前回の記事から2週間が空いてしまいました。
このところ、ブログ更新が滞ってていかんです(-_-;)
ところで最近、久しぶりに刑事の国選事件が回ってきて受任しました。
その中で、準抗告の申立てをやってみました。
刑事事件の受任数が少ないので、弁護士3年目にして成人の事件では初めてです。
準抗告というのは、裁判所の判断に不服を申し立てる手続のこと。
今回は、基本10日となっている身柄拘束(勾留)期間を、さらに延長するという判断に対し、
・ 延長不要じゃないか
・ 仮に延長しても、もっと少ない期間とすべきだ
と不服を申し立てたんですが、残念ながら却下。
この程度の事案で、延長なんかする必要あるんか、とか、
延長なんて捜査の怠慢じゃないのかという素朴な感覚を持ったので、
迷いながらもやってみたんですが、なかなか難しいですね。
延長取消はさすがに難しくても、少しは期間を短くしてくれるかなあと期待していたんですが、
そんな期待もむなしく…
早く処分を決めてほしいと思ってる被疑者の方には残念な結果でした。
とはいえ、やってみると、いろいろ勉強になったなあというのが正直な感想です。
さてさて、今日は、刑事事件の話がメインではありません。
前回に続いて、プロダクトバイプロセスクレーム事件の最高裁判決の話がメインです。
前回、
プロダクトバイプロセスクレームとはどういうものか、
今回の事案での問題点は何か、
ということを書きました。
今日は、その問題点について、最高裁がどういう判断したかについてです。
プロダクトバイプロセス形式の物の発明について、
物としては同じだけど、特許された製造方法とは違う方法で作っている場合も特許権侵害といえるか、
という点について、最高裁は、
「その特許発明の技術的範囲は、当該製造方法により製造された物と構造、特性等が同一である物として確定されるものと解するのが相当である。」
と判示して、物として同じであれば、製造方法が違っていたとしても特許権侵害となると判断しました。
いわゆる物同一説というやつです。
とはいえ、それだけで話は終わらない。
最高裁は、さらに、プロダクトバイプロセス形式の物の発明について、
「発明の明確性」
を問題としました。
つまり、製造方法で物を特定する手法は、物としての構造や特性等が不明確であると指摘し、
「発明が明確であること」という特許権成立に必要な要件を欠いていると。
ただ例外的に、構造又は特性によっては特定不可能又はおよそ実際的でない場合なら、
製造方法で特定しても不明確とはいえず、特許として問題ないという判断です。
これは、えらいこっちゃ~ですね。
なぜって、現実問題として、
プロダクトバイプロセス形式の物の発明としてすでに特許が成立しているものが、多数存在しているわけです。
今回の最高裁の判断によると、それらの多くが、特許無効となる理由を内在することになってしまいます。
化学業界の方たちは、いや困った困ったって状態ではないでしょうか。
それでは特許無効を争う訴訟が頻発してしまうよとして、行政官出身の山本裁判官はこの考え方に反対されました。
(反対の理由はそれだけじゃないですが…)
一方、裁判長の千葉裁判官は、
すでに特許されたものは、訂正請求や訂正審判といった手続を利用できるが、
現実に生じる問題の処理は個別に考えることになるだろう
と補足意見を述べられています。
まあ、最高裁はあくまで法律の考え方を示すところですからね。
プロダクトバイプロセス形式の物の発明について、法律的には上記したように考える、
あとの個別具体的な問題は、その都度なんとかうまくやりなさい、ということなんでしょう。
というわけで、
この最高裁判決が実務に与える影響は結構大きいです。
特許庁でも、さっそく審査基準改訂の検討が始まってます。
プロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する審査基準及び審査・審判の取扱いについて
法律事務所と特許事務所が、AIGIグループとしてタッグを組んでます。
それぞれのページをぜひご覧ください!
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