おかえりのすけBOOK

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ココログ出版

2005-06-13 | 製本
ココログ出版は四六判変形で最低80ページから。無線綴じ(見返しなし)は一冊あたりモノクロなら840円、カラーなら1050円、表紙は8種類から選択(帯付きもあり?!)、写真掲載、日付け改頁、タテヨコ組など選択可。上製本仕様もあり。印刷・製本はあさひ高速印刷(株)。ココログサイトでみると、8種類用意しましたという表紙のデザインの詳細がよくわからず、上製本については、表紙をPP加工することが高級かつ丁寧なつくりの証、というニュアンスが時代錯誤でいけません。
5月9日のサービス開始から一ヶ月経ちましたが、なぜかいまだ周囲に作ってみたひとがいないのです。

Pinpoint Gallery 製本ワークショップ

2005-06-02 | 製本
今日は製本していてダンボールの角で親指の腹を切りました。わたしは紙でよく手を切るのです。紙の扱いに慣れたひとの手つきをながめていると、紙に湿度を感じる。しっとりと、手の動きによりそってそのつど紙がまとわりつくように動き、その近しさに嫉妬をおぼえるね。しかし実際はそんなことはなくて、紙たちは、作業するヒトの肌よりその環境と近しく在って向かってくる。痛いです。即バンドエイドです。

ピンポイントギャラリーの、夏のワークショップ申込受付が6/10よりスタート。六回目となる小井戸幸子氏による製本ワークショップは、「ソフトカバー」と「画帳(ケース付)」とのこと。昨年の模様もウェブサイトで見ることができます。
ピンポイントギャラリー/05 Summer Workshop Information

和光の製本家たち

2005-05-25 | 製本
和光大学表現学部イメージ文化学科津野ゼミナールによる「製本展」が、同大学図書館梅根記念室にて開催中(5/23-27)。東アジアに焦点をあてて本と紙の研究をおこなった昨年度は、和綴じ製本の基本を学んだり和紙の手漉きも体験したゼミ生+αが、最後にそれぞれがイメージする和綴じ本を、内容から素材の選択や装丁まで各自おこない、その提出作品が展示されている。

このゼミにわたしは製本相談員的にときどき行くのだけれど、ここ三年で基本的な洋綴じと和綴じを一回ずつ教えただけ。あとはゼミ生たちが勝手にしっかりやっていて、無謀な発想を時間をいとわず力づくででもかたちにしていくようすは、驚きであり心強くもある。木やビニールを使うにしても、本として開きがよくて丈夫であるためにはどうすればいいのか、苦心がみえる。いいぞ、和光の製本家たち。パチパチ。

昨年度の展示のようす

戦争と万博

2005-05-18 | 製本
装幀がいやすぎて、中味は読みたいけど買えないというほどの本はそうそうない。そうそうないけどたまにある。
椹木野衣の『戦争と万博』。連載時は立ち読みしていましたけれど、単行本になってタイトルが「戦争と万博」の「と」部分を首として砂時計的に組まれているのにえもいわれぬ不快感を覚える。

眠る本、装う本

2005-05-12 | 製本
第3回 東京製本倶楽部展「眠る本、装う本」
 日時:2005年5月31日(火)-6月5日(日)10:00-18:00 (31日14:00から、5日17:00まで)
 場所:目黒区美術館 区民ギャラリー

美しくルリユールされた「装う本」と、それを待つ「眠る本」をテーマに、ルリユールされることを前提にした「未綴じ」や「仮綴じ」で出版された「ブロシュール」のシンプルな美しさも紹介。関連イベントもあり。詳しくは東京製本倶楽部サイトからどうぞ。

・写真は第2回東京製本倶楽部展<-つくる本、みつめる本-> 2003.4.8-4.13のようす。東京製本倶楽部ウェブサイトより。

佐野繁次郎展 

2005-04-27 | 製本
佐野繁次郎展(東京ステーションギャラリー)へ。まずは横光利一『機械』の装丁原画の油絵。向いの部屋には装丁した本が並び、そのなかにある『機械』(昭和六年 白水社)をみると、原画で赤茶に塗られていた部分だけは長方形に赤ベタで刷られている。原画ではその部分はすでにおおかた剥がれていた。これは『機械』という本を描いた作品です。鶴岡市所蔵とある。終戦後の四ヶ月、横光利一の妻、日向千代の実家である山形県鶴岡市上郷村で過ごした縁か。
巨大目玉垂れ下がるサノシゲ的少年のデッサンがよかった。


爆発装丁

2005-04-24 | 製本
川崎市岡本太郎美術館で、藤井敬子さんによる装丁入門ワークショップが開かれます。この美術館の建設には、地元の方々を中心に市民とのさまざまなやりとりがあったと記憶していますが、生田緑地公園の奥にあり、鬱蒼とした木々を抜けてゆく気持ちいい場所にあります。岡本太郎の母、かの子の実家である大貫病院も、閉鎖後跡地をどうするかでずいぶんもめましたね。当時はごく近所に住んでいたので、大貫家の菩提寺の門前に掲げられる、住職による教訓を読むのが楽しみでした。近隣の反対垂れ幕やわたしら根っからの見物客にも等しく目は向けられていたようで、トハイウケドキミハドウナノと言わんばかりの文言を、通りすがりにいつも読み上げた。春夏秋冬通りましたが、ピンと寒い夜道ばかりが思い出される。

今回のワークショプは複数ありますが要予約。もういっぱいかも。なお本エントリーのタイトルは内容と関係ありません念のため。

藤井敬子/ATELIER LEAVES
岡本太郎記念館
金魚部 岡本かの子『金魚撩乱』

ヤマト糊は龍

2005-04-14 | 製本
製本するときにわたはヤマトのチューブ糊や和紙糊をよく使い、幼稚園児の匂いにまみれます。そのヤマト株式会社がユニクロのTシャツプロジェクトに参加。チューブを龍に見立てたデザインとかで、なるほど緑色をしています。写真ではよくわかりませんが、吐き出した灰色のモワモワが糊ですね。こうした印刷における接着、つまりインキが綿にいかによくくっつくか、というのは、ヤマトさんあたりは関係ないのですか。
ヤマト社のウェブサイトでは「糊物語」や「ヤマト糊百年のエピソード集」もあり。1899年、東京両国で炭などを商っていた木内弥吉さんが、小分けして炭を売るための袋を貼る糊を改良したのがはじまり。戦時中は彼岸花などの球根から澱粉をとったり、作った糊は風船爆弾にも使われたそうです。その後、加熱せずに化学的処理で非食品澱粉を混ぜてつくる「冷糊法」を開発、いまや接着の一大企業に。

オンデマンド写真集のテカテカ

2005-04-08 | 製本
たまってしまった写真をどう整理していますか。オンデマンドでお手軽写真集サービス!が増えましたが、過剰に丈夫だったりよけいなイラストが入ってたりテカテカしてたり、そういうところが似たりよったりでちっとも興味をそそられません。そんななか……。続きは水牛/水牛のように2005.4/製本、かい摘まみましては(7)を読んでね。

ルリユール工房作品展2005

2005-03-28 | 製本
「池袋コミュニティ・カレッジ ルリユール工房」の生徒作品展開催中(2005.3.26-31)。アトリエ内での展示なので、大小の製本道具を見ることもできます。ルリユールをやってみたいひと、頼んでみたいひと、道具フェチのひと、スタッフのかたになんでもかんでもお尋ねになりながら楽しめることまちがいなし。くわしくはルリユール工房のウェブサイトからどうぞ。

参考:book bar 4 /ルリユール、パピヨン仕立てってなに?

豊口克平の装丁

2005-03-22 | 製本
『夫婦50年』
著者 豊口克平・富美子
発行 昭和56年10月吉日
制作 かまくら春秋出版事業部
装幀・克平
   朱の表紙にタイトル金箔押、白の貼り函に朱の題簽、タイトルは墨

金婚を祝って自費出版したもの。克平のスケッチ、富美子の短歌、互いを評したエッセイ、それぞれの年譜がおさめられている。克平は東京高等工芸学校工芸図案科を卒業した1928年、新宿ほてい屋百貨店図案部に入社。同年、恩師の蔵田周蔵を中心に「形而工房」設立。翌年職場で富美子と出会い1931年に結婚。代官山同潤会アパートでの暮らしはまず、髪型や着物の帯、洋服などの女房デザインからはじまったという。

 多くの男女の友人があり来訪、交友が続いているのは、確かに彼は他人から憎まれ
たり、うらまれたり、けんかをしたりしないお人よしのせいと思います。彼は常に
「人をだますよりはだまされる方が気が楽なものさ」といいますが、そんな人間は案
外手答えがないためか誰もだまさないようです。(富美子 72ページ)

 絵を描き始めると夢中になり……夏などは素裸となって描きつづけるのです。……
墨絵の裏打ちを逗子の友人の画家に習い、自分で作業しては得意になっています。
但しその助手になる私の嫌さかげんなど眼中にないようです。(富美子 80ページ)                


『夫婦60年』
著者 豊口克平・富美子
発行 平成3年11月16日
製作 かまくら春秋出版事業部
装幀・克平
   パールホワイトの表紙にタイトル朱押、朱の貼り函に白の題簽、タイトルは墨

結婚60年を祝い自費出版したもの。克平の日記やスケッチと、富美子の短歌がまとめられたが、克平は1991年、この本の完成をみることなく肺性心で亡くなった。

克平は1949年から三年間、佐倉厚生園で療養生活を送り、そこで描いた絵を、退院後いくつもの画帳にまとめている。表紙には、毎日新聞が毎月置いてゆくゴミ袋を用いたという。巻ものにまとめたものもいくつかあるが、大袈裟に思い、好まなかったようだ。

 袋の地色、模様の図柄が毎月異り、仲々気に入ったので全部これを使った。見る人が
不思議がって必ず聞くが思いつきと、その体裁のよさに感心する。大きさは28cm×40
cmが最大で、巾の小さいものが交じっている。(克平 50ページ)

 昔の有名な源氏物語や鳥獣戯画その数知れない絵巻ものに感銘するだけに、自作画を
勿体ぶって巻物にすることは心にひっかかるのかも知れない。むしろ軽い画帳の方が
好ましい。(克平 47ページ)


写真は克平のスポークチェアに載せた二冊。上が『夫婦60年』、下が『夫婦50年』

バーコードのデザイン

2005-03-14 | 製本
サントリーの「アミノ式」及び「カテキン式」で有名になったデザインバーコードの生い立ち及び今後のプレゼン資料たっぷりの『バーコード革命』がでました。バーコードのおかげで装丁だいなし!(by 自称装丁好き読者)とか、バーコードは装丁のコンセプトを崩す!(by 自称こだわり装丁家)とか、バーコードという効率の象徴が文化を潰すのだ!(by 自称装丁評論家)などのおしゃべりをほっといて起業されたデザインバーコード社の本社は、ネット上にあって間取りは1K、そのいでたちは実に軽やかでさっそうとしていてパチパチ!!!でもパチパチだからこそ言わせて。『バーコード革命』のサンプル篇につけたコピーは全体に説明的すぎて残念。

カレンダー機能は冊子が最終章

2005-03-12 | 製本
確定申告準備中。ふふみんなーさっさとやりましょう。そうそういま暇なの。雑多もろともほおり込まれた引き出しをあけると、必要な領収書などわずかであとはチラシや半券やコンビニのレシートなどなど。よりわける時間「は」楽しいが、不明のものを明らかにするのに手帳をたぐることもあります。ところが本年度、紙手帳をやめたのです。ウェブのカレンダーに書き込むほうが早いし確実に見るし、そこのなにがしさんがピロピロと予定を知らせてくださるし。しかし数カ月前の記録は消えてしまうのですね。
各社カレンダーサービスさん、そんなさっさとサーバから落とさないで、年一冊、手帖に仕上げるオプション作ってくれませんか。手帳は予定を書き込むためだけのものじゃないです。

トイレット・ペーパー

2005-03-08 | 製本
荒川修作+マドリン・ギンズによる『建築する身体』のトイレットブック版は、二個でワン・パッケージ1000円です。一個使って一個記念に残せ、ですか。トイレット・ペーパーに印刷することはめずらしいことではないし、これを使って尻をぬぐうひとは死なないということを真剣に考えるのだと言われても困るし、でもこの紙媒体版のエディトリアル・デザインはHOLONだったからトイレット・ペーパー版はどんなんだろう?と思って購入したが、死なないということを真剣に考えられず今だ使用に至らず。

トイレット・ペーパーは安ければ良いということではありませんね。巻取る回数はいっしょなんだから二枚仕立てより一枚仕立てのほうが割安とか、芯のないタイプのほうが日持ちするとか、様々考え方はありましょうが、それぞれの安心の銘柄が決まるころ、ひとは(オトナになった)と実感するんだ。しかしトイレット・ペーパーと言えば、中村有志が男トイレでトイレット・ペーパーになりきり、やってきたひとたちがもよおしちゅうに「といれっとぺーぱぁ」と言って驚かせるというデキゴトを収録して放映し、それがおもしろくていまだに覚えているわたしらの親は、オイル・ショックでトイレット・ペーパーをも買い占めざるをえなかったのであります。

Vintage抄紙機

2005-03-04 | 製本
Paper Industry Webには、製紙機械メーカー・Beloit社(米国)のビンテージ抄紙機写真や「水に浮いた製紙工場」、Luigi Bagnatoさんらがランランでかけた製紙工場見学記など。以前「ファンシーペーパー」というタイトルでエントリーしたTom Dietrichさんによる製紙工場イラストレーションと合わせてどうぞ。右写真は、抄紙機から巻取り機にいくあいだにあったものか。