When words leave off music begins.
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Vitali Chaconne [Arthur Grumiaux]
百 体 観 音 堂
百体観音堂は、生物のすべての鎮魂の塔で、高さは約二〇メートルある。外観は二層となっているが、内部は三層で回廊をめぐらし、一階に秩父三十四観音、二階に阪東三十三観音、三階に西国三十三観音、合せて百観音をまつっている。階段を順次登ると、中央本尊である白衣観音を三めぐりし、仏を礼拝する作法として、最もていねいな礼をすることができるように造られている。回廊を螺旋状に登るところから「さざえ堂」とも呼ばれている。
百体観音堂建立の起因となったのは、天明三年(1783)浅間山の大噴火であって、この時溶岩が山麓の村をひとのみにし、吾妻川、利根川流域沿岸三十数か村人馬等を埋めた。焼死、溺死する者数知れず、川辺に近づくとうめき声が聞こえ、ただおびえるのみで、誰一人弔う者がいなかったという。これを知るや成身院第七十一世元映上人は、利根の川原に檀を築いて衆僧を集め、七日七夜法華経一万部を読誦して死者の冥福を祈った。さらに上人は、永代にわたって供養するため慰霊堂建立を思いたち、近郷に呼びかける一方、自ら江戸に上って辻々で寄付の呼びかけを行ったところ、上人の悲願は、多くの人々の協力によって実り、ここの百体観音堂が建立されたものである。この時の観音堂は、明治二十年に火災にあって焼失し、現在のお堂は明治四十四年に再建された者である。
昭和五十八年三月 児玉町