新・エンゲル係数

肥満と痛風に悩まされながらも新鮮な食ネタを捜し求めて・・・

隠れ脱水

2017年01月21日 | おいしんぼうネタ

トイレが近くなるからと、冬場の水分補給をおろそかにしていないだろうか。体内が水分を失う「隠れ脱水」に陥ると、肥満やむくみ、疲労蓄積のもとになる。反対に普段から水をしっかり飲んでおけば、肥満はもちろん心臓病や認知症をも予防できるという。水に秘められた底知れぬパワーとは。

 人間の体重に占める水分の割合は、大人が60-65%、子供が70%。血液を含め、体を満たす水分は「体液」と呼ばれ、多様な役割を担っている。

 まず、細胞や組織が求める酸素や栄養素を速やかに運び、不要になった二酸化炭素や老廃物を除去してくれる。体の機能を調節するホルモンは、体液で運ばれ効力を発揮する。病気に立ち向かう免疫系も、体液中で有害な物質を捉え無力化する。

 一方、体の水分が不足した「隠れ脱水」になると、さまざまな弊害が生じる。

 『からだを救う、水の飲み方、選び方』(講談社+α新著)の著者で馬渕メディカルクリニック院長の馬渕知子氏は、本書で「隠れ脱水になると新陳代謝の低下による肥満やむくみ、老廃物の蓄積による疲労、ホルモンや免疫系の活性が下がり風邪などが以前よりも治りにくくなるといった自覚症状が現れる」と指摘する。

 隠れ脱水は、(1)喉の渇き(喉が渇いたと感じる時点ですでに軽い脱水状態)(2)尿の色が濃い(3)2時間経ってもトイレに行きたくないなどの兆候に表れる。予防には、体重1キログラムあたり40-50ミリリットル、平均1日約3リットルの水分補給が必要だという。

 ここでいう水分とはあくまでも「水」のこと。利尿作用があって脱水を招くアルコールやコーヒー、お茶などは除外する。

 

どんな水を飲めばいいのか。本書の一番のおすすめが、「ナチュラルミネラルウオーター」だ。天然水はその内容により、ナチュラルウオーターやミネラルウオーターなど4つに分類される。

 ナチュラルミネラルウオーターとは、ナチュラルウオーターの中でもミネラル成分が天然の状態で溶け込んでいるもの。骨を作ったり、筋肉や神経の働きに関与するカルシウムやマグネシウムなどを豊富に含んでいる。

 さらに、ナチュラルミネラルウオーターに含まれるケイ素は、コレステロールが血管内にたまるのを防ぎ、バナジウムは糖尿病の予防効果が知られている。購入の際は成分表をチェックしたい。

 水道水は塩素が含まれるため、酸化力が強く、体内で抗酸化酵素を無駄遣いさせてしまう。飲むなら浄水器を付けよう。

 心臓病の多くは早朝に起きやすい。睡眠中に汗や呼気などで水分が失われる上、血圧が下がり血流が遅くなることで血栓ができやすくなるためだ。寝る前のコップ1杯の水が、命を守るカギになる。

 また、脳の水分が減って電解質のナトリウムが不足すると、せん妄と呼ばれる意識障害が起こる。慢性的な水分不足は脳の神経細胞がダメージを受けやすく、認知症に陥りやすくなるのだ。

 「隠れ脱水を放置すると、重大な病気を引き起こすことも。この本でぜひ“正しい水の飲み方と選び方”を知り、いつまでも健康な身体をキープしてほしい」とは、本書の担当編集者である榎本明日香氏。

 この冬は水で万病予防に励もう。ぜひお試しを。 (砂川朋子)

 【隠れ脱水がもたらす弊害】

 ・新陳代謝低下による肥満やむくみ
 ・老廃物の蓄積による疲労
 ・腸内環境悪化による便通の乱れ
 ・ホルモンや免疫力の活性が下がるため風邪が治りにくい
 ・肌荒れ、冷えなど