このところ、飯塚高史の暴れっぷりが日増しに激しくなってきている。G1のときの様子は、まだファンの記憶にも新しいところだろう。シリーズが変わって少しは落ち着くかと思いきや、ますます加速がかかっている。神戸では場内を暴走し、お客さんを恐怖におとし入れた。その様子を見ながら、私はふと往年のタイガー・ジェット・シンを思い出していた。ここでシンのように背筋が寒くなるような音響が流れると、もっと怖いだろうな…と、つい人ごとのように想像してしまった。
ふと気がつくと、飯塚がなだれ込むように放送解説席の前に。なんと私の前に立っていた。
あっ、と思った時にはもう遅く、飯塚は唖然とする私をよそに、座っていた椅子をものすごい勢いでもぎ取ったのだ。
いまあの時のことを思うと、悔やんでも悔やみきれない。
いったい何をボーッとしていたんだ、私は!
椅子を取られるなど言語道断、断固として飯塚に抵抗しなくてはならなかったのに!
私が座っていた椅子を奪う、つまり飯塚は、それを利用して暴れた。私が椅子さえ渡さなければ…。椅子を取られても、それがお客さんならいい。一般の人なのだから、逃げるしかない。しかし私は、報道とはいえプロレス側の人間だ。お客さんに迷惑をかけるような行為に、決して手を貸してはならないのに…不覚だ。あの椅子で怪我をした人はいなかっただろうか。申し訳なさでいっぱいだ。
しかし飯塚は、どうしてそこまで悪くなってしまったんだろう。
以前の飯塚はおとなしくて、会うとニコニコしていたものだった。ファンも、おとなしくて真面目という印象をもっていたことだろう。それがヒールに転向した。当初はぎこちなさもあったが、だんだんキャラクターが成熟し、なかなか味が出てきたなと思っていたものだ。しかし、このところの飯塚は、まさに暴走。何かに憑かれたように暴れまわっている。
今年7月20日。札幌大会で会場にいた飯塚をつかまえて「なんでそうなってしまったんだ!」と聞いた。
飯塚はそれには答えず「いま楽しくてしょうがない。開放感がある」とつぶやいた。これまで飯塚は、どんな時も体制側に立って踏ん張ってきた。それは正規軍を守らなければならないという多くのプレッシャーを抱えることでもあった。
いま、そういうものがない。その開放感を満喫しているというのだ。
その後、会場で会えば何度も話をした。
「何が目的なんだ。ベルトか?」とも聞いた。飯塚の答えは明快だった。
「ベルトなんか関係ない。そんなものがあって、いいと思ったことは一度もない。俺の目的は気持ちを晴らすこと。暴れまわることだけだよ」
本当に嬉しそうな顔だった。飯塚は心底から今を楽しんでいることが、よくわかった。見えないプレッシャーから解き放たれ暴れる事の開放感を本当に味わっている。そう言われれば、黙るしかなかった。
飯塚の心情は、わからないではない。だが、私も解説席にいる以上、飯塚の悪辣な行動に加担するわけにはいかない。そのことを、ハッキリと態度で示さなければならないのだ。飯塚、もう私の椅子は絶対に取らせないからな!
ふと気がつくと、飯塚がなだれ込むように放送解説席の前に。なんと私の前に立っていた。
あっ、と思った時にはもう遅く、飯塚は唖然とする私をよそに、座っていた椅子をものすごい勢いでもぎ取ったのだ。
いまあの時のことを思うと、悔やんでも悔やみきれない。
いったい何をボーッとしていたんだ、私は!
椅子を取られるなど言語道断、断固として飯塚に抵抗しなくてはならなかったのに!
私が座っていた椅子を奪う、つまり飯塚は、それを利用して暴れた。私が椅子さえ渡さなければ…。椅子を取られても、それがお客さんならいい。一般の人なのだから、逃げるしかない。しかし私は、報道とはいえプロレス側の人間だ。お客さんに迷惑をかけるような行為に、決して手を貸してはならないのに…不覚だ。あの椅子で怪我をした人はいなかっただろうか。申し訳なさでいっぱいだ。
しかし飯塚は、どうしてそこまで悪くなってしまったんだろう。
以前の飯塚はおとなしくて、会うとニコニコしていたものだった。ファンも、おとなしくて真面目という印象をもっていたことだろう。それがヒールに転向した。当初はぎこちなさもあったが、だんだんキャラクターが成熟し、なかなか味が出てきたなと思っていたものだ。しかし、このところの飯塚は、まさに暴走。何かに憑かれたように暴れまわっている。
今年7月20日。札幌大会で会場にいた飯塚をつかまえて「なんでそうなってしまったんだ!」と聞いた。
飯塚はそれには答えず「いま楽しくてしょうがない。開放感がある」とつぶやいた。これまで飯塚は、どんな時も体制側に立って踏ん張ってきた。それは正規軍を守らなければならないという多くのプレッシャーを抱えることでもあった。
いま、そういうものがない。その開放感を満喫しているというのだ。
その後、会場で会えば何度も話をした。
「何が目的なんだ。ベルトか?」とも聞いた。飯塚の答えは明快だった。
「ベルトなんか関係ない。そんなものがあって、いいと思ったことは一度もない。俺の目的は気持ちを晴らすこと。暴れまわることだけだよ」
本当に嬉しそうな顔だった。飯塚は心底から今を楽しんでいることが、よくわかった。見えないプレッシャーから解き放たれ暴れる事の開放感を本当に味わっている。そう言われれば、黙るしかなかった。
飯塚の心情は、わからないではない。だが、私も解説席にいる以上、飯塚の悪辣な行動に加担するわけにはいかない。そのことを、ハッキリと態度で示さなければならないのだ。飯塚、もう私の椅子は絶対に取らせないからな!