アドバンスカレッジ2005~目指せ!憧れのスポーツビジネス界~

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読了ーゴールは偶然の産物ではないー

2010年01月05日 | 本の紹介
以前ご紹介したFCバルセロナの前副会長、ソリアーノ氏の著作
ゴールは偶然の産物ではない」を正月の3日間で読了。

3年前に講義を受けていたこともあり、スラスラと読めました。
実にいい本です。その主な理由は、
1.MBAで習う経営戦略論や経営分析、交渉、マーケティング、リーダーシップという要素がふんだんにちりばめられている
2.上記だけでなく、クラブを愛する気持ちや日々の言動に対する重要性について実際の事例を用いて説明がなされている

経営学を学んでなくても読める本ですが、
学んでいるとより深く理解ができます。
特にマイケル・ポーターの業界分析を理解しておくと
第一章の理解が深まります。

競争の戦略
M.E. ポーター
ダイヤモンド社

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経営学を学びはじめの方や、学んだことの無い方にはこの本は難解かもしれません。
しかし、たくさんの入門書や解説書がありますので
そちらを読むだけでもいいでしょう。

ソリアーノ氏の著作に話を戻します。
残念だった点があります。
それは、「各種データや理論の出典が不十分」なことです。

バルサの内部資料がふんだんに使われている点は仕方ないにしても、
それ以外の部分では我々にも入手できる資料が多く使われているにも関わらず
それが明記されていません。

デロイトやシマンスキー教授の著作からの引用があることは
各種グラフに明記されていますが、巻末にその一覧がないのは残念です。

最後に全体的な印象として、
ソリアーノ氏の教養の高さに刺激を受けました。
様々な分野からの例え話が登場しますので理解しやすかったです。
物理学や哲学、歴史学、文化論からの援用が多数あります。

何よりFCバルセロナを数年で世界のビッグクラブへと成長させたその最前線の
様子が伝わってきます。
理論だけでなく、情熱や能力も必要であることが理解できます。
そして国際的な文化の差異を理解することも。

本の中でソリアーノ氏が「告白」していますが、
バルサのやり方は、欧州のあるビッグクラブのマネジメントを大いに真似ています。
ベストプラクティスを選び出し、分析し、自分たちに適用させるために工夫する。
その結果、大いなる成長を成し遂げることができた事実は、
今後のわが国のスポーツ界が大いに参考にすべきことでしょう。



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