昨日は航空機の安全性について書いたのだけど、今日はもう一歩先に踏み込んでLow Cost Airline(ローコスト航空会社)の安全性について。アメリカのサウスウェスト航空やヨーロッパのライアン航空やEasyJet航空などがその代表的な航空会社だ。
ローコスト航空会社の一番の魅力は、何と言ってもチケットの安さだ。日本の航空チケットと比べると、激安と言ってもいいくらいの値段で売られている。例えば、ライアン航空のチケットは1セントからスタートすることもある。とにかく、想像を絶する安さなのだ
もちろん、全ての座席が激安価格というわけではないのだけど、航空機のチケットを激安で提供できるのには、それなりに理由がある。ローコスト航空の徹底したコスト削減努力だ。乗客を安全かつ時間どおりに運ぶこと以外、彼らは全てのサービスを必要のないものと見なして省くか、あるいは有料で提供しているのだ。
もちろん、パイロットの給与やキャビンクルーの給与もかなり低く抑えるているし、採用人数も余分な数まで想定して採ることはない。とにかく、フライトに必要なもの以外は全てムダとみなし、本当に最低限のコストとリソースで航空会社を経営しているのだ。
そう聞くと、そんなにコストやリソースを切り詰めてSafety(安全性)は大丈夫?と聞きたくなるのが普通だと思う。実際、料金が安いからもっと利用したいけれども、目的地までちゃんと事故もなく運んでくれるのか不安だから決して利用しないという人も多い。そんな不安に応えてくれたのが今日の授業だった。
結論から言うと、ローコスト航空会社の安全性は、通常の大規模航空会社の安全性よりも高い。1996年に米バリュージェット航空が大規模な死傷事故を起こして以降は、ローコスト航空会社による大規模な航空機事故は発生していない。少なくともヨーロッパに関しては、死者が発生するような大規模な事故は、ライアン航空もEasyJet航空も過去に全く起こしていない。すなわち、統計上では既存の大手航空会社よりもローコスト航空会社のほうが安全性が高いのだ。
米San Jose University(サンノゼ大学)の研究によれば、ローコスト航空会社の安全性が高い秘訣は、大きく分けて3つあるという。1つは、ローコスト航空会社特有のシンプルなビジネスモデルだ。組織内にもヒエラルキーがないので意思決定が早く、かつ、日々のオペレーションでも複雑なことはせず、ちょっと訓練を重ねれば誰でも安定してこなせるような仕事の進め方をする。当然、複雑なオペレーションを求められる大手の航空会社に比べてミスの発生確率は低くなる。
そして、2つめは単一機種の全社的な使用だ。ボーイング737やエアバスA320などの全く同じ会社の全く機体のみを全社的用いることによって、パイロットやクルーの習熟度を短期間に急上昇させ、ミスの発生する確率を低く抑えている。操縦する飛行機が全く同じタイプの飛行機なので、不具合情報の共有やパイロット間の情報交換もスムーズに行うことができる。
3つめは、最新ハイテク機種の短期集中型の使用だ。ローコスト航空会社では、最新型のハイテク航空機のみを主にリース契約で導入し、少しでも古くなったらすぐに貸主に返すといったオペレーションを繰り返している。例えば、EasyJet航空が保有する全ての航空機の平均継続利用年数は、たったの2.2年でしかない。一番新しい一番安全な航空機の、一番最初の一番故障が発生しにくい時期だけを借りて運行し、大きなメンテナンスが必要な時期にさしかかった古い航空機はほとんど使用しないのだ。ちなみに、古くなった飛行機は、他の大手航空会社に転売されて運行されていたりするのから面白い。
もちろん、実際にローコスト航空会社の航空機に一度乗ってみないことには本当のところは分からない。しかし、統計上では、既存の大手航空会社のほうが、ローコスト航空会社よりも、事故に遭う確率が圧倒的に高いのだ。
次に航空会社を選ぶときの参考にしてみてください。
(写真はEasyJet航空)
欧米のメジャーな(?)格安航空会社はどーなんだろう?
外に出した場合、どーなんだろうね。
受託した側からすると、一応はライバルの機体だからてきーと、
ってことはないだろうかね。
逆に、落っこちて原因が整備不良だと、契約責任を問われるから、
自分のところ以上にちゃんとやるかね。
コメントありがとうございます。
欧米では航空機の整備専門の会社がいくつもあるので、整備のレベルに関しては問題ないと思います。あとは、バカンスシーズンにはあまり働く気のない労働者達をどうやってモチベーションを高くもって航空機の安全を確保するか、そのあたりのマネジメントのほうが鍵かもしれません。
航空機の整備は何も起きなくて当たり前、もし何かトラブルが発生したら命にかかわる大事故になるというシビアな業界だと思います。正確な数字は分かりませんが、利益率は航空会社を運営するよりもはるかに高いはずです。
私が普段整備を行っている鉄道にも言える事ですが機体が統一されていると予備品の備蓄コストが最小限に抑えられるのがかなり大きいと思われます。
やはり有事の対応を考えると部品を一式丸々交換して(機体の運用を考えると中をバラして一々中を直してる暇はない。もちろんメーカーに調査依頼は出しますが)安全な機体を保つことを考えると常に予備品を備蓄しておく必要があるのですが複数の違う機体、それも違う会社の機体を抱えてると機体ごとに予備品を備蓄する必要が出てきますので違う形式の機体を何機運用している大手の航空会社だとかなり大きいでしょうね。
ただ、実際には単一機種ではなくとも派生機種とかなら同形式同士の予備品を使いまわせるケースもあると思いますが…。
まぁ他には整備士の育成コスト云々もあると思いますが散々言われてることなのであえて語る必要はないですね。
しかも、Quantas-CEOには、前ジェットスターCEOが指名されたりして。
JetStarは昨年一度乗りましたがとても快適でした。逆に飯がでないスタイルのほうが私は好きです。自分の好きな時に飲んだり食べたりできるので。
安全性については、読んでいてとても納得しました。 反論があるとすれば、まだ歴史を重ねていないということですか?今後もそれを継続できるのか。いちど事故がおきれば「やはり」という報道がなされる可能性はあり、マスコミはそういうのが好きですから。
の完全ガイドがみられる
http://lowcost-airline.info/
はなかなか便利と思います。