黒鉄重工

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欧州project~2012年ヨーロッパの旅~ スイス・ベルナーオーバーラント編  その20

2013-09-03 23:07:36 | 海外旅行記

シーニゲ・プラッテ鉄道(SPB:Schynige Platte Bahn)は、1893年に開業した延長7.2km、軌間800mm、最大勾配260‰の登山鉄道です。ヴィルダースヴィル(Wilderswill)とシーニゲプラッテ(Schynige Platte)を結んでいます。最低地点は584m、最高地点は1987mで、全線をリッゲンバッハ式のラックレールに頼っています。

SPBの売りはやはり、使用車両がどれも古典機であるということでしょう。例えば写真のHe2/2形電気機関車61号機は、1912年製で実に101年前に造られた機体です!ウィキペさんによれば1992年に復元されたとあるので一時は廃車(静態保存?)された時期もあるとは思いますが、100年前の機体が通常の営業運転で現役であるというのは驚くべきことでしょう。



さらには客車も古典!(写真はB24号)
座席ごとに側面の外開き式の扉が並んだものになっています。車内はボックスシートになっていますが、車体幅いっぱいにシートが並んでいるので通路は無く、自分の入った扉にある座席以外に話座れないようになっています。この方式の座席配置はかなり古いものだとどっかで聞いたことがあります。
イメージとしては、ディズニーランドのウエスタンリバー鉄道を想像していただくと分かりやすいです。あれも出入り口が側面に多数あって、その列の座席以外の移動はできないようになっていますが、これもそれと同じです。
外開き式ドアというのも、もともとは馬車の流れを汲んだといわれる客車の始祖的な構造で、現在ではほぼ見られない構造です(外開きだと開いたドアがホームにいる乗客とぶつかったりして危ないからね)。それでもイギリスではまだ外開きドアの客車が幹線で走っているらしいです(Mark-3客車が当該?)。

このB24号の製造時期は不明ですが、相応に古いと思われます。
正直、古典期全般については知識がないので今書いているのも果たして本当なのかわからないのですが・・・。話半分程度に聞いておいてください。



これの形式名はわかりませんが、車体表記からしてN⁰=6.号でしょうか。
吹きさらしの車内と塗装から見て観光用の車両なんでしょうか。



B23号。軌間800mmのナローゲージ線ということで車体はかなり小柄。
ちなみにドア数は6つと、埼京線の6ドア車と同じ!



これから乗る列車がこちら。先頭はB44号です。SPBでは、井川線のように進行方向がどちらでも麓側に機関車を付けるようなので、山頂側は制御客車が先頭に来ます。
ただ、これを制御客車と呼んでいいかと思うと微妙で、運転室には手ブレーキしかなさそうな感じ。窓下の出っ張りの内側に手ブレーキのハンドルがあります。先ほどのN⁰=6.号だと運転室の様子がよく見えるのですが、あるのは手ブレーキとイスだけ・・・。
私が思うに、この制御客車は前方監視程度の役割しかなく、列車の制御は進行方向がどちらでも機関車側が行っているのではないかと思います。機関車が後ろ側の場合は機関誌が窓から頭を出してみているんだと思います(この後、そうやってると思われる写真を撮りました)。ただ、それでは視界が悪く緊急時に困るので、最低限の装備(つまりブレーキのみ)を客車側に搭載したのではないかと。形式名に制御車を意味するtが無く、Bだけということも考慮すると割と説得力があると思うのですが。

今までの鉄道とは異質なことが多いので、色々と考察が捗りますね。かなり面白い鉄道です。



機関車はこのHe2/2形11号機。1914年製。もう少しで100歳!この機体は多分100年間ずっと使っていると思います。ていうか、この1914年製がこの鉄道で一番新しいです。マジ恐ろしい。古典機の動態保存を素で行っている感じです。
ただこの鉄道、冬季は運休するようなので動いているのは1年のうち半分程度。となると実質的には50年程度の年齢ともいえますでしょうか?いや、それでも動いていない間の整備も手間がかかるはずですから、やはり100年というのはすごいですよ。



SPBのすごいと思えるところは、これだけの古典機を有しながらも、整備が徹底しているおかげでボロさが全く感じられないところだと思います。
私も乗っているときはせいぜい50~60年物だろうと思っていたので、調べてみて100年物だと知った時はえらくびっくりしました。
古いけどボロかったり汚かったりすることはなく、古さや古典さ、古き良きものというのを純粋に楽しむことのできる素晴らしい鉄道だと思います。



ラッセル式除雪車X103号。木造でチクビームで霜取りパンタ付と萌え要素はたくさん。



He2/2形の連結面側はヘッドライトや窓が無く、なんと片運転台の電気機関車ということに。機関車は常に麓側という運用が前提になっていることが分かります。



この車両の窓は下側に空けることが出来るのですが、窓高さの3/4程度まで空けることが出来ます。ちなみに今まで乗ってきた客車の窓もそうです。
車体が腐食しないんでしょうかね・・・心配です。部品単位では更新工事を行っているのかもしれません。



ヴィルダースヴィルの駅舎。



車庫には客車や機関車がゴロゴロ。開業時の蒸気機関車(H2/3形)も動態保存されているようですが、車庫の奥で大切にしまわれているようで見られませんでした。
乗った当時はそんなこと知らなかったので探すことも無かったんですけどね。



タンク車。山頂の施設で必要な水を運ぶためのものかもしれません。重心の関係でやや片側に寄った車輪が面白いです。
これだけは写真を撮った当時の時点でチクビームだとわかりましたw

次回はいよいよ乗車です。


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