。

美城れんの挨拶の場面の映像です。






<挨拶です>
憧れだった宝塚音楽学校に入学してから今日まで21年間、私は宝塚歌劇に、宝塚歌劇を愛する皆様に
育てていただきました。感謝の気持ちでいっぱいでございます。
心から幸せだと思える今、笑顔で卒業させていただきます。
美城れんを応援し、ご指導いただいた皆様、ファンの方々、そして私の大好きな宝塚歌劇団に、心か
らの愛と、心からの感謝を込めまして、本当にありがとうございました。



簡潔ですが、心に残るいいあいさつでした。

妃海風の挨拶とその映像です。










<挨拶です>
今、階段の上から、みなさんの顔がやっぱり、大好きになりすぎていて、今、胸が苦しくなるぐらい、
好きになってしまいました。
はい、あの、私、宝塚が大好きで、今、時々、これは夢かなと思うことがたくさんあります。

ファンの方々が、私のことをキラキラした笑顔で見てくださって、本当に信頼できるみなさま、大好
きなみなさま、その方々が近くでいつも笑ってくださって、そしてファン時代男役さんファンだった
私は、今とても素敵な相手役さん・旦那様、と出会えることができまして、私は言葉にしてもやはり
夢なのではないかと思いますが、これは現実です。
(客席・笑いと長い励ましの拍手)
 夢のような現実を見させてくださったみなさま、みなさまのおかげで幸せでございます。

本当に本当に心から大好きです。本当にありがとうございました。



ほとんどアドリブ(笑)のいい挨拶でした。良かったです。

北翔海莉の挨拶とその映像です。








<挨拶です>
宝塚音楽学校から21年間を振り返りますと、日々、己の弱さとの闘いだったなと思います。
音楽学校の授業についていけなかったとき、逃げ出したくなるとき、諦めようとするとき、悔しくて泣
いたとき、一番のライバルは楽な方に逃げようとする己自身でした。

宝塚という芸を極める道に入り、清く正しく美しくのモットーを信じて、21年間も修行させていただき
まして、今、己の弱い心に克つ、自分の限界に挑戦する精神を身に付けることができたと胸を張って言
えます。
(長い拍手)
わたくしが、これまで邁進することができましたのは、諸先生方、諸先輩方の下で、舞台人としての心
得、芸を学ばせていただいたおかげだと、心より感謝しております。
また、北翔海莉が、舞台人として舞台の上で思いっきりパフォーマンスすることができましたのは、宝
塚の一流のスタッフのみなさまの愛情と支えのおかげでございます。
最後になりましたが、男役・北翔海莉を、全力で本気で応援してくださいましたファンのみなさま、イ
メージキャラクタをさせていただきました加美乃素本舗さま
(笑いと拍手)">、みなさまのおかげで、ど
んな逆境にも立ち向かう不撓不屈の精神で私を支え励ましてくださいまして、本当にありがとうござい
ました。

えー、今回ご縁がありました、専科の夏美ようさん、そして同期生の美城れんさん、愛する星組の仲間
とは、まだまだお別れではございません。東京の、11月20日のラストステージまで、出演者一同、義と
真心と勇気をもって、舞台を全うしたいと思います。

約5週間、星組公演を支えて応援してくださいましたみなさま、本当にありがとうございました。




最後に大劇場前の様子も放映されていました。




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宝塚宙組公演 『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』観劇メモ

2016年09月05日 | 宝塚
とっくに大劇場の公演が終わったのに、ようやくエリザベートの感想です。
見に行ったのはお盆の真っ最中。かなり遅すぎ&薄い感想ですが、よろしければどうぞ。

行った日は当然ながら、帰省した車で道は最悪の状態でした。これを予測していつもより一時間早く出たのに、阪神高速池田出口から大渋滞。3時間も車列に閉じ込められて、大慌てで車椅子を押して劇場にたどり着いたのは11時25分を過ぎていて、舞台はすでに第7場になっていました。すべての観劇でこんなに遅刻したのは初めてです。^^;
ようやく客席に着いても、車中でのストレスと、それから解放された安堵感と、通常の料金に上乗せしてまでゲットしたチケットなのに、貴重なプロローグ場面などを観逃した残念感が一度に襲ってきて、しばらく舞台に感情移入できない状態が続きました。(笑)

それはさておき、何度も観たはずのエリザですが、私たちが劇場で直近に観たのは春野寿美礼トート以来。ということで、久し振りのエリザ感想ですが、これが非常に良かった!!
無理してゲットしたチケットの価値(まだいうか!)は十分にありました。(笑)
これを見逃していたら、残り少ない人生に大きな禍根を残すところでした。(ややオーバーかな(殴))
↓久しぶりに買ったプログラムです

とにかくキャストが良かった。主役二人はもちろん、すべての出演者が役にピッタリ嵌っていて大満足。久しぶりにこの作品自体の良さを味わえました。

まず朝夏まなと




この人は守備範囲が本当に広いですね。
当初はどんなトートになるか予測できず、ちょっと心配でしたが、観ていて初演を何度も思い出してしまう原点回帰のトート。でも一路真輝ともちがうオリジナリティもあって、歌と演技の完成度が高かったです。





観慣れているので次の台詞が予測できるエリザですが、そんな類型的な予想を超えてしまう新鮮な演技が良かったです。例えば「死ねばいい」とか、おおそう来るかと感心しました。20周年の記念公演にふさわしいトートです。





でもやっぱりこの人は目が大きい。朝夏まなこ。(殴)


実咲凜音のエリザベートも良かった。遅刻のせいで少女時代↓は見逃しましたが^^;、

結婚するあたりからでも、

晩年までの各場面に即して、役年齢にふさわしく演じていて、内面までよく伝わってくる自然で丁寧な演技で、見応えがありました。

歌も本領発揮の伸びやかでしかも繊細な情感のこもったもので、聞きながら、この作品の楽曲の完成度を改めて感じました。


観終えて数日後この公演のナウオンを見ていたら、これまでにない柔らかい表情で話していて別人の印象(殴)。男トップに寄り添う姿が新鮮でした。(笑) 前トップとの微妙な距離感はもはや遠い日々。(殴)


真風凉帆フランツも久し振りに見るいいフランツ。



エリザベートと母親との板挟みになったフランツの苦悩がひしひしと伝わってきました。
当初、今回はルキーニとフランツが逆じゃないかと配役が疑問でしたが、実際に観ればどちらもドンピシャ。

真風フランツは、抑揚の効いた感情表現ながら存在感があって、若い時のシシーへの愛と、長じての国王としての風格と苦悩と寂寥感がよく出ていて、最近では出色の出来でした。



歌も長足の進歩があり、情感タップリで聴かせてくれました。

でも今回特によかったのはルキーニの愛月ひかる
彼女は私たち夫婦にとって以前から好感度大な生徒さんですが、どちらかというとキャラクタ的には地味な印象でしたね。これまでのナウオンなどの対談番組でも、ニコニコ笑っているけど控えめで、その笑顔のえくぼが印象的な人でした。


大体主役を見守り&忠実に支える友人とか部下とかの役が多かったと思いますが、そんな彼女に、アナーキストでテロリストでハプスブルグ家の滅亡を暗示させる狂言回しの黒い役が似合うのか大疑問でした。なので私たちは、ルキーニが今回の公演の一番の不安材料でした。

ところが、まずスカステのニュースで練習風景の様子を見て「あれっ?」とな。(殴)
ニュースでは短時間の練習場面でしたが、それでもよく演じられているのが見て取れてビックリでした。

そして今回実際に舞台で観て、もうただただ感心するばかり。久し振りに全く違和感のないルキーニに出会えました。

初演の轟悠以来の、完成度の高いルキーニでした。この役は男役トップ候補が必ず経験する通過儀礼みたいな大役ですが、初演以外は大体みんなルキーニ像の解釈を間違えていて、やり過ぎばかりが目立って、変な作り笑いをしながら腰をかがめて舞台をヒョコヒョコ歩き回ったりするなど、興ざめな演技が多かったです。
でも今回の愛月ひかるはよかったですねー。久し振りのイケメン・ルキーニ。(笑)

役柄を正確に把握していて、過不足ない破たんのない演技でただただ感心するばかり。これまで見たことのない愛月ひかるで、縁遠いと思っていた男臭い役柄を自然に演じていて、全く違和感なし。うれしい大誤算でした。

これまでの例では、初めからヤリ過ぎていて、回を重ねるにつれてますますしつこくなって破たんするルキーニが多かったのですが、今回はノビしろを持った演技で安心して観ていられました。次作品が楽しみです。

純矢ちとせゾフィーもオリジナリティがあって良かったです。

この役もこれまで初演の朱未知留ゾフィーがベストと思っていましたが、今回はそれに負けず劣らずの出来。

「ハプスブルグ家の存亡を考えての、ゾフィーなりの行動や決断ということが出せれば」という純矢ちとせの役作りへの思いがよく伝わってきました。
初演のゾフィーは、冷酷で鬼のように怖い印象が前面に出ていましたが(それもそれまでの宝塚には見られないインパクトがあり新鮮でしたが)、今回の純矢ゾフィーは同じような迫力ながら、演技のディテールには人間らしさも宿っていて、新たなゾフィーになっていました。

板挟みになるフランツの苦悩の理由がわかるゾフィーで、これもアリかなと思っていました。

トリプルキャストのルドルフは役替わりAで澄輝さやと。この人もよく役と合っていて違和感なしに観ていられました。
少年時代のルドルフの星風まどかもかわいらしく、そんな姿につい初演の安蘭けいを思い出したり。


それと、びっくりだったのがマダム・ヴォルフ伶美うらら
これまで観劇していて、せっかくの美貌が頼りなげな歌で残念感満載だったのに(あくまで個人の感想です(殴))、今回は自信に満ちた歌で、ド迫力な美貌の娼館の主を演じていました。この人、見かけと違って低音域のほうが得意なんですな。






「翼ある人びと」での好演以来久しぶりの演技の伶美うららに出会えて良かったです。しかし、こんな美人オーナーだと娼婦たちも働きづらい(笑)。
実際、せっかくマデレーネががんばっても、つい伶美うららを見てしまったりしていました。(殴)

フィナーレの始まりは真風の「愛と死の輪舞」のソロダンスから。
そして朝夏トートが娘役をひきつれて「最後のダンス」になり、

男役群舞での「闇が広がる」から

実咲凜音とのデュエットへと続いて、

落ち着いた色彩の衣装とも相まって、記念すべき公演にふさわしい完成度の高いフィナーレになっていました。本当に観てよかったです。

というわけで、遅刻の痛手も補ってくれる(笑)いい舞台の余韻に浸りながら、劇場を後にしました。


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星組公演 『こうもり』 …こうもり博士の愉快な復讐劇…と『THE ENTERTAINER!』、観てきました

2016年04月14日 | 宝塚
3月31日に星組公演「こうもり」―こうもり博士の愉快な復讐劇」とショー「THE ENTERTAINER」を観てきました。
いつものように遅い感想です。m(__)m

観劇日はまさに春爛漫、青い空を背景に、花の道の桜ははや満開でした。月末の渋滞を考えて早く出たのですが、なんと9時半に到着。なので、桜の下で写真を撮ったりして花を楽しみながらゆっくりと劇場へ。


劇場の土産物売り場に行ったら、うれしいことに、長らく販売中止になっていた超美味なタカラヅカフィナンシェを発見♪、さらにこれまた絶品の辻利兵衛の抹茶ラングドシャと合わせて確保しました。(笑)


そして、いつもの弁当を買って劇場入り口に。驚いたことに、木曜にもかかわらず、すでに立ち見の長蛇の列ができていました。事前の情報ではチケットが余っているとか聞いていましたが、大違いでした。

今回の私たちの席は最近稀な下手側で、11列通路側の席(ショーの客席降りではヨメさんがハイタッチしてもらって大喜び)で見やすかったです。
まず102期生の口上から始まりました。


芝居の方の「こうもり」は、ご存知ヨハン・シュトラウスのオペレッタですが、最初私はちょっと嫌な予感。
コウモリには以前の体験でいい印象がないし。(笑)
もっと大作を期待していたのに、メリー・ウィドウでやったばかりのオペレッタを何でまた?とちょっとがっかりしていました。それでも北翔海莉なので観逃す手はないよねと、ヨメさんともどもちょっと消極的な感じでの観劇でした。

という前置きはこのくらいで、以下感想になりますが、上記の思い込みは全く外れて、うれしい誤算でした。

とにかく楽しい!歌がすごい!北翔海莉 の薫陶を受けたせいか、星組のみんなが歌ウマになっている!
それでも初めのうちは、普通の芝居を観ている感じで、「なんかテンポが遅いなあ」とか「話がすすまない!」とか思ってみていましたが、コレ、間違いですね。

だいたいオペレッタは他愛のない話が多いので、話のつじつまをチェックするようなものではありませんね。
まあそれでも粗筋としては、公園で泥酔した北翔海莉のファルケ博士がニケの胸像に括り付けられ、翌日その姿が衆人環視の的となって町中の笑いものになり、ファルケ博士が張本人のアイゼンシュタイン伯爵に復讐(というより仕返しですね)するというものですが、もともと酔っぱらいのいたずらにいたずらで返すみたいなノリの単純な話。

それに途中から気付いて、以後気楽に楽しむことにしました。で、見えてきたのは北翔海莉は当然として、相手役の紅ゆずるのアイゼンシュタイン伯爵やアデール役の妃海風の歌が見違えるほどうまくなっていること。
この3人だけでなく、主な登場人物みんな、それぞれの歌が聞きごたえがあり楽しめました。演技も、まず北翔海莉と紅ゆずるのコミカルな応酬が絶品。とくに紅ゆずるのコメディセンスが抜群で、まさに水を得た魚でした。

妃海風もいつの間に練習したのか、別人のような(殴)高音域の伸びにビックリ。長い公演期間なので喉が持つのかと心配になるほどでした。大したものです。
演技も表情豊かで、今の娘トップでは咲妃みゆに並ぶかわいらしさ(あくまで個人の感想です)がありますが、ナウオンとかでの話しぶりでは、かなり妃海風のほうが元気ですね。

全体の感想としては、まあとにかく文句なしに楽しい! 文芸大作とか、波乱万丈の歴史絵巻もいいですが、明るく楽しく歌もたっぷりという今回のような作品もいいですね。
↓当日購入したプログラム表紙です。


で、さっそく幕間に、ヨメさんとリピートすべく日程をチェックしましたが、4月は観劇予定が多く日程に余裕がないし、大体チケットが希望のSの1階席が売り切れということで断念しました。まあショーのほうも盛りだくさんの楽しい出来だったので、一度観たらおなか一杯ということもありましたが。(笑)

幕開きは3年前の仮面踏会という設定で、こうもりのマント(でも黒くないです)のファルケ博士が登場して歌い出し、まずその歌に感心&安心。




その後、博士と親友のアイゼンシュタイン侯爵(紅ゆずる)が酔っ払って公園に行き、復讐の発端となるいたずらの場面になります。でもそんなたかだか酒の上でのイタズラを3年も根に持ち続けて、復讐の機会をうかがうとはファルケ博士もいささかアレな感じですが、まあオペレッタとはそんなもんです。(笑)


ということで以下個別の感想です。いつものように敬称略。(画像はスカステ・ナウオンステージと同ニュースから)
まず北翔海莉

とにかく持ち前の歌唱力全開で、大劇場の舞台空間いっぱいに歌声を響き渡らせています。まさに宛書で(というか本人の希望でもあったとのことですが)今のタカラヅカでは彼女以外に考えられない演目です。





アデーレ(アイゼンシュタイン侯爵家の侍女です)役の妃海風も、いつの間にこんなに歌えるようになったのかとビックリの見事な高音域の歌で、不覚にも(殴)思わず拍手してしまいました。ただ、こんなに頑張って声が枯れないかとつい心配になりますが。


侍女の質素な衣装から豪華な舞踏会の衣装まで、それに合わせたクルクル変わる表情が楽しませてくれました。




紅ゆずるは、得意のコメディセンスを存分に発揮していますが、あまり期待値が高くなかった(殴)歌が長足の進歩。


普段あまり褒めることのないヨメさんも幕間に「うまくなっているね~」と感想を漏らすほど。
冒頭の酔っ払いの場面から、これぞ二番手!の存在感で北翔海莉と息の合った掛け合いを見せてくれました。アイゼンシュタイン侯爵も彼女以外に考えられない役になっていました。






ほかに目についた役では、まず北翔海莉と相性のいい(と私が勝手に思っている)専科の星条海斗が演じるオルロフスキー公爵(ロシアの皇太子)。



星条海斗はそれほどしどころのある役ではないのですが、有名な「シャンパンの歌」を歌ったり、いかにも皇太子といった威風堂々(笑)の存在感がよかったです。

そして十輝いりすのフランク刑務所長がよかった。


とぼけた刑務所長がいい味です。


舞踏会では怪しげなフランス語を披露して客席を沸かせました。

でもこの二人に挟まれて立つと、北翔海莉が本当に小さく見えます。(笑)

弁護士の七海ひろきや、






アイゼンシュタイン侯爵家の執事アルフレード役の礼真琴は出番が少なく(何しろ獄に入れられてしまうので^^;)、



あまりしどころのない役なのが残念。

↓これはショーの一場面


でもこの二人も、コメディセンスのある軽妙な演技が板についています。そして礼真琴は何といっても歌が抜群の安定感。
サイン色紙をもらってからなぜかファンになった現金な私です。(殴)

実は今回、一番私の印象に残ったのは、ロザリンデ(アイゼンシュタイン侯爵夫人)の夢妃杏瑠です。

夫の浮気に疑心暗鬼となる妻ですが、怒った表情がなんともかわいらしくて(殴)、なぜか応援したくなりました。最近はスカステでよくお目にかかりますが、舞台でこの人に注目したのは今回が初めて。登場場面が少ないですが、頑張っているのが好感度大で、ついオペラで追ってしまった。(笑)

あと、ファルケ博士の恩師ラート教授役はせっかくの専科から汝鳥伶ですが、この人もソロを歌った以外はあまり出番がなかったのがもったいない。でもさすがの存在感でした。この人の持っている特殊拡声器?(声の特定の波長だけを狙った相手に送るとかもっともらしく説明していました(笑))がツボです。


ショー「THE ENTERTAINER!」はスぺクタキュラーというだけあって、初舞台生を動員した人海戦術の相乗効果もあって、見ごたえ十分・お得感タップリ。歌もたっぷり聞かせてくれて、豪華なアンサンブルも素晴らしく、これが作・演出担当の野口幸作の大劇場デビュー作とは思えない完成度。観終えてもう次作が楽しみになりました。

プログラムによれば去年の秋から半年にわたって野口の企画を元に北翔海莉と意見交換を重ね、「今の星組にふさわしい内容で、北翔海莉以外では絶対に上演不可能なショー」にするという点で完全に両者の意見が一致したとのこと。
まさに期間限定究極の宛書なショーで、テーマはまさに「すべて見せます北翔海莉」(笑)。
私が一番面白かったのは、第3章での、ランドセルみたいなカバンを背負ったみっちゃんの姿。


当時観劇してからずっと私の胸に溜まり続けてきた、「みっちゃんにどうしてこんな役をやらせるのか」という積年の恨みが完全に払拭されました。(笑) 小さな恨みです。(笑)

前後しますがもちろんオープニングも見どころで、北翔海莉が星のゴンドラに乗って舞い降りてきます。



そして全員が白の燕尾にドレスのゴージャスなプロローグに。この場面がおしゃれで、これだけで期待感が高まりました。

プロローグが終わるとすぐに102期生のラインダンスというのも新鮮です。でも、この場面で大階段を見て「あれ、今回も大階段多用?」とチラっと不安になりましたが、102の人文字を描くためと分かって安心しました。(笑) 

ロケットのピンクの衣装が、劇場前の満開の桜を連想させてきれいでした。

そしてスターにあこがれる北翔が厳しいオーディションとレッスンを経験し、先のランドセルから赤ん坊、そしてヤブ医者役を経て、ついには主役に抜擢されるという展開です。

なんと妃海風が北翔海莉の歌のレッスン教師です(笑)↓




そして、最後はあっと驚くスパニッシュの場面。この変身が鮮やかです。野口先生、やってくれますね。


黒燕尾姿の男女の群舞でクライマックスに。




このあと北翔がひとり残って、せり上がってきた透明なピアノで弾き語りを披露する見せ場に至る構成の妙が心憎いです。でも小心な私はピアノ演奏についハラハラしたり。(笑)

退団する十輝いりすと↓


デュエットもよかったです。

ジュピターです。


紅ゆずるも場面をたくさんもらっていて、先のとおり歌も立派な出来栄え。やれば出来るもんですね(殴)。






コミカルな演出といえば、星条海斗と十輝いりすがまさかの女装コンビで登場。一瞬私は凍りつきましたが、それもすぐに慣れて(笑)、よく見ると二人ともなかなかの美女(殴)。とくに星条海斗の美脚にはヨメさんもいたく感心していました。
天を衝く(殴)お二方の美脚も披露されて、




でもやはりこちらのほうが安心(笑)




本当に久しぶりに見るいいショーでした。ショーの全般にわたって稀代のエンターテイナー・北翔海莉のすべてが堪能できる仕上がりで、まるで退団ショーかと錯覚してしまいそうでした。
テンポもよくて本当にショーの醍醐味をたっぷり味わえました。期待の新人ショー作家の誕生です。

↓おまけです。
これが最後のナウオン収録となる十輝いりすに出演者から花束贈呈です。








少し前に退団と聞いて、十輝いりすの素朴な飾らない人となりが惜しく、いまだに「クラップしようぜ」が忘れられない私です。退団は残念ですがこれからも応援したいです。色紙はもらっていませんが(殴)。


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宝塚雪組公演『るろうに剣心』、観てきました!

2016年03月07日 | 宝塚
順番では宙組の感想その2を書くつもりでしたが、2度目の観劇は郵便局の2階席貸し切り公演。とてもじゃないが障害者のヨメさんは抽選で当たった席へは行けず、スタッフに依頼して障害者席に替えてもらって何とか観劇というありさまでした。なので、気もそぞろで、つい感想も書きそびれていました。(←苦しいいいわけ)^^;

そうこうしているうちにいつしか花組「そろうに」の観劇となって(殴)、その出来があまりにもよかったので、とうとう宙組のその2はボツになりました。大変申し訳ありません。

当日、交通渋滞を気にしながら早めに出発。でも高速に乗るまでは混んでいましたが、阪神高速はガラガラ、予定通り10時前には劇場へ。木曜日でしたが、平日でも多くの立ち見が出ていました。
最近、あまりプログラムを買っていなかった私たちですが、今回は期待も込めて買いました。
幕が上がるまでの間、客席でそれを読んでいましたが、今回のプログラムはいつになく豪華でした。

真ん中あたりには珍しい折込写真ページもあったり、小池先生の話もいつもより長くて内容も面白く、読み応えあり。


ということで、シェイクスピアならぬ「そろうに剣心」の感想です。
まず観劇を終えての印象から。

私の事前予想は大外れでした。
観る前は、「どうせコミック&映画のダイジェスト版だろうし、企画が安易でオリジナリティないねー」などとエラソーなことを言っていましたが、観終わればそんな浅はかな先入観など見事に吹き飛ばされて、タカラヅカ版にふさわしい小池先生のオリジナリティあふれた脚本に脱帽。

もちろん、映画でおなじみの道場乗っ取りの場面とかありますが、途中からタカラヅカならではのストーリーに変わり、テンポが速く小気味よい展開にいつの間にかドップリ浸かっていました。登場人物が多彩で、話もどんどん膨らんでいくのにわかりやすく、なにより映画よりも面白い! 大したものです。

そして配役がまさに宛書の手本でした。


早霧せいなは手練れの剣心役にぴったりで、まさに余人をもって代えがたい。


陰のある人物像ながら各所で弾けるところもあり、ひとたび剣を持てば殺気漂うシビアな表情に一変。






目玉の殺陣も、キレのいい剣捌きが見ごたえ十分。
ヅカでよくある、まるでスローモーションのような脱力系の殺陣とは大違い。(笑)
今回大道具さんも大奮闘で、冒頭の竹林での殺陣のシーンでは、早霧せいなの見事な太刀に合わせて孟宗竹が次々と切り倒されていくところが実によくできていました。でもうまく倒れるかなとつい注視モードになったり。(笑)

↓似合いのコンビです


咲妃みゆも健気な道場主・神谷薫を頑張って務めていました。

最近の娘役に類例のない愛くるしい容貌なのに歌はしっかりしているし(普通なかなか両立しない(笑))、身のこなしにキレがあり、演技もメリハリが効いていて、とくに表情豊かな感情表現がリアル。私は彼女の可憐な容貌とか訥々とした語り口と、それに似合わぬしたたかな実力に、ある種の乖離というかチグハグさを感じて、いつも何か馬鹿にされているような気がしています。(殴)




 

加納惣三郎望海風斗もよかったですね。

彼女は今の各組男トップには希薄な、逞しさとか強さがあるので、加納惣三郎はまさにハマり役。

この加納惣三郎という人物は、原作者の勧めで小池先生が創作した役ですが、決して添え物ではなく、この人物が話の展開に大きな役目を負っています。
私も二番手のための、間に合わせの役かと思っていましたが、とんでもない勘違い。今回の舞台で一番濃くてインパクトのある大きな役でした。






望海風斗は貫禄さえ感じる安定感のある演技で、堂々の二番手ぶりでした。

彼女が演じる維新後のジェラール山下を見ていると、まるで久生十蘭や小栗虫太郎の作品に出てきそうな妖しさ満載の人物です。そういえば咲妃みゆが人質になるところも、まるで蜘蛛の巣にかかった蝶のように耽美的で、両者の小説の一コマのようです。

あとの配役もよかった。
ヨメさんと帰り道の車中で話していたのですが、今の雪組、男役が人材豊富ですねぇ。鳳翔大彩凪翔彩風咲奈月城かなとと、いつのまにか豊富に品揃え。(笑) 
まず剣心に心酔する佐之助役の鳳翔大が、まんま歌舞伎のように見得を切って登場する場面が面白い。これもトクな役です。鳳翔大はちょっと凰稀かなめに似ていると思ったり。
そういえば今回、歌舞伎仕立ての場面が各所にあって、どれもいい見せ場になっていました。小池先生の遊び心が楽しいです。

新撰組出身で、維新後は警部補になった(結局時代は変わっても同じ商売か)斎藤一彩風咲奈




加納と共にアヘンで大儲けしようとする武田観柳彩凪翔






そして元隠密の四乃森蒼紫月城かなと(目下一番の有望株ですね)と、

それぞれ個性のある役で、出番も多く大活躍。
とくに、物凄くマズそうに煙草を吹かす(殴)彩風咲奈が面白かった。でも彩風と彩凪、字面が似ていてややこしいですわ。(笑)

今回退団する大湖せしるの女医・高荷恵も、彼女のキャラクタにうまくマッチした役でよかったです。


でもこれが見納めとなるのは残念です。退団と言えば桂小五郎の蓮城まことも同様で惜しいです。新しい世界で頑張ってほしいですね。
一方、比留間喜兵衛&井上馨の美城れんと、

山県有朋夏美よう

の専科二人はちょっと出番が少なくてもったいなかったですね。
毎回美城れんが出る舞台ではつい姿を追ってしまいますが、今回はちょっとしどころがなくて気の毒でした。

今回の話で、小池先生が登場人物に「庶民にとって維新前も維新後も暮らしは良くならず、薩長がおいしいところを独り占めしている」と言わせているのもよかった。維新のどさくさまぎれで政治の要職に就いた流れが今も後を引いているのにはうんざりしている私にとって全面同意です。

衣装は相変わらず豪華でした。島原の遊郭の場面など、何度も使うわけではないのに衣装もセットもコストがかかっています。
フィナーレも見ごたえがありました。芝居の方でも盛りだくさんで十分楽しめたのに、ショーでもいい出来でお得感満載。ただし音響は悪かったです。上手端に近い席だからか、とくに早霧せいなの歌の場面で音量が大きすぎて聞き苦しい。大音量で歌が割れてしまって、音響効果は完全にマイナス。

言い忘れましたが、今回の客席降りは通路で芝居もしていて楽しかったです。通路席で観劇予定の方は乞うご期待です。

というわけで、本当に望外の良作になっていました。チケットが早々と即完売というのも当然ですね。それでも未練がましく公演後にチケット窓口に行きましたが、たった1日だけ火曜日の3時公演にS席がかろうじてあっただけで、リピートは到底無理でした。

今年のタカラヅカ最優秀作品候補です。
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宙組公演 『Shakespeare 』/『HOT EYES!!』 上々の舞台に早速リピート決定です!

2016年01月06日 | 宝塚
新年早々1月2日に、本年最初のタカラヅカ観劇してきました。観劇前は、芝居がシェイクスピアの伝記ということで、いったいどんな話になるのか予測できず、あまり期待出来ないまま大劇場に向かいました。今回は帰省した娘夫婦も同行でした。

正月でガラすきの道を快走して一時間かからず大劇場の駐車場へ。
今回は珍しく下手側13列での観劇です。開場前に、顔馴染みになっていたスタッフさんと新年のあいさつを交わして、ホッコリ暖かな気持ちで客席へ。
通常オンラインチケットでは上手側ブロックからの選択になりますが、体の不自由なヨメさんの利用するトイレは下手側なので、今回は助かりました。
ちなみにそのトイレ、ようやく自動ドアになったのはいいのですが、中のセンサー位置が全く不適当で、介助者に反応してドアがすぐ開くのは困ったものです。

という前置きはこのくらいで、感想です。
で、まず結論から。本当によかったです~♪ 一家3人感心しまくり。なぜ3人かというと、娘のダンナは日本語がわからないので評価に加われないから(殴)。まあそもそもタカラヅカ(というか演劇自体)に関心がなさそうだし。(笑)

私はシェイクスピアがどんな人だったのか全く知らなかった(知っていたのはヨメさんがアン・ハサウェイというぐらい)のですが、今回の公演でその個人史の概略がわかってよかったです。
とくに父親が皮手袋職人だったこととか、父親ともどもジェントルマンの象徴である紋章を得ることが悲願だったこととか、人間臭い一面がよく描かれていて、タメになります。(笑) また夭折する息子がハムレットというのも初めて知りました。
ただし脚本では省略されていることも多々あって、史実ではシェイクスピアの兄弟が8人いたとか、アンは8歳も年上の姉さん女房だったとか、アンとの間に3人の子供がいたとか、出来ちゃった婚だったとかは出てきません。(笑) まあ二本物の限られた上演時間では、これらが省略されても当然ですね。

観劇後に、泥縄ですがシェイクスピアについて少し調べてみましたが、その経歴についてはナゾの多い人物ですね。
もともとが庶民の出自なので当然ですが、結婚後ロンドンに出てくるまでの期間も、どこで何をしていたのか不明。
でもそんな空白の期間を、生田大和さんは想像力を存分に働かせて、色々なエピソードをちりばめて、面白い話に仕立て上げていました。
ストーリー全体は権謀術数渦巻くシリアスなものですが、その中に巧みに恋あり・笑いあり・涙ありの話を織り込んで、起伏に富んだ物語が作り上げられていました。本当に、よくこんなにうまく舞台化できたものだと感心しました。

タカラヅカで今を時めく小池センセイでも、ヒット作はベースになる作品があってこそで、全くの一から書き下ろしたオリジナル作品ではさほど成果がないのに(あくまで個人の感想です)、こんなに完成度の高い脚本を書くとは、生田大和さん、本当に大したものです。気が早いですが、次の作品にも大いに期待できます。(笑)
全体の感想では舞台装置もよかった。そして当然ながら衣装も豪華で、しかも庶民の衣装はリアル。音楽も耳に残るいい曲が多くよかったです。音楽と言えば随所にあるアンサンブルも素晴らしかった。

それでは出演者ごとに感想です。例によって敬称略です。最小限のネタばれアリなのでご注意を。

まずウィリアム・シェイクスピアの朝夏まなと
歌も演技も文句なしで素晴らしい。主題歌「ウイル・イン・ザ・ワールド」がいつまでも耳に残ります。
彼女は「王家‥」でも頑張っていましたが、やはり彼女はこういう文人タイプの方が適役ですね。伸びのあるクリアな歌、演技も自然でリアルで説得力大でした。アンとの恋とその後の確執、彼女と息子を失った苦悩ぶりもよく表現されていました。観終わって「翼ある人々」にも通じる爽快さを感じました。

その妻アン・ハサウェイの実咲凜音も頑張っていました。歌もよく朝夏まなとと合っていて、演技も嫌味がなくナチュラル。この人については前トップ男役との関係とかいろいろ思うこともありますが、こと今回の舞台についてはその熱演ぶりが伝わってきて、本当に感心しました。当たり前ですが、役者は舞台での評価がすべてですね。

エリザベス1世の美穂圭子も素晴らしかった。まさにハマリ役。貫禄があって、表情もリアルで、歌はド迫力。シェイクスピアの生殺与奪権を握るおいしい役です。ショーでも活躍していて、大ベテランの面目躍如でした。いい役者さんです。

私的には宮内大臣一座の俳優ヘンリー・コンデル役の純矢ちとせもよかったです。
男役なのでいつもと違う化粧ですが、それがまた新鮮でよかった。ただ劇中劇での場面が短かったのが残念でした。もっと観たかった。
私はこの人が舞台に出てくるとホッとするというか、懐かしいというか(殴)、和んでしまいます。でももっと歌わせてほしかった。ヨメさんはこの人のエリザベス1世が観たいと言っていましたが、同感でした。
そういえば先の「翼ある人々」の伯爵夫人もいい味出していましたね。

ジョージ・ケアリーの真風涼帆は黒い役ですが、その黒さは登場しただけで伝わってくる好演ぶり(ホメています)。野心を秘めた貫禄十分の役で存在感があってよかったです。すっかりショーのフィナーレの大きな羽根にふさわしいポジションを占めていました。

サウサンプトン伯ヘンリー・リズリーの愛月ひかる。私はこの人を見ると、なぜかいつもしーちゃんこと立樹遥を思い出します。ポジションが近いからか、同じような長身だからでしょうか。それほど強いキャラの役ではないのですが、とにかく反射的に目が行く(殴)。 なぜそうなのか自分でもよくわからないのですが、とにかくいいから仕方がないですね。(笑)

ジョージの妻ベス役が伶美うらら。まあとにかくきれい。ショーでも目立つ美貌でした。ただ、手の動きや首の角度、しゃべり方はかなりアムネリスが入っている(殴)。彼女は歌がもっと伸びてくれたら最強の娘役なのですが‥。今後の精進に期待したいです。

あと、宮内大臣一座の俳優リチャード・バーベッジの沙央くらまや、メアリ・シェイクスピア(シェイクスピアの母)の美風舞良トマス・ポープ(宮内大臣一座の俳優)の澄輝さやとなどの役も持ち味を生かしたいい配役でした。宙組の現在の体制をよく考慮した登用が光っていました。


次がショーですが、ちょっと残念な出来でした。
月組の上々のショーを観てしまった後なのでちょっと辛口になりますが、藤井大介さん、最近スランプ気味かな。大体なぜ全場面大階段を出しっぱなしにするのか意図不明。選曲も振付も目新しさが感じられず、ついコックリとな。(殴)
トップコンビや美穂圭子の歌などは聞きごたえがありましたが、全体としては凡作な感じになりました。

ということで、とりあえず第一回を観ての感想です。次は1月28日に観劇予定です。その感想もまた見ていただければ幸いです。



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