日々想々

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地球―この偶然

2011-01-01 13:35:54 | Weblog
【偶然】 必然的理由なしに、思いがけなく起こること。思いもよらない偶然は日常でも数多い。しかし、とてつもない偶然、それは私たちのすむ地球ではないだろうか。水が液体の状態を保てるかどうかの決め手は、惑星の主星(太陽)からの距離とされるが、幸い地球はピンポイントで範囲内だ。水があれば生命が宿る。38億年前、地球上に原始生命=単細胞生物が生まれて以来、生物の大量絶滅期が数回あったにもかかわらず、命のリレーにより多様な生物種の繁栄をみるにいたった。種の数は、判明しているものが約175万種、未知のものを含めるとおよそ3000万種にのぼると推測される。もちろん私たち人間もその一員で、600~700万年前に誕生したばかりのニューフェース。ヒトの誕生以前、すでに多様な生物相に彩られた世界が広がっていたのだ。生命の形の多様さ、生態系の多様さ自体驚異だが、進化の過程で多くの変異や分化を繰り返してきたことの証であろう。近年、生物多様性問題が世間の関心を呼び、昨年10月名古屋で開催された「生物多様性条約第10回締約国会議」を機に、気運は一段と盛り上った。専門家は、生物種間を結ぶリンクが相互依存的・相互補完的に働き、変化にも柔軟に対応、系全体として恒常性が保たれる、と生物多様性の意義を強調する。昨今注目をあびているもう一つの話題は鉱物資源、とりわけハイテク製品の性能向上に不可欠なレアアース(希土類)である。ただ、今後とも経済性・利便性志向が高じてゆけば、繁殖不可能な鉱物資源は早晩枯渇を免れないだろうし、採掘にともなう自然生態系の破壊等、負の側面も見逃す訳にはいかない。レアアースは半ば比喩的に、まれな地球とも解せる。タヒチで生涯を終えた画家ゴーギャンは晩年、渾身の大作『私たちはどこから来たのか、私たちは何者か、私たちはどこへ行くのか』を描いた。私たちは、その答を早急に準備せねばなるまい。類まれな地球を、美しい自然を、後々の世代にどう護り伝えてゆくのかを含め。少なくともゴーギャンは、島民との交わりを通して、未来に希望の灯を見たのではないだろうか。