Canon 5D Mark II撮影素材を本格編集してみた

マニュアル設定が出来るようになってから、使いたくてうずうずしていた5D Mark II。先日ようやく念願かなってアイツを使ったＶＰ撮影を行い、本格的に編集してみた。編集ソフトはVegas Pro 9.0b。これがなかなかクセもので、危うく試写をとばしそうになってしまった。今後、5D Mark IIを使われるかたはご注意ください。ったく、新しい機材を使うときにはちゃんとテストしないとですね～、、解決してよかったけど。。。

5D Mark IIの収録フォーマットは1920フルサイズHD、Quicktime H.264である。つまりAVCHDのMTSファイルと基本は同じ。こちらのAppleのサイトに詳しく書いてある。このフォーマットを扱うのは初めてだったのでテストファイルをいただいたところ、難なくVegasに取り込めたので安心して撮影に挑んだ。が、落とし穴は編集が始まってから待っていた。

このH.264はあまりに高圧縮なため、生データのまま再生するとデコードに膨大なメモリとＣＰＵパワーを食うようなのである。１０ファイルくらいまでは、再生はまともにできないまでも、アプリケーションがメモリ不足で落ちることはなかったんだが、２０ファイルくらいまで編集が進んだとき、バンバン落ちはじめた。急遽、別データに出力しようとしたが、これもメモリ不足で全くダメ。

試写が翌日に控えていたため、これには超焦った。

そこで、超特急で全てのカットをＡＥに取り込みＳＤサイズにリサイズして、ＱＴのＰＮＧコーデックで出力しVegasで再編集する、という２度手間な作業を強いられた。ま、いずれにしろ第一試写を乗り越えたら１カットごとにＡＥに取り込んでカラコレをしようと思っていたので、最終的には２度手間なわけではないのだが、試写直前にこの作業をしなければならないのはそうとう堪える。

Creative Cowなどいろいろなサイトを見たところやはりメモリの問題なようである。AVCHDを編集する場合はアプリケーションが落ちるということはなくしかも出力までできないほどの症状はなかったので、同じだろうと甘く見ていたのだが、どうも5D Mark IIはAVCHDより高ビットレートで録画しているらしい（ビデオサロンの記事）。きっとそれが原因だろう。あとやっぱＰＣでＱＴの編集はキツイということか。

こちらのSony Creative Softwareのフォーラムでもユーザーが論じている通り、Quicktime H.264の生データは編集に不向きで、トランスコードする以外に解決策はないようだ。収録素材全てをトランスコードしていると膨大な時間がかかるのでこれは大変だ。となると、僕がやった通り、まず落ちるギリギリまでVegasで編集して、必要な１カットごとにＡＥでトランスコードする、というのが最善の方法なのかもしれない。


が、それにしても5D Mark IIはスゲーです。まったく。今までビデオで撮れなかった映像がバンバン撮れて、楽しい楽しい。同じ位置でも望遠とワイドのレンズで全く世界観が変わる楽しさ。映画の人たちは当然味わっていただろう、その楽しさを僕らもこれから享受できるとは！小さくて軽いから移動も楽だし。。。

ただし、5D Mark IIはカメラマンの技量をかなり要求するカメラであるということを指摘しておきたい。どのレンズを使ってどんな絵を切り取るか、瞬時に判断して手際よくアングルを決める。適切な露出設定と相当シビアなフォーカス。カット数が多く、あちらこちらでいっぱい撮らなきゃいけないＶＰ撮影だと、ほんと時間通りに終わるかどうかはカメラマンの技量次第（そしてもちろんディレクターの準備と決断力、、、コンテも切らずにすんません。。。）。カメラ本体の知識はもちろんのこと、レンズの知識、台本への理解、、大人数でデカイ機材を扱う映画の撮影監督ではもちろんなく、ビデオカメラマンでもスチルカメラマンでもない、新しいジャンルの仕事かもしれない、と思った。

今回、撮影はこちらの木村重明氏にお願いしたのだが、いや、ほんと素晴らしい絵を、しかも手早く撮っていただいてありがとうございました！腕のいい撮監と仕事をするとホント楽しいことを実感。カメラの性能は、その能力を引き出せる人がいてこそ。次回作もよろしくデス！

※追記(2009.9.20)
と、書いたらなんとテレビ番組でも5D Mark IIが採用されたとのこと。こういう番組にはベストチョイスでしょう。軽くて小さくてワイドレンズで撮れるから。