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ヨーロッパ市場への挑戦

 
最近は忙しくてブログを書く時間がなかったのだけど、今日は嬉しいニュースが届いたので久々にブログを更新。僕が前から担当してきたヨーロッパ市場への参入に少しづつ具体的な成果が出始めてきたというニュースだ。プロジェクトを成功させるためにヨーロッパに何度も出張してきたので、努力が結果に結びついたことほど嬉しいことはない。しかし、それ以上に、先行投資を惜しまず、リスクをとってヨーロッパ市場に挑んだ日本の中小企業の方々の勇気と情熱に、僕は心から敬意を表したい。Felicitation!

再びヨーロッパへ(2008年12月7日ブログ記事)

中小企業の戦略(2008年7月22日のブログ記事)

<新聞記事の内容>

 神奈川を中心とした中小製造業でつくる「まんてんプロジェクト(航空宇宙開発用部品調達支援プロジェクト)」が、欧州の航空宇宙産業に本格進出することになった。会員企業が製造した部品を組み合わせたユニットを航空機のエンジンに供給する方向で、24日までに独と仏の大手メーカーと包括的な合意に達した。プロジェクト始動から6年かけて取り組んできた壮大な構想は、実現に向けて具体的な局面を迎える。

 交渉を始めたのは、世界5大エンジンメーカーに数えられるMTUアエロエンジンズ社(ドイツ)とスネクマ社(フランス)。年内に両社の調達担当幹部が訪日し、具体的なユニットが決まる。

 まんてんプロジェクトは6月に仏パリ郊外で開かれた国際航空宇宙ショーに出展して技術力をアピールした。既に両社の営業担当者による工場視察も受けており、同プロジェクトは「より高度な金属加工に対応できる日本の町工場の優れた技術力が評価された」としている。

 航空宇宙ショーのブースには会員企業の製品や技術を展示。期間中、約80社の企業が訪れて商談を実施し、スネクマ社と同じ企業グループのテックスペースアエロ社(ベルギー)などとも具体的な交渉に入った。

 航空機の部品総数は自動車の100倍に当たる約300万点。日本の中小製造業が心臓部のエンジンに部品を供給することで、すそ野の広い航空宇宙産業で新たなビジネスチャンスにつなげる考えだ。

 まんてんプロジェクトは中小企業の航空宇宙産業進出を促すため、県異業種グループ連絡会議(神奈川異グ連)を母体に2003年に発足。現在は全国の約120社が参加している。共同受発注の業務は、同プロジェクトが設立したJASPA(横浜市保土ケ谷区)が担っており、国内では宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)や大手システムメーカーへの供給実績がある。

記事へのリンクはこちらから
 
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成功と失敗

 
最近ある2冊の本を読んでいて、驚くほどその内容の本質が似ていることに気付いた。どちらも「成功」と「失敗」の本質に迫った本なのだけど、なぜ人が失敗するかという疑問を突き詰めると、結局は「成功したことがあるから」という答えに行きついてしまうのだ。つまり、「失敗は成功のもと」ならぬ「成功は失敗のもと」である。

僕が読んだ1冊目は『失敗の本質~日本軍の組織論的研究~』(野中郁次郎、他)だ。旧日本軍の戦略行動を複数の著者で徹底的に分析した結果、日露戦争における日本海海戦での勝利など、過去の成功体験を正しいと思い込み、これに依拠した意思決定を行ったことが後の作戦行動で大敗を生む遠因に繋がったというものだ。軍参謀などの作戦立案者は、軍専門の幹部学校で過去の戦いにおける戦略、戦術などを徹底的に叩き込まれるのが通常であるから、習ったことを活かしたら失敗してしまったというのは大いなる矛盾でしかない。しかし、歴史はそれを証言しているのだ。

もう一冊は、これも有名すぎるくらいに有名なのだけど、ハーバード大学ビジネススクールのクリステンセン教授が書いた『イノベーションのジレンマ』という本だ。彼の主張によれば、「偉大な企業は全てを正しく行うがゆえに失敗する」ということになる。すなわち、超優良と呼ばれている企業は、定石どおり一番利益をもたらす重要顧客の声を聞き、そのニーズを満たすために全力を尽くした結果、ターゲットと看做さなかった顧客層から沸き起こったイノベーションの存在に気付かず、やがて市場の敗者となっていくのだ。彼はこのようなイノベーションを「破壊的技術」と呼び、その特徴を「単純で、低価格で、性能が低く、利益率は低い。大企業にとって最ものうまみのある顧客は、通常、それらを利用できず、利用したいと考えない。」(同書P304)と述べている。

どちらの本も主張の本質は同じで、つまり「単純に成功を繰り返そうとするから失敗する」と言っているのだ。そう考えると、僕が学んできた経営戦略やマーケティングって何?ということになる。経営学は過去の成功事例や優良事例を集め、そこから導かれる共通原則を理論的フレームワークとしてまとめたものにすぎないからだ。MBAで学んだことを実践すると失敗するよ、と言われているに等しい。

僕はまだこの結論に納得できていないので、もうちょっと考えてみようと思う。
 
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パリ航空宇宙ショー100周年

 
世界最大級の航空宇宙イベントがいよいよ来週からスタートする。今年で100年目の記念大会となるパリ航空宇宙ショーだ。フランスのパリ郊外にあるル・ブジェ空港で6月15日~21日まで開催されることになっている。

今回のパリ航空宇宙ショーには僕も参加する予定でいたのだけど、残念ながら今回の参加は見送ることになった。100年記念のメモリアルイベントが目白押しだっただけにどうしても行きたかったが、別の仕事が入ってしまい断念せざるを得なくなったのだ。今回のパリ航空宇宙ショーに参加する人がいたら、ぜひ後で感想を聞かせてほしい。2年に一度のお祭り騒ぎなので、きっと不況の中でも盛り上がっているに違いない。

前回の2007年大会には僕はフランス宇宙工業会GIFASのGuestとして招待され、Chaletと呼ばれる眺めの良い展望ブースでシャンパンを飲みながら最新鋭機のデモフライトを眺めることができた。今回はMBA時代のクラスメートがいろんな航空宇宙企業に勤めていて、それぞれのChaletに招待してくれていたので、もし参加していたなら毎日豪華な料理とシャンパン三昧で航空宇宙ショーを楽しむことができたはずだ。もちろん、ヨーロッパ航空宇宙ビジネスの最前線について情報収集する絶好の機会にもなる予定だった。

さらに、今回のパリ航空宇宙ショーでは、僕の母校であるトゥールーズ・ビジネススクールの学生達が自らセッションを主催するらしい。パネリストの中には僕の同期で現在EADS KoreaのDirectorを務めるJin-Wookもいる。彼はMBA時代に同じプロジェクトチームのメンバーで、よく一緒に酒を飲みながらアジアの航空宇宙ビジネスについて語り合った仲だ。

もし今年のパリ航空宇宙ショーに参加する人がいたら、僕の後輩達が主催するセッションにぜひ参加してみてほしい。きっと熱い議論と価値ある情報を入手できるはずだ。

June 18, THURSDAY, 2:00 – 6:00 PM

(2:00 – 2:40) Business Model for a new aircraft designed and dedicated to Air Transport Supply Chain Services to Airlines

Abstract: This study describes how a new aircraft model can be designed in order to satisfy, and be dedicated to, a full service package, including leasing of the aircraft to the airlines.
This would involve a dramatic change and impact on the supply chain of an aircraft manufacturer, to make all stakeholders' business models coping with high value added services needed by the Airline customers.

(2:40 – 3:20) Customer Services Questions / Round Table

(3:20 – 4:00) A new vision of the airlines industry

Abstract: Airline industry is one of the most dynamic industries in the world. The sector has gone through drastic changes in the past decades; these changes had impacts on its regulations, infrastructure, and market of the supply and the demand.
The study projected the future of the airlines industry in the next 20 years, description of the future scenarios, challenges airlines will face, and what system needs to be created to sustain traditional airlines business.

(4:00 – 4:40) Airlines industry Questions / Round Table

(5:00 – 6:00) Cocktail

END OF DAY
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波に向かって走れ

 
今日も「航海と経営」の続きの話。

海図やコンパスを使いこなし、そして、自然の流れを読み切れば、少なくとも航海において前に進むべき道を意思決定することができる。しかし、実際に船を前に進めるためには、その意思に従って船を操縦しなければならない。つまり、思い通りに船をコントロールする力がさらに必要になってくる。

この船のコントロールに関して学んだことの一つが、「波に向かって走るべし」という事実だ。一般的に言うと、追い波を受けて船を操船するよりも、向って来る波に対して操船したほうがはるかに船をコントロールし易い。つまり、波や海流が船の後方から来ている時というのは、舵が効きにくくなったり、思わない方向に船体が流れたりするのだ。

実際に瀬戸内海などの細く流れの早い海路においては、潮の満ち引きが変わるタイミングまで待って船を進める“潮待ち”という行為が行われている。潮の満ち引きの関係で船の後方から流れを受けるときは安全な場所に船を停泊させて待ち、潮の流れが逆方向に変わってから出航するというものだ。流れが急な場所ではプロの漁師でさえそういう対策をしている。

常識的に考えると、僕たちは自分が進む方向に対してフォローしてくれるような力は進んで求めるが、逆に自分に向かってくるような力は敬遠する傾向にある。「追い風が吹いてきた!」とか「逆風の中を進む」といった表現はまさにその例だ。エネルギー効率を考えれば当然の行為なのかもしれない。しかし、自分自身をコントロールし易いかどうかという視点はそこにはないような気がする。

今の経済状況のように向い風の中をあえて前に進むことは確かに大変だし、効率が悪くて結局損しているんじゃないかと思える。しかし、そんな時代からこそ前だけを向いて集中することができ、自分自身をコントロールし易くなるのかもしれない。人生の長い道のりの中で、正しい判断をするには絶好の機会ではないだろうか。

海図とコンパス、自然の流れを読む、そして、波に向かって走る。船舶の操縦を習っただけなのだけど、本当に意義のあるチャレンジになった思う。
 
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自然の流れを読む

 
昨日の続きで「航海と経営」の話。

僕が感じた2つ目のポイントは「自然の流れを読む」ということ。未来を読むと言っていいかもしれない。ここで言う「自然」とは航海に影響を与える要素、すなわち、風、波、潮、雲などの自然現象ことで、人間の力でコントロールできないものを指す。

海図とコンパスは進むべき道を決める際には大きな助けとなるが、それは僕たちにとってあくまで過去と現在でしかない。航海者の過去の経験を1枚の紙に凝縮したものが海図であり、船の現在位置を知るためのツールがコンパスだ。従って、海図とコンパスだけでは未来のことは分からない。僕たちは他の何らかの手段を使って未来の情報を入手するしかないのだ。

風や波といった自然現象は毎日、毎時、毎分変わっていく。五感をフルに働かせて情報を収集し、過去の知識に基づいて類推・評価し、必要なアクションの意思決定を行わなければならない。正しい意思決定が行われれば安全な航海の先に目指すべき目的地が見えてくるが、一歩間違えれば命の危険さえ発生する。過去だけに依存する者は失敗し、果敢に未来を読み切る者だけが成功を手にするのだ。

経営学というのは、まさに海図とコンパスのような存在だと僕は思う。ビジネスにおいて進むべき道を選択する際の大きな助けとはなってくれるが、決して未来を教えてくれることはない。正しい意思決定を下すためには、未来を読む力を別途に身に付ける必要があるのだ。そして、この未来を読む力を身に付けるには、僕の考えでは繰り返しのトレーニングが必要で、MBAの価値はまさにここにあると思っている。

海図の読み方やコンパスの使い方のように、経営学のエッセンスだけなら本からでも十分に学べる。しかし、「未来を読む力」というのは決して本から学ぶことはできないのだ。

(明日へ続く)
 
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航海と経営

 
久々のブログ更新なのにテーマは宇宙航空ではなく「航海」。なんでだろう?と思う人がいるかもしれない。実は、僕は前から海にもかなり興味があって、人生のリタイヤを迎える際に「陸・空・海」の3要素がそれぞれ10年づつくらい僕のキャリアの中に含まれていれば面白いな~なんて考えてきた。その想いを少しでも実現すべく、僕は船舶操縦士免許の取得にチャレンジしたのだ。

僕が取得したのは1級小型船舶操縦士免許。原則として、20トン以下の船舶なら世界中のどの海へでも航海できる免許だ。もちろん、国際航海には特殊な専門知識が必要なので僕一人が単独で外洋航海に出られるわけはなく、機関(エンジン)を担当する海技士の乗船が必要になる等の条件がある。それでも、世界の海を航海できるライセンスには変わりない。

このライセンスを取得する過程で僕は非常に興味深いことをたくさん学んだ。航海術と経営学の交差点でいろいろな思いを巡らせたと言ったほうが正しいかもしれない。その一つが「海図とコンパス」の存在であり、もう一つは「自然の流れを読む」ということ、さらには「波に向かって走るべし」という事実だ。

まず、海図とコンパスはコロンブスの時代から航海の必須アイテムだ。進むべき進路を決めるにあたって絶対的に貴重な情報源であり、この精度をいかに高めるかが航海の安全を決め、結果としてのミッション達成の成否を分ける。一方、経営においては少なくとも紙に書かれた海図のようなものは存在しないし、道に迷った時に方位を教えてくれるコンパスのような便利な道具もない。つまり、知識と経験に基づいてこれらの機能を全て頭の中で処理できるようにしておかなくてはならない。それが経営者の役割だ。そして、それをサポートするために経営学やMBAは存在する。

もし、この世に「ビジネス海図」とか「ビジネスコンパス」といったものが存在するなら、皆が競ってそれを求めるようになるだろうと思う。研究テーマの一つとして、そういう分野を開拓してみるのも面白いかもしれない。

(続きはまた明日)
 
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宇宙からのABC

 
衛星画像を使った世界で最も有名なサービスと言えば、米Google社が提供するGoogle Mapだろう。専用のソフトウェアをダウンロードしさえすれば、世界中のどこでも好きな場所を宇宙から写真で眺めることができる。もちろん、地上に近づけば航空写真にとって代わるが、それでも街中を行き交う人や車を無料で上空から眺めることができるサービスは、ある意味で衝撃的だと思う。人間はついに鳥の目を手にいれたのだ。

そのGoogle Mapの新しい使い方を発見した。言葉で説明するまでもなく、本当に斬新な発想なので思わず紹介したくなった。これなら宇宙人とも言語でコミュニケーションできるかもしれない。

興味のある方は↓からどうぞ。

詳細はこちらから
 
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Royal Air Morocco

 
とても嬉しいニュースを聞いた。MBA時代の同級生であり、フランスの航空機メーカーATR社で共にインターンとして働いたOthmanが、ついに6機のATR機の販売に成功したのだ。おそらく契約額にして100億円以上、ATR社にとっても彼にとっても大成功のプロジェクトだ。

Othmanはフランス系のモロッコ人で、現在はATR社のTechnical Sales Managerとして働いている。フランス語、英語に加えて、アラビア語も話すトリリンガルだ。ただし、敬虔なムスリムではなく、お酒も飲むしタバコも吸うし、食べ物は何でも食べる。僕にとっては普通のMBAクラスメート以上に苦楽を共にした戦友でもある。

その彼が進めてきたプロジェクトがついに成就したのが何よりも嬉しい。僕は彼に頼まれていつも戦略立案をサポート、というか、半分肩代わりしていた。Othman曰く、自分は戦略の実行には自信があるのだけど、分析や立案となるとどうも苦手意識があって、同じMBAに通いながら日本人の僕には到底叶わないと感じていたのだそうだ。なので、迷いがあるといつも僕の部屋に来て、一緒に問題を特定して、何時間も二人で議論し合ったのを覚えている。

今回のATR社のプレス発表を見る限り、あの時に提案した戦略プランはどうやら結果として実を結んだようだ。僕は既存の航空会社に最新鋭機を直接売り込むのではなく、地方政府を巻き込みながら大手航空会社の子会社として新たに地域会社を設立し、そこにATR機を販売する戦略を提案した。大手航空会社に直接販売して運航させたのでは、大手特有の高コスト体質からおそらくATR機の低コスト運航性を十分に発揮できないと読んだからだ。航空機という商品を売るのではなくビジネスモデルを売る、これも僕がMBAで学んだ大切なことの一つだ。

確定発注6機+オプション2機の販売成功という結果を見ると、あの時に立案した戦略は外れていなかったのではないかと思う。もちろん、戦略の「実行」が得意だと自負するOthmanの実力の結果であることに疑いの余地はない。この結果を生み出したのは間違いなくOthmanの汗と努力だ。とにかく、戦友の勝利が何より今の僕にとっては嬉しい。

Felicitation, Othman! 僕もさらなる飛躍に向けて頑張っていくよ!

ATR社のプレス発表はこちら

(写真はRoyal Air MoroccoのATR-72 600Series)
 
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衛星ブロードバンド

 
人工衛星「IP STAR」によるブロードバンドサービスがついに日本でも始まった。これはタイの衛星通信事業者であるタイコムの日本法人が提供するもので、簡単に言うと、宇宙を経由してインターネットにアクセスするサービスを日本国内に提供するものだ。

わざわざ宇宙を使って?という部分に疑問を持つ人もいるかもしれない。しかし、世界には光ファイバーなど地上での高速通信インフラが整備された国はまだ多くはなく、宇宙を使うことで一気に広大な地域をターゲットとしてブロードバンドサービスを提供することが可能になる。もちろん、人工衛星の開発コストや打上コスト、運用コスト、保険コストなども膨大な投資になるので、地上インフラとして整備した場合の総コストと比較した上での意思決定が必要だ。

宇宙を使ったインフラ構築が特にその効力を発揮するのは、ヒト・モノ・情報といった資源が、それぞれは少量づつながら広範囲に分散して存在している場合だ。そして、資源それぞれの経済的価値が高ければ高いほど、高額な人工衛星によるコストを負担してでも各資源を結び付けようという需要がそこに生まれる。すなわち、宇宙インフラにとって大事なのは、需要の量ではなく、その質(価値の高さ)と分散性だと僕は考えている。

具体例を挙げれば、離島や過疎地における遠隔医療などはその良い例だ。これらの地域にあらゆる専門分野の医師を配置してトータルな医療サービスを提供することは、物理的に不可能ではないにしても、経済的に成立しない可能性が非常に高い。しかし、一方で人の命というのは何にも代え難い高い価値を持ち、さらに、離島や過疎地にはそれらの高い価値が分散して存在している例がほとんどだ。こういうモデルが成り立つ状況こそ、宇宙インフラの出番だと僕は思っている。

IP STAR社が日本で提供するサービスは単なる通信サービスなので、遠隔医療といったアプリケーションが出現するのはこれからだろう。あとは時間とコストの問題で、低価格化が進めばそれだけ利用者・利用地域が増えて、スケールメリットによる低価格化がさらに進むという好循環が生まれる。インフラは構築するだけでは全く意味がなくて、その上に成立するアプリケーションの良し悪しがその後の発展性を決める。地上での高速通信インフラが整備された日本においては、新たなアプリケーションが今後生まれるかどうかがIP STARの成否を分けるだろう。

ただし、このサービスを利用するためには、直径120cmの衛星用パラボラアンテナを設置する必要があるそうだ。マンションのベランダに設置するにはちょっと大きいかもしれないが、将来的には84cmのアンテナも販売するそうだ。設置価格は1件あたり30万円で、通信速度によって月々3500円~5500円の利用料金が課金される。このくらいのレベルであれば、僕はビジネスとして成立するアプリケーションが多数出てくるのではないかと思っている。

日本市場における今後のIP STARの活躍に注目していきたい。

IP STARのホームページはこち

(写真はIP STAR社のブロードバンド衛星)
 
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航空マーケティングセミナー

 
日本の航空宇宙は「技術で勝ちながらビジネスでなかなか勝てない」と僕は前から言ってきた。その背景には技術開発に対する日本独特の自負や信念のようなものがあって、よい製品を開発すれば市場は必ずそれを求めるであろうというプロダクト・アウト(Product Out)の思想がそこにはあった。そんな環境で育つ人材は結局過去と同じ技術重視の戦略をとり、今後もずっと変わらぬ状況が続くのだろうと僕は考えていた。

しかし、最近になって少しづつ変化が出始めてきた。将来の技術開発を担う人材に対して、最終ゴールであるビジネスの仕組みまでしっかり教えようという動きだ。言いかえれば、市場が技術に対して何を求め、その要求に答えるためには技術は何をすればよいのかというマーケット・イン(Market In)視点での人材教育だ。

具体的な例としては、東京大学航空イノベーション研究会が航空宇宙工学を学ぶ学生に対して、専門的なエンジニアリングのみならず、マーケティングやビジネスの仕組みまでを教える講座を開こうとしている。前期・後期に分けて産業界からも第一線のビジネスマンを講師に迎えるようなので、きっと中身の濃い教育プログラムになるだろう。僕がフランスで学んだAerospace MBAに近い存在になるかもしれない。

記事によれば、将来社会人向けの短期セミナーとしてスピンアウトする可能性もあるという。航空ビジネスに興味ある人にとっては、その上流から下流までを体系的に学べる絶好の機会になるのではないだろうか。日本国内においてそれが可能になるのだから、まさに時代は変わりつつあるのだと思う。

記事はこちらから
 
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