土塊も襤褸も空へ昇り行く:北村虻曳

随想・定型短詩(短歌・俳句・川柳)・写真
2013/11/11開設

暇人は越境する:行政境界と案内

2019-07-17 | フォト・エッセイ
僕は自動車の免許持たない、そのかわり若い頃から徘徊する癖がある。一昨年は少しましなミラーレス・カメラも購入したので、ますます歩くようになった。普通の自転車にもよく乗るが、歩く方が撮影対象を見つけやすい。それに転倒して硬膜下血腫というやつで頭蓋骨に穴を開けて直してもらった。繰り返しやすいという警告を頂いた。以後遠距離サイクリングはやや自粛している。

歩くことは肉体的健康だけでなく脳力の維持・向上に役立つという説が近年盛んである。硬い魚や肉もあまり気にしないので顎をよく使う。酒は脳の萎縮を促すと言う最近の研究があるが、財政を締まる必要があるので、帰りがけに飲むことも半減した。脳にいいことばかりではないか。

現在生駒市に住んでいるが、歩くとすぐ隣接市に越境する。時計回りで挙げると、奈良市、大和郡山市、生駒郡、東大阪市、大東市、四條畷市、交野市、枚方市、京田辺市、相楽郡、実に3県の10の群市に接している。がんばればそのどれにも歩いて行ける、いや実際このどこにも歩いていったことがある。

歩いてみて思うのは案内の掲示のありがたさである。しかし行政区分を越えて歩くと不親切を感じる。例えばくろんど池、これは奈良県生駒市に属する。バベキュー設備やボートもありハイキングの目標となる。その西には月の輪の瀧を含む岩の多い快適な渓流沿いの道がある。少し山を抜ければ獅子窟寺、北には見晴らしのとても良い交野山。これらは大阪府交野市に属する。東は京都府京田辺市となり、観光化されてはいないが、高船、天王などバスは1日に2本か、無いという、秘境といってもよい村落となる。

この辺を歩くとなるとどうしてもいくつかの行政区を通り抜けて歩くことになる。しかし現地にはそれぞれの行政区に応じた案内しか無い。たとえば大阪側から休憩施設のあるくろんど園地まで来ても、ボートのある生駒側のくろんど池の図は池のごく近くに来るまで見ることができないのである。逆も同様である。ハイキング客が他所に逃げる、あるいはペンキが無駄と考えているのか案内がケチられている。連続する他府県、他の市まで含めても出費はわずかだし、通り抜ける人はとても助かる。そしてその一帯を訪れる人は増えるであろう。


このようなことは各市が出すハイキングの地図などでも同様で、まとめて訪れた方がよい他の行政区の観光施設などには、できるだけ触れないようにしてある。そういうものを載せれば予算の無駄遣いという批判も生じかねないが、他市と協議して気を大きく持ったほうが結局は得策であろう。電鉄の間でも同様のことがあるが、近年少し共同が行われている。背中合わせの土地を紹介することは、営利的に考えても悪くないのだ。一つ良い例を挙げておく。一般財団法人「大阪府みどり公社」発行の『生駒山系 まるごとハイキングマップ』は奈良県まで含んでいてとてもありがたい。

要するに市民のハイキング、トレッキングはしばしば越境し境界を楽しむものなのである。いや境界の方が自然が豊かなのである。
ついでに付け加えると GoogleMap、とても重宝しているがアメリカ流だけあって自動車本意なのである。しっかりした山道も載っていない。とても残念であるが、歩く人が増えない限り改善は難しいであろう。
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