宇宙と何かのコラボレーションを発見するために、今年から新たな取り組みを始めている。その一つが「異業種交流会」だ。文字通り、宇宙とはまったく異なる業界の専門家のところに馳せ参じ、テクニカルプレゼンテーションなどをしながら、お互いがまだ気づいていないニーズなどを探る活動だ。川上産業から川下産業まで、とにかく「宇宙の殻」を破るためにいろんな業界を突撃訪問している。
先週は造船業界を訪問してきた。「宇宙」と「船」とはまったく異質な存在のように思えるかもしれないけれど、実は「流体」や「構造」などいくつかのコア技術が重複していたりして、技術的な面でもコラボレーション可能な案件はたくさんあると思う。ただ、今回の活動で僕が求めているのは技術面でのコラボレーションというよりも、アプリケーション(利用面)での新たなコラボレーションだ。すなわち、造船業界や海運業界に対して「宇宙の利用」がもたらす新たな付加価値の創造を発見することだと言ってもよい。
鉄道と違って船には固定されたレールがない。つまり、状況の変化に応じて最もふさわしい最適ルートを常に選択可能なのだ。これは言い換えれば、状況の変化を「最新情報」や「未来予測」という形で入手することさえできれば、より望ましい他の選択肢(Better Alternative)を意図的に作り出すことができるということである。ビジネスを進める上でこれほど役に立つことはない。将棋をしていてある瞬間にいきない使える駒が増えたり、「歩兵」が「金」になって動きの選択肢が増えたりするようなものだ。
具体的にどんな案件が進んでいるかは言えないのだけど、思った以上に造船業界と宇宙とのコラボレーションは可能性がありそうだ。ただ種を撒くだけでは意味がないので、これから水も肥料もしっかりあげて大切に育てていこうと思う。収穫の日が本当に楽しみだ。