黒鉄重工

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北米project 3 ~Encouragement of Canadian Rockies. その15 【2015/07/08~18】

2016-06-27 23:55:29 | 海外旅行記

2015年7月11日(土)17時9分
アルバータ州ジャスパー VIA鉄道ジャスパー駅

着きました!ジャスパーです!州を越えてアルバータ州に入ったわけですが、ここで標準時が1時間早くなります。

乗客はぞろぞろと降りていきます。バンクーバー~ジャスパーはカナディアンで最も人気のある区間なのです。
理由としては乗車時間は1泊2日と列車で過ごすにはちょうどよく、車窓もよく、アクセスの悪いジャスパーへ直に行くことが出来る、ということもあってこの区間は使いやすいのです。
恐らくバンクーバーから乗ってきた乗客の大半ははここで下車してしまったと思います。逆にジャスパーから乗車する人もいましたが降車客と比べるとまばらでした。
何だかこの区間のためだけに25両も列車を繋いで乗務員もたくさん配置すると考えるとちょっと効率悪いですね。乗務員はこの先にあるウィニペグで総入れ替えされるのでそこで人員調整はされるんでしょうが客車は終点のトロントまでそのまま走り続けるはずです。



ここまで来て客車を観察しない手はないので、後尾に回って列車撮影。ジャスパーでは長時間停車するので見放題です。
うむ、異国だな。



まずは列車の目玉であるパーク形(8700形)展望車、VIA88706(ex-VIA8706) "Glacier Park"。
展望ラウンジ、ドーム席、バー、寝台で構成された合造車です。1954年に18両がバッド社とAMF(American Machine & Foundry)で製造され現在は14両が現役(以下特記除き製造所は同じ)。車両の愛称はカナダの国立公園にちなんでいます。
2014年に通常の寝台より上級クラスであるプレステージ寝台に改造されていて、その際原番号に+80000されています。幕板部の帯が黒に変更されているので見分けは簡単です。
ラウンジ部分は流線型になっていて列車の編成に華を添えます。昔のCPのポスターに描かれている列車は大抵展望車だったのでやはり目玉だったのでしょう。
この部分もステンレス鋼で出来ていて、どこか南海電鉄6000系を彷彿とさせます。



台車に関しては無学なので写真を載せるだけにしておきます。
どの客車も同様の台車です。



シャトー形(8200形)寝台車(プレステージ仕様)、VIA88210(ex-VIA8210) "Chateau Jolliet"。
1954年に29両が製造され全車が現役。愛称はカナダの歴史上の人物にちなんでいます。
VIA88210はシャトー形寝台車を種車にプレステージ寝台に改造した車両。原型のシャトー形はルーメットを多く配置した寝台車でしたが、改造に際し室内レイアウトは刷新され全て2人用個室になりました。塞がれた幕板部のルーメットの窓が面影を残しています。改造時にやはり原番号に+80000されています。



今回の寝床となったマナー形(8300形)寝台車、VIA8341 "Thompson Manor"。
1954~1955年に40両が製造され現在は38両が現役。愛称はカナダの歴史上の人物にちなんでいます。
シャトー形とは寝台の構成が異なっており、2人用個室を多く配置しています。



ひどいランチをお見舞いされた8400形食堂車、VIA8407 "Emerald"。
1955年に18両が製造され13両が現役。愛称はカナダの有名なホテルにちなんでいます。

ちなみに数字の形式(8400形とか)は筆者が勝手に付けてるだけの非公式なものなんであしからず。



起きてる時間の大半はここで過ごしたスカイライン形(8500形)ドーム車、VIA8507。
1954~1955年に17両製造され15両が現役。愛称のスカイラインは全車共通で、カナディアンロッキーを登った登山家グループ"Skyline Trail Hikers of the Canadian Rockies"にちなんでいます。
車両の屋根から車窓を眺められるドーム席を筆頭にラウンジ、スナックバーなどを備える定員0名の車両です。



走るビニールハウスことパノラマドーム形(1700形)展望車VIA1720。
2000年にコロラド車輌で3両が製造され全車現役。
バッド製ステンレス客車で占められている列車の中でただ1両塗装が施された異端車です。コロラド車輌の2階建て展望車ウルトラドームを平屋にしたような客車で、眺望性はウルトラドーム譲りで非常に良いです。ただし窓ガラスは紫外線吸収処理されているのでここから写真を撮るのは不向き。これも定員0名で、観光シーズンにのみ連結されます。



8100形座席車VIA8142。
座席車はカナディアンパシフィック(CP)が発注した1954年バッドとAMF製の30両(VIA8100~VIA8129)と、アメリカのある鉄道が発注した1946~1947年セプタ社製の18両(VIA8130~VIA8147)の2グループに分けられます。カナディアンに使用されている寝台車や展望車等は全てCPが発注したものですが、座席車はこのように少し事情が異なっています。愛称は無し。
写真の客車はアメリカの客車ですので車齢約70年・・・。普通だったら間違いなく博物館行きなんですけどねぇ。
CP発注の客車との識別点は、アメリカ発注車は帯が貼られている幕板部にもコルゲートが走っていることと(CP車には無い)、乗降扉の角が四角いこと(CP車は角が丸い)です。当時は気づかなかったので、座席車はこれ1両しか撮影しませんでした。残念。



8600形荷物車VIA8609。
荷物車もCP発注の1954年製18両(VIA8600~VIA8617)の他にユニオンパシフィック発注の1963年製6両(VIA8618~VIA8623)が在籍しています。現在は19両が現役。写真の車はCP発注の車です。愛称は無し。
スーツケース100個やカヌーくらい大きいものでも載せられる広さが自慢。
この荷物車は全室荷物室ではなく乗務員用の寝台や休憩室、事務室などになっています。恐らく半分程度がそうなっているでしょう。何だか窓を埋めたような跡が生々しく残っていますが詳しいことは不明。
なおUP車は外観が全く異なるので見分けは簡単です。



そしてディーゼル機関車、EMD F40PH-3D形VIA6420+VIA6459号機の重連です。
1986~1989年にかけて導入されたVIA鉄道の主力機関車です。VIA鉄道の他にアムトラックや大都市の郊外通勤鉄道でも導入されていて、アムトラックでは機関車としては引退しましたが(無動力制御車としてなら今も走っている)VIAを始め他の鉄道ではまだ現役なことが多いです。
VIAのF40PH-3Dは、元々F40PH-2としてCPやCNから引き継いだ老朽機関車を置き換えるために登場、60機(VIA6400~VIA6459)が製造されました。塗装はもちろん、ヘッドライトが3灯、チカチカ点滅するディッチライトが台枠下に装着されるなど独自の仕様変更が見られます。おかげで模型化されない。
2006~2012年には更新工事を施工され、エンジン、モーター、電装品の換装、制御コンピューターや自己診断システムの装備、塗装変更などの工事を受けました。加えてHEPシステム(サービス用電源)を走行用エンジンから独立させて新たに別のエンジンを設置したので、その分車体後部を延長しています。そのため後ろ側のデッキは撤去されています。おかげで余計に模型化されない。この更新工事により形式がF40PH-2からF40PH-3Dに変更されました。

という風に走行装置はほぼ別物といえるくらいに交換されたので、当面は現役に留まることと思います。アムトラックの主力機関車P42DCが新型に置き換えられる時が換え時なんじゃないかなと思いますが果たして・・・?
運用範囲ですが、VIAにはより新しいP42DC形が在籍しているにも関わらずP42DCは短距離列車「コリドー」にのみ充当されているので、カナディアンを始めとした長距離列車の牽引機は全てF40PH-3Dが担当しており、カナダ全土を文字通り縦横無尽走っています。

HEPという言葉がついに出てきたんでついでに説明しておくと、先も書いたように客車用のサービス電源です。Head-end power略してHEPです。
カナダおよびアメリカのディーゼル機関車は電気式ディーゼルですから、発電ができます。走行用に使う電力を少し拝借して、あるいはHEP用発電機を別に搭載して(F40PH-3D更新機は後者)客車の照明、冷暖房、電源ポートなどなどに供給しています。また客車側にも電力を受けられるよう配線の引き通しが必要です。
対して日本では客車に発電機を積んでサービス電源を供給しているので対照的です。なので北米の客車には基本的に電源車は存在しません。強いて言うと機関車が電源車も兼ねています。北米ディーゼル機関車は未だに旅客用と貨物用が明確に区別されていますが、それはHEPシステムを積んでいるかいないかというのが重要な識別点のひとつだからといえます(貨物機が客車列車を牽こうとすると・・・というのは次回)。
HEPが普及し始めたのは1970~80年代あたりからで、それまでは蒸気暖房と車軸発電機で賄っていました。カナディアンのステンレス客車も元はこの組み合わせで、後年HEP化改造が行われました。ちなみにVIAではこの組み合わせは90年代まで使われていて、意外と最近まで残っていました。



編成全体を。
重連はサマになりますね。重連で運行するのは、牽引力の増強というより航続距離と冗長性の確保が目的だと思っているんですけど、どうなんでしょう?
貨物列車が貨車100両程度を重連で運転しているんですから、それより短くて軽い客車列車なら単機でも行けると思うんです。
特に冗長性確保は重要と考えます。人気のない区間で立ち往生してしまったらタダ事じゃないですからね。



背後のカナディアンロッキーと共に。空気が澄んでいないのでイマイチですが。
ジャスパー駅はVIAの旅客駅の他にCNの貨物ヤードも備えています。



見える範囲の貨車を撮影。
LAFX60144。3ベイ・クローズドホッパ車ですね。3ベイというのは貨車としては小さい方で、きっと比重が大きい貨物・・・貨車の所有者がLafargeHolcimという建材会社なので、たぶんセメントあたりを積んでいるんでしょう。



ハイキューブ有蓋車のTBOX665955。
所有者はTTXで、北米大手の貨車のリース会社です。この有蓋車を始めコンテナ車、車運車、無蓋車、長物車など22万両の車両を持ってるとかなんとか。22万両って、日本の鉄道全てが束になっても届かなそうな数字です。



同じくハイキューブ有蓋車のDWC793126。
所有者はDuluth, Winnipeg and Pacific Railwayということになってますが、CNのアメリカ内の子会社のひとつです。

というところで今日はここまで。


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