開運極楽堂

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(49)不覚!飯塚に椅子を奪われた!

2009-10-01 13:44:51 | ヤスカクの風まかせ日記~安田拡了
 このところ、飯塚高史の暴れっぷりが日増しに激しくなってきている。G1のときの様子は、まだファンの記憶にも新しいところだろう。シリーズが変わって少しは落ち着くかと思いきや、ますます加速がかかっている。神戸では場内を暴走し、お客さんを恐怖におとし入れた。その様子を見ながら、私はふと往年のタイガー・ジェット・シンを思い出していた。ここでシンのように背筋が寒くなるような音響が流れると、もっと怖いだろうな…と、つい人ごとのように想像してしまった。
 ふと気がつくと、飯塚がなだれ込むように放送解説席の前に。なんと私の前に立っていた。
 あっ、と思った時にはもう遅く、飯塚は唖然とする私をよそに、座っていた椅子をものすごい勢いでもぎ取ったのだ。
 

 いまあの時のことを思うと、悔やんでも悔やみきれない。
 いったい何をボーッとしていたんだ、私は!
 椅子を取られるなど言語道断、断固として飯塚に抵抗しなくてはならなかったのに!
 私が座っていた椅子を奪う、つまり飯塚は、それを利用して暴れた。私が椅子さえ渡さなければ…。椅子を取られても、それがお客さんならいい。一般の人なのだから、逃げるしかない。しかし私は、報道とはいえプロレス側の人間だ。お客さんに迷惑をかけるような行為に、決して手を貸してはならないのに…不覚だ。あの椅子で怪我をした人はいなかっただろうか。申し訳なさでいっぱいだ。

 しかし飯塚は、どうしてそこまで悪くなってしまったんだろう。
 以前の飯塚はおとなしくて、会うとニコニコしていたものだった。ファンも、おとなしくて真面目という印象をもっていたことだろう。それがヒールに転向した。当初はぎこちなさもあったが、だんだんキャラクターが成熟し、なかなか味が出てきたなと思っていたものだ。しかし、このところの飯塚は、まさに暴走。何かに憑かれたように暴れまわっている。
 今年7月20日。札幌大会で会場にいた飯塚をつかまえて「なんでそうなってしまったんだ!」と聞いた。
 飯塚はそれには答えず「いま楽しくてしょうがない。開放感がある」とつぶやいた。これまで飯塚は、どんな時も体制側に立って踏ん張ってきた。それは正規軍を守らなければならないという多くのプレッシャーを抱えることでもあった。
 いま、そういうものがない。その開放感を満喫しているというのだ。

 その後、会場で会えば何度も話をした。
 「何が目的なんだ。ベルトか?」とも聞いた。飯塚の答えは明快だった。
 「ベルトなんか関係ない。そんなものがあって、いいと思ったことは一度もない。俺の目的は気持ちを晴らすこと。暴れまわることだけだよ」
 本当に嬉しそうな顔だった。飯塚は心底から今を楽しんでいることが、よくわかった。見えないプレッシャーから解き放たれ暴れる事の開放感を本当に味わっている。そう言われれば、黙るしかなかった。

 飯塚の心情は、わからないではない。だが、私も解説席にいる以上、飯塚の悪辣な行動に加担するわけにはいかない。そのことを、ハッキリと態度で示さなければならないのだ。飯塚、もう私の椅子は絶対に取らせないからな!

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