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日本の、東京の居酒屋巡りをお届けしてきたブログ・・
信州への転居に伴い、内容も一新してリニューアル!!

大分の名居酒屋

2008年08月28日 | Weblog
さて昨夜は九重で涼しい夜を過ごしてぐっすり。万全な体調で朝食を済ませて、庭で記念撮影まで行い、くまちゃんとしばしのお別れを交わし、僕ら家族は大分へ向けて出発した。途中で湯布院に寄り、湖や町並みを散策。完全に観光地化してしまっている町並みだが、やはり全国的人気スポットだけあって、良い町並みだ。平日にも関わらず人が多い。昔親友が結婚する際に、男3人で最後の独身旅行をしようとこの由布院で豪勢な夜を過ごした事など振り返りながら、僕らは別府へ向かう。
別府と言えば九州でも有数の温泉地。大きな旅館が立ち並び、いたるところから湯煙が上がる。そしてここ別府の名所といえば「地獄めぐり」だ。温泉の特性を活かし、7種類の地獄を作り上げてる。真っ赤な温泉が湧く「血の池地獄」。まるで海のような色をした「海地獄」。どろどろの泥が温泉でボコボコ泡をはじき出す「坊主地獄」など、色々な地獄を巡る事ができる。僕も小学生の頃両親と来て依頼だ。昔はそのひとつひとつのスケールと迫力に圧倒された記憶があるが、大人になって行ってみると、なんともちんけで物足りないものに見えた。子どもの頃の記憶とは大げさであやふやなものだ。それでも初めて訪れた嫁さんは十二分に楽しんでいる様子だ。海地獄で作られた温泉玉子を食べたり、血の池地獄で売られている薬用の塗り薬の効用に耳を傾けたりして時間は過ぎる。
その後、別府の港で久々の海を見た。信州の山の中にいると懐かしくなってしまうこの潮の香り。比較的海で育つ事の長かった僕には欠かせない香りだ。肺の奥の奥まで吸い込んで車に乗り込む。
そこからしばらく走ると大分の街に出る。両親が予約してくれた駅前のホテルにチェックイン。シャワーで汗を流して4人で町へ出る。大分の町もとても長い立派な商店街があり、信州で商店街が無い生活を強いられている僕ら夫婦は歩いているだけで楽しい。そして教員採用問題で揺れる大分県庁の向かいにある居酒屋へ向かう。今日の目的は「こつこつ庵」だ。ここに来たいがための大分旅行なのである。ホーローの懐かしい看板や、レトロな飾りつけが店中に飾られ、店内はジャズが流れる。今日最初の客として入店し、まずはビールで乾杯。名物メニューである「関サバ、関あじ」、「とり天」などと同時に、オリジナルメニューである「ショーン粉ねり007」なるユニークな料理も注文した。
地元の「関サバ、あじ」はやはり脂が乗っていて美味。「とり天」もさくさくほくほうで旨い。注目の「ショーン粉ねり007」はナスとゴーヤを片栗粉でぐちゃぐちゃに炒めたもの。
文章にするとグロテスクな食べ物を想像するが、食べてみるとクセになる味だ。他にも酢〆したサバを細かく切り、おからと野菜と合えた「きらす」や、「どじょうの天ぷら」は絶品だった。店員さんが強烈に薦めてきただけあって、泥臭さが微塵も無いどじょうの身は肉厚でたまらない。思わずお替りをしつつ、4人で地元の大分の麦焼酎を水割りで開けてしまった。カボスを絞って飲む麦焼酎は繊細で優雅な味わいだ。
店を出るときに大将と色々話をした。ここを知るきっかけを与えてくれたのは僕の居酒屋の神「太田和彦」さん。その太田さんの話にもなり、帰り際に大将の顔が書かれた箸置きをお土産に頂いた。
その後町をぶらぶらし、最後にホテルの近くにある居酒屋でもう1杯焼酎をひっかけ(といってもここでも麦焼酎1本完飲)し、コンビニで僕はカップラーメン、母と嫁さんはデザートを買ってホテルへ戻り、両親の部屋で軽い反省会?をして眠りについた。
去年は長崎を旅し、すばらしい居酒屋に出会ったが、今回も大分の素敵な店に行くことができた。僕のわがままで足を向けた大分だが、両親も嫁さんも満足してくれた様子でよかった。さあ明日は母の故郷である飯塚、僕が幼稚園、小学校低学年時代を過ごした大宰府に寄り、家へ帰る旅だ。真夏に郷愁の家路を行く我ら家族であった。
(写真はこつこつ庵での1シーン)

家族旅行1日目

2008年08月14日 | Weblog
福岡へ帰省した翌日、僕と嫁さん、そして僕の両親で旅行に出かけた。去年は九重から長崎へと旅行したが、今年も九重に出かけて、そこから大分へ回る旅を計画した。昨夜の大宴会の酒は不思議なほど残ってなく、快晴の天気のもと4人で出発。家の近くから高速に乗って朝倉で降りる。九重へ向かう道すがら、野菜、肉などの買い物を数件の店に分けて調達し、途中昼食を取り、子供の頃以来の訪問になる高崎地蔵へ参拝し、九重に着いたのは昼2時過ぎ。昨夜の大宴会の主催者である、実家のマンションの上の階に住むご夫婦の持つ別荘が今日の宿だ。九重の山を見渡せるすばらしいロケーションに建つ家は、大きなテラスと庭がある素敵な家だ。去年もここにお世話になったし、ここのご夫婦は僕らの結婚式にも参加してもらっている。いわば僕ら夫婦の3番目の両親みたいなものだ。
家に着き、伸び放題の竹やぶの手入れをしたり、夕食の準備をしたりしていると、山独特の夕立が来る。1日にリズムがあり、夕立で夕方の涼しさが舞い降りてくる。山の天気も素敵なものだ。夕食は「ホルモン鍋」だ。途中の原鶴温泉で父が発見した肉屋できれいなホルモンを仕入れ、写真のように九重の冷たい綺麗な水でひたしながらホルモンを洗い、臭みを抜いたホルモンを親父特有の味付けでキャベツやニラ、にんにく、豆腐などと煮込む鍋は、僕も子供の頃から親しんだ味で、博多のモツ鍋とはまるで違う味わいだ。テラスに宴会場を作り上げ、更に嫁さんが練炭七輪で起こし、手羽先やとうもろこし、ウインナーを焼く。夕方の涼しい空気を吸いながら、九重の夕焼けを眺めながら、冷たいビールと日本酒で宴は続く。
ここで過ごす時間は何物にも変えがたい開放感がある。昔沖縄によく行っていた頃、何度か宿泊したゲストハウスのテラスにいる時に感じた、世の中の事や仕事の事など、どうでもよく感じてくる開放感。これぞ夏休みの醍醐味だ。老後はこんな生活がしてみたい。朝夕は小さな畑を耕し、昼はテラスで読書をする。そんな老後を夢見つつ、酔いも心地よく訪れる。
ここの主人であるおじちゃんは、毎朝早朝に起きだして山へ登る。近くの酪農家の一家に飼われている犬(くまちゃん)がお供する。くまちゃんはおじちゃんがこの家にいる期間は完全にここの飼い犬に変身する。途中で本物の飼い主が見に来ても付いて帰ることはしない。完全にこの家の家族の一員である。最近は高齢であることもあり、山登りに行っても最後まで歩けず、75歳になるおじちゃんが担いで山を降りてくるらしい。登山犬として新聞にも掲載されたくまちゃんだが、年齢には勝てないのか。
明日も山に登るおじちゃんの就寝時間に合わせて宴は終了。満点の星空を見上げながら歯を磨くのも幸せな時間だ。夜の九重の空気は夏でも冷たい。今日は寝苦しくない夜が約束される。ああ、幸せな九重の時間。来年もまたここに来てしまうのだろう。

一期一会

2008年08月11日 | Weblog
さてこの夏帰省をした際にあった出来事を話そう。
今暮らしているのは信州は松本。早めに仕事を切り上げ、家に帰って着替えをし、嫁さんと松本駅へ向かう。夜8時半の特急信濃に2時間揺られて名古屋へ到着。子供の頃に乗ったままのレトロ(ぼろい?)寝台「はやぶさ」に乗車したのが夜10時半。やや静まり返りつつある車内で軽く一杯引っ掛け、嫁さんが眠りに付いたのが天下分け目の関ケ原くらい。僕は京都駅を過ぎたところで眠りに落ちた。翌朝下関あたりで起床し、朝食をとりつつ朝10時過ぎ、無事に博多駅に着いた。東京にいる頃はいつも飛行機での帰省だったので、旅という感覚は無かったが、今回は電車での長旅。嫁さんも疲れるどころか随分楽しかった様子だ。
親父が車で迎えに来てくれてたので、お墓参りをし、櫛田神社を参拝し、川端商店街で飾り山を見て、昼食を取り自宅へ着いた。
今日は昼2時頃から宴会がある。実家のマンションの上の階にに住むご夫婦と家族ぐるみの付き合いをさせてもらっており、そちらの家での宴だ。その宴と言うのがすごい。一人は青森のTV局のディレクターさんで、青森の地酒を中心に、たくさんの地酒をこの日のために揃えて来てくれていた。また、福岡で言う青山とでも言おうか、大名という地域に手作りバッグの店を展開する社長さん。ご夫婦で歌手をしているお二人(このご夫婦はすごい。福岡のローカル番組の主題歌など多数歌っており、ブラジルから国賓として招かれるほどのご夫婦)や、ここの家の家主ご夫妻。ご主人の古くからの友人。そこに我が両親と僕たち夫婦という総勢11名の大宴だ。
ずらりと並ぶ料理を前に、ご主人の挨拶を経てシャンパンで乾杯。その後は各自自己紹介をしつつ、青森のディレクターさんが用意してくれた地酒をみんなで少しずつ味わい、味の違いを堪能していく。辛い酒、甘い酒、重い酒、軽い酒。たくさんの個性的な酒を上品に楽しく楽しめる大人の飲み会だ。まるで地酒の品評会の様相であり、僕が信州から持参した「緑香村」も良い評価を頂いた。しかしすっきりした酒が多かった中で、緑香酒は少し重かった様子だ。
昔居酒屋でメニューに載る地酒全てを飲み、日本一周に挑戦したが、北海道から南下を開始し、灘あたりで断念した覚えがある。そんな飲み方も面白いが、こういう大人の飲み方もおもしろい。年上の、しかも皆様個性的で魅力ある人たちに囲まれて、いろいろなおもしろい話が聞けた。僕の嫁さんも今日は結構頑張れており、最後までなんとか戦い抜いた。
結局宴が終わったのが夜の11時過ぎ・・・おそろしく長く、そして楽しい宴はあっという間の出来事だった。ひとつひとつの銘柄をメモしなかった事が悔やまれるが、青森の名酒「豊盃」に感動。そして皆さん素敵な出会いをありがとう。
人と人の出会いは、いつ、どこで生れるかわからない。以前、居酒屋である人が言っていた。全ての出会いが一期一会と思い接する、と。そう考えると人の輪が広がる可能性は全て自分の捉え方次第。一期一会だと思うからこそ、その出会いを大切にし、また会えた時の幸運を祈る。ひとつひとつの出会いに全力を注ぐ。そうやって付き合いは深くなるのだろう。様々なことを学んだ一日だった。

どろどろラーメン

2008年08月06日 | Weblog
福岡帰省第3弾は「ラーメン」だ。文句なしに博多を代表する食べ物の代表格。知名度的には「もつ鍋」「明太子」を押さえて堂々の第1位だろう。博多にラーメンやは数あれど、やはり一番の目玉は「元祖長浜」だろう。博多の市場で働く人が、短時間で食事が出来るようにと、すぐに茹で上がる極細麺を使ったのが今の形式の始まりと言われている。僕も帰省の際にここによる事は多いが、一番旨いかと聞かれると、言葉につまる。比較的あっさりしている味わいで、ややパンチに欠けると僕個人的には思っているが、やはり店の風格、歴史、システムは一見の価値があり、必ず博多に出かける友人には「この一軒」というケースでは紹介している。帰省の際にプチ同窓会をしたが、地元の友人も「一番旨いわけではないが、しばらくすると食べたくなる。麻薬でも入ってるのではないか?」と語っていた。
さて今回紹介するのは、これもこれで有名店だ。「一風堂」、「一蘭」とは違う、こてこてどろどろの「はっちゃん」系だ。警固というところにある「ひでちゃんラーメン」だ。警固は博多の中心街である天神からも歩いて15分程度だ。
カウンターしか無い店内だが、厨房にも活気が溢れ、お客もしっかり入っている。芸能人のサインがたくさん貼られているのが人気の証拠か。(そうではない場合もあるが)
シンプルに「ラーメン」を注文すると、それはそれはこってりどろどろしたラーメンが届く。具もシンプルで、足し引きは必要ないルックスだ。麺は極細で、何も言わなくてもベストの硬さ(硬め)で、スープのこくはもうたまらない・・・1分経たないうちに「替え玉」を注文。すぐに届く替え玉をスープの中に遊ばせて、豪快にゴマをふりかけてズルズル。この瞬間は何物にも変えられない。替え玉も食べつくし、最後にレンゲに紅しょうがを載せて、レンゲの中で赤い色素をスープに溶かしつつ、レンゲごと一気にすする。これで後味はちょうどよくさわやか。紅しょうがをスープに入れないのは僕のポリシー。東京の人の博多ラーメンの食べ方を見ると胸が苦しい。豚の角煮や明太子など、いろんな物をトッピングして、さらに紅しょうがをたっぷり載せて食べる。スープのこくが消されてしまうし、具を食べる間に固ゆでの麺が柔らかくなる。博多ラーメンはやはり麺とスープ。極論で言えば具は無くてもいい。だから替え玉で麺を食べる習慣があるのだろう。ネギさえあれば十分なのだ。矛盾しているか??
嫁さんには多少重かったようで、後日違う店で食べた、比較的ライトなラーメンを支持していた。まあ好みはそれぞれ。好きな味、店を見つけることが一番いいだろう。
全国区にならずとも、こういうハイレベルな店が乱立する博多。さすがはラーメン王国。改めてその真髄を知った気がした。なんて言いながら、やはり「元祖長浜」にも行きたい僕である。