新・名も無い馬ですが・・・・・

2013年11月3日に旅立ったマイネルスティング。
その想い出と一緒に、これからも名も無い馬たちの応援をしていきます。

ついに・・・・・

2011-10-28 | 日記
私には極力近づいてはいけない場所があります。

それは “ドラッグ ストア”。

一たん中に入ると、買うべきものより別のものに目がいってしまう。

‘コラーゲンたっぷり!’ ‘ヒアルロン酸でよみがえる肌!’ ‘10才若返る!’ etc...etc.

無駄な抵抗と知りつつ、キャッチコピーに吸い寄せられていく私の足

気がつくと、肝心な物は買い忘れ、予定外の物が何故かエコバッグの中に、やせ細った財布と一緒に入っているのです。

この財布・・・思い起こせばかなり前

‘これを手にした時からつきっぱなし!!’ ‘万馬券が当たった!’ ‘宝くじが当たって会社を立て直せた’ ‘これは本当に幸運を呼ぶ財布だ!!!’・・・・。

写真つきのこんなコピーにそそのかされて数万円もだして買ったもの。

その結果は・・・聞くまでもない トホホなエドリンです。  こんにちは。




 悩み




秋が近づくにつれ、スティングの周りでは一つの悩みが育ち始めていました。
それは、1歳の相棒君の旅立ちです。

サラブレッドとして生まれおちた時から馬は、競走馬となる宿命を背負っています。
私たち人間と違い、職種の選択が出来ない彼らにはレースで走れるイコール生きていけるという事なのです。
従って、1歳になるまでに馬主さんがつき、調教をうけ、厩舎が決まりレースに出る・・これが競走馬としての流れです。

1歳君もそろそろ一人前(?)の競走馬になるべく歩き始めなくてはなりません。
残念というか幸いというべきか9月に行われたセリでは、馬主さんとの出会いはありませんでした。
この時ですらスティングは、人参に目もくれない、お客さんが来ていて呼んでも全く無視、1歳君を守るように、放牧地の奥から動かない、といった異常な反応をみせていました。  この時の詳しい様子は‘マイネルスティング公式ホームページ’のブログに会員さんのぶらんさんの報告として載っています。


人参いのちのスティングが見向きもしないほど何かを感じ、過敏になっている。
今までずっと1頭で過ごしていたスティングに初めて出来た仲間。
1歳君が巣立ったあと、残されたスティングはどうなるか。
意気消沈して、急激に老けこんだりしないか、体調を崩したりしないだろうか心配です。
2頭の一緒にいる姿を見るにつけ、周りの人間たちは心を重くしていました。





 ついに・・・





そして26日、ついに判定が下されました。

父ルールオブロー、母グレートテンの1歳牡馬・・・馬主さん決定

馬主さんは大阪の方で、名古屋競馬所属になりそうです。
詳細は分かり次第お知らせしますね。
無事に競走馬デビューすることを願います。

26日のスティングは、やはり人参にも興味を示さず、馬房の方ばかり見て心ここにあらずといった状態だったとか。

翌日一緒に放牧されると、安心したように、いつも通り威嚇して威張っていたそうです。

もうすぐ来る別れ・・・。

スティング、無事に子離れできるのでしょうか?

がんばれスティング!  寂しさにめげず乗り越えろ!!

全国の会員さん達が見守っているからね!



 おまけ


一人でも負けへんで!(何故に関西弁?)byスティング

スティング なう

2011-10-23 | 日記
先日、近くのコンビニに行く途中、お散歩中のボルゾイを見ました。

ず~っと憧れていたワンコさん ボルゾイ

ロシアの王侯貴族が愛した猟犬、ボルゾイ。

広いお部屋があったら・・・、ドッグランみたいなお庭があったら・・・

せめてもと携帯で写真撮らせてもらいました(こういう時の為のおばちゃん根性デス)。
ついでに、シルクのような毛並みを触らせて貰っちゃいました




雅ちゃんありがとうね。


家に帰って、同居している甥っ子に、自慢げに写真を見せたら一言
「ホント、馬面が好きなんだ」・・・・へっ

‘馬’がついたら何でも許せるエドリンです。  こんにちは。




スティングのお仕事

今年、スティングにお仕事が与えられました。
S牧場さんに、昨年産まれたお馬さんの一頭が牡で、1歳になったら牝馬とは一緒にできず、かといってまだ幼い仔に一頭放牧は難しいという事で、暇してるスティングに白羽の矢が当てられました。
今までずっと一頭でしかいた事のないスティング。
はたして他馬を受け入れられるのか。

‘案ずるより産むがやすし’・・・人の心がわかるスティングです。
何の問題も無く、1歳くんとの放牧が始まりました。

何よりスティングが嬉しそうで、生き生きしてきたのです。
思えば、友達の一人も(1頭?)いなかったスティングです。 寂しかったのでしょう。

毎日、1歳君と相撲をとったり、追いかけっこをしたり・・・どちらがお守されてるのかなぁ?

今では1歳君の方が体高も高く、大きくなってしまいましたが、スティングも腰回りや肩に筋肉がついてすっかり若返ったと、ちまたの噂です。
19才のスティングと1歳の坊や、仲良く戯れて日々成長中・・・って、スティングの精神年齢って一体何歳???






それでもスティングが貫録を示す時があります。
それは、お客さんが人参をもって来た時。
スティングは、彼らが自分に会いに来た事をしっかり認識しています。 従って、持ってきた人参は自分の為のものであると理解しています。
どんなに可愛い弟分でも人参は別物なのです。
1歳君が‘僕にも・・・’と寄って来ると、耳を絞り、足をけり上げ、時には追いかけて追っ払います。  1歳君も慣れたもので、さっと交わすと遠からず近からずの微妙な距離に避難します。
もちろんそんな1歳君にも、スティングの目を盗み、たくさんの人参が与えられますので心配はいりません。






10月26日に今年最後のせりがあります。
1歳君、最後の正念場です。
何とか馬主さんがついて、競走馬デビューしてほしいけど、相棒のいなくなったスティングを思うと心配でもあり、複雑な気持ちです。 ちなみに今年産まれた仔たちはみんな牝馬でした。




おまけ

オルフェーブル   3冠おめでとう!!

スティパパ   おめでとう! やったね!!!









愛される理由

2011-10-18 | 日記
私は今 夜 パートに出ています。

友人に「私 今 キャバクラで働いてるの」と言ってみた(もちろん冗談)。

即座に返ってきた答え
「大変でしょ、清掃の仕事って」 が~ん

鏡を見るのが日々怖くなるエドリンです。

こんにちは。





前回スティングが、自分の置かれている状況がわかっているのではないかと書きましたが、それを確認させたエピソードがあります。

「マイネルスティングの会」が発足して1年。
S牧場さんに移動したスティングは元気にのんきに毎日過ごしていました。
タマタマを取るという、スティング的には不満な出来事がありましたが、移動先が‘繁殖牝馬’ばかりの牧場さんなので仕方ありません。
でも、大好きな牝馬にかこまれたハーレム状態・・・文句ないよね、スティング

鼻の下を伸ばしたスティングを見に行こうと、ミニツアーが計画されました。

朝晩めっきり冷え込んできた10月、道内から3人、大阪と神戸からお一人ずつの計5人でのスティング訪問です。




環境にも慣れ、すっかり‘俺の庭’状態のスティングの放牧地に入り、人参をあげたり、写真を撮ったり、理容師さんの会員さんにたてがみカットをしてもらったり(以降、彼女は専属のヘアーデザイナーを任命されました)、楽しい時間を過ごしていました。

S場長さんに、スティングの日常を聞いて笑ったり、質問をしたりしている時、何故だか草を食むスティングを中心に、円を描くような形にそれぞれがたっていました。
別に意識した分けではないのですが、気づいたら円形になっていたのです。

ふとスティングが食むのをやめ、動きました。
そして、一人の会員さんの所に寄って行きました。  頭を低く下げ、ゆっくりと彼女の足の所まで行くと頭をすりつけたのです。
「何してんだろ?」 みんな注目です。
彼女は寄せてきたスティングの頭をなでました。
1分か2分か・・・スティングは体を引いて、今度は次の会員さんの所へ。
そしてまた同じように頭をすり寄せていきました。
最初と同じように頭を撫でてもらうと次の人へ・・・・そんな風に5人の所を回ったのです。 それもみんな同じ間隔で。
5人とも、場長さんもいれて6人とも呆気にとられ、ただボウーっと見ているだけでした。  

回り終えて再び草を食み始めたスティングを見ながら、みんなで今のスティングの行動を考えました。
場長さんも、馬のああいう行動は見た事がなかったそうです。
それで出た答えは全員同じ!
“スティングは一人一人に ありがとう を言ったんだ!!”。

スティングは自分がどういう状況にいるのか感じる力がある・・・そう考えると、あのツアーでのパフォーマンスは必至のアピールだったのでは。
そして今回、自分を助けてくれた人たちに、それも一人一人にお礼を言ったのです。
もし10人の会員さんが来ていたら、彼は10回、頭をスリスリしていたでしょう。

あらためて強く、スティングを愛おしく感じたのは、私ひとりではないと思います。
神戸からわざわざいらしたTさんが呟きました。
「ほんまにけな気な仔やねぇ」




スティングは“ありがとう”の言える馬なので~す。







初めまして  その2

2011-10-16 | 日記
昨日 雪虫をたくさん見ました。
この時期になると、やがてくる雪投げに思い悩むわたし・・・(だって、腰がぁ・・肩が
ぁ・・

こんばんは。 エドリンです。



出会い

2008年10月、2年に一度の‘FPの会’のツアーに私も参加していました。
全国から集まった馬好きさん達。 3日間 馬三昧です。

A牧場さんにお伺いした時の事です。
私は、そこの牧場の看板種牡馬に人参をあげていました。
その時 道路側の放牧地から笑い声と何かを呼ぶ声が聞こえてきました。
野次馬根性旺盛のエドリンです。 行きましたよ。

そこには数人の会員さんと黒い馬がいました。
黒い馬は 差しだされた人参を一通り口に入れると、クルッとターンして 放牧地の奥の方に走って行ってしまいました。 目的地に着いて 馬がとまった途端、突然
「すてぃんぐ~!」呼ぶ会員さん達。
すると走って来るスティング。 人参をもらうとまたターンして戻って行く。
近くにいた人に聞いてみると、スティングが立っている所から見える放牧地は牝馬専用なのだとか。

牝馬の見える場所に着く、スティングコールで呼ばれる、走って人参を貰いに行く、急いで戻る、呼ばれる、走って人参、戻る、呼ばれる、走る、人参、戻る、呼ばれる、走る、人参、戻る、呼ばれる・・・・何度 繰り返したか。
いつの間にか 彼の放牧地の前は人だまりが。 みんなで声を合わせて
  
「すてぃんぐ~!!」

何度呼ばれても その度に ワッセワッセと走って来るスティングにあちこちから「可愛い!」の声。


その牧場さんには‘引退馬ネット’でサポートしている地方競馬で名をはせた名馬もいるのですが、その日のスターは間違いなくスティングでした。
それが スティングとの初めての出会いでした。




衝撃




ホテルに到着し夕食後、希望者だけで会の代表の部屋で2次会。
お祭り好きの私です。 当然 参加。

和気あいあいと馬談議に花が咲いていた時
「実は 皆さんに聞いて貰いたい事があります。」と 引退馬ネットのスタッフでもあるKさんが話し始めた事に、その場にいた全員が、ほろ酔い気分も吹き飛び凍りつきました。

それは、マイネルスティングはこの10年間 一人のオーナーさんが面倒をみてきました。
ところが9月、オーナーさんに大きなアクシデントが起こり、これ以上スティングの面倒をみる事ができなくなった。
悩みに悩んだすえ、今残っているお金がある間はこのまま、無くなった時点で安楽死を・・・という苦渋の選択をされたというものでした。

馬一頭みるには、場所、人手、そして多額の経費がかかります。
重賞をいくつも勝った馬でさえ、いつの間にか消えてしまった例は 過去 沢山あります。
1勝しかできなかったスティングの面倒を引き受けてくれる人がいるとは到底思えません。
スティングを思うが故の決断なのでしょう。

それを聞かされたKさんは、今までオーナーさんが繋げてくれた命、どうにか出来ないかと 今回 私たちに相談したのでした。


思考がとまったかの様な私の脳裏に、今日見たスティングの姿が浮かびました。
呼ばれる度に必死に走ってくるスティング。
もう食べ飽きただろうに、差しだされた人参を残さずほお張るスティング。


重苦しい沈黙を突き破るように誰かが「私たちで何とかできませんか?」と叫びました。
その声をきっかけに、それぞれから「絶対に助けよう!」「スティングの命を守りましょう」との言葉が・・・。


そしてKさんを代表として“マイネルスティングの会”が発足。
スティングはこれから会員さん達に支えられて、神様のお迎えが来るまでのんびり馬生をすごせる資格を得たのでした。




おまけ

後に ある関係者の方が言っていました。
「スティングは普段、人がそばに行っても寄ってくるわけでもない。 愛想も素っ気もない馬なのに あの日は(ツアーの日)は馬が変わったみたいだった。
もしかしたら自分の状況を何か感じていたのかも。」

スティングが自分の状況をわかっているのかも知れない という事は、この先にも時々ありました。 その話は追々に・・・。



初めまして (その1)

2011-10-14 | 日記

初めまして! エドリンです

スティングの話をする前に、まず私が参加させてもらってる“FPの会”の説明をちょこっとだけさせて下さい。

“イグレット軽種馬フォスターペアレントの会・・通称FPの会”は現在「NPO法人 引退馬協会」と改称されています。

この会は‘一頭でも多く引退した競走馬に、資質に関係なく安定した余生を送らせたい’との思いで1997年設立されました。

フォスターホース(里子)と呼ばれる引退競走馬をフォスターペアレント(里親)の会員達で支えあって‘生きる権利’を保証し、充実した馬生を送らせる事を目的としています。 詳しくはホームページを見てね

その対外支援活動として“引退馬ネット”というものがあります。
そこでは、引退馬を引き取り余生をみたいが、引き取るのにはどうしたら良いか、どこに預けたら良いのかわからないという個人の方やグループの方たちに代わり、牧場さんとの交渉や契約、その後の様々な事をサポートしています。
スティングもこの引退馬ネットに属しています。
これまた詳しい事はホームページで・・・




マイネルスティングの履歴書



マイネルスティングは1992年に 父ロイヤルニジンスキー、母イチコスターの間に生まれた青鹿毛の牡馬です。
1994年 一口馬主のクラブホースとして中央デビュー。
中央36戦1勝、地方4戦0勝と ちょっと残念な成績で1998年引退、大多数の馬はここで使途不明という悲しい駅へ向かいます。

でもスティングには女神さまがついていました。
個人的な思い入れのあった一人の人が彼を引き取り、福島の牧場での第2の馬生を与えてくれたのでした。


それから10年、途中 福島の牧場が閉鎖となり北海道の牧場にお引っ越しするという変化はありましたが(この時 行き先を探していたオーナーさんが、引退馬ネットにめぐりあったのです)、スティング的には穏やかでのんびりした日々が続いていました。
背後に真っ黒な雲がジワジワと広がってきていることなど全く知らずに・・・。

その2に続きます。