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「偽装みなし労働」残業代請求(海外ツアー含む)裁判 2審で逆転勝利!

2012年03月08日 12時00分00秒 | 添乗員・旅行業界

(勝利判決を受け、弁護団と)

東京高裁が1審不当判決を変更 、「添乗業務にみなし制の適用はない」と判断
海外ツアー添乗員の時間管理は可能と認定
阪急トラベルサポートに付加金(ペナルティ)含め総額約2700万円の支払い命じる


■「偽装みなし労働」撤廃の闘い

2008年5月、東部労組HTS支部は、「偽装みなし労働」の撤廃を求め、残業代請求裁判を起こしました。迅速な司法判断を求めるため、大島組合員を代表に、2本の海外ツアーについて不払い残業代を請求する労働審判、そして大島さんを含む6名の組合員を原告に、本裁判を提起したのです(海外ツアーが主、1・2陣訴訟)。
また、これとは別に、豊田組合員を原告とし、国内ツアーを対象にした裁判も同時に進行していました(2008年10月提訴、第3陣)

■相次いだ不当判決

労働審判については、同年7月、「みなし労働」の適用は認められないとする組合勝利の結果となりました。しかし会社はこれを不服として異議を申し立て、本裁判に移行することとなりました(労働審判異議訴訟)。

そして2010年7月、9月に、1・2陣と労働審判異議訴訟の判決が東京地裁で出ました。
不払い残業代の支払いを命じながらも、「偽装みなし労働」を容認する不当判決でした。
<概要>
http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/6acac42058494365475842e0de882706
http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/4dbebcf2ef06712a826b605b4b748850
http://blog.goo.ne.jp/19681226_001/e/38178cd3d8311297911087048242aac9

私たちはこの両不当判決に対し、ただちに控訴し、以降、東京高裁で審理が続いてきました。

■東京高裁、不当判決を変更。「偽装みなし労働」を断罪

そして昨日3月7日、並行して審理が続いていた労働審判異議訴訟と1・2陣訴訟の判決が同時に言い渡されました。

東京高裁第5民事部大竹たかし裁判長は、1審東京地裁の両判決を変更し、不払い残業代を増額して認定しました。付加金(ペナルティ)を含めると、総額は約2700万円。

その上で、高裁は、「偽装みなし労働」を容認した1審両判決を支持せず、「みなし労働」の適用可否についての判断も変更しました。
「本件添乗業務について、労基法38条の2第1項にいう『労働時間を算定し難いとき』に当たるとは認められず、本件添乗業務に事業場外労働時間のみなし制の適用はないと解するのが相当」と明確に判断し、「事業場外みなし労働」の適用を否定したのです。

裁判所は、阪急交通社が添乗員に対して行っている「指示書による旅程管理についての具体的な指示」「時刻が記入された詳細かつ正確な添乗日報」等から、「添乗員の労働時間を把握するについて、その正確性と公正性を担保することが社会通念上困難であるとは認められない」と、添乗員の労働時間の把握が可能であると判断しました。

そして、休憩時間についても、会社の主張(「移動時間、自由行動時間等の非労働時間に適宜休憩を取っている」)を全面的に退けました。
高裁は、「参加者との関係で休憩時間を保障されているとはいえない」とし、「添乗員自らがツアー参加者に対して・・・休憩時間をとることを伝えて休憩時間を取ったというような特別の事情がない限り、休憩時間があったと認めることはできない」と明確に判断しています。

また、移動時間についても、「ツアー参加者からの要望に対応する」ことが求められていることから、「添乗員に労働契約上の役務の提供が義務づけられている」として、基本的に「労基法上の労働時間」と認定しました。
ただ、飛行機による移動時間のうち「出発空港出発時刻の1時間後から到着空港到着時刻の1時間前まで」、就寝時間帯が含まれる鉄道・船舶による移動時間のうち「出発時刻の1時間後から到着時刻の1時間前まで」については、「添乗員が行うべき作業をする必要性が皆無に等し」いことから、労働時間ではない、としました。

その他、残業代の算定賃金額(日当÷8時間)、始業・終業時間の認定についても、組合側の主張に沿った判断をしています。

また、付加金(ペナルティ)の支払について、「三田労働基準監督署から・・・是正勧告書・指導票が出されたのに対しても・・・拒否する回答をした」など、会社の姿勢を糾弾しています。

このような判断を行った今回の判決は、添乗員の労働の実態を無視した1審東京地裁の両不当判決と比べ、はるかに添乗員の業務の実態に即した判断と言えます。
また、海外ツアーについても「時間把握は可能」とした判断は画期的です。
同じく「偽装みなし労働」を断罪した昨年9月14日の第3陣判決に続き、高裁における国内・海外の判断が出そろったことになります。高裁の判断はいずれも「みなし労働の適用は不可」。
それはつまり、「添乗員の労働は、国内・海外問わず、事業場外みなし労働は適用できない」「きちんと時間管理を行い、長時間労働を是正せよ」ということになるはずです。

組合はこの勝利判決を受け、弁護団とともに厚労省記者クラブで記者会見を行いました(下写真)。

その席で原告の1人である大島さんは「4年ちかく闘ってきた。会社は判決に従い、添乗員の処遇を改善するべき。この判決が自分たちだけではなく、すべての会社に波及することを望みます」と訴えました。

阪急トラベルサポート・旅行業界は添乗員への「みなし労働時間制」適用を
ただちにやめ、長時間労働を是正し、残業代を支払え!

阪急トラベルサポートは高裁判決に従え!
過去分も含めて全添乗員に残業代を支払え!

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2012-03-15 18:53:00
おめでとうございます。長い間の戦い、良く耐えて来られました、なかなか出来る事ではないと、お察しいたします。
返信する
ありがとうございます (Unknown)
2012-05-03 13:25:16
現役添乗員です。
時間も体力も気力も必要な訴訟を起こしてくれてありがとうございます。
厳しい就労状況が少しでも報われる日が来ることを望んでいます。
返信する

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