弁護士早瀬のネットで知財・法律あれこれ 

理系で特許事務所出身という経歴を持つ名古屋の弁護士があれこれ綴る雑記帳です。

特許査定に対する不服申立て

2015-07-17 20:28:15 | 特許

台風11号の影響で、名古屋は昨日からずっと雨。

結構風も強いです。明日までは雨が続きそうな感じ。

もう一つの台風(12号)もいるので、梅雨明け、どうなんでしょうね。

 

 

さて、今日は、特許査定に対する不服申立てが争われた、ちょっと変わった判決を紹介します。

知財高平成27年6月10日判決(知財高裁3部)です。

 

なにが変わっているかって、

特許庁の審査官が特許にしてあげますよ、と判断しているのに、それは困る、と判断されているから。

 

特許権という権利はあげられません、という不利益な特許庁の処分を争う、

というのなら話は分かりやすいし、そのための手続はいろいろ用意されています。

 

でも、この案件は、本当だったらうれしいはずの処分が不服だとして、法廷で争っている。

 

 

どうしてこういうことになるのかというと、

手続を代理した弁理士さんがポカしちゃっかからなんですね。

削除しなくてもいい構成まで削除する補正をしてしまい、そのまま特許になっちゃった。

 

 

具体的には、

化合物の組成において、本来なら、

 「置換基R1はフッ素であり、置換基R2は水素原子、C1-C3アルコキシ、C1-C3アルキルまたは塩素であり」

と記載すべきところ、誤って、

 「置換基R1はフッ素であり、置換基R2は塩素であり」

と、置換基R2の内容を塩素だけに限定し、これが特許されるべきだと主張してしまった。

 

 

審査官は、事前の打合せで、置換基R1をフッ素に限定すればOKと出願人側に回答していました。

そしたら、出願人は、置換基R1だけでなく、置換基R2まで限定してきた。

そこまで限定するのね、あっそう、てな感じで特許査定したというわけ。

 

誤って限定しすぎたので、特許査定を取り消すよう求めて特許庁と争ったのが本件です。

 

 

主な争点は、次の点です。

 (1) 特許査定に対して行政不服審査法に基づく不服申立てができるか

 (2) 補正について錯誤無効の主張が認められるか

 (3) 無効確認訴訟において特許査定が無効とされるか

 

 

と、ここまで書いて、なんだかすごく長くなりそうなので、残りは次回にします(すみません…)。

 

 

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