なんとNEX-VG10を発売前に借りられるという僥倖を得た。ただいま絶賛テスト中である。第一印象を簡単に述べると、やっぱビデオを撮るにはビデオカメラが使いやすい、ということだ。被写界深度が浅いHDSLRの登場ですっかりビデオカメラへの関心が薄れた今日この頃だったが、ビデオカメラを構えるとホッと安心する自分に気づいた。その意味で、VG10は大きな存在意義があるカメラである、と感心した。
回し者的１枚
お借りする前は、正直全く期待していなかった。最近、余程のことがない限りインターレースでビデオを作っていないこともあり、AVCHD 60iということが僕には非常にひっかかりがあった。そしてやはり民生用の機械なので、使い勝手などもハンディカムの延長線だろう、と下に見ていた。そもそも5Dや7Dで十分じゃん！ということ。
触り始めてから最初の１０分はやっぱ予想通りの感想しか持てなかった。とにかくジョグダイヤルの動かし方が直感的でない！（直感の逆！）、とか、メニューのどこに何のメニューがあるのかさっぱり分からん！とか、なんでオートになってんの！？ISO設定がなんでできないわけ？などなど、一気に不満が噴出。
なにより付属の標準レンズが暗すぎて全然ボケてくんなくて「ハア？意味無いじゃん？」という、このカメラにとってありがたくない印象だった。
なんでこんなレンズを標準でつけたのだろう？僕が考えた理由は
１）お得意のアクティブ手ぶれ補正を優先
２）オートフォーカスのモーター音を軽減させるため明るさが犠牲に
３）深度が浅すぎてフォーカスが難しいとクレームがくる？
よろしくないです、あの暗さは。
さて、そんなこんなであまり印象がよくない状態で触り始めたVG10だが、αマウントアダプターを使ってシグマのF1.4 35mmを付けてから印象がガラっと変わった。F1.4 35mmというとフルサイズ換算でほぼ50mmの焦点距離となるレンズ。F1.4というのがポイントで、一気にボケ具合が気持ちよくなった。おうおうこれだよ、このカメラに期待しているのは！って感じ。
やはり明るいレンズの効果は大きい
セッティングをフルマニュアルにして、「絞り」「シャッター」「GAIN」をいじりながら撮り始めると、楽しくなってきた。ただし、「マニュアル設定出来る」というだけで、絶望的に使いづらいけど。
なにより、このカメラはデジタル一眼におまけでついた動画機能ではなく、純ビデオカメラなのである。それはそれは撮りやすい。特にローアングルで構えるときの安定感は絶大だ。膝位置でカメラを構えて子どもを追いかけながら撮る、などという芸当は5Dではできない。
はっきり言って、5Dや7Dはビデオカメラではないので、あらゆることでめちゃくちゃ不便である。音と、外部モニタに出力しながら撮れないことと、手持ち撮影がやりづらくサードパーティのキットをつけないと安定しない、この３点はほんとうにイヤになる。が、欲しい深度の浅さを得るために犠牲にしている部分だ。
VG10はその部分は完全にクリアしている。手持ちでも安定するし、音を聞きながら撮れるし、外部モニタに出力しても液晶は生きてる。（※追記(2010.09.09)間違いです。生きませんでした。HDMIと液晶とファインダーは排他仕様です。）やはり餅は餅屋、ビデオカメラはビデオカメラである。機械の形は重要だ。
ただ、まだこのEマウントは策定されたばかりで、目下のところαレンズ群に頼るしかない、という点がいささか悲しいところ。そのうち充実してくるんだろうけど、今はまだEマウントでソソられるレンズは１本もない。特に標準レンズは僕にとってはまったく必要ない。サードパーティでEFマウントアダプタが出ているから、キヤノンレンズを使うのも面白いかもしれない。
とにかく。
操作性など、まだまだ改善の余地はいっぱいあるけど、やっぱビデオはビデオカメラで撮るもんだ、と再確認できる機種である。僕自身は、マニュアルボタンなどがZ5Jなどと同じ仕様の業務機に期待している。もちろん２４P、３０Pなど、プログレッシブにもぜひモノで対応して欲しい。
画質や色に関しては次回。
※追記(2010.09.09)
お貸しいただいた担当者の方のメールをよく読むと、AVCHD 60i収録だけど、30P読み出しと書いてあった。つまり30P収録と同じこと。フィールド補完などのポスプロ作業は必要ないということだ。よく理解せずにすみません、、
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